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では、▼以下より、私の世界をお楽しみ下さい。
     

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【 犬派、猫派 】

俺の幼なじみはモテる。
どれ位、モテるかと言えば地球上で彼女以上にモテる女はいないと断言できる。
ある意味、地上最強の生物とも言い換えられるな。

ま、俺は昔から知っているから今更、恋愛対象にならないが。

とにかくモテまくる。
恋愛に興味がないヤツを抜きクラスの男子全員が彼女を好きになった事さえある。
いや、それ所か今、学校中の男子(俺を抜く)が好きになっている。

どこまでいくのか。

地球上の男(俺を抜く)が好きになるまで彼女の快進撃は止まらないのか。
そうとさえ思えてしまって、少々、頭が痛い。
俺には関係ないが。

とにかく、俺の幼なじみは信じられないほどモテるのだ。

「おはよう」

容姿は可愛いんだがな。性格に難があるからな。

「おはよう。今日は一人か? 珍しいな」

いつも取り巻きが百人ほど張り付いているのがデフォルトなのだ。

彼女が微笑む。
まさにエンジェルスマイルの極。
彼女が笑うと完璧な美を持つ天使も素足で逃げ出すだろうな。

「ううん。起きてすぐに犬の散歩に行って来たわ」

犬か……。

「でね。散歩の途中でメガネをどこかに忘れちゃってね」

メガネだと? 犬が?

「でね。ジュースを買ってもらったんだけど、自販機の前にあったの。メガネ」

ジュースを買ってもらったって。何、それ。

「あ、ポチ」

「どうも。君と同じ高校に通ってる三年生のポチです」

せ、先輩……。
彼女がいくらモテるからって、犬ですよ。先輩。
お願いです。目を覚まして下さい。

くわっ。

犬派、猫派、了。

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【 そんなもんか 】

運転免許試験場で出会った免停講習を受けるF1ドライバー。

そんなもんか、了。

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【 イマジン 】

「あっ! 久しぶりだな。三年ぶり位か?」

「おう。大体、それ位ぶりだぜ。本当に久しぶりだな。元気してたか?」

「元気。元気」

三連休を利用して彼女を連れ、故郷のペンギン村に帰ってきた。
本当に懐かしいな。何にも変わってないぜ。
変わったのは俺くらいか。

その道すがら会った地元の友達。

「遊びにきたのか?」

「違う。違う。ちょっと大事な用があって帰ってきたんだよ」

そう。
今回、帰省したのには大事な理由があった。
その為に彼女を連れてきたのだ。

付き合っている彼女を両親に紹介しようと思ったのだ。

彼女とは結婚を考えている。
なので遅かれ早かれ、両親には紹介しなくちゃならないと思っていた。
それが、今日という日になっただけだとそういう訳だ。

「お前の後ろにいるソイツ。誰?」

ソイツだと?
いくら旧知の友達だろうが、それは、ちょっと失礼じゃないか。
ま、彼女自身は、全然、気にしていないようだけど。
下を向いて恥ずかしそうにしている。

「彼女だぜ。羨ましいだろ」

「か……彼女?」

友達が不可思議な顔をして、大口を開けて顎を外している。

「ああ。可愛いだろ? 俺、今、結婚を考えていてな。親に紹介するんだよ」

「って、お前……」

「何だよ? お前、そんなに羨ましすぎて言葉がないか?」

「その彼女、男だし。百歩譲っても彼氏だろ?」

「性転換してるんだぜ。俺がな」

「……都会って怖いな」

それにしても俺の故郷、ペンギン村は本当に何も変わっていない。
変わったのは濃いヒゲが生えた俺くらいか。
そしてちんちんがない俺くらい。

くわっ。

イマジン、了。

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【 メルレポート、~ レポート四十六、新たな刺客 】

「じゃ、メルさん。これにて冥府に戻りますね。また会いましょう。では」

アフがまたあの爽やかな笑顔で、メルに微笑みかけた。
そのスマイルは勇者顔負けだ。
何なんだ。

くそがっ。最後の最後までアフの野郎の化けの皮を剥ぐ事ができなかったぜ。

最後までメルの名前しか呼ばなかったしな。
どんなに好意的に考えても、こいつだけは許す事ができねえぜ。
死ねッ!

メルは俺様の嫁だ。

「メル。お前は俺様の嫁だよな?」

「はあ? 何言ってんの。君の嫁なんて死んでもなりたくないわ。オッケー?」

「うほっ。しくしく。メル、悲しい事言うなよ。マジ、死ぬよ?」

アフが微笑む。
まるで俺様達のやり取りが微笑ましいと。
その余裕たっぷりな笑顔が、また俺様の怒りを刺激するんだよッ!

死ねッ!

「あっ。そうそう。我らの召喚を解除するには手を合わせて下さいね。よろしく」

そうそう。
今、アフと丁度、正反対の位置にディドーがいて笑っている。
あの下らない画像で、ずっと笑っているのだ。

そうか。召喚した後はどうすればいいのか迷っていたが手を合わせればいいのか。

メルがディドーに言う。
可愛い大きな青い瞳をクリクリと忙しなく動かしつつ。

「ディドー、ありがとうね。また頼むわ」

お礼を言った後、手を合わせる。
感謝の意を込めて。
殊勝だな。

さすがは自分の盟友相手で六賢者の長相手といった所か。

「うむ。妾の力が必要な時はいつでも呼ぶがよいぞ。妾は汝らの味方じゃ」

ディドーの周りに光の粒子が煌めき、まばゆい光が体を包んでゆく。
まるで雪が舞っているように。
いや、蛍か。

しかし、消える前にディドーが興味深い事をしゃべり出した。

「そういえば……、マンサを拷問して情報を引き出すと言っておったであろう」

そういえば、そんな事を言っていたな。
何か分かったのか?
何だ?

「ヤツも口が堅くてな。しかし、こんな事を漏らしておったぞ」

「六賢者、最後の一人か。誰なんだ? 一体」

ディドーに問う。
六賢者最後の一人が敵になるか、それとも味方になるか、興味があったのだ。
メルも興味があると上目遣いでディドーを見つめた。

「今に分かる。それはとんでもないヤツで、とんでもない所にいると」

全然、分かんねえよ。
そんな漠然とした情報だけじゃよ。
マンサのヤツ、どんな拷問を受けているのかは知らないが、口の堅いヤツだな。

「また何か分かり次第、汝らに情報を提供する。待っておれ」

うむ。
六賢者最後の一人がどうであれ、今は残り二つの魔神器に注視する事にしよう。
それにしても冥府での修業は本当に長かったな。

苦しいのが嫌いで、努力がもっとも似つかしくない俺様が頑張ったのだ。

思わず涙が出ちまうぜ。
ま、あれも、それも勇者憎しの感情だけで頑張ったようなもんだがな。
大体、頑張るってのはな。勇者の専売特許だぜ。

魔王である俺様がよくやったと思う。

本当にな。

召喚は遂行され、そして、ディドーも冥府へと帰っていった。

最後に魔界の真っ黒に煤けた砂漠に残されたのは、俺様とメルの二人だけだった。
虚空に浮かぶ赤い月と所々にある枯れ木が、ここは魔界だと認識させた。
やっと帰って来たのだ。

「ただいま」

メルが小さな声で、誰に言うとでもなくつぶやいた。

ああ。言い忘れたな。
魔神器の魔神である茶坊主は俺様に倒された事により、魔神器へと戻っていった。
もちろんヤツの持つ原初の魔王の力を解放してな。

これで三つの内、一つの魔神器の魔神を倒して、力を解放した訳だ。

残りは、二つだ。
俺様は久しぶりに魔界に戻った事で、意気揚々と拳を振り上げた。
残り二つもこの調子で、とっとと解放してやるぜと。

「くふっ。そう簡単にいくかな」

魔界の空に浮かぶ赤い月がまるで目の様に見え、俺様達を見下ろしていた。

*****

「……くっ。こんな所で負ける訳にはいかない」

勇者がうめく。
今まで、勇者を諫めていた魔法使い、そして女僧侶も見あたらない。
もちろん勇者のいい相棒である戦士もいない。

「俺達は世界平和の為にあきらめる訳にはいかないんだ。みんな、頑張れッ!」

勇者が息をまく。
が、その決意に応える事ができない勇者の仲間達。
魔王を圧倒し、そしてその力で世界を救う事を義務づけられた勇者とその仲間達。

しかし今は勇者しかいない。

いや、正確には勇者以外、みんな倒されてしまったのだ。
目の前にいるニートらしき魔術師によって。
瞬殺だった。

魔術師が何か魔法らしき呪文を唱えた後、勇者を残し他は全部倒れてしまった。

死んだ魚のように淀んでいる目をした魔術師によってだ。
勇者にとって信じられない光景だった。
仲間が倒れたのは。

魔術師の体は栄養失調なのか、がりがりであばら骨が浮かんでいる。

着ているものもボロボロ。
かろうじて、それはズボンだと分かる程度のものを腰に着けているだけだ。
こんな情けないヤツに勇者達はボロボロにされたのだ。

魔術師、彼が身に着ているボロ布のように。

そう。
それは茶坊主の時より、圧倒的だった。
しかもニートな魔術師はその実力の十分の一すら発揮せずにだ。

「くひひっ。お前だろ。馬鹿にしたのは。俺を馬鹿にしたツケは払ってもらうぞ」

「立ち上がるんだ。みんな。友情パワーがあるだろう。頑張れッ!」

勇者が叫ぶ。
しかし、魔法使いも女僧侶も戦士すらピクリとも反応しない。
目の前の魔術師に完全にのされてしまったのだ。

「魔王を倒す為にこの三年間苦しい修業をしたんだろう。思い出せ。あの日々を」

勇者の目に涙がにじむ。
勇者達も魔王が冥府に行っていた三年間修業をしていたのだ。
そして、彼らのその力もまたあの茶坊主を圧倒できるだけに急成長していた。

が、目の前のニートな魔術師には敵わなかった。

魔術師の手から炎のエネルギー体が勇者に向かってほとばしる。
炎をまとったエネルギー体に焼き尽くされる。
倒れる勇者。

しかしまだかろうじて動ける。

「まだだ。まだ俺は死んじゃいない。お前を倒すッ!」

「くふっ。お前らが弱すぎるのが悪いんだよ。弱いものは死ぬ。これは真理だ」

ニートな魔術師の足が女僧侶の頭を踏む。
女僧侶はそれでも動く事ができず、足の下でうめき続けていた。
ヤツの足に力が加わる。

ぐっぱっ。

……骨の潰れる音。そして鮮血が滴る。

「くはは。身動きができなくなった相手を潰すのはいつやっても快感だぜ」

次は魔法使いだと、魔術師は、ゆっくりと歩みを進める。

「くふっ。そうだ。勇者よ。お前だけが何故、動けるんだと思う?」

絶句し、睨む事しかできない勇者。

「くははは。そうだ。俺がそうしてやったんだよ。己の無力さを呪わせる為にな」

勇者は悔しさをにじませ、言葉をしぼり出した。
最後に残った力を使うように。
あざ笑う魔術師。

「ちくしょう。誰でもいい。誰でもいいから、こいつを倒してくれッ!」

「くははは。魔王にでも頼むか。勇者であるお前がな」

そこで勇者の意識は途切れてしまった。
仲間をやられ、そして、己自身の無力さを嫌というほど恨んで。
彼が目を閉じる瞬間。

老齢な魔法使いの頭もヤツによって潰される所を見た。

魔王。
お前でもいい。こいつを倒してくれ。
こんなヤツが世の中に出たら、それこそ魔王、お前よりも最悪だと思いつつ。

「くはははっ。これで勇者達は全滅だ。魔王、お前の目的もないぞ」

とニートな魔術師が笑った。

~ レポート四十六、新たな刺客、了。

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【 メルレポート、~ レポート四十五、後始末 】

「あははは。オラがそんなに簡単に従うと思ったのか?」

すでにそこには魔神はいなかった。
いるのは見苦しい魔人の一人でしかない卑劣な茶坊主でしかなかった。
何をしたのか?

そう。メルを人質にとってここから逃げだそうとしたのだ。

戦う前にメルと交わした油断という言葉。

油断か。
確かにそうなのかもしれない。
魔王の雷を叩き込んで、いい気になってしまった。
メルの頭のテンコツにある癖毛が緊張しているのか、ピーンと立っている。

……あのメルが緊張か。珍しいな。

「ふう」

アフがやれやれだと気怠そうに茶坊主を見下ろす。
茶坊主のこの卑怯さが、またアフという人間の怪しさを加速させていた。
アフの思念体なんだから。
怪しい。

そのうそ臭い爽やかな仮面の下はどんな表情なんだ。

「メルさん。貴女程の人ならば分かってると思いますが……」

何だ?
魔神器の魔神の不始末はお前がつけるのか。
いや、一発で死なせられなかった俺様の不手際だろう。もう一発かましてやるぜ。

茶坊主はメルの首にナイフをあてて、手に力を込めた。

体術のスペシャリストがナイフなんかを使ってる時点でアウトだな。
遂に三下やられキャラに成り下がっちまった。
いや、モブか。

どちらにしろ、もうお前に用はない。

「魔王。助けてッ!」

メルが叫んだ。
謳うにはほど遠い金切り声で。
あの冷静沈着で、賢いメルはどこにいった。最近、キャラ変わったの?

「うははは。女を盾に逃げようと思ったけど、それよりいい事を思いついたぞ」

いや。いい。言うな。大体、分かるから。

「魔王。お前が死なないと、この女は死ぬ事になるぞ」

頭痛が激しいぜ。ノーシンをくれ。

言うと思った。
しかし茶坊主の野郎も甘いな。
俺様はすなわち魔王であり、どこぞのヒーローなんかじゃないぞ。

目的の為には、どんな手段でも厭わん。

「メル。悪いな。ここは死んでくれ。魔神を殺す」

俺様は魔王だ。
そしてメルだって、どこまでいっても魔王の参謀である魔人でしかないんだ。
そんな俺様達の価値観は卑怯、卑劣、薄情に過ぎんのだ。

「何をそんなにあっさりと。いいのか。大切な参謀が死ぬんだぞ」

茶坊主がうろたえる。
いや、お前も魔人の一人だったら分かるだろう。
俺様達、魔界に生きるものにとって、人質などまったく苦にしない事が。

「この女の事を好きじゃなかったのか!?」

よく知ってるな。だが甘い。甘いぞ。

たとえ親兄弟が人質であろうとも、あっさりと斬り捨てるのが魔人だ。
もちろんそれが恋人だったとしてもな。
それが魔界に生きるもの。

魔人だ。

……メルよ。
俺様はお前が好きだった。
が、人質にとられてしまっては仕方がないだろう。

済まんが、安らかに死んでくれ。

「くっ。大人しく言う事を聞け。じゃないと女は死ぬ事になるぞッ!」

誰に何を言ってるんだ?
もしかして元魔王であるこの俺様に言ってるのか。
魔界に住むものにとって、人質などまったく意味を成さないと何故、分からん。

「さて、じゃ、そろそろ二人には死んでもらおうとするか」

俺様は死斑剣に手をかける。

目に光が増す。
本気度が、目の光を鋭くしたのだ。
メルが死んでもその代わりに茶坊主を殺しリスクとメリットを相殺するのだ。

「本気だぞ。女を殺すぞ。いいのか。本当にいいのか?」

だから殺してちょ。
メルだって、逆に俺様が人質にとられてしまったらさっさと見捨てるだろうから。
それがいくら仕えるべき主君だとしてもな。

「ふふふっ。面白いですね。まさかここでメルさんが死ぬとはね」

アフが笑う。
その笑みは何かを企んでいるようだった。
でも今は、そんな事はさて置き、魔神を倒さねばならない。

「魔王。助けてよ。いや、魔王じゃなくてもいい。そうよ。ディドー助けてッ!」

六賢者の長、ディドーか。
メルの盟友になってたんだったな。
だがいくらディドーと叫んだ所で、お前の状況はまったく変わらないぞ。

「じゃ、さよならだ。茶坊主、そして愛しのメルよ」

俺様は二人とも斬り捨てようとした。

「喝ッ!」

うはっ。
そうだ。そういう事だ。
今まで件は全て、人質をとった茶坊主の意識をそらす為の芝居だったんだよ。

「うぬぬ。ゆくぞ。超絶必殺、烈覇、突の陣」

メルが拳にオーラを溜める。

「なっ……」

茶坊主が言葉を失う。
その間隙を縫って、メルの放った烈覇が茶坊主の心臓を一突きにする。
途端、噴水のように噴き出す真っ赤な鮮血。

うむ。

魔神器の魔神でも血は赤いんだな。

俺様の血は緑だがな。
辺りは茶坊主の血で真っ赤に染まり、俺様はメルとハイタッチを交わす。
そんな俺様達を尻目に力なく崩れ落ちる茶坊主。

「そんな馬鹿な。何故、か弱き女がオラの超絶必殺、烈覇を……」

参ったか。

参謀であり、斥候でしかないメル。
ましてや体術などまったく素質のない非戦闘タイプでしかないメルがやったのだ。
さすがに茶坊主であろうと予想だにできなかっただろう。

でも突の陣って何だよ。適当に言っただろ?

「ディドー様……」

アフが、小さくつぶやく。
自分の技で心臓を貫かれ崩れ落ちた茶坊主は這いつくばりながら黙っている。
何が起こったのか、まったく理解できないでいたのだ。

「さっそく妾を呼んだか。メルよ」

まだ分からない?

「妾の幻術は効いたようだのう。もう良かろう。幻術を解こうぞ」

途端、辺りを真っ赤に染めていた血が消え失せる。
そう。これはディドーの幻術。
そうなんだよ。

間違ってもメルに体術を期待する方が間違いってもんだ。

全ては戦う前、メルと俺様が油断と聞いて耳打ちをした時から始まっていたんだ。

殊勝に怖がっていたメル。
お前は、そんなキャラじゃないって、言ってたろう。
あれはメルはか弱く無害な女の子だと茶坊主に信じ込ませる為の芝居だ。

そんな子が烈覇を使ったらどう思う?

まさか自分の技を使われるなんて茶坊主じゃなくても驚くぜ。

そして、メルを見捨てると茶坊主もろともばっさりと斬り捨てようとした俺様。
これも、もうそれしか手はないと信じ込ませる為の芝居。
最後のオチを強く印象づける為のな。

印象づいた強力なオチは、そいつの精神をガタガタと壊す事だろう。

ディドーを召喚する時も細心の注意を払った。
何気ない会話の流れで召喚したとバレないようディドーの名前を叫んだって訳だ。
さすがはメルだな。

『喝ッ!』

あの時、ディドーの幻術にハメたんだぜ。
上手くいった時は状況も考えず、思わず笑い出したかったぜ。
魔神をハメたとな。

……ふふふっ。

メルの頭のテンコツにある癖毛もピーンと立ってたろう?

緊張じゃない。
メルお得意の悪巧み完了の合図だったんだよ。
俺様は耳打ちされた時にすでにこの計画を伝授され、知っていたがな。

「あははは。私も一杯食わされましたよ。見事ですな」

アフが笑いながら言った。

「ほいっ」

メルが魔界のスマホ、スマッポの画面をディドーに見せる。
上手くやってくれたご褒美よと。
それか。それな。

「うおおお。そんなものを見せるな。あははは。笑いが止まらなくなるだろうが」

スマッポの画面にはヒゲメガネをした上半身裸のオッさんが表示されていた。
腹にはデカデカと描かれたペコちゃんの顔があった。
つうか……。

こんな下らないもので笑うなよ。

「あははは。うほほほ。メルよ。面白すぎるぞ。その画像」

と笑いに耐性がないディドーは笑い続けた。

~ レポート四十五、後始末、了。

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【 メルレポート、~ レポート四十四、雷 】

「うっしし。お前ら、またオラに挑戦しにきたのか?」

魔神がいる。
忘れたくても忘れられない、頭髪を五分刈りにしたツルツルテンの茶坊主だ。
鼻には狙ったように絆創膏が貼ってあり、わんぱくそうな魔神。
鼻水が汚くずずずっと垂れている。

アフが気を利かせたのか、それとも罠か、魔界に帰って早々、魔神と対面した。

転送ポイントに飛び込み、転送された先が魔神のいるここだった。
やっぱりアフは、どうもうさん臭い。
罠と考えるべきか。

「魔王。本当に強くなったの。こいつを倒せる?」

メルが心配そうに言う。
あの謳うように弾むような軽やかな声が、微かだが震えているようにも聞こえる。
相手は前にまったく敵わなかった魔神器の魔神なのだ。
心配しない方がおかしいってもんだぜ。

大丈夫だ。

「大丈夫だ。任せておけって。新技も体得したしな。油断しなければ勝てる」

俺様はできるだけ力強く答える。
女の子が不安な時は優しく男がリードするもんだぜ。
それが男だ。

「油断か……。そうね」

メルが俺様に目配せをして、耳打ちをする。

「うむむ。だから任せておけって。ま、お前の意見も分かるがな」

メルの意見を聞いた。が、それはまったくの杞憂であり、無駄だと思えた。
俺様は三年間、みっちりと修業をしたのだ。
積み上げたものを信じるぜ。

アフのうさん臭い爽やかさにメルを盗られちまうからな。

「やるんだろう?」

魔神は自分の両腕を肩より少し下げた位置で拡げて、拳を握っている。
まるで空手家が押忍と挨拶するように。
いいぜ。来るなら来い。

こいつはアフの思念体である魔神器の魔神なんだ。

すなわちメルという美少女を狙っていると思われるアホの手下だ。
天誅を下すべく、死斑剣を握る。
決めてやるぜ。

ここは派手に新技でな。

「残念だけどお前じゃオラには敵わない。オラは勇者すら瞬殺できるんだからな」

おい。おい。ここにきて自慢かよ。余裕だな。

それにしても武闘家の癖にやたらとぺらぺらとよくしゃべるヤツだな。
こいよ。やってやるぜ。
殺す。

「勇者にすら勝てなかったお前がオラに勝てる訳がない」

だから、うるさい。
口を動かす前にとっとと体を動かせよ。
こっちはディドーと血の滲む修業をしてきたんだからな。
魔神。お前の魔神器が壊れたままで安穏と三年間寝てすごしていた間にな。

「じゃ、やろっか」

やっとか。

「いいぜ。こっちはとっくに臨戦態勢だぜ。いくぜ?」

「うっしし。最初から全力でいくよ。己の無力さを嘆くがいい」

「メル、手をだすな。足手まといだ」

俺様は言う。
本当は足手まといなんかじゃない。
が、ここで俺様が男を魅せないとメルを盗られちまう。

やせ我慢ってヤツだな。まったく男はつらいぜ。

「超絶必殺、烈覇ッ! うおおお」

茶坊主の拳に気が乗り、ヤツの拳が蒼白く光る。
烈覇とは、そうして拳に気を乗せて重き一発を相手に顔面に叩き込む力技だ。
辺りに禍々しいオーラが溢れる。

こいッ!

「最初から全開か……やれやれ、面倒くせえな。やるしかねえ」

死斑剣を上段に構え、太刀筋で満月を描くように回す。
回した死斑剣の放つオーラが円月状にとどまり、蒼白い月が虚空へと浮かぶ。
茶坊主、覚悟はいいか?
いくぜ。

「魔王。雪の斑月じゃないの!? 確かにマンサには効いたけど……」

そうだぜ。これは雪の斑月だ。

「でもあれは入力ミスで効いただけよ。魔神には……」

だから杞憂だって言ってるだろ。
俺様は六賢者の長であるディドーにみっちりと仕込まれたんだよ。
三年間な。

いくぜ。雪の斑月改ッ!

円状にとどまったオーラの中心を突き抜け、剣戟が茶坊主へと襲いかかる。

「きゃはっ。正直、飽きちゃったよ。その技にはね。ほっ」

剣戟に合わせるように蹴りを繰り出す。
今まで、両拳に溜めていたオーラを足へと流動させて。
そう。茶坊主は烈覇を本来の拳で叩き込む形から応用し、足で烈覇を撃ったのだ。

ぎぃぃんんッ!

「それが全力かい? あははは。お前って、弱いね。本当に弱いわ」

余裕をかまし、大口を開けて高笑いする魔神。

「もういいよ。お前、死んでよ」

魔神が言う。

「超絶必殺、烈覇」

また力を込めて両拳にオーラを溜め、烈覇を放とうとする。
甘いぜ。雪の斑月を防ぐ為に一発目の烈覇を使っちまったのは愚策だったな。
遅い。

新技の準備が終わった。

この隙を作る為にわざわざ効かない雪の斑月を放ったんだ。
おらおら。決めてやるぜ。
死ぬのはお前だ。

ゆっくりと右腕に帯電させ、天へと掲げあげる。

「やっぱり魔神には勝てないの!?」

悲鳴をあげるメル。
メル。冷静沈着で賢いお前が悲鳴をあげるなんて、まったくキャラじゃねえぜ。
だから、それは杞憂に過ぎないって言っただろうがッ!
安心しろ。こっからが本番だぜ。

「俺様はすでに自然すら味方にする。魔王の雷(デモンズ・サンダー)ッ!」

天高く掲げあげた帯電した右腕をゆっくりと振り下ろす。
まるで何かを魔神に誘導するように。
怯えて、死ねッ!

「落ッ!」

かけ声と同時に虚空に浮かぶ真っ赤な月を隠すような雷雲が現われ雷がこぼれる。
そう。自然現象である落雷を魔神にお見舞いしてやったのだ。
これが俺様の新技だぜ。

名付けて魔王の雷(デモンズ・サンダー)ッ!

「がああ。何だと。あり得ん。雷を攻撃手段にするなんて……」

落雷の電圧は二百万ボルトから十億ボルト。
まともに喰らえば丸焦げだろう。
避ける事もできない。

何故なら魔王の雷は秒速百五十キロを超える速度で、対象に襲いかかるのだ。

いくらカンフーマスターだろうと避けられねえぜ。

ただし弱点もある。
扱うのが大きなエネルギーの為、発動するまでに少々時間がかかってしまうのだ。
だから効かないと分かっていて雪の斑月を放ったんだ。

隙を作る為にな。

「悲鳴なんてあげるな。杞憂だって言ったろ」

俺様が言う。
魔神は結局、六賢者の思念体である魔神器の守護神なんだ。
六賢者の強さを超える事はないだろう。

つまり今、目の前にいる茶坊主はアフの思念体である魔神器の魔神でしかない。

強いといってもしょせんアフの強さを超える事はないんだぜ。
六賢者の長、ディドーと修業をしたんだ。
負ける理由がない。

だからずっと言っているが、杞憂でしかないんだよ。

メル。お前の心配はな。分かったか?

「じゃ魔神よ。大人しく原初の魔王の力を解放してもらおうか。ふははは」

今度は俺様が高笑いする番だった。

~ レポート四十四、雷、了。

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【 報告までに 】

|電柱|・ω・`)ノ ヤァ

読者の皆さま、こんばんは^^ノシ
四草めぐるです。

ずっとメルレポートを書いてきましたが賞に送る作品を書く気がおきました。

よって、そちらを優先させたいと思います。

なので少しの間、連載小説の更新をお休みしたいと思います。
一応、ショート・ショートは更新する予定です。
ま、いつも通り不定期ですがw

これからもよろしくお願い致します。

では、では。
草々。

報告までに、了。
     

【 南無阿弥陀仏 】

「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏……」

念仏を唱える。
今、俺達が来ている廃病院にはさまよえる邪悪な幽霊が沢山いる。
肝試しだと友達が言い出し、俺はついてきた。
残念な事に俺は幽霊が見える。

そして極度の怖がり。

そんな俺が肝試しになんかに来ているのだ。
楽しむどころか恐怖が先に立ち一心不乱に念仏を唱えるしか道は残されていない。
早く帰りたい。

「南無阿弥陀仏。南無阿弥陀仏」

友達の右肩に六歳くらいの女の子の幽霊がいる。

「あははは。怖くねえな。本当に幽霊なんているのかよ? 出てこいっての」

だから右肩に乗ってるって。
もう一人の友達の右足を掴んで引きずられるようにお婆さんの霊がいる。
しかし、こちらもまったく気づく様子は一切ない。

「だよな。地元でも有名な幽霊屋敷の割には怖くねえよな」

鈍感はいいな。

「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏……」

俺は、また念仏を唱える。

「でもよ」

「うん? 何だ? 何かあったか」

「さっきからぶつぶつと念仏が聞こえるような気がするんだけどよ」

気のせいじゃないぞ。
それは俺だ。
俺。

俺はお坊さんなんだからな。

「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏……」

「そういえば確かにどっかから不気味な念仏が聞こえるな。もしかして幽霊か?」

「幽霊かも。ここには俺達二人しかいないし。他に誰もいないよな?」

「ああ。俺達二人だけだぜ」

フッ。二人だけか……。

俺は肝試しだと友達が言い出し、憑いてきた。
そう。憑いてきた。
ここに。

「南無阿弥陀仏。南無阿弥陀仏」

南無阿弥陀仏、了。

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【 メルレポート、~ レポート四十三、六賢者という仲間 】

「それにしてもラッキーだったわね」

メルが言う。
可愛らしく頭のテンコツにある艶のある黄色い癖毛をピコピコと揺らしつつ。
癖毛が立った時、悪巧み完了の合図とは到底思えない可愛さだ。

「ラッキー?」

何を言いたいのか分からず聞き返す。

「六賢者を召喚し、使役できる権利を手に入れた事よ」

召喚……。
そういえばディドーがそんな事を言ってたな。
ディドーが言うには六賢者の名前を叫べば、ソイツを召喚し使役できるってな。

でも何でラッキーなんだ?

別に呼ぶ予定はないし、それ以上に、そんなにアフに会いたいのか?

俺様はアフが嫌いだ。
魔界まで帰ったら、できればもう二度と会いたくない。
召喚なんてするつもりもないし、誰に命令されようと召喚なんて事はしない。

それがたとえメルであろうとな。

特にアフだけはな。

「アフ?」

アフに話しかけるなッ!

「何でしょう。メルさん。魔界はもうすぐですよ」

アフは優しげな笑顔を浮かべ答える。
その余裕がムカツク。
死ね。

「そう。でも聞きたいのはそんな事じゃないわ。君以外の六賢者達の名前よ」

メルの目が光る。

「はい? 何で、そんな事を知りたいのですか。何かありましたか?」

とぼけているのか、真意を問い詰めるアフ。

「召喚よ。召喚する時、六賢者各々の名前を叫ぶんでしょ?」

「ああ。そうですね」

アフは少し考えてから、相づちを打つ。
そして更に間を置いて考え、ゆっくりとぽつぽつ話し始める。
六賢者達のプロフを。

「まず、ディドー様は知っていますよね。策士で幻術を得意とします」

「知ってるわ。ディドーは私の盟友よ」

おいおい。
いつの間に盟友になったんだ。
確かにメルとディドーはどちらも知略派だからな。気が合うんだろうがよ。

でもディドーは六賢者の長だぞ。

しかし、お前は魔王である俺様の参謀に過ぎんのだ。
いいのか。本当に。そんなヤツと盟友で。
横柄じゃないのか。

せめて俺様位じゃないとよ。

「ディドー様は六賢者の長でもあります。実力も一番ですね」

だろうな。

「そして次が私こと、アフ。アフマド・マンスール」

アフか。
お前は絶対に呼び出さないから安心しろ。
次だ。次いけ。オッケー?

「主に剣術を得意とする近接戦闘タイプの侍です。近距離では敵はいません」

侍?
いや、敵はいないって、自分で言うのか。
っていうか、さっきマンサと戦って負けていたのはどこのどいつだ?

大体、その自信もムカツク。

格好いい男は何を言っても許されると思っていやがる。
モテない男のひがみとでも言うか?
いや、違うね。

美少女は正義だという言葉がある。それは美男子にも当てはまるのだッ!

「十の型を持つ剣術を使い、終(つい)の型、凪(なぎ)は全てを無に帰します」

凪だと?
初めて聞いたが、そんなに力があるのか。
だったらマンサ戦で、その技を使えば良かっただろうが。

隠していたようにも感じる。

怪しい。

やっぱり、アフは気にくわねえ。
アフは魔人には似つかわしくなく、爽やかで穏やかだ。
そして格好いい。

が、それ以上に怪しさの方が勝っていると思わずにはいられない。
アフのお洒落な恰好もまたその怪しさを助長する。
そしてヤンキーに憑依されるアフ。

どれが本当のアフなのか混乱して、まるで煙にまかれているようにも感じるぜ。

「そして次がマンサ。マンサ・ムーサ。技をデーター化し再現します」

ああ。
あの裏切り者だな。
あいつはパソコンを取り上げられ、監禁されたんだろう?

「しかし、マンサは我らを裏切ったので呼び出せません。監禁、更生中ですね」

だろうな。
技をアレンジしてコピーする能力は、かなり有用で強力だが仕方がないな。
ていうか、技をデーター化するのに時間がかかるがな。

「四人目がモンモン。モンティースマ」

モンモンだと?
何だ、モンモンなんて間抜けな入れ墨のような名前の六賢者は。
召喚する予定はないが、聞くだけ聞こう。

「モンモンの能力を説明する前に、一つだけ。ブラックホールを知ってますか?」

ブラックホールだと。
人間界と魔界、神界を含む地球という天体がある宇宙(そと)にあるあれだろう。
高密度かつ大質量で、強い重力を持つあのブラックホールだろう。
光さえ脱出できず、全てを吸い込むっていうあれ。

「知ってるわ。超重力の天体よね。宇宙創生の謎が隠されている天体よね?」

メルが言う。
アフはうなずきつつ答える。
まるでヤツの能力は我々のそれを凌駕していると。

「すなわちモンモンは、右手にそのブラックホールを持っているのです」

持ってるだと。

「モンモンの右手は全てを吸い込みます。ヤツの前では何もかも無力なのですよ」

アフが空を仰ぎつつ、ため息を吐き言う。
規格外の強さがそこにあると。
メルが驚く。

アフほどの手練れを唸らせるモンモンの能力に戦慄を覚えちまったんだろう。

「何もかもが無力って。それがブラックホールの能力なの?」

「ブラックホールですか……黒穴ですよ。モンモンのそれは黒穴という名前です」

黒穴か。

「黒穴の前では私の終の型、凪ですらも無力なんです」

自信家であるアフですら認める黒穴の実力。
何か、とんでもないヤツだな。
そのモンモンは。

「後は行方不明の一名ともう一人いるのですが、その一人というのが……」

アフが言い淀んだ。
何か言いにくい事があるのか口ごもっている。
アフの事情を察したのかメルが、困っているアフに言葉をかける。

「分かったわ。最後の一人は召喚しない方がいいのね?」

「はい。名前を口にするだけでも憚られます」

何だよ。
その最後の一人はよ。
行方不明の一人といい、その名前を口にするだけでも憚られる一人って。

やっぱり、それは何かのフラグじゃねえのか?

気になって気になって夜も眠れねえぜ。
責任とれよ。二人とも。
分かったか。

っていうかよ……。

やたらと云々かんぬん説明が長くて長くて眠くなってきたぜ。
ふあ~…、眠っ。今日の夜はぐっすり快眠だな。
って、おいっ。

「魔王。ほら、ラッキーでしょ?」

メルがウインクをする。
だから俺様は六賢者を召喚する気はさらさらねえって言ってるだろうが。
もうイケメンのアフと話すのはうんざりなんだよ。

ブサメンの嘆きじゃないぞ。決してな。

「私達にも心強い仲間ができたって事よ。しかも冥府の六賢者っていう強者がね」

仲間だと?
俺様は魔王。孤高が似合う男だ。
そんな勇者達みたいに六賢者と馴れ合うのは性に合わんぜよ。

「はい。いつでも呼び出して下さいね。メルさん」

何故、俺様の名前を呼ばん。
やっぱり、あれか。アフ、お前も美少女メルを狙っている輩の一人なのか。
気にくわん。

「気にくわんぞ。イケメン野郎がッ。死ねッ! 消えろッ!」

と辺りに唾を飛ばしつつ、叫んだ。

~ レポート四十三、六賢者という仲間、了。

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【 メルレポート、~ レポート四十二、六つの魔神器 】

「ディドー。お前って笑い出すと止まんねえのな」

マンサを無事に倒し、自分達の策が上手くいってまた大笑いしだしたディドー。
俺様にはまったく関係ないが、笑われたマンサが哀れだな。
そんなに大笑いするとは。

ま、ブタピックしかり、マンサしかり、裏切り者の末路はそんなものだが。

「あははは。失敬。失敬。みっともない所を見せてしまったな」

ディドーが、笑いつつ言う。
だから、そういう台詞は笑いが収ってから言って欲しいな。
だろ。メル?

「ディドーは笑いに弱いからね。仕方がないわ」

そんなもんなのか。
アフも慣れたもので、ディドーが笑っていてもぴくりとも動じない。
テキパキと倒れたマンサを牢獄へと運んでいく。

もちろんヤツのパソコンは押収され、パソコンをなくしたマンサは無力だろう。

「さて、裏切り者の始末。見事だった。汝らに感謝しようぞ」

ディドーが言う。
少々、笑いが混じっているが許そう。
で、俺様達の目的だった魔神器の修理はどうなってる?

「魔神器の修理。よろしく」

俺様が言おうと思った事をメルが先に言う。

「そそ。魔神器だ。魔神器。ちゃんと直せよ。働いたんだからよ」

慌てて言葉を添える。
メルにだけ美味しい所をもっていかれたら悲しいからな。
データーの改ざんは大殊勲だったが、実質上、働いたのは俺様だからな。

「そう言うと思ったわ。もう直してある」

えっ。

「何じゃ、その驚いた顔は。もう直してある。聞こえなかったか?」

直したって。
何にもやってないじゃんか。
破壊した時は、あんなに苦労したのに直すのは一瞬ってか?
普通は、創ったり、直したりするのがめっちゃ苦労して、壊すのは一瞬だろうが。

何で反対なんだよ。

「実はな。魔神器とは我らの思念体に過ぎんのだ。実体はないのだ」

思念体だと?

「そうか。魔神器は冥府の六賢者達の思念体だったのね」

「そうじゃ。我らの思念体じゃ。六賢者個々に一つの魔神器を管理しておる」

六賢者個々に一つの魔神器を管理しているだと?

メルさん。
ちょっと気になったんだけど。
原初の魔王は、三つの魔神器に宿る魔神に力を封印されているんだよな。
でも六賢者は六賢者というだけあって六人いるんじゃねえの?

仮に六賢者が六人いるとすればさ……。魔神器も六個あるって事だよね? 違う?

「ディドー。魔神器は六個あるのか?」

「うむ。魔王。汝の疑問もっともだ。魔神器は六個ある」

そうなの?

「しかし裏切り者のマンサの分、そして行方不明の一人の分は機能しておらん」

何でだよ。マンサが裏切ったは今だろ?

「マンサはたった今、裏切ったんだぞ。何でだよ?」

「マンサが裏切っておる事は前々から承知しておった。ゆえにな」

そっか。
マンサの方も薄々、ディドーに自分の裏切りがバレてるって思ってた訳だな。
だから、マンサは、このタイミングで強硬手段に出た訳だ。
俺様を抹殺するというアホな手段にな。

俺様が死ねば全てが解決か。

アホだな。
俺様は魔界の支配者だった元魔王であり、何より、このお話の主人公だ。
マンサごときのモブに殺せる訳がなかろうが。

というか、行方不明の一人ってなんなんだよ。……フラグか?

「行方不明の一人って、何だよ?」

「うむ。妾はその消息を掴めておらん。が、マンサが何か気づいていたようだ」

やっぱりフラグだな。

うむむむ。
残り四人で、原初の魔王が一つ、封印された三つの合計四つって訳か。
何だか誤魔化された気分だが、納得するしかなかろう。

「これからマンサを拷問にかけ、吐かせる」

ディドー、顔が笑ってる。
お前も俺様達と一緒の人種で拷問が面白くてしょうがない質か。
冥府の六賢者の長と言っても結局、魔人なんだしな。

イッツ・拷問・ターイムってか?

「うん。納得したわ」

メルが言う。
だから何に納得したんだよ。
ディドーの言葉は、どこか誤魔化し臭く、強引に納得させようとしているんだぜ。

「アフがあんなに都合良く現われた事が疑問だったのよ」

うん?

「私達が魔神器を破壊したら、すぐ現われたものね。そういう事だったの」

アフが、ふふふっと大人びた微笑みを浮かべる。
くそ。悔しいが絵になる男だ。
アフのくそは。

アフ、その黒く艶のある長髪を余裕の態度で、かき上げる仕草はやめろっての。

「貴女達が破壊した魔神器は私が管理する魔神器だったんですよ」

「だからね。破壊した魔神器は君の思念体だった訳ね」

「ご名答。そうですよ」

メル、こんなくそ野郎に惚れるなよ。
お前には俺様がいる。
頼むぜ。

「だから直しておると言ったじゃろ。アフの思い次第で直るのじゃ」

ああ。分かったよ。分かったって。
もうこんな所に用はねえ。とっとと魔界に戻るぞ。
メル。

「魔界に帰るぞ。メル」

「魔王。君、何、怒ってるのよ。せっかくいい話が聞けたのに」

だから、これ以上もうアフに関わるな。
お前には俺様がいるのだ。
分かったか。

「うむ。帰るのか。よかろう。アフに送らせる。汝らの旅の無事を祈っておるぞ」

アフはダメ。あいつは絵になる男だから危険なの。

「それと帰る前に一言、二言、添えておこうか。聞いておいて損はないぞ」

うるさい。
もうこれ以上、お前らに関わるのは俺様の本能が赤信号をだしているんだからな。
ディドー、お前はお笑い番組でも見て笑い死にしてろっての。

「我らは原初の魔王交代を目論んでおる」

だから聞きたくねえよ。

「マンサは保守だった。今の原初の魔王派だな。行方不明の一人は不明だがな」

「うるせえよ。だったら俺様はタカ派だ。このチンカス野郎」

ディドーは女です。
以上。

「魔王。君、タカ派の意味分かってる?」

メルが諫める。
ぶっちゃけ俺様はタカ派の意味を分かってはいない。
いないが、何だか反抗しないと気が済まなくて、ディドーに噛みついたのだ。

「ま、よかろう。ゆえに妾は汝らを冥府に招待し、器を測ったのだ」

「そうね。大体、分かったわ」

メルがうなずく。
だから余計な事を話してないで、とっとと魔界に帰るぞ。
原初の魔王が俺様を呼んでいるのだッ!

「そして妾は汝の成長を助け、願った訳だ。分かったな。最後まで初志貫徹せよ」

うるさい。
お前に言われなくても、そうするつもりだぜ。
俺様は原初の魔王の封印を解き世界を破滅させ、その後、原初の魔王になる。

その為、こんなに苦労して、今まで頑張ってきたんだからな。

「それからこれは褒美じゃ」

褒美?

「汝らが、我らの力を必要だと感じた時……」

お前らの力なんて必要としねえよ。
特にアフなんてな。
死ね。

「名前を叫べ。さすれば召喚という形で我らを使役できるようしておいたぞ」

召喚だと?
再び、アフが俺様達の前に現われるってか。
死ぬのは嫌だけど、死んでもアフなんて呼ぶもんか。本当に死ね。

俺様はメルがアフに盗られるんじゃないかと焦っていた。

……しかし当のアフは微笑んでいる。

ますます気にくわねえ。
アフのその大人ぶった余裕が異様に鼻につく。
帰るぞ。

俺様達は魔界に帰るんだ。俺様が魔王だった頃のあの懐かしい魔界へ。

「準備はできましたか? 貴方方を魔界までご案内します」

とアフがにこっと微笑んだ。
その包み込むような大人の余裕たっぷりに。
くそがッ。

と心の中で叫んだ。

~ レポート四十二、六つの魔神器、了。

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【 メルレポート、~ レポート四十一、雪、吹雪、通り雨 】

「マンサ。降参するなら今の内だぞ。俺様の雪の斑月はパワーアップしたのだ」

無駄と分かっていても一応、降参を勧める。
マンサが嫌な笑いを浮かべる。
無駄だと。

「笑止。雪の斑月など半年以上前にアレンジ済みの技が通用すると?」

だろうな。
アフの三の型、抜刀術、五月雨がアレンジされているんだ。
もう使い古された感のある雪の斑月などな。

いくらアホな俺様でも分かるぜ。

「本当にいいんだな?」

ま、無駄だろう。

「くどい。お前のレベルアップした基礎戦闘能力など計算の内に過ぎんのだ」

ヤツの半年間の成果か。
やっぱり雪の斑月じゃ、勝てないんじゃないのか。
マンサは俺様の基礎戦闘能力すら計算に入れてアレンジしているっぽいぞ。

その計算を上回るだけのレベルアップをしたつもりではいるが……。

不安になり、メルを見る。
彼女の頭のテンコツにある癖毛は立っていた。
やっぱり、俺様がディドーと修業をして得た基礎戦闘能力に期待しているのか?

確かに基礎を嫌っというほど叩き込まれて数段階レベルアップした。

が、それだけでアレンジを破れるのか?

考えても無駄か。
今は雪の斑月に集中し、マンサを倒す事だけ考えよう。
それにディドーも言っていたしな。

努力は人を強くするものじゃぞ。それを証明してやろうと力強くな。

信じるしかねえな。
二人の一流の策士が立てた策略を。そしてレベルアップした俺様自身をな。
俺様は目を閉じて集中し、雪の斑月の構えへと入った。

上段に構え、太刀筋で満月を描くように回す。
俺様の放つオーラが円月状にとどまり、蒼白い月が虚空に浮かぶ。
準備は万端だ。

「マンサ、いくぜッ?」

マンサのカエルも大口を開けている。

光が集束している。

つまりヤツの雪の斑月のアレンジバージョンが発動されるって事だろう。
今更、あれこれ考えても無駄なのは分かっている。
が、どうしても……。

俺様はヤツの計算を上回るだけのレベルアップができたのかとな。

雪の斑月を放つ為の準備が終わった。

心を落ち着け、雪の斑月を叩き込まんと狙いを定める。
効かないまでも少しはダメージを。
頼むぜ。死斑剣。

「まいる。秘の太刀、雪の斑月ッ!」

円状にとどまったオーラの中心を抜け、俺様の剣戟がマンサへと襲いかかる。
マンサがパソコンに何かを入力し、エンターキーを押す。
ヤツの方も準備が整ったようだ。

「秘技アレンジ、秘の太刀、吹雪の斑月ッ!」

吹雪ときたか。
雪よりも吹雪の方がレベルが上だな。
でも技は、その技自体よりも使役する魔人の戦闘能力が大きく作用する。

つまり技自体で負けていても、心技体の体で勝てばいいわけだ。

心技体の体とは基礎戦闘能力。
この三年間、ディドーにみっちりと仕込まれた能力。
マンサは織り込み済みと言っていたが、それ以上にレベルアップしていると思う。

やってやる。

計算を陵駕してやるぜ。

俺様の突きとマンサの光の突きの先が、鈍い音を立ててぶつかる。
技の威力は拮抗。どちらも負けていない。
肝心の心技体の体は……。

俺様は心配になり、不安そうにメルを見つめる。

「マンサ。甘いわね」

怪しい目つきで、ぼそっと言う。
メルよ。やっぱり基礎戦闘能力では俺様に軍配があがるってのか?
あれだけ苦労してレベルアップした能力だからな。

柄をギュッと握る。

力で押しのけ、一気に突き抜け、雪の斑月を叩き込んでやるぜ。

メルも信じれてくれた俺様の心技体の体でな。
ディドーに仕込まれた体をな。
いくぜ?

雪の斑月、最強フルパワーモードッ!

「くすっ。マンサ。君のパソコンのデーター、ちょこっと弄らせてもらったわ」

えっ?

「君の吹雪の斑月、通り雨の斑月になってるわよ。うふふふ」

通り雨の斑月だと?
何だ、そのえらく弱そうな斑月は。
というか、マンサのパソコンのデーターを弄っただと?

「もっとも雪の斑月以外は、弄れそうなデーターはなかったけどね」

おい。
メル。お前は俺様の体に賭けてくれたんじゃなかったのか?
三年間、苦労して手に入れた体にさ。

違うの? ねえ。違うの。

「魔王。残念ね。レベルアップした戦闘能力は完璧に計算され尽くされていたわ」

そうなの。

「だから技のデーターを弄らせてもらったの」

やっぱり、邪悪すぎるぜ。お前。
他人のパソコンを弄ってデーターを改ざんするなんて邪悪すぎるぞ。
でも、それがメルか。

疑似死斑剣が本物の死斑剣によって砕かれる。

そして剣戟が見事にマンサの肩を捉える。
吹雪の斑月に勝ったのだ。
いや。

通り雨の斑月か。

その後、オーラが傷口を襲い、辺りにマンサの血が飛散する。
血は、氷結し雪へと変わる。
雪が舞う。

真っ赤な雪が辺りにひらひらと舞い落ちる。

「そういう事じゃ。メルは抜かりなく自分の仕事をこなしたんじゃな」

ディドーが崩れ落ちるマンサに告げる。

『言われなくても分かってるわよ。こっちはこっちで、ちゃんとやっておいたわ』

『汝程の魔人であれば抜かりはなかろう。何せ妾に勝ったのだからな』

そうか。
なるほど。さっきの二人の会話の意味が分かったぞ。
データーを改ざんしたかって事だな。

しかし、メルがデーターを改ざんできたのが雪の斑月だけだった。

だからか。
だから新技じゃなくて、敢えて雪の斑月だった訳だ。
データーを過信するマンサのデーターを改ざんして倒す為に雪の斑月だったと。

改ざんできたのは雪の斑月だけだからな。

「あははは。しかもな……」

「そうそう」

メルとディドーが言う。
何だ、お前ら、まだ何かあるっていうのか?
何だよ?

「妾は努力は人を強くするものじゃぞ。それを証明してやろうと言ったじゃろ?」

「何だよ。格好いい台詞じゃねえか。それがどうした。何かあるのか」

きょとんとして、ディドーを見つめる。
メルはころころ笑っている。
何よ。君ら。

邪悪の粋を極めている笑い顔だな。二人ともさ。

「あれはな。基礎戦闘能力に何かあると誤解させる為に言ったのじゃ」

マジか。
確かにあの台詞はストレートに基礎戦闘能力が計算を上回ったって思わせるわな。
あんな細かい所まで二人の策略の網は拡がっていた訳か。

「あははは。ディドーも役者よのう」

うむ。
何てあくどいコンビなんだ。
この二人にかかれば神だって裸足で逃げ出すぜ。
魔王である俺様の口から神って言うのもまた何だが、そう思っちまうぜ。

「ふう。お見事。終わったようですね」

アフが言う。
そそ。余談だが、アフの三の型、抜刀術、五月雨がアレンジに破れたのは……。
データーを改ざんできなかったからなんだろう。

雪の斑月以外は、弄れそうなデーターはなかったと言っていたしな。

でも無事にマンサを倒せて良かったぜ。
メルのデーター改ざんがなければ、アフの二の舞になっていた。
さすがはメルだな。

「ディドー様。倒れたマンサは牢獄に監禁しておきます」

アフが恭しく言う。

「うむ。そうしてくれ。任せた」

とディドーが笑いをこらえられないと、大笑いしながらアフに言った。

~ レポート四十一、雪、吹雪、通り雨、了。

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将来、月に移住したいと思う今日この頃。現実的には一歩、一歩、着実に。基本を大事に。

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