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では、▼以下より、私の世界をお楽しみ下さい。
     

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【 キュートな幽霊、第六話、僕と桜の花びら 】

桜が舞っている。
春の強い風に翻弄されるように桜の花びらが舞っていたのだ。
僕は、桜吹雪のトンネルを抜けながら考える。

そう。

今日、例によってトーコの除霊にきた。

いつもの時間。
そして、いつも場所に。
決まった時間。決まった場所。しかし、そこにはトーコだけがいなかった。
僕はトーコを傷つけてしまったのだ。

たった一人立ち尽くす僕の頬を桜の花びらが撫でる。

「トーコ……」

今は、あの温かい笑顔は、どこにもなかった。

僕の心の中の譲れない宝……。

僕は、もうなにも考えられず、ただ一人、春の晴れた空を見上げた。
このまま、もう幽霊であるトーコと二度と会えないのか。
そして、謝る事ができないのかと。

しかし、それも、また答えの出ない問いであった。

僕は帰ろうとした。
そう。彼女がいない、この場所には用がなかったのだから。
僕の瞳には、後悔という一粒の大きな涙があった。

「宗春?」

トーコの声が聞こえる。
いや、これは、きっと僕の願望が生んだ幻聴だろう。
なぜなら、僕は彼女の心の中心に、決して抜けないトゲを刺してしまったのだから。

「……うん。今日も来てくれたんだね?」

違う。
僕は声のした方を凝視する。
そこには、やや脱力したトーコが、あの温かい笑顔で立っていた。

「もう来てくれないと思ってた。ありがとう。宗春」

彼女も、やっぱり気にしていたんだ。
僕が傷つけてしまったにも関わらず、自分が悪かったのかもしれないと。
僕は微笑んだ。

「トーコ。僕の方こそ、本当に悪かったよ」

「うん。ありがとう。そして、私の方こそ、ごめんね。宗春」

僕と彼女は、お互い顔を見合わせ、そして笑い合った。
よかったと。これで、いつも通りだと。
その日常がありがたかった。

桜の花びらは、そんな僕らを祝福するように一際、華やかに舞い上がった。

「じゃ……」

「うん。私を除霊してくれるんだよね。よろしくね。宗春」

「うん。トーコ。じゃ、今日の除霊を始めようか」

僕の顔は紅潮していた。
そう。自分の気持ちをトーコに告白してしまった時のように恥ずかしくなったのだ。
それだけ、彼女が、ここで僕の除霊を待っていてくれた事が嬉しかった。
僕には、彼女が幽霊であろうと彼女がすべてだった。

「!」

しかし、唐突に!?
その平和な空気を切り裂くように、動物霊が現われた。
そこには、あの可愛い動物霊は、どこにもいなくて、凶悪な悪霊がいた。

そう。

あの動物霊が本性を顕わしたのだ。

「む、宗春!?」

動物霊が、とても大きな悪霊となり、そしてトーコを喰らおうとしていた。
大きな口を開けて、牙をむき出しに彼女に襲いかかったのだ。
口からよだれが流れ出ている。
飢えているようだ。

僕は咄嗟に新・即・理の体勢に入る。

「キャー! ダメだわ。新・即・理は間に合わない!?」

彼女が観念する。
それでも、僕は彼女を守りたくて。
そして、僕の心の中の譲れない宝を守りたくて。

「真!」

僕は右手を体の前にもっていく。
そして、真っ直ぐに伸ばしきった右腕から開いた右手のひらへと気をおくる。
僕の右手の前に、とても大きな輝く光球が、できる。

どうか。

どうか、間に合ってくれと。

「即!」

僕は、この即から先が、どうしてもできなかった。
しかし、この時ばかりは、必死で。
どうしても。

どうしても、できないと僕の存在自体が、危ういものになると必死だった。

そして、光球は僕の拳を受けて、動物霊へと向かっていった。

そう。
どうしてもできなかった即が成功したのだ!?
この時、僕は僕でも信じられない位、集中して新・即・理を行使していたのだ。

「理!」

僕は右拳を握り、ちょうどアッパーのような形をとる。
今まで、ここまできた事がなかったので、生まれて初めて理の体勢に入ったのだ。
大丈夫か。成功しているか?

のち、動物霊に当たり、爆ぜる光球。

「グルォォォ!」

「理ッ!」

僕は失敗したのではと思い、更に力を込めて、理の体勢を維持する。
しかし、真・即・理は、無事に成功していた。
動物霊は除霊された。

「ハァ、ハァ、ハァ、フゥ、……大丈夫か? トーコ?」

僕は、僕の全力以上の力もってして、今の新・即・理を行使していた。
トーコを守る為に。そして、心の中の宝を守る為に。
僕はその場に跪いた。

「ハァ、ハァ、ハァ、マジでか?」

僕は、それ以上、疲れて言葉を紡ぐ事はできないでいた。
それほどまでに全力以上の力だったのだ。
僕の頬に彼女の手が伸びる。
優しく。

「宗春?」

その手をなぞって、最後に僕は彼女の顔をのぞき込む。
そこには、相変わらず、温かい笑顔があって、僕は一気に安心した。
守りきったと。

「宗春。できたじゃない。新・即・理」

「……?」

僕は、トーコの言いたい事が分からなかった。
彼女は今、自分の身が危なかったのに、それには触れず、僕の事を言っている。
彼女が、幽霊のくせに自覚なしに明るいのは、いつも事だったが。

それでも今、ピンチだった。

なんで、今、新・即・理の事を言うんだ。

僕は、不思議な顔をして、トーコの顔を一直線に見た。
そこには、あの動物霊がいて……。
えっ!?

「私が変身して見せたでしょ。服を変えたり、年齢を変えたりさ」

「どういう事? 意味がいまいち分からないんだけど」

「動物霊に、チャッピーに頼んだのよ」

「頼んだ? 動物霊に?」

そこまで言われても、僕にはいまいちで。
でも、よく考えると、確かに幽霊は変身できるんだった。
という事は、動物霊も変身して凶悪な怪物になる事もできるって事か?

「ていうか、チャッピーって呼びなさい。宗春、君の恩人だよ」

チャッピー。
そのチャッピーとやらが、敢えて怪物に変身して、僕をその気にさせたって事?
今までのやり取りは、全部、お芝居だったの?
でも、そうしたら……。

「その通り。宗春の新・即・理は、まだ完成していないのですぅ!」

そうなんだ。
新・即・理をまともに喰らえば、霊は成仏する。
でも、チャッピーは、いまだ可愛い動物霊として、彼女の周りをただよっている。

「今回は、もっとがんばりま賞だね」

「……騙したな」

「うん? なんですか? 宗春くん。悔しいの?」

「ちくしょう。今度は絶対に新・即・理を完全に完成させて二人とも成仏させる」

相変わらず、トーコはトーコであり、僕は僕でしかなかった。

「だから、世の中はなるようにしかならないのよ。それでいいじゃない」

トーコが微笑み言った。

桜の花びらが風に翻弄され舞い上がった。
それは、まるで僕自身のように風に翻弄され、舞い上がったのだ。
トーコという風に翻弄され。

トーコは天真爛漫に微笑み、僕を見つめていた。

舞う桜。
翻弄されてる僕。
しかし、僕は、それでいいと思った。

なぜなら、僕の心の中にある決して譲れない宝は、トーコの笑顔だったのだから。

僕の瞳から先ほどとは違う、温かく後悔のない涙が零れ落ちた。
イタズラっぽい彼女の笑顔を守り抜いたという涙が。
僕は、春の空を見上げ、彼女を想った。

≪トーコ≫

あの日を懐古して。
そう。僕の心の中の譲れない宝が決まった日を。
トーコが死んでしまった、あの日を。

≪あの時、トーコが死んだ日。僕はトーコの笑顔をぐちゃぐちゃにしてしまった≫

そして、新・即・理の体勢に入る。
今度こそ、トーコとチャッピーを除霊する為に。
僕は霊能者だから。

≪だから、あの日、僕は君の笑顔だけは守ろうと、心に誓ったんだ≫

そして、僕は彼女らに告げる。
力強い声で。

決して、零した涙を彼女らに悟られないようにと。

「トーコ。チャッピー! 覚悟!?」

≪……でも、いいんだね。これで。君の笑顔を見ていると、そう思うよ≫

と。
僕は、僕の新・即・理は、一体、いつ完成するのだろうと思った。
いつまでも、完成しないといいなと思った。

やっぱり霊能者失格だね。

そう思った。

第六話、僕と桜の花びら、了。

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【 悪魔ちゃんと天使くん、~ その四十三、勝負師というもの 】

「ほい。嬢ちゃんの負けだ。さて払ってもらおうか」

「むう。余の負けか……」

涅槃が鈴音と友達になったのはいい。
いいが、この鈴音という少女、なにを考えているのか。
無類のギャンブル好きなのか、行く先々で、ギャンブルをしまくった。

いや。

ギャンブルに興じるのはいい。

いいが。
先ほど偽ロキとの百連勝は、どこにいったのか。
負けまくって、偽ロキから巻き上げたカネをすべてスってしまった。

「涅槃よ」

「な、なによ。鈴音」

涅槃は警戒した。
そう。彼女は、もう二度とギャンブルなどしたくはなかったのだから。
鈴音が負けるのはいい。だが自分はギャンブルをしない。
彼女は、そう考えていたのだ。

「夜の国でギャンブルを楽しまないのは損じゃぞ」

「鈴音、あんた、さっきから、ずっと負けてばっかりじゃない。楽しいの?」

「フフフッ」

「なに? その余裕」

「余は待っておるのじゃ。その時をな」

「鈴音、あんた不思議な子だけど、言う事もまた不思議ね。なにを考えているの?」

「フフフッ。余の考える事は誰にも理解できぬ。すまぬな」

涅槃は呆れ果てたと両手を挙げる。
対して鈴音は、なにかを企むようにほくそ笑む。
そして。

「さて、次はポーカーでもやろうかのう」

「鈴音。ギャンブル、まだやるの。持ち金あるの。私は持ってないわよ」

「知っておる」

鈴音は、涅槃に、そう言い残すとポーカーの卓へと向かった。
涅槃は促されるよう、彼女の後ろを付いていく。
ポーカーの卓には天使がいた。

いかにも、百戦錬磨な手練れた天使が。

「お客さま。このポーカーを始める前に一つだけ、約束事がございます」

この天使は、鈴音が偽ロキに百連勝したのを見ていたのだろう。
完全に鈴音を沈める為に布石を打ち始めた。
スキのない相手だ。

「このポーカーの卓では普段はチップで、勝負を致します」

「じゃな」

「が、お客さまに限って、現金で精算させて頂いてもよろしいでしょうか」

どういう意味だろう。
言葉通りに意味を考えれば現金を張って勝負するという事か。
しかし、それがどうしたというのだろう。

むしろ逆に鈴音が、張る現金がなければ勝負は成り立たないという事になる。

そして鈴音は負けまくった。
ゆえに今、張るだけの現金は持ち合わせていないような気がする。
いや、ポーカーをやろうと、ここにきたのだ。

少しは持っているのか。

どちらにしろ。
チップで張る場合となにが違うのだろうか。
この天使の思惑は、一体、どこにあるのだろうかと涅槃は考えた。

「もちろん張り金がない場合、コールはできません」

そうか。
コールができない。
という事は、ドロップするしかないのか。

ポーカーでコールと言えば、勝負続行を意味する。ドロップとは勝負を降りる事。

つまりコールができなければ無条件でディーラーの勝ちを意味する。
しかし、それでも天使の思惑がまったく分からない。
なにを考えているんだろうと思った。

「お客さまもご存じと思われますが、この夜の国では命さえも現金になります」

「ホホホッ。知っておる。通常ならば、それをチップに替えるのじゃろう」

「そうでございます」

分かった。
手練れの天使のi言いたい事が。
そうなのだ。この夜の国では命さえ張り金となる。

しかし、そう簡単に命を張らないよう、チップに替えるという決断があるのだ。

チップに替える場合。
そこで、一つの決断を迫られるのだ。
自分自身の命が、軽いチップに替わる事に空しさを感じさせるわけだ。

そして、思いとどまらせる。

しかし張り金が現金であれば、その手順を踏まない事となる。
もちろん先に命の換金を済ませれば、それすらも気づかぬまま命を張ってしまう。
こんな幼い少女なら余計に。

鈴音は、手持ちの現金がゼロになるまで勝負をしてしまうだろう。

「よろしいのですか? 負ければ死もあり得ますよ」

天使の目の端が、鋭く光る。
ディーラーの天使は偽ロキとの勝負を見て、彼女を完全看破しようと考えたのだ。
さすがに夜の国で、ディーラーをしているだけはある。

彼は、さながらロキのようだった。

涅槃は身震いを覚える。
鈴音は、生死を賭けたギャンブルに挑もうとしているのだ。
涅槃は、もちろん鈴音を止めるつもりでいた。

「ホホホッ。負けはせんよ」

「では、先に命の換金を済ませてから、今一度、この卓に来て頂けますか?」

やはり。
ディーラーの天使は、鈴音の命を奪うつもりでいるのだ。
涅槃は、鈴音の行く先に立ちふさがった。

「鈴音。あんたね。軽く命を賭けるなんてしないの。止めておきなさい」

「ほう。主は余のする事が気に入らぬと申すのか」

「違うわよ」

「では、なんじゃ。余は勝つ」

「そんなんじゃないけど、友達として、命を賭けるのは止めて欲しいの。分かって」

「ホホホッ。そんな事で余が止まると思うか。無駄じゃ」

そう言い残すと命の換金にいってしまった。
残された涅槃が次に考えたのは、ディーラーの天使の良心に語りかける事だった。
あんな幼い少女の命を奪っても、あんたの心は痛まないのかと。

「あんたね」

「なんでございましょう?」

「あんな幼い子の命を奪っても心が痛まないの?」

「ほう。これは異な事を仰りますね」

「異な事?」

「はい。ああ見えて、あのお方は、かなりのギャンブラーとお見受けしております」

「さっきから負けてばっかりなのよ。次も負けるわ」

「そう見えるのは、あなたが勝負師ではないからでございます」

「勝負師じゅないからなんなのよ」

「我々は勝負の中で生きております。勝負師特有の勘があるのでございます」

「その勘がなんなのよ」

「そして、勝負師は誰でも上のステージに上がりたいものでございます」

涅槃はディーラーの天使の言う事が分からなかった。
勝負に生きる人間は、みんな、命の価値を分かっていないのかと誤解した。
しかしディーラーの天使は続ける。

「次のステージに上がる為に必要なものは、なんだと思います?」

「知らないわよ。そんなの。勝負師の事なんて」

「至極単純な法則でございますよ」

「なんなのよ?」

「強い敵を倒す事でございます。どうです。単純明快な理論でございましょう」

「だからって、命を賭けるまではいきすぎでしょ」

「フッ。勝負師は誰が一番強いのか。それが命以上の価値があるのでございますよ」

「だからって……」

勝負師は命を賭けてまで、強い敵を倒す必要があるのか。
涅槃には、まったく理解できないでいた。
そして鈴音が帰ってきた。

「お客さま。では、わたくしと命を賭した最高の勝負を致しましょう」

「うむ。そちも命を賭けるのじゃな」

「もちろんでございます」

「うむ」

「わたくしも命を賭ける。それが勝負師の礼儀というものでございますからね」

「よかろう」

そして、再び、命を賭けたギャンブルが始まった。

~ その四十三、勝負師というもの、了。

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【 コロシアイ、~ 十四の巻、対、邑上勇也 】

俺の名を武藤正(むとう ただし)という。

主催者サイドの人間。
すなわち、志願してこの殺し合いのゲームに参加した一人だ。
そして、俺はある組織に所属している。

そう。

この悪趣味で、くそったれなゲームをぶっ壊そうという組織に所属していたのだ。

実は、俺たちが殺し合いを繰り広げている、この世界は電脳世界なのだ。
コンピューターが作り上げた仮想空間なのだ。
バーチャルリアリティだな。

実のところ、我々は意識だけが、仮想空間に存在しているのだ。

ゆえに死ぬ事はない。

しかし死に至るまでの苦しみは、きちんと再現されている。
もちろん死という臨界点を超える事は人間にとって、大きな負荷となる。
下手をすれば精神が壊れる。

言い換えれば、この世界で死ぬ事は実際には死にはしないが、死んだも同然なのだ。

再起不能という事だ。
そして、今、信じられない事を聞いてしまった。
そう。

我らが同胞、石崎裕一郎くんが、主催者サイドによって抹殺されたのだ。

もちろん石崎くんも、このゲームに志願して参加した一人だ。

そして、彼が排除された理由が。
石崎くんが主催者サイドにとって、危険な能力を有しているという事だった。
管理者から、なんでも一つ好きな能力を選べと言われていた。
ゆえ石崎くんの能力は同意の下に選んだ能力だ。

それを今さら、どうのこうの言うのは、契約不履行だと思われるのだが。

俺の表情が歪む。
石崎くんの苦しみを考えると心が痛んだのだ。
そういえば、彼が死ぬ、少し前、とても勇敢な子供と出会ったと通信があった。

その子は、この世界を、科学者が創った宇宙だと推理していたようだ。

当たらずも、遠からずだ。
なかなかな洞察力を持った子供だなと思った。
彼の方も仲間を作って、順調に、このゲームを壊す算段を進めているなと思った。

しかし。
そう思った矢先……。
石崎くんは、主催者サイドから除名の通知を受けた。

そのアナウンスが流れた瞬間、俺は自分の耳を疑い、なにかの間違いかと思った。

しかし時間が経つにつれ、それは真実だったのだと俺は痛感した。
そう。石崎くんからの定期連絡が途絶えてしまったのだ。
彼が消されたのは疑いようがなかった。

しかし、我々には強みがある。

そう。
この世界が電脳空間であり、バーチャルリアリティでしかない事を知っている。
つまり、死んでも、実際には生きている事を知っているのだ。

あとは精神力だけがキーとなる。

死ぬという臨界点を超えても、心が持てば、あるいは。

そうなのだ。
心が持てば、再び、この世界に戻ってこれるのだ。
いや、心が持っても、その苦しみを、再び背負う覚悟がなければ戻ってこれない。

背負うだけの覚悟がなければ次の死を耐える事はできないのだ。

たとえ生き残ったとしても……。
先ほどのように管理者の都合で殺されるケースも、往々にしてあり得るのだから。
そう。

再び、死という臨界点を超える苦しみを耐えるだけの精神力が必要なのだ。

しかしも、二回目は分かっている分、更に苦しいだろう。
それでもいいと思えなければ帰ってこれない。
果たして帰ってこられるだろうか。
石崎くんは……。

しかし主催者サイドのわがままと横暴ぶりは、今に始まった事じゃない。

それが分かっていて石崎くんも、俺も、ゲームに参加したのだ。
覚悟だって、きっちりと決まっている。

石崎くんだって、きっと。

だから今は他人の心配より、任務の方が優先される。
我らが、もっとも警戒する人間、邑上勇也を始末するのが、俺の仕事なのだから。

邑上勇也は、放っておくと、すべての参加者を殺しかねない。

更に我々にとって分が悪い事に彼の能力は、この世界では無敵に思えるのだ。

時が止められる。
相手のスキルを発動させない。
不死。

一見、無敵に思えるこれらの能力だが……。

邑上勇也の能力は、これらの能力を遙かに陵駕する能力なのだ。
しかも、主催者サイドも、彼が、殺戮マシーンだという事を知っているのだろう。
彼だけ特別枠になっている。

そう。

なにがあろうと彼が、管理者によって抹殺される事はない。

彼は、このくそったれなゲームを盛り上げるスパイスになると思われているのだ。
ゆえに組織は、対、邑上勇也用の切り札として、俺を送り込んだのだ。
俺は邑上勇也しか殺さない。

任務は、邑上勇也を殺す事なのだ。

もちろん、俺の能力は、対、邑上勇也だけに特化している。

そう。
邑上勇也を視界に入れただけで、彼を、この世界から排除できる。
すべての人間に、それを適用する事は、避けた。

なぜなら……。
たとえば、俺と石崎くんと出会った場合。
石崎くんを視界に入れてしまったら、はからずも彼を抹殺してしまう。

ゆえに邑上勇也限定で能力が発動されるようにした。

確かに、それでは主催者サイドに我々の組織の存在が露呈してしまう恐れがあった。
しかし邑上勇也さえ殺せば、すべては片がつくと管理者に申告したのだ。
そして能力を得た。

対、邑上勇也専用の能力を。

つまり管理者から事前に知らされた情報を上手く使って、誤魔化したのだ。
俺の偏った能力も、また殺し合いを盛り上げるスパイスだと。
邑上勇也の一人勝ちでは、面白くないだろうと。

趣味が悪い管理者は、それもまた一興と、俺を嬉々としてゲームに送り込んだのだ。

そうして、俺は、ここにいる。

このゲームに参加する俺たち組織の一員は全部で十人。
さしあたって、先ほど除名された石崎くんと俺をのぞくと、残り八人だ。
それぞれの任務がある。

石崎くんの任務は、一斉蜂起する為の仲間を集う事だった。

その任務は彼が戻ってこれば、彼が再開するだろう。
しかし一定期間、彼からの連絡が途絶えれば死んだという断定の下、行動する。
つまり九人の中の誰かが代行する。

さりとて、それは非常手段であり、まずは石崎くんの復帰が優先される。

なぜなら。
我らは一人一人、任務があり、それぞれに特化した能力を持っているのだから。
つまり、石崎くんは仲間を集う為の能力を有していたのだ。
俺が、対、邑上勇也の能力を持っているように。

石崎くん。絶対に帰ってこいよ。

そう思った。

~ 十四の巻、対、邑上勇也、了。

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【 愛羅武、魔王、其の十、フリチン、馬鹿ちん 】

……って、弱ぇ!

そう。
ルンルンは、攻撃しようと突っ込んだのだが、石につまずいて魂が抜けていた。
もはや弱いというより、本当に私を守る気があるのか。
いやはや、やはり、もののふだったね。

「ルンルン!」

魔王が激昂し咆吼する。
今、ペチャ同盟の盟友が倒された(?)のだ。
そして、事もあろうか、自分の嫁(※注、予定)を攻撃されそうなのだ。

彼が怒るのも至極当然だろう。

こうしている間にも。
一弓くんの口の前にできた真っ黒な光球は集束しつつ、どんどんでかくなっている。
もののふであるルンルンが、こうである以上、魔王に頼るしかない。
ていうか。

里美、逃げないんだね。

私と一緒にいると里美も攻撃に巻き込まれるよ。
もしかしたら里美は、私以上に肝が据わってるのかもしれない。
だって一弓くんは本気だ。

そして、意味の分からない禍々しい気が一弓くんの口の前で集束を繰り返してる。

それでも逃げない里美が、なんだか頼もしく思えた。
と……里美が、うつむき、ほくそ笑む。
フフフッと。

「我はフリチンなり!」

うほっ。
里美が、里美が、いきなり、意味の分からない事を言い出した。
なんで里美がフリチンなわけよ。意味が分からない。

「この娘の体はフリチンさまが頂いた」

そういう事か!
フリチンは、なんらかの力を使って、里美の体を乗っ取ったわけだ。
だから一弓くんの攻撃にも尻込みをしなかったんだね。

「魔王?」

「なんだ。フリチン」

「俺は、この娘の体を使って一弓を倒す」

「いや、俺が倒す。盟友がやられ、嫁もやられそうなんだ。男を魅せるぜ」

「邪魔だ。一弓を倒し、あの娘を手に入れる。苦手なんだろ?」

「確かに一弓は苦手だ。でもな。そうも言ってられない。俺だって男なんだぜ?」

フリチンは、格好いい事を言っている。
……いるが、体は里美なのだ。
寄生しているのだ。

だからダメージは、里美が全部、引き受けるわけで、卑劣だ。

しかも里美は私の親友なんだ。

私は、私の後ろに隠れている抜け殻になったフリチンの本体をこづいた。
そう。多分、それは里美を助ける事だと思った。
本体を倒せば……。

多分、里美に寄生しているフリチンも倒せると思ったのだ。

その私の思惑通りにフリチンは苦しみ始めた。
私は、どこから取り出したのか木槌を握りしめ、フリチンの本体を叩き続けたのだ。
叩く音が鳴り止まぬように。

「しょ、少女よ……」

「フリチンの馬鹿ちん。早く里美から抜け出して、早く本体に戻りなさいッ!」

「いやな。今、お前を助けようと、助けようと……」

「却下ッ!」

フリチンは右手を前になにかを掴むような格好になり、里美から抜けだし戻った。
それでよし。私の親友を巻き込むような事をしない。
第一、格好悪すぎるから。

「フッ。……ペチャガール。僕は倒れても倒れても何度でも立ち上がるよ」

もののふか。
あんた、弱すぎるから寝てなさい。
だって、こけただけで、瀕死の重傷になるんだから。

一弓くんを倒す、倒さない、以前の問題よ。

やっぱり、嫌だけど。
嫌だけど、ここは魔王を頼るしかない。
そうして、最後に残った怒れる魔王と一弓くんが対峙した。

「魔王ざぁまッ!」

一弓くんが、いまだに口の前で、真っ黒な光球に光を集束させつつ言った。
その瞳には涙が浮かんでいた。彼の恋は破れたのだろうか。
そう思われた。

「一弓、ここは一気に逝くぞッ!」

魔王レーザー、発動!
魔王の目から一筋のきらめく光の線が伸びる。
朝、轟くんのビーフをジュッと焼いた、例のあのレーザーだ。

一弓くんの真っ黒な光球を捉える。

「憤怒!」

レーザーが太くなる。
一弓くんの光球の前で、レーザーが溜まっていく。
そして、魔王のレーザーも集束し始め、光球と同じ大きさになっていく。

なんだか、アホ魔王が格好いいんだけど。

いや、騙されるな鮎菜。
魔王がいなければ、一弓くんだって魔界から来なかったわけだし。
すべての元凶は、魔王なのよ。忘れるな。私。

ファイト。私。

「壊!」

一弓くんの頭が後方に振られる。
同時に魔王の頭も後方に振られて、重厚な音と共に、どちらの光球も消え失せた。
そう。魔王が、なんとか、この場を落ち着けてくれたのだ。

「魔王ざぁまッ!」

一弓くんが、止めどもなく涙を零し声を絞り出す。
彼の恋は破れた。そして彼の全力は、魔王の前では無力だったのだ。
最後まで、乙女の中の乙女だな。
一弓くん。

「うむ。分かったか。一弓。俺の嫁(※注、予定)に決して手を出すな」

これで事件は一件落着のような気がした。
が、忘れていた事が。
そう。

普通人である里美は、この一件をどう見ていたのだろう。

さすがにもう隠し通せるわけもなく、ちゃんと事態を説明せねばならないだろうね。
大体、フリチンに体を乗っ取られたわけだし、彼女だって当事者だ。
私は里美に目配せをする。

「魔王……さま」

里美が放心しつつ、つぶやいている。
そうだよね。魔王なんて、この世界にはいないから、信じられないよね。
でも、いるんだよ。

「魔王さま。……私、惚れた!」

えっ!
フリチンが現われた時も、そうだったけど……。
里美、あんた惚れやすい性格なの?

あんたとは長い付き合いだけど、まったく気づかなかった。

でも、よりによって魔王に惚れるなんて怖い事があって頭のネジが一本飛んだかな。
確かに魔王の見てくれは、格好いいかもしれないし。
今回は格好良かった。

でも、地球を滅ぼそうとする魔王だよ?

「鮎菜。あんたには悪いけど、私は魔王さまに惚れたわ。本気よ!」

だから、一弓くんと一緒で、のしをつけて差し上げます。
悪くもなんともないし、むしろ持っていって。
私は魔王が嫌いなの。

「フッ。鮎菜よ。悪いな。俺は、どこに行ってもモテまくる。だが心はお前だけだ」

キモッ。
魔王、あんた、キモイから。
私には、心の中に想い出の彼がいて、あんたなんかお呼びじゃないの。

「フハハハ。敵はどこだ。フリチンさまのお出ましだッ!」

フリチンがわざとらしく、周りを見渡す。
そこには、すでに小さく震える小動物でしかない一弓くんがいただけだった。
フリチンはふんぞり返る。

「このフリチンさまに恐れをなしたな。一弓?」

フリチン。
あんたは、魔王以上にないから。
それからルンルン、あんたも、あれだけ引っ張ってアレだからね。

却下ッ!

ああ。本当にさ。
私の想い出の彼って、一体、どこにいるのよ。
彼は勇者で、いつか私を、このアホみたいな非日常から救ってくれるんだわ。

魔王や、その周辺のアホたちから。

早く、私を迎えにきてよ。
私の勇者さま。

「……フッ。僕は何度、倒れても立ち上がる。なにせもののふだからな」

と、ルンルンが言っていたが、私は素無視した。
早く現われて私の勇者さま。
最後にそう思った。

~ 其の十、フリチン、馬鹿ちん 、了。

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【 適材適所 】

僕ほどのデブは、まず、いないだろう。

それほどのデブだ。
確かに、僕はデブだという事にコンプレックスを感じている。
しかし食う事がなにより好きだなのだ。

カロリーなんて考えない。
僕は朝から晩まで、食って、食って、食いまくる。
今日も……。

朝食で焼き肉を食って、デザートにラーメンを食った。

もちろん三杯ずつ、おかわりをした。

それは太るわな。
自分でも分かっているのだが、それでも、食う事が止められないのだ。
どれだけ食っても太らない体が欲しいと思う。
僕でもデブは嫌だと思ってるんだ。

しかし、今日の昼食も冷やし中華を食って、デザートには……。

デブか。
もう、デブは宿命なのだとあきらめるしかないのか。
そう思った時、言われた一言。

「千年に一人の逸材だ。君、相撲取りにならないかね。君なら横綱も目指せるよ」

適材適所、了。

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【 信じるマン、第三十七話、打ち切り? 】

それにしても、ここ最近、しょっちゅう変身しているせいか忘れている事がある。
俺たち、信じるマンは変身すると、素っ裸になるのだ。
そして、アソコはフランスパンになる。

そう。
変態になるのだ。
そこのところを作者のヤツが忘れていると思うので一応、確認しておく。

そもそも俺たちも、その事実を忘れ、気軽に変身している。

ま、確かにヒーロー製作研究所の中で変身しているので、通報はされていない。

それが救いだ。
ただイエローとピンクは特殊で、イエローの場合、変身しても独楽になるだけだ。
アソコが怒張して、ふらふらとした独楽になる。

もちろん素っ裸設定は、ちゃんと彼にも生きていて、毛が抜ける。

ただし。
初めて変身した時に、頭のテンコツに一本だけ毛を残し、あとはすべて抜けた。
それ以降、彼には毛が生えていない。

不毛の大地となったのだ。

ゆえにイエローだけは素っ裸にならない。普段から毛のないネコなのである。
そして、更にもう一つの例外が、桃軍師ことピンクだ。
彼女は、なぜか変身しても変わらない。

元ピンクである媚び媚び魔法少女は、魔法少女に変身したのに。

桃軍師だけは、普段からずっと、軍師然とした格好なのだ。
そして、変身しても、なにも変わらない。
多分、大人の事情だろう。

うん。

十八禁がどうとか、そういった事情なんだろうと思う。

と、前置きが長くなったが、そうなのだ。
俺は、すっかり忘れていた。
変態になる事を。

「フッ。レッドよ。今の説明を一つだけ補足してもいいか」

「なんだよ。イエロー。補足って?」

「グリーンの事だ」

「?」

うぇっっ!!
グリーンのアソコ。マジで。
俺は、驚いて、思わず、素っ頓狂な声を出してしまった。

いや、だって、グリーンのアソコが、とんでもない事になっていたのだから。

そう。
作者よ。まだ引っ張るのかよ。その設定を。

「ふぉふぉふぉ。余は王なり」

そういうグリーンのアソコは確かにフランスパンだったのだが。
しかし、材質が、材質が……、プ、プ、プラチナッ!
もう嫌。

と、とにかく、俺たちは変身すると変態になる。

しかも、五人も揃うと圧巻だ。

更に特記したい事にレッド限定機能で、難しい事を考えていないともっこりする。
俺のたくましく、立派なフランスパンが。
血管が浮き上がりまくり。

そそ。
これは余談だが、ミン・ミン一派の方も素っ裸になり、アソコは鹿の角になる。
鹿の角の方が幾分かマシなような気がするが、本人たち談は……。
フランスパンでも、鹿の角でも変わらんとの事だ。

「アイヤー!」

「なんだよ。キム・キム?」

「マコっち。グリーンの加入で、資金面では、まったく不安は無くなったアル」

「だろうな。悪魔の所業。親のカネをくすねさせる作戦だろう?」

俺はキム・キムに吐き捨てるように言う。
それでも彼女は、その可愛い顔をまったく崩さず、続ける。
とても大事な事だと。

「このままでは信じるマンは死んでしまうアル」

「はぁい?」

キム・キムの突然の発言に驚く俺。
なんで俺たちが死ぬんだ。
普通に疑問。

「信じるマンが五人揃ったアル。私は戦隊ヒーローが作りたかったアル。ヨロシ?」

うん。
それは、分かった。
でも、それでなんで俺たちが死ぬという結論に達するのだ?

「そして、今、無事に五人揃ったアル」

そうだな。
俺たちは変態だが、間違いなく戦隊ヒーローだ。
だから、なんで、死ぬに繋がる?

「低脳さん。まだ分からないアルか? 存在意義がなくなったのヨ」

存在意義?
いや、待て。今までも、存在意義なんてあったのか?
この世に存在するだけで、害悪をまき散らすだけの存在ではなかったのか?
信じるマンというものは。

少なくともキム・キムは、お前は、そうだろう?

イエローにチラッと目配せをする。
イエローは、肩をすくめ、分からないといったジェスチャーをする。
イエローに分からない事が俺に分かるはずがないだろ。

うん。

分からん。以上。

とりあえず、もっこりフランスパンを抑える為に難しい本を読みあさった。
そして、ある程度の知識を得て、賢くなったつもりだ。
怪人27号は、超えたと思う。

思うが、イエローまで哲学チックにはなれなかった。

俺が難しい本を読んでいる間も、イエローは勉強を欠かさなかったのだ。
俺が成長しても、その分、イエローも成長していたのだ。
当然と言えば当然か。

「このままでは信じるマンは消滅するアル。ヨロシ」

「ま、俺は死にたいからいいけど……」

「ダメでちゅ!」

怪人27号が、口をはさむ。
怪人27ことブルーは、信じるマンを気に入っているから、余計に惜しいのだろう。
だけどね。俺は信じるマンで生きるんだったら死にたい。

「なんとかしないとダメでちゅ。作者はきっと……」

「そうアル。マコっち、第十五回、苦ローンの回を思い出すアル。再来アルよ」

十五回?
苦ローンの回だと。
確かに、あの話を書いた作者の心中は投げやりだったように思う。

「そうアル。このままでは信じるマンは消滅アル」

いや。
その前に、俺は死にたいんだから。
だから作者が、どうのこうの前に消滅上等。かかってこいやぁ! な状態なの。

「フッ。レッドよ。一つだけ、言ってもいいか?」

なんだよ。イエロー。

「そうでござる。レッド殿、拙者からも一言、言いたいが、よろしいかな?」

なんだよ。なんだよ。ピンクも。改まって。

「フッ。レッド。まだプラチナが届かないんだ。もう少しだけ、待って欲しいんだ」

「プラチナぁぁで、ござる」

ていうか。
その話で、もう笑いはとれないから。しつこいから。
俺は、消滅だったら消滅でいいの。

「これは大問題アル」

「でちゅね」

そこの二人、無理くり、存在意義を作らない。
さっきのプラチナが示す通りに作者の才能らしきものが枯渇したの。
打ち切り決定。

以上。

「よし。分かったアル。怪人27号?」

「なんでちゅか?」

「お前をドロンパ商会に再任命するアル。ヨロシ?」

ていうか。
キム・キム、お前、本当に自分勝手だな。
怪人27号は、その名が示す通りに元々悪役だったヤツがブルーになったんだぞ。
それを無理矢理、ブルーにしておいて、また悪役に戻すのか。

「合点でちゅ」

ブルー、お前も気軽に受けない。

「とりあえず、怪人27号はブルー兼ドロンパ商会アル。みんなヨロシ?」

戦隊ヒーローのメンバーの中に怪人がいるのか。
なんなの。それ。いいの?
おい。作者?

…――ま、打ち切りよりはいいでしょう。

適当だな。
いいのか。本当に。
そうして、俺たちの物語は続いていくのであったとさ。

第三十七話、打ち切り? 、了。

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【 悪魔ちゃんと天使くん、~ その四十二、昔の自分 】

「じゃ。涅槃。これから俺さまはロキと修業に行ってくるぜ」

「はい。はい。ささっと行ってちょうだい」

涅槃は、やはりふてくれされていた。
自分の思った通りにいかないジレンマに彼女は苦しめられていたのだ。
ロキがウインクをする。

「神の視座の伝授には、ちょっと時間がかかるから、ま、夜の国で遊んでいてくれ」

「いやよ。ギャンブルなんて、もう金輪際やらないわ」

涅槃はロキの申し出を無碍もなく断る。
それだけ、ロキとのギャンブルで苦しんだという事なのだろう。
ロキは微笑み、答える。

「涅槃」

「なによ。改まって、気持ち悪いなぁ」

「お前はギャンブルをやらないと言ったが、そうもいかないんだぜ?」

「なにが言いたいの?」

「フフフッ。グット。俺は、お前が待ってる間にギャンブルをやる方に賭けるぜ」

ロキは例によって、親指と中指をすり合わせ、軽快な音を立てる。
完全に夜が明けた夜の国中に響き渡る音を。
ロキは、ロキだった。

「だから、ギャンブルなんて、絶対にやらないから!」

と涅槃は、誓いのような宣言をした。
そうして、一旦、ロキとサドクは、涅槃と別行動をする事となった。
彼女は一人になった。

そして、夜の国に夜という時間がおとずれた。

「とは言ったものの、このギャンブルの巣窟で一体、なにをして時間を潰そうかな」

涅槃は、一人で、あてどもなく、夜の国のネオン街をふらついていた。
すると一際、ネオンが妖しい一角に人だかりができていた。
なにか催しモノでもあるのだろうか。

涅槃の好奇心がうずく。

彼女は悪魔になった反動か、ここ最近、好奇心というモノが湧いてきていた。
そう。星埜銀杏だった頃には一切、排していた感情が。
魔王のアガペーの影響だろうか。
無限の愛の。

「さて、では、次の勝負をしようかのう」

人垣の中心では、髪を右側で、お団子にして、左側に流している少女がいた。
彼女は、もう次の勝負の勝ちを確信したのか、余裕の表情だった。
そして、相手に詰め寄る。

そう。
今、一人の可憐な少女が、厳つい男相手にギャンブルに興じていたのだ。
そして、少女は、信じられないほどの連勝していたのだ。
そのアンバランスな様子に人々は熱狂していた。

「それにしても、これで余の百連勝じゃぞ。まだ主に賭けるモノはあるのかえ?」

「くそっ。テメェ! 俺を夜の国の王、不敗のロキと知っての狼藉か!」

「ほほほっ」

「な、なにがおかしい!?」

「主がロキとな。冗談も休み休み言うがよい」

どうやら、この少女とギャンブルをやっている男がロキを語っているらしい。
そして、少女は、まったく意に介さず、相手をいなしている。
涅槃の好奇心が最高潮に達した。
この少女できると。

「こんな結末では余は、決して満足しないのう」

「ちくしょう。俺は夜の国の王……」

「ちょっと待って! それ以上、ロキを侮辱したら私が許さないわよ。いい事?」

少女に絡んでいた男に涅槃が、鋭い視線を突き刺す。
彼女は、ロキと生死を賭けて、あれだけの大勝負を繰り広げたのだ。
すなわちロキを好敵手と認めていた。
ゆえに怒った。

「誰だ。テメェ!?」

「気安くロキを語らないで。今度は私が相手になるわ!」

「ほう。テメェが、この女の不始末のオトシマエをつけてくれるって言うのか?」

男は、凄んで涅槃に詰め寄る。
まるで自分は、夜の国の王、不敗伝説を持つロキだと言わんがばかりに。
しかし涅槃は、男のプレッシャーなどものともしなかった。

なにせ本物とギャンブルをしたあとだったのだから。

相手が偽のロキだと分かっていたのだし。

しかも彼女は星埜銀杏だった頃、子供ながら幾度となく大人と渡り合っていたのだ。
もちろん、彼女はギャンブルをする気は、まったくなかった。
上手く丸め込んで、事態を収拾するつもりだった。
その為の策を練り始めた。

「ほほほっ。その前にロキを語る主。今までの負けを払ってくれんかのう」

涅槃が考えるのと同時に少女が言った。
それを聞いた男は、顔が真っ青になり、なんとか声を絞り出した。
少女に向けて。

「ちくしょう。俺は夜の国の王、不敗伝説を持つロキだぞ。その俺から負けの……」

「だから、ロキとやら、早く負けの精算をしてくれんかのう」

「ちくしょう。覚えてろ!」

男は、そう言い残すと、少女の前から逃げていった。
少女は彼の事など覚えるまでもないと、一笑にふして、涅槃の方を見た。
涅槃はドキッとした。

そう。

彼女は妖艶であり、女である涅槃から見ても魅惑的な少女だった。

まるで妖精のような。
いや、それでいて中国の王族のような雰囲気を持っている。
艶やかで、深い魅力を彼女は有していた。

彼女は涅槃を見つめている。

その瞳は蒼く、どことなく憂いを帯びていて、星埜銀杏だった頃の涅槃に似ていた。
涅槃は彼女の心の中にある暗い闇を理解できるような気がした。
彼女は、世の中に辟易していると。

涅槃が他人の事を気にかけ、そして心配している。

これは完全に魔王のアガペーがなせる業であり、悪魔のフィーリアであった。
そして、涅槃は少女の心の闇を、少しでも和らげばと思った。
やはり、アガペーが降り注いでいるのか。
そう思えた。

「ねぇ? あんた。名前は?」

「余に名を聞くか。その前に主が名乗るものではないのか?」

「なんなよ。面倒くさいヤツね。分かったわ。私から名乗る。私は涅槃って言うの」

「涅槃よ。余の名は鈴音(りんね)という」

「鈴音ね」

「して、主は、夜の国でなにをしておるのじゃ。みた所、悪魔のようじゃが」

「悪魔……うぅん。信じられないけど、そうなのかな」

「そうじゃろう。余も悪魔じゃ」

「ま、その話は置いておいて。鈴音、私も一人で時間を持て余しているの」

「余は退屈じゃ」

「だよね。だったら、私たち友達になろうよ。いいでしょ?」

涅槃は鈴音という少女の友達になろうとした。
星埜銀杏だった頃、誰一人として、彼女の友達になろうという人間はいなかった。
そして、鈴音に昔の自分を見て、鈴音には友達が必要だと思ったのだ。

「うむ。よかろう」

「……なんで上から目線なのよ」

「いや、すまぬな。余はこういった性格なのじゃ。決して見下してはおらぬ」

「釈然とはしなけいど、ま、いいや。一緒に遊ぼう」

「うむ。主といれば、余も退屈しないですみそうな気がするな」

この時、涅槃は気づいていなかった。
そう。この鈴音こそが、次に向かうであろう無の国の王である鈴音だとは。
そして、涅槃と鈴音、二人の小さな冒険が幕を開けた。

~ その四十二、昔の自分、了。

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【 愛羅武、魔王、~ 其の九、もののふ 】

「一弓……、だと。そんな、まさか!?」

フリチンが相変わらず、私の裏に隠れて、震えが止まらないと小さくなっている。
対して、一弓くんはというと、温かく、のんびり、微笑んでいる。
こんな可愛い子のどこが怖いのよ。

「ヘイ。ガール!」

私が、意味が分からないと難解な表情をしていると、ルンルンが説明を始めた。
そう。一弓くんの秘められた過去を親切丁寧に。
私は、それをじっくりと聞いた。

「一弓は元魔王なんだ。今の魔王が君臨する前の魔王だったのだよ」

「魔王……」

「そうだのだよ。しかも一弓は凶悪非道な魔王だったのだよ」

一弓くん。こんなに可愛い子が、魔王だったの。
その事実は私にとって、驚くべき事で、とても信じられない事であった。
だって、一弓くん、可愛すぎるもん。
魔王なんて。

「ま、その前は……」

「だからオラの話さ、聞いてけれ。少女さんよ」

ルンルンは、まだなにか言いたい事があったようだが、一弓くんが割り込んできた。
というか、今、この場に魔王のヤツがいなくて、本当によかった。
一弓くんが魔王とするなら……。

こんなにも愛らしい笑顔の下に隠している実力が発揮されて、とんでもない事に。

しかも、一弓くんは、私を亡き者にしたいと言ってるし。
世界が滅ぶ前に私の存在が消えるかも。
轟くんみたいに。

「オラは、魔王さまに感激したんだっぺ。だから、だから、その……」

一弓くんが、また、うつむいて、もじもじとし始めた。
もう、なに。この乙女チックさ。
可愛い。

「ふははは。一弓よ。俺さまはフリチン。次の魔王になる男だ」

ていうか。
もはや、フリチンに格好良さはなし。
気概のある言葉を吐いているが、小刻みに震えて私の後ろから出てこないし。

フリチン?

君は、もう退場してもいいよ。

ルンルンが、長くて艶のある髪をかき上げ、更に説明してくれた。
彼の髪は、柔らかく、ゆったりと風になびいた。
まるで、川の流れのように。

「一弓は、現魔王の人間性に感動し、改心したのだよ」

人間性?
なにそれ。あの魔王に、そんなモノあるの?
素直に、そして、ストレートに、真っ黒な疑問が私の心の中に生まれる。

「そうだっぺ」

「ふっ。ガール。だから俺は、一弓から君を護りにきたのだよ」

「ルンルンさん。オラの邪魔をするだか?」

「一弓。さっきも言っただろ。ガールは、俺と魔王の嫁だ。ゆえ手を出したら……」

ここでも不思議に思った。
一弓くんは、魔王にならぶ実力を持っているのかもしれない。
しかし、その一弓くんに、まったく引けをとらないルンルンって、一体、何者なの?

だって、そのバス権とやらの二位のフリチンが。

フリチンが怖がっているんだよ。

「おう。鮎菜」

ゲッ。
ここで、すべての元凶である魔王のヤツが満を持して登場しやがった。
魔王の目は相変わらす、黒目のない、まん丸だった。
と! そこで。

突如、魔王の黒目が、現われた。

口は大きく開かれ、トリアドールの怒髪天が、更に天を突くように毛が逆立った。
これは、驚いているという事でしょうか?
ねぇ。ねぇ。魔王さん?

ていうか、魔王さん、君の黒目って、ちゃんと、そこにあったんだね。

もしかして普段は小さくなって、見えないだけなのかな。
ま、私にとって、どっちでもいいけど。
魔王の黒目なんて。

「ルンルン。コイツ、魔界からきていたのか!」

「ああ。そのようだね。魔王。ただフリチンがきているんだ。不思議はないだろう」

「いや、俺、コイツ、苦手だから」

「魔王さま!」

一弓くんが、魔王の何気ない言葉を聞いて泣き出しそうになっている。
それはそうだろう。好きな相手に苦手って言われれば。
乙女はそうなるものなのさ。

「やっぱりだか。やっぱりだな。少女さ、亡き者にすれば魔王さまも……」

一弓くんの目の端が、瞬くように光る。
でも、それでも、一弓くんは、どうしようもなく可愛くて。
うん。憎めない。

里美の目も一弓くんに釘付けだ。

「くっ。もはや、こうなったら、世界を滅ぼして魔界に帰ろうぞ。ゆくぞ。鮎菜」

はい。魔王。
アホな事は言わない。
私は、君の嫁になった覚えもないし、なる気もない。

「魔王さま……」

「うわッ。くっつくな。気持ち悪い」

魔王の肩に一弓くんの頭が、そっと寄りかかる。
魔王は、生理的に受けつけないと、一弓くんを無理矢理、引きはがす。
本当に苦手なんだね。

「あの。魔王さま。あの少女さ、亡き者にすれば、その、あの、オラと……」

「おわっ。だから、くっつくな。気持ち悪い」

「魔王さま!」

一弓くんの大きな瞳が潤んでいる。

「あのね。一弓くん。魔王にのしを付けるから、魔界にお持ち帰りしていいよ」

私は、一弓くんを応援するような言葉を投げかける。
魔王の黒目が、更に大きくなる。

大きくしても無駄よ。
私は、魔王の嫁になる気は毛頭ありませんから。
もちろんルンルンの嫁にだってなる気は、毛先ほどの気持ちもないからね。

私の心の中には、淡いけど想い出の彼がいるんだから。

そして、この可愛い刺客を応援してるの。
私の頭痛のタネ、魔王とルンルンを魔界に帰らせれば、フリチンも帰るだろう。
だからお願い。

一弓くん、魔王を連れて帰って。

「少女? もしかして魔王さまを愛していないだか? 魔王さまの片思いだか?」

「うん。大丈夫だよ。一弓くん。私には好きな人がいるの」

「そうだよ。鮎菜には想い出の彼がいるのよ」

里美が助け船を出してくれる。
どうらやら彼女も、今の事態を大体、理解して受け入れてくれたらしい。
彼女は、私以上の適応力を持っていたんだと思う。
凄い。

魔王たちの存在を受け入れ、そして私を助けてくれたのだから。

一弓くんが、うつむき、フッとほくそ笑む。
まるで勝利を確信したように。
どうしたの?

「だったら……」

「?」

「だったら、余計に少女さ。亡き者にすっだ! 死んでけれ、少女!?」

だぁ!?
そうきたか。確かに魔王の片思いならば……。
片思いの相手が、死んでしまえば、新たな恋に邁進するしかない。

それが一弓くんってわけ。

「だから、聞いて。一弓くん。魔王は差し上げるから……」

「フッ。ガール。安心したまえ」

魔王は、一弓くんの前では、まったく役に立たない。
しかし、ルンルンはやる気満々だ。
今は頼もしい。

一弓くんの口が大きく開かれ、その口の前に真っ黒な光球が出来はじめていた。

普段、可愛いから、その光球が余計に怖い。

なにアレ?
ちょっと、待ってよ!?
今朝、轟くんを消し去った魔王のレーザーと同じ感じ?

ルンルン、とにかく一弓くんを落ち着けて。

私は、死にたくないッス!

「一弓。ガールを殺すのであれば、まず、俺を倒してからにしろッ!」

ルンルンが、一弓くんに力強く言い放った。
武士と書いて、もののふと読む。
頼むよ! もののふ。

頼むからッ!

私は、こうしてルンルンと言う、もののふに、すべてを託した。
そして里美も、心配そうに私たちを見つめていた。

~ 其の九、もののふ、了。

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【 どうでもいいけど誰が決めたんだ?w 】

…――シロの反対はクロ。

これは一体、誰が言い始めた事なんだろう。
一見、シロの反対はクロという言葉は、当を得ているような気がする。
ただ考えて欲しい。

桃色の反対は、なんだと言うのだろうか。

そして、黄色の反対は?

シロの反対がクロであるとするならば、桃色や黄色にも反対があるはずだろう。
そして、更に考えるとクロは色を混ぜれば、できる。
もちろん桃色や黄色もできる。

でも、シロだけは、なにを混ぜても、けっして出来ないのである。

薄める以外。
少々、専門的な話になるが。
RGBで、&H0000がクロであり、&HFFFFがシロというのも疑問が残る。
まるですべての色を入れるとシロになると言わんがばかりである。

しかし、絵の具で、すべての色を入れるとクロになる。

シロを入れない限り、シロには近づかない。

ちょっと疑問に思ったので、今日のショート・スタンプで書いたのだが。
少しだけ補足しておく。

なぜ、シロの反対はクロなのだろう。

誰が決めたのだ?

謎は深まるばかり。疑問だ。
以上。

どうでもいいけど誰が決めたんだ?w、了。

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【 そういう意味じゃないw 】

シロの反対は、クロっていうけど、本当にそうなの。だってシロの反対はロシだよ。

そういう意味じゃないw、了。

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【 悪魔ちゃんと天使くん、~ その四十一、なんなの? 】

神の視座を持った人物に勝った。
まぐれで、奇跡にしても、私たちは神の視座を持った人物に勝ったんだ。
いや、むしろ、勝ったのは、まぐれや奇跡だと確信した。

涅槃は、黙って明けた空を見上げる。

空には白い雲が浮かび、太陽は徐々に昇ってきていた。
今日は、暑い日になりそうな予感がした。
涅槃は、深いため息を吐く。

神の視座を考え。

自然の理。
雲が現われ、そして、雨が降る。
その雨は、川になり、河となり、海に注ぎ込む。

当然の事であり、悠久の昔から、ずっと変わらない営みであろう。

それですら。
そう。……その永久不変と思われる、その自然の理すら神の視座の前では霞むのだ。
自然の理は天変地異によって変えられてしまうあやふやなモノだから。
ゆえに神の視座とは自然の理ですら持ち得ない視点。
永久不動の視点なのだ。

まさに神の視点というモノだった。

視点とは捉え方。

涅槃は、もう一度、深いため息を吐く。
神の視座を持つロキという天才ギャンブラー相手に、よく勝てたモノだと。
サドクは、まったく意味が分かっていないようだ。

ま、頑張れば、天才ギャンブラーにだって勝てるだろうと。

それ位にしか思っていなかった。
しかし、実際には、ギャンブルという敵の土俵で、更に神の視座を持っていたのだ。
これがため息を吐かずにいられるわけがない。

危険な橋を渡ったモノだと。

「で、これから、サドクに俺の神の視座を伝授するつもりだ」

感慨にふけている涅槃にロキが告げる。
ロキは、何気なしに言ったのだが、涅槃の目が大きく見開かれる。
驚いたのだ。

サドクのような、なにも考えたくない派の人間に神の視座を伝授するという事に。

確かにサドクの素は涅槃レベルの策士である。
そして、彼は天使であり、アカシックレコードにアクセスできる権利を持つ。
すなわち彼が神の視座を得れば、目を見張るほど成長するだろう。

しかし、彼は、性格的に策を弄するのを嫌がるタイプだ。

すなわち宝の持ち腐れになる可能性がある。
しかも、ここ最近、涅槃自身が策を練る為、彼は余計に考えなくなっている。
いや、むしろ、涅槃に策を練らせる為に、敢えて考えていないのか。
それは分からないが。

とにかく、今の彼に神の視座を持たせた所で……。

涅槃は、そう危惧していた。
せっかくのロキからの申し出を無碍にはしたくないと考えていたのだ。
しかも、青色吐息で、やっと起こした奇跡で勝ったのだし。

「ロキ?」

「なんだ。お嬢ちゃん」

「お、ロキよ。またお嬢ちゃんに戻ったな」

涅槃がロキに言葉を投げかけ、帰ってきた言葉がお嬢ちゃんだった。
それをサドクがめざとく感じ、ロキに突っ込んだ。
ロキは、ほくそ笑む。

「いやな。お嬢ちゃんが、下手な策を練り始めたモンでな」

彼女の心の内はロキには筒抜けだった。
やっぱり、心理的な駆け引きには天才的な嗅覚を持つロキは、ロキであった。
涅槃は続けるのを止めた。

ロキに対して、心理的な揺さぶりや策は無意味だと悟ったのだ。

「どうした。涅槃?」

彼女が黙ってしまったのを不思議に思って、サドクが聞く。
サドクにとって、ロキの申し出は、ありがたいモノでしかなかったのだから。
彼には彼女の気持ちが分からなかった。
涅槃は思った。

よくも、ま、こんな危なっかしいヤツと一緒に奇跡を起こしたモノだと。

「涅槃。それは、いい判断だ」

「?」

ロキの口の端から白い歯が、少々、のぞく。
サドクが黙ってしまった涅槃とまた名前を呼び出したロキを不思議そうに見比べる。
彼には、一連のやり取りが、まったく分かっていなかった。
ロキは、それでいいと微笑む。

感じるままに生きるのが、一番、お前らしいと。

でも、確かに、サドクは考える事を拒否している節はあるんだけど……。
しかし、考えなしで、発言した事が核心を突く事が多々あるし。
そして、むやみに巨大な力に頼らないからいいかも。

ピンチに立たされた時、その核心を突く発言で初めて神の視座を使えば、あるいは。

と考え直したのだ。
そして、その判断を神の視座を持つロキが、いい判断だと言ったのだ。
彼女は、これは間違いなく、それでいいのだと思った。

「で、その心力、神の視座とやらを手に入れるには、どうすればいいんだよ」

サドクが、流れに置いてかれまいとロキに告げる。
そこは涅槃も不思議に思っていた。
伝授すると言っても……。

よりにもよって、神の視座という巨大な力なのである。

一朝一夕にいくモノではないと思った。
しかし、同時に彼女には、ある一つの考えが頭の中に浮かんでいた。
それは……。

ロキが神より、神の視座を伝授された方法を使うという事だ。

そう。
ロキですら、神に伝授されなければ、神の視座を持ち得なかっただろう。
その神に伝授された時の方法を使えばいいのである。

「そう思うだろ?」

ロキが、おもむろに言う。
誰に言うとでもなく、一人言のように。
対して涅槃の表情が、一気に険しいモノへと変わっていく。
彼女は自分が、想像する未来が来ないと、不快感を覚える性格なのである。

策士がゆえに。

「俺は、俺流で、サドクに伝授するぜ。いいだろ?」

そしてロキも、また人の読み通りの更に上をいかないと気が済まない策士であった。
ゆえに涅槃の思考を読み解き、彼女の思考の更に上をいったのだ。
一方、サドクは完全に置いてけぼりであった。

「くそっ!」

サドクは、かんしゃくを起こした。
涅槃とロキの二人で、なにか火花が散っているのを感じて。
自分も入れろと。

「これじゃ、俺、アホみたいじゃん。これでも一応な俺は天使。大天使さまなの!」

「知ってるわ。言わなくても。天使なんて事。ま、信じないけどね」

涅槃が冷たく、真っ二つに斬り捨てる。
ロキは、やはり面白いと、アゴを撫でつつ、二人を優しい目で見つめている。
ロキは、少し間をとったあと、ゆっくりと続ける。

「というわけで、涅槃」

「なによ?」

「サドクの馬鹿ちんを少々、借りるぜ」

「というか、この馬鹿ちん、私のじゃないし。清々するし」

「うぉー! いい事があるのに、この対応。なんか、みじめじゃないか。俺さま!」

と、サドクが叫んだ。
彼女は、そんな彼を冷たい視線で送り出した。
これからロキの言う、俺流で神の視座の伝授を受ける為に。

「せいぜい頑張ってね。サドク」

「なに、その言葉。トゲがあるし。なんなのこの扱い」

そう。
涅槃は一流の策士とは言っても、やはり性根は中学生であった。
思い通りに事が運ばない事と。

実のところ、神の視座を私も手に入れたいとも、思っていたのだから。

そのダブルで彼女の機嫌は悪くなっていたのだ。
涅槃は、まだまだ子供であった。
サドクは……。

大人だが、そういう人なんだろうとロキは捉えていた。

「なんなの? 本当にこの扱い。嫌すぎる」

~ その四十一、なんなの? 、了。

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【 キュートな幽霊、第五話、リフレイン 】

僕が、他人にトーコの除霊を頼んだ日から、二ヶ月が過ぎた。
トーコは僕以外に除霊される事をよしとしなかった。
それを理解できなかった。

成仏できるんだったら、僕以外でも良いんじゃないかと思ってしまっていたから。

もちろん、アレからも僕は努力して、彼女を除霊しようと頑張った。
しかし、どうしても真・即・理は成功しなかった。
即で、光球が霧散するのだ。

やっぱり、僕はなにをやってもダメな人間だと痛感していた。

そんな僕らの下にも柔らかな春が来ていた。
桜が徐々に咲き始めていたのだ。
優しい季節。

「宗春。なんで私が、他人に除霊される事を拒むんだと思う?」

春のある日、トーコに言われた言葉。
僕は、彼女の気持ちが理解できなかったから、答える事できなかった。
そうなんだ。

彼女は、なぜ、僕以外に成仏させられる事を嫌がるんだ。

それも、また……。
悲しいけど、それも、また答えの出ない問いだった。
僕は子供の頃から、ずっと彼女と一緒にいて、彼女を理解しているつもりだった。

しかし、それは結局、つもりでしかなく、本当に彼女を理解していたのか。

そう考えると、とても悲しくなった。
でも、彼女を理解できていなかったとしても、今は……。
そう。

今は、彼女を成仏させる事が、僕にできる精一杯の罪滅ぼしなんだ。

なぜなら彼女は僕が殺してしまったも同じなんだから。
罪滅ぼし。少なくとも僕は、そう信じている。
だから苦行も頑張れる。

「宗春?」

トーコが上目遣いで、僕を見つめている。
トーコは元が可愛いだけに幽霊になろうと、すごく可愛い。
彼女が首を傾げる。

くそッ。

トーコ、君は幽霊なんだ。可愛いなんて反則だ。

「な、なんだよ。改まって」

あまりの可愛さに思わず、声が上ずって、どぎまぎしてしまう。
僕は霊能者であり、彼女は幽霊だ。
相成れない同士だ。
僕と彼女は。

「宗春の心の中の宝って……」

「だから、その話はどうでもいいだろ。そんな事より、今は、君を成仏させる事だ」

僕は彼女の言葉をさえぎり、無理矢理、真・即・理の体勢に入る。
改めて彼女の口から僕の宝の話を聞きたくなかったのだ。
それは、とても恥ずかしかったから。

「うん。それでいい」

彼女は、なぜか満足したように微笑み、僕を見つめた。
僕には、なにがいいのか分からなかった。
でも……。

僕も、それでいいと思った。

だって、僕の心の中の決して譲れない宝は……。
そうなんだ。それでいいんだ。
うん。

「真ッ!」

「はい。はい。ダメ。ダメ」

僕が真・即・理を執行しようとしたら、トーコがダメだしをした。

「なんだよ。いきなり。なんでダメなんだよ。まだ即までもいってないのに」

「気が乱れておりまするぅ。顔、赤いよ」

ぐほっ。
確かに今は、まったく集中できていなかったな。
それは、恥ずかし紛れに無理矢理、真・即・理の体勢に入ったからだ。

「くっ。顔が赤いって……、力んでるんだよ」

トーコの周りを動物霊が飛び回り、おどけている。
僕は、彼女を直視できないでいた。
彼女は続ける。

「そう言えば、覚えてる?」

「な、なにをだよ」

僕は、自分の顔が赤いのを誤魔化しつつ答える。
彼女はなにくわぬ顔で続ける。
動物霊も嬉しそうだ。

「一回だけ、宗春が私に勝った、あのかけっこの時の事」

「ああ。僕がゴールを通り抜け、それでも意地になって走り続けた、あの時だろ?」

「あの時に私の心の中の宝が決まったの」

「それは知ってるよ」

「じゃ、逆に宗春の心の中の宝が決まった日の事は覚えてる?」

僕の心の中の譲れない宝が決まった日。
それは、トーコが事故に遭い、死んでしまった日だろう。
それは今でも覚えている。
鮮烈に。

でも、罪悪感からだろう、僕は答えられないでいた。

「……」

「はい。即答できない。それがダメなの」

即答?
それは、酷だろう。
だって、トーコ、君が死んだ日なんだよ。僕の心の中の宝が決まったのは。

「優しいトーコちゃんは宗春くんに一つだけ、ヒントをあげましょう」

「ヒント?」

「そそ。大チャンスなヒントをさ」

僕は彼女がなにを言いたいのか、まったく分からなかった。
ヒントって、一体、なんのヒントなのか。
それすら分からなかった。

「小生は幽霊って立場に、まったく不満に思っていないのでありますぅ」

「?」

「小生、それどころか毎日が楽しいのであります。宗春との除霊も楽しみだしね」

幽霊って、未練があって、この世にとどまっているモノじゃないのか。
なにかに執着があるからこそ、幽霊になるんじゃないのか。
彼女に言わなかったが、そう思った。

「だから……」

なにが、だからなんだろう。
彼女は相変わらずな、小馬鹿にした口調で言う。
僕は、もう慣れているけど、慣れていない人が聞いたら、きっと怒り出すだろう。

「だから、宗春くん。まだ分からないかな? 大ヒントなんだよ」

さすがの僕でも、ちょっとカチンときた。
だから意地悪な事を聞いた。
彼女をにらみ。

「僕がトーコを成仏させる事は、いらないお節介って事が言いたいの?」

いや。
これは、決して言ってはならない事だったのかもしれない。
いくら僕が彼女の口調に頭にきていたとしても。

「!」

「あっ。いや」

「……」

「えっ。いや。そうじゃなくて」

「……、そっか。私、ちょっと調子にのり過ぎちゃったかな? ごめんね。宗春」

彼女は一瞬、沈黙して、相づちを打ち、また微笑み続けた。
僕はしまったと思ったが、時はすでに遅かった。
彼女を傷つけてしまった。

「そっか。……宗春は、そう捉えるんだね。本当は、そうじゃないんだよ」

「ごめん。言い過ぎた。謝るよ。ごめん」

僕は、平謝りした。
しかし、彼女の心に刺してしまったトゲは、心の中心に深々と刺さっていた。
いくら僕が謝ったところで事態は好転はしなかった。

「私が知って欲しかったのは……、そうじゃないんだよ。違うよ」

彼女が、しぼり出すような小さな声で言った。
消え入りそうな悲しそうな声で。
僕も黙ってしまった。

幽霊である彼女の瞳に、大きな一粒の涙を見つけてしまったから。

「そう。違うんだよ。私が知って欲しかったのは……」

いつもの彼女らしくなく、とても真剣に。
それ以上は形にならないと。
言葉は不要だった。

「私が知って欲しかったのは……」

と、いつまでも僕の耳の中で、彼女の声がリフレインしていた。

第五話、リフレイン、了。

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【 こんでる?w 】

学校に遅刻した時のいいわけ。いや、電車がこんでて、ごめんなさい。って、おいッ!

こんでる?w、了。

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【 お客さまは神さまです 】

はい。
わたくしは、お客さま第一主義でございます。
どんな無茶な要望であろうと、出来る限り全力で応える所存でございます。
どんなにやんちゃなお客さまとて、わたくしのお客さまです。
なんでも、仰って下さい。

わたくしの全身全霊を持ってして、ご要望にお応えします。
ダメだろうなと思う事ほど、仰って下さい。
大丈夫でございます。

お客さまを第一に考えますから。

はい?
なんでございますか?

わたくしが、お客さまに説教をする事はないのかと。

いいえ。
そんな事は、絶対に致しません。
どんな無茶だろうと、わたくしの出来る限りで、対応をさせて頂きます。
お客さまを怒らせるような事は絶対に致しません。
それが信条です。

お客さまは、神さまでございます。

*****

生徒A「おい。校長。ジュース買ってこいよ。いつもの。お前のおごりな」

校長「はい。分かりました。オレンジジュースですね。すぐに」

お客さまは神さまです、了。

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【 キュートな幽霊、第四話、雪 】

吐く息が白い。
今日は、朝から天気が悪くて、雪でも降ってきそうだ。
僕の住む町は、東海地方の田舎だから、年に一回は雪が降って、積もる。

今日が、その日なのかもしれない。

ま、雪が降ろうが、降らまいが、恒例である彼女の除霊は行う。
僕は、その為だけに存在しているのだから。
絶対に彼女を成仏させる。
それだけ。

「おはよっ。宗春。今日はなんだか雪が降ってきそうな空だね。寒いでしょ?」

「ああ。寒いね」

「でも! 幽霊は寒くないのでありますッ!」

トーコが、笑いながら、ふざけて言う。

相変わらず、彼女は明るい。
彼女の隣には、昨日、拾った動物霊がいた。
動物霊は、彼女になついているようで、彼女に甘えていた。

僕は、そんな彼女らを見て、僕は呆れ果てた。

…――だって、幽霊がペットを飼うなんて話、いままで聞いた事がある?

少なくとも僕は聞いた事がない。
大体、幽霊ってのは。
止めよう。

トーコに、そんな事を言っても一笑にふされるだけだ。

そう思っていると、空から雪が降ってきた。
今まで、なんとか持っていた天気が、遂に本格的に崩れてきたのだ。
僕の鼻先に雪が舞い降りる。

僕は、お構いなしに真・即・理の体勢に入る。

「真」

僕は伸ばし拡げた手のひらの前に除霊をする為の光球を作る。
ここまでは、いつでも出来る。
この先が問題なのだ。

呼応するように、ひらひらと雪が舞い始めた。

うん。
今日は、集中できている。
大丈夫だ。このまま即で、光球を弾き飛ばし、理で除霊する。

「即」

僕の手のひらの前にある光球を殴る。
いける。出来たぞ!
やっとだ。

しかし、そこで、軽い音を立てて、光球が霧散する。

ポンと。

まただ。いつものお約束だ。
やっぱり、僕は、なにをやってもダメなんだ。
どれだけ頑張ったって、決して、報われない人間はいるんだ。

ソレが僕……。

「宗春。気にしない。気にしない。次、頑張ろう!」

僕はトーコの声など聞こえなかった。
そして、肩を落として、自分自身に腹を立てて、拳を握りしめた。
不甲斐ない自分を責め。

雪は、なにも言わず、しんしんと降り続けた。

ただ粛々と。

そして……。
僕は、ある決心をした。
今日も、もし除霊が失敗したら、そうしようと決めていた事。
それは、今までの僕の努力を否定する事。

だけどトーコには、きっといい事であり、そして、この日常を終わらせる事。

雪が降り続く空を仰いだ。
本当に、それでいいのか、自分の心にウソをついていないのか自問自答したのだ。
しかし、それは、また答えのでない問いだった。

雪が目に入る。

心に沁みるけど、悲しくはないよ。
だって、トーコは成仏するべきだし、僕はなにをやってもダメな人間なんだ。
悲しくないよ。

うん。

悲しくなんかない。絶対に。

「宗春?」

「……トーコ。君は成仏するんだ」

僕は、ボソッとつぶやく。
答えの出ない問いの答えは、やっぱり出なかった。
しかし、それでも時は進んでいって、そして、結果を連れてくる。

「おはよっ。宗春」

「うん。やっと来てくれたね」

「誰?」

そう。
僕は、トーコの除霊を天才に頼んだんだ。
自分自身の力で除霊する事をあきらめ、僕らの流派のホープに除霊してもらう。

「で、宗春。その女の子の幽霊って、どこにいるんだ?」

「えっ?」

僕は、咄嗟にトーコを見る。
トーコは、イタズラっぽく笑い、目元にVサインを出している。
決めッと。

「トーコ! 成仏したくないのかッ!!」

トーコは僕に答える。
目を細め、動物霊を愛おしそうに撫でつつ。

「私は、宗春以外の人に成仏させてもらうつもりは毛頭にないッス」

「ないッスって!」

「だから宗春以外の人は、お呼びじゃないの」

トーコは舌をだして、答える。
彼女が、一体、どういう方法を使ったのか、それは分からない。
しかし、今、彼女は僕にしか見えていない。

「つうか。宗春。お前に見えて、俺に見えない幽霊なんていないんだぜ。分かるか?」

「おー。おー。宗春さん。言われてますな。いいの?」

「トーコ!」

「だから、お前の一人芝居は止めてくれ。馬鹿らしい。俺、帰るわ」

「あ。ちょっと待って。本当にいるんだ。ここに」

「だからお前に見えて、俺に見えない幽霊なんて、この世にはいないんだぜ!」

「ほ、本当に……」

「これだからおちこぼれは。俺は、お前と違うんだよ。馬鹿にするな。帰るぜ。じゃ」

僕が自分の心にウソをついてまで頼んだのに。
トーコ? 君は、今、成仏できるチャンスだったんだよ?
本当にいいの?

その問いは、また答えの出ない問いだった。

「宗春!」

「……なんだよ?」

「私の除霊を人に頼んで、それでいいの?」

「僕だって嫌だったさ。でも、僕はなにをやってもダメなおちこぼれだから」

「だから仕方なく頼んだって事?」

「そうだよ」

「ふん。そこまでして私は成仏したくないわ。宗春はウソをついている」

「ウソ? 良いじゃないか、ウソだって。成仏できれば……」

「もっとよく考えなさい。それじゃダメなの」

「なにがダメなんだよ?」

「考えなさい」

トーコは、そう言うと厳しく僕を諫めた。
僕には彼女の言っている事の意味がまったく分からず、一人、空を見上げた。
空からは、真っ白な雪が舞い降りてきていて、悲しげだった。

雪……か。

「答えは、君の心の中にあるわ。しっかりとした答えが」

トーコが優しく言った。

第四話、雪、了。

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【 購入するかもw 】


実験2
今日の成果w
私の絵も進化しているかなw
     

【 ミラーは信じるマン 】

石頭・F・固吉(いしあたま・えふ・かたきち)。Fは、ミドルネーム、フランソワ。

ミラーは信じるマン、了。

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【 アイドル並 】

「うちの学校のミスって、かなりレベル高いぞ。写真見るか?」

「うん。うわっ」

「だろ。まるでアイドルだろ? 可愛いべ?」

友達は、ミスの子が写ってる写真を見て、驚き、絶句している。
それを見て俺は、まるで自分の事のように喜んだ。
あまりの可愛さに鼻が高かったのだ。

「でもよ。言っていいか?」

「なんだよ?」

「お前が通っている学校って、男子校だろう?」

「うん」

アイドル並、了。

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【 スーパーノート(改) 】

スーパーノートという偽札をご存じだろうか。
北朝鮮が国家をあげて、作ったとされる偽の百ドル札の事である。
その性能は……。

よほどの高性能の機械ではなければ、確認が不可能だ。

俺は、そのスーパーノートにも負けず、劣らずの免許証とパスポートを作り上げた。

免許証とパスポートの二つを作るところに俺の用心深さあると思う。
そして、その偽の免許証とパスポートを使って、サラ金からカネを借りようと思う。
絶対にバレない自信がある。

さ。

最後に、ここに署名すれば、お金を借りられる。

「お客さん、ちょっと」

「な、なんだよ?」

「この免許証、偽物ですね?」

「えっ!」

「だから、この免許証は偽物だと言っているんです」

「ば、馬鹿な。そんなわけないだろう。……疑うなら、パスポートも見てくれ」

「このパスポート……偽物ですね?」

「ば、馬鹿な。なぜ?」

俺はサラ金業者に言われた通りに免許証とパスポートを並べて置いた。
そして、怯えたように、サラ金業者の顔を見つめる。
なぜ、バレたのだと。

「署名の名前と免許証、そしてパスポートに記載されている名前、住所が違います」

し、しまった。
署名した名前と免許証、そして、ご丁寧にパスポートの名前と住所が全部、違う。
偽の免許証とパスポートを作る事に夢中になって、すっかり忘れていた。

それぞれの名前と住所を一緒にする事を……。

せっかくスーパーノートに負けず、劣らずの偽物を作ったのに。

ぎゃっふん。

スーパーノート(改)、了。

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【 ペイントソフトを買うまでもないかなw 】


実験(線画)
朝から、とかかってやっとできたw
デジタル化する事で、作業が早くなると思ったら大間違いだw
     

【 ペイントソフト、購入検討中w 】


実験(途中)
只今、絵の修行中w
これからは、デジタルの時代だと思ふw
     

【 コロシアイ、~ 十三の巻、消された能力 】

浩平くんを仲間にして、これで、僕らは四人になった。

僕、高垣凉。
心に響く声を持っている。

そして、OLのお姉ぇさん、霧崎真緒さん。
モノとモノを入れ換える能力をもっているお姉ぇさん。

中学の教諭、石崎裕一郎先生。
こちらは、いまだ僕らを信用していないという事で、能力は秘密らしい。

そして最後に。
今、大きな後悔をして成長した大川浩平くん。
彼は、相手を勝負で負かせた場合、魂を抜き、自在に操る能力だ。

ただし四人になったと言っても……。

浩平くんの能力は、僕ら三人の同意で、必要以外、使わないと封印した。
もちろん、浩平くん自体も、大きく後悔していて。
もう使わないと宣言していた。

ただ僕の計算では彼の能力は同じフィールドに複数人存在させられる可能性がある。

もちろん、僕らの同意で、彼に勝負で負けた事にしないといけないが。
キョンシーになっても話を聞くくらいだったらできるだろう。
そこは、石崎先生も賛同してくれた。

教師なんて、日常生活では、鬱陶しい存在でしかなかったけど……。

この非常事態下では、とても心強かった。

常に前を行って、僕らを先導してくれるのも頼もしかったし。
なにより、僕らの知らない事をよく知っていた。
もちろん、この世界の事も。

僕が立てた仮説。
この世界は、どこぞの科学者がラボで創った宇宙かもという話にも賛同してくれた。
あまつさえ君は、賢いな。見なおしたよと言われた。
それが、どれだけ嬉しかったか。

やっぱり、教師という人間は凄いなと改めて見なおした。

そして、あの事も話した。
そう。僕が出会った、もう二度と出会いたくない相手の話を。
石崎先生は黙って僕の話を聞いて、うなずいていた。

そして言った。
そんなヤツが、このゲームに参加しているのかと。
石崎先生は、アゴに手を当てて考えたあと、ぼそぼそと僕らに話した。

多分、管理者を引きずり出す前に戦う事になるだろうねと。

僕は、ゾッとした。
石崎先生を持ってしても、ヤツと相対する事は避けられないのかと。
僕自身、もう二度とヤツと会いたくないと思っていたから。
それは絶望と言ってもいい宣言だった。

とにかく、今は四人揃って話す事はできない。
一つのフィールドに二人以上、存在できないというルールに則り。
そのルールが鬱陶しかった。

けど、僕らは霧崎さんの入れ換えの能力を使って、仮想的に四人で会議をした。

「は~い。はい。皆さんにお知らせがありますぅ」

そこで、また管理者が連絡が入る。
その声は、相変わらず軽快で、しかし淡々とした口調だった。
僕は、ドキッとした。

なぜなら僕らが、徒党を組んでいる事が管理者にバレたのかと思ったから。

しかし、それは些細な事で、それ以上に重要な事を管理者は告げた。
もちろん管理者が流すアナウンスは、僕らに不利な事だ。
それは分かっていた。

「石崎裕一郎先生、あなたには、このゲームから降りて頂きますぅ。てへぺろ☆」

えっ!
なんで、なんで、ここにきて石崎先生が……。
ていうか、てへぺろ☆って、それが異様にむかつくんだけど。

「石崎先生。あなたの能力は危険と我々は、判断しました。よって除名ですぅ」

石崎先生の能力?
僕らは、いまだ先生の能力を知らない。
だけど今から管理者が警戒する能力だなんて。一体……。

「最後に。これからも危険な能力を持つ人は除外していくので、よろしくですぅ」

そんな最悪だ。
せっかく心強い味方を仲間にしたと思ったのに。
なんでだよ。そんなに石崎先生の能力は危険なモノなのか?

僕は、なにもない空に向かって叫んだ。

「危険ってなにが危険なんだよ。だったら、あの殺人マシーンを除外しろよッ!」

それは空しい反抗だった。
結局、僕らは管理者にとって、微生物以下の存在であり、叫びなど届きはしない。
それは分かっていたし、理解していた。……つもりだった。

この極まった時に僕は、自分の無知を露呈した。

そう。
分かったつもりで、理解したつもりでしかなかったのだ。
僕の空しい叫びは、きっと管理者に届くと思ってしまっていたのだ。

「だろうね。そうくると思っていたよ」

石崎先生が、うつむき言う。
しかし、それは先生の予想の範疇であり、その先の行動も決まっていたようだ。
石崎先生は、僕らの方を見つめて、続ける。

「僕は一旦、このゲームから降りるよ。死ぬって事だ」

「えっ。そんな」

霧崎さんが泣きそうな顔をして言う。
もちろん僕だって、浩平くんだって、泣き出したい気分だった。
でも、それは、この殺し合いというゲームの中で甘い考えであり、許されなかった。

「大丈夫。僕の能力は管理者が思うほど甘くもないし、切り札も持っている」

石崎先生は、管理者の思惑など、お見通しと優しく微笑んでいる。
それが僕らには救いだったけど。
けど……。

「大丈夫。安心しなさい。僕は、きっとこのゲームに復帰する。そして君ら導く」

今は、その石崎先生の言葉が頼もしくて。
僕と浩平くんは、涙を我慢した。
霧崎さんは別にして。

「そうだ。こういう時、男は女の為に泣いたらダメなんだ。分かるね? 二人とも」

「はい!」

「良い返事だ。女の人を絶対に守り抜きなさい。約束だよ。二人とも」

「はい!」

僕らは、石崎先生の潔い態度に感服していた。
先生は、これから管理者によって、その存在を消される。
しかし、それでも、それ以上の手を持っていて、必ず戻ってくると約束してくれた。

「……えぐっ。大丈夫。私も強くなるから」

霧崎さんも、心は決まったようだ。
石崎先生の潔さ、そして、心許ないが、僕らの存在を味方に。
石崎先生は、最後に霧崎さんの肩をたたき言う。

「大丈夫。僕が戻ってくるまで、この二人が君を守ってくれるから。大丈夫だ」

「はい……」

「うん。それでいい。女の人は男を奮い立たせる為にいるんだ。いいかい?」

「はい。私で良ければ。頑張ります」

「うん。霧崎さん。その笑顔があれば、大丈夫だよ。頑張って」

石崎先生は最後の最後まで霧崎さんを気づかった。
それは、人生の先輩として、そして男の先輩として、とても勉強になった。
ありがとうございます。

石崎先生。

「それでは、バトルに戻りましょうぅ。ファイット!」

管理者が、そう言うと石崎先生は光に包まれ、分子分解されていった。
つまり、再構築されないと死ぬという憂き目にあっていた。
そして、最後には完全に消えてなくなった。
キラリと残光を残し。

僕はキッと空を睨み付けた。

~ 十三の巻、消された能力、了。

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【 分かるかな? 】

…――ヒマだな。
そうだ。彼女とクイズでもしよう!

第一回、日本ってどんな国? クイズ選手権!
パフ。パフ。ドン。ドン。

さ、はりきって、いきましょう!

第一問、日本の首都は、どこでしょうか?
簡単すぎたかな?

「キョウト!」

京都だと? 馬鹿にしてるのか?
ま、でも、二問目になれば、きっと彼女も真面目になるだろう。

第二問、最近、無形文化遺産に指定された食べ物は?
どうだ? ちょっと難しいぞ。分かるかな?

「テンプラ。スシ。ゲイシャ」

なわけないだろ。
テンプラとスシは、食べ物だけど、ゲイシャは食べ物じゃないし。
やっぱり馬鹿にしているな。

このクイズ、真面目にやっているのは、俺だけなのか。

なんか空しくなってきた。
第三問目。もう、これで最後にしよう。

第三問、最近、完成した日本一高いツリーは一体、なんでしょう?
どうせ、下らない事を言うんだろ。分かってるよ。

「フジヤマ」

だろうな。
そんな事だろと思ったよ。
君に期待した僕が馬鹿だったよ。はい。お終い。

……「ヘイ! ユー! ミィは、一般的なアメリカ人だYO」

分かるかな? 、了。

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【 キュートな幽霊、第三話、僕の責任 】

僕は例によって、いつもの場所に向かった。
トーコを除霊するために。
僕の宝は……。

「おっはよ。宗春」

トーコは、本当に自分が幽霊だという事を自覚しているのだろうか。
相変わらず軽い調子で、僕に挨拶してきた。
当然、僕は怒る。

「トーコ、君は分かってないよ。本当に成仏したいの?」

僕は思わず、声を荒げ、彼女に突っかかった。
それだけ僕は、この彼女の除霊に対して、真剣だという事だ。
彼女は、それを理解していない。

「宗春?」

「なんだよ。トーコ!」

僕は、怒りで興奮して、彼女にくってかかる。
僕とトーコの温度差が、あまりに大きくて、僕は冷静ではいられなかったのだ。
しかしトーコは続ける。

「私って幽霊っぽくないかな? やっぱり、恨まないとダメ?」

今度は色っぽく困ったような表情で。
グッ。正直、可愛い。
でも……。

彼女は幽霊なんだ。幽霊とは、すなわち成仏させるべき対象なんだ!

「あのね。私ね。宗春の中にある宝を知っているよ」

「えっ!?」

トーコが、いきなり予想外な事を言ってきて、言葉を失った。
僕の中にある僕だけの宝を知っている?
トーコに言われた宝を。

「宗春の宝は……」

「わー! わー! うわっ!!」

僕は湧いて出る妄想をかき消すように腕を大きく振り、彼女の言葉をさえぎった。
改めて、誰かに僕の宝がなにか、言われるのが恥ずかしかったのだ。
だって、僕が持ってる宝は子供の頃に決めた宝で。
そんなモノ、今さら、言われなくても。
とにかく、恥ずい。

「あははは。ま、いいわ。それより、幽霊って、この子みたいな感じ?」

「って、トーコ、どこから連れてきたの。その幽霊?」

トーコは、どこから連れてきたのか、動物霊らしきモノを持っていた。
僕らがネコや犬をペットとして飼うような感じなのだろうか。
ソイツは、愛くるしかった。

「この子、数日前から、寂しそうにここにいたの」

「てか、トーコ。君は幽霊なのッ!」

「そうよ。幽霊よ」

「だから、幽霊は幽霊らしくして、ペットなんか飼うなよ! 信じられない」

「いいじゃない。明るい幽霊が一人くらいいたって」

トーコは、むくれた面持ちで、不満を表わした。
だけど、幽霊がペットを飼うなんて、常識外れにもほどがある。
幽霊は、世の中を恨んでいて……。

って、今のトーコに言ったところで一笑にふされるだけだ。

「どうなの?」

「なにがだよ。トーコ?」

「幽霊って、この子のような感じをいうのかな?」

「って、ソイツ、可愛いし。ソイツも幽霊なんかじゃないよ!」

「あははは。宗春をからかうと面白い」

「つーか、君は幽霊なのッ!」

「あい」

トーコは、おどけて敬礼をし、応える。

それが、もう、どうにも幽霊には見えなくて。
僕の中にある幽霊という定義は、間違っているのかとさえ思えてくる。
もう、嫌だ。

本当に、心の底から嫌だ。

幽霊のトーコと話していると頭痛がしてくる。
僕は、そんなトーコを除霊する為に毎日、苦行にも耐え、頑張っているわけで……。
本当に頭痛が激しい。

でも、それじゃなんで、トーコは、この世にとどまっているのだろう。

普通は、なにか心残りがあって、成仏しきれないからこの世にとどまるのだろう。
トーコには、それが見あたらなくて、一体、なんで、この世に。
僕は、必死で考えてみたけど、分からなかった。

もしかしたら……。

ソレを知る事で、トーコを成仏させる事ができるのかもしれない。

「あのね。……宗春?」

「なんだよ?」

「宗春は、私の中の宝を知ってるんでしょ?」

「ああ。多分だけどね。でも、それがどうしたって言うんだよ?」

「うん。それだけでいい」

「なんだよ。意味が分からないよ」

「それでいいの」

トーコの瞳が潤んでいた。
幽霊の癖に、それが可愛くて、僕は思わず見とれた。

トーコの中の宝は、きっと僕自身だ。
でも、そんな事は、ずっと昔から知っていた事で、今さら言う事でもないと思う。

クッ。

可愛い顔をしたって無駄だ。

僕は、トーコを成仏される事が第一義なんだ。
確かに幽霊は成仏させるモノだと思う。が、しかし、それ以上に……。
僕は彼女を成仏させたい。

そう。

トーコは、僕が殺してしまったも同義なんだから。

あの日……。トーコが死んだ日。
僕は、いつものようにいじめられ、そして、例によって落ち込んでいた。
そこに太陽のような笑顔を持った彼女が現われた。

「宗春、またいじめられたの?」

「……うん」

「だから宝を持つ事って、教えたじゃん?」

「うん。でも、いきなり宝とか言われても、なにを宝にしたらいいの?」

「それがダメなんだよ」

「えっ?」

「誰にも譲れない宝なんて、自然に持てるモノなんだよ」

「でも、僕には……」

「はい。はい。暗い顔しない。考える」

「分からないよ。本当に分からないんだ。なにが宝かなんて……」

「じゃ、走る? なにも考えないでね。そう。私が負けた、あの時みたいに」

「えっ!」

そう言った彼女の顔はきらめいていた。
今にも吸い込まれそうな位に。
僕はうなずいた。

しかし、このあと、彼女の笑顔は崩れた。

ぐしゃ、ぐしゃに。

「よーい。どん!!」

彼女は、最後にそう言って死んだ。
そう。僕と競争する事に夢中になり、車道に飛び出してしまったのだ。
そこに暴走したトラックが突っ込んできたのだ。

皮肉にも、そのとき僕の宝がハッキリと、心の中で決まった。

僕を勇気づける為に走り出し、死んだ彼女を尻目に。

だからこそ。
僕は、トーコを殺してしまったという責任もあるんだ。
もし、あの時、すでに心の中に僕だけの宝があったなら、彼女は死ななかった。

僕は、そう言い切れる。

だからこそ、苦行にも耐え、霊能力を手に入れたんだ。
彼女を成仏させる為だけに。
それが……。

それが僕が、この世に存在する意義なんだ。

「宗春。また難しい事を考えているんでしょ。世の中は感じたままでいいのよ」

「うるさい。うるさい。僕は君を成仏させる事を考えているんだ」

「おー。おー。言うね。基本の真・即・理もできないのに」

「ちくしょう!」

「あははは。あるがまま。なるようにしかならないの」

「幽霊の君に言われなくても、そんな事は分かってるよ。絶対に成仏させるから!」

「はい。はい。期待しないで待ってます! じゃ、今日はこのぐらいで」

今日は、終始、トーコのペースで、除霊すらできなかった。
本当に、こんなんで、彼女を成仏させられるのか。
僕の頭痛は激しくなった。

「彼女は、一体、なにが心残りで、この世にとどまっているんだ?」

僕の中で、また答えのでない問いが浮かんでいた。
そして、また霊能力の修業へと赴いた。
彼女を成仏させる為に……。

第三話、僕の責任、了。

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【 努力と根性、忍耐 】

「母さん、これ、良くない?」

息子が、雑誌の裏の広告を指さし、言う。
その広告は、英語を聞き流すだけで、英語力がアップするというモノだった。
確かに、私の息子は英語が嫌いで、嫌いだけあって苦手な子だ。

しかし!
聞き流すだけでなんて、あり得ない!
人間は努力する事によって、進化するのだと思っている。

「ダメよ。そんなもの。きちんと勉強しなさい」

「うへっ」

私の息子は、恨めしそうに私を見つめる。
でも、ダメなモノはダメだ。
毅然と睨み付ける。

≪ピーンポン≫

玄関前のチャイムが鳴った。
と、誰か来たようだ。
誰?

「宅配便です。小田原陽子(おだわら ようこ)さま宛てにお届け物です」

宅配便か……。
そういえば頼んであったんだ。
飲むだけで、一ヶ月で、十キロはやせるサプリメントを。

「はーい。今、出ます」

うふふふ。
一ヶ月後が楽しみだわ。

「……母さん。人間は努力して進化するんだよ」

と、息子が言ったとか、言わなかったとか。

ぎゃっふん。

努力と根性、忍耐、了。

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【 悪魔ちゃんと天使くん、~ その四十、神の視座 】

「……そういえば、お前ら、神(オヤジ)のヤツから聞いてるか?」

ロキは、沈みかけた月を見上げ、言った。
夜の国の空が白みだし、街が眠る時間が訪れ始めていた。
ロキは、あくびをする。
朝は眠いと。

「?」

サドクと涅槃の二人は、ロキの突然の言葉に不思議そうに首を傾げた。
ロキは、おもむろに真剣な眼差しになり、言葉を続ける。
今一度、二人をはかるように。

「神が言ったんだ。俺たち六道の王が、お前らを認めたら、心力をやれとな」

「心力?」

サドクが不思議そうにロキに答える。
心力とは一体、なんだろう。
彼は疑問に思った。

「ああ。心力だ。心の力と書いて心力(しんりょく)と読む」

そこに涅槃が口をはさむ。
彼女が知りうる心力とは、精神力という意味でしかなかったのだから。
彼女も当然、サドクと一緒で、不思議に思ったのだろう。

「またギャンブル関連の話? こりごりよ」

心力とは、辞書によると心の動き、心の力、精神力という意味がある。
そして彼女は精神力という言葉を曲解したのだろう。
だからギャンブル関連と……。

「いや、違うな」

サドクが、右の口の端をククッと上げ言う。
彼女は、そんな彼を見て、コイツ、絶対に変な事を考えているなと思った。
下らない事を考えていると。

「ロキよ。心力ってアレだろ?」

「おっ。サドク、お前は心力を知っているのか?」

「おおともよ」

サドクが、わざとらしく咳払いをして胸をはり、拳で胸をゴリラのように叩く。
今の彼は、あからさまに怪しい。

「……お前、本当に知ってるのか? 下らない事を言うなよ」

ロキは、サドクの下らないギャグを察知したのだろう。
やれやれだという表情で彼を見つめ告げた。
焦るサドク。

「心力ってアレだろ?」

「アレ?」

「心の力と書いて、心力と読むアレだ」

「それ、俺が言った事だからな」

「アレに決まってんじゃんか。アレはアレだし。アレはアレだよな? 涅槃」

サドクは、ロキに先制され、下らない事を言えなくなり、誤魔化す。
対して涅槃は目をつり上げ、牙を生やしつつ、彼に答える。
その背には蒼白いオーラをまとって。

「サドク。下らない事を言おうと思って、失敗したんでしょ?」

「失敗? なんの話だ?」

「だから、素直に吐きなさい。どうなの?」

彼女は生やした鋭い牙をガチン、ガチンと噛み合わせ彼に告げる。
素直に吐かないと噛みつくよと脅しつつ。
追い詰められるサドク。

「……はい。涅槃さん、しぃません」

すいませんと素直に言わないところが、いかにも彼らしい。
しかし、対する涅槃も、彼女らしく答える。
更に彼を追い詰めるように。

「返事は、きちっと。しぃませんじゃなくて、きちんとすいませんと言いなさい」

「あははは。本当に見てて飽きない二人だな。お前らは」

「ロキ。笑うなよ。お前が変な事を言うから……」

「すみませんは? サドク」

ロキも相変わらすだが、サドクと涅槃も相変わらずであった。
それは、すなわち日常に戻ったという事であった。
ギャンブルの地獄から平和な日常へと。

「そろそろ話を心力に戻そうぜ」

ロキが言う。
サドクは、涅槃に泣かされ、半べそをかきつつ、ロキを恨めしそうに見つめた。
そうの間も涅槃の蒼白いオーラはイキオイを増していた。

「そうよ。サドク、真面目に!」

「あい」

「心力とはな。神と魔王から六道の王に与えられた力の事を言うんだ」

ロキの右目の端が光った。
今、彼は、二人にとても大事な事を告げているのだと。
しかし……。

「新緑ぅぅ! 爽健美茶ぁぁぁ!!」

サドクが、そう言うのが早いか、それとも涅槃のソレが早いかのタイミングで。

「死ねッ!」

と、彼女の裏拳が、彼の顔面を捉える。
メコっと彼の顔面が歪む。
鼻血が垂れる。

「あははは。ま、本当に、この二人は絶妙なコンビだな」

ロキはあっぱれと豪快に笑う。
不敗伝説までを持ち、そして、夜の国の王、ロキが。
それほどまでに、ロキはサドクと涅槃の二人を認め、好きになったようだ。

(というかさ。俺、ヘルメス・ディ・カイトなんだけど。涅槃の師匠なんだけど)

「ふふふっ。サドク、知ってるぜ?」

(ドキッ!)

「サドク、お前、アレなんだろう? ヘル……」

「メット! ヘルメット!」

サドクは慌てて、ロキの言葉をさえぎって下らない事を言う。
いや、今、ここで彼がヘルメス・ディ・カイトである事を告げても問題がない。
むしろ告げるべきなのかもしれない。

しかし恥ずかしかったのだ。

なぜならヘルメス・ディ・カイトは、涅槃の初恋の人物であったのだから。

そして、言い出せないままに、ここまできた。
今さら、どんな顔をして、涅槃に、この事実を告げればいいのか。
言いそびれたがゆえに。

「ロキさん。そのお話は、どうかご内密に。四露死苦」

ロキに小声で告げる、サドク。
また面白いと笑顔を浮かべ、そして、了解したとサドクに応える。
クスッとイタズラっぽい笑顔を涅槃におくりつつ。

「なんなのよ。二人して。気持ち悪い」

蚊帳の外で、不満な彼女。
そして合理主義者な彼女らしく、話が進まないのが気に入らないらしい。
彼女は毅然として、ロキに厳しい口調で告げる。

「心力の話でしょ? さっさとしてよ」

「あははは。すまん。すまん」

「心力ってなによ?」

「さっきも言ったが、心力とは神と魔王によって六道の王が受け取る力だ」

やっと本題に戻り、涅槃は、ほんの少しだけ機嫌が回復した。
しかし、サドクは気恥ずかしさからか、小さくなってかしこまっていた。
すべったギャグと初恋というワードに。

「俺は天使だからな神から受け取った心力を持っている」

「そう。悪魔だったら魔王というわけね? 悪魔とか天使とか信じないけどね」

「またそれか。ま、でも察しがいいな」

スズメが鳴き始めた。
完全に夜は明け、地平線から太陽が顔を出していた。
夜の国が眠る時間帯がおとずれたのだ。

「俺の心力は真実を見抜く目。絶対的な公正。すなわち神の視座を持っているんだ」

「か、……神の視座!?」

「ああ。俺の前では悪も正義も絶対なんだよ」

「なんだよ。涅槃。そんなに凄い事なのか。その神の視座ってヤツは?」

ロキは、そういう懐の深いサドクを見つめ微笑んだ。
知らなくていい事は、極力、知らなくてもいいんだと語るが如く。
そして、涅槃は言葉を失った。

神の視座。

それは彼女を黙らせるだけの力であったのだから。
それでもロキは笑っているだけだった。
ゆったりと。

~ その四十、神の視座、了。

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【 ガリガリくんの季節 】

アイスを食いながら、何気なく宝くじの当選番号を調べた。
当たってるわけないけど、当選番号を調べる、この瞬間はワクワクする。
当たってたらどうしようと。
いや、ないない。

でも、どうしても頭の片隅に当たってたらと。

……って、マジ!

マジで!

当たってる!

「どうしたの。当たった?」

「ああ。当たった」

「ふん。どうせ。三百円でしょ?」

「夢がないな。違うよ。三百円じゃないよ」

「だったら三千円」

「違うよ」

「そうなの!? もしかして、十万円が当たったとか?」

「だから、違うよ。十万円でもないよ」

「まさか!」

「うん」

「まさか、一等の六億円じゃ……じゃないよね?」

僕の目の前にいる彼女はツバを飲み込み青い顔で、手が震えている。
彼女は、僕が、一等をひき当てたと思ったのだろう。
僕は彼女に答える。

「うん。違う。そんなわけない」

「ガクッ。でも、安心した。……っていうより、一体、いくら当たったわけ?」

「だから、アイス。アイスが当たったの。もう一本ね」

「……死ねッ!」

ガリガリくんの季節、了。

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【 悪魔化するのだ! 】

…――女は年をとると悪魔になる。

これは、社団法人、人間観察研究所の所長である私の持論である。
もちろん悪魔といってもファンタジーの類の話ではない。

よく、女の方が怒る姿から鬼と表現される。

ツノが生えるという表現だ。
そういった類の怖いから悪魔というわけでもない。

正真正銘の悪魔。

そういえば、四草めぐるという物書きが書くお話の主人公も悪魔だった気がする。
どうでもいい話だが、そういった類の話でもない。
悪魔、デーモンとなるのだ。

今日、出会った検体も見事に悪魔化していて、その悪魔っぷりに妙に感心した。

そう。
女は、年をとば、とるほど悪魔へと変貌していく。
すっぴんの原型が分からないほど、厚化粧をして悪魔となるのだ。

すなわちデーモン小暮へと。

今風にいうとゴールデンボンバーのダルビッシュと言ったところか。

これにて私の研究報告を終える。
では、では。
草々。

悪魔化するのだ! 、了。

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【 そういうモノだ 】

ついにゴールデンウィークがきた! 11連休だ。やる事がなくヒマなんだけどね。

そういうモノだ、了。

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四草めぐる

Author:四草めぐる
将来、月に移住したいと思う今日この頃。現実的には一歩、一歩、着実に。基本を大事に。

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