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では、▼以下より、私の世界をお楽しみ下さい。
     

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【 信じるマン、第三十五話、帝王と低脳 】

「アイヤー。これを忘れていたアル」

キム・キムが素っ頓狂な声をあげ、グリーンにあるモノを見せた。
なにかのスイッチみたいなモノで、例によってドクロマークが書いてあった。
彼女、お得意のアレだな。

「変なヤツだけど、コイツはグリーンとして改造したアル」

「うむ。余はグリーンというモノではない」

「王アルか?」

「そうだ。余は王なり」

「その王様に質問アル。このスイッチはなにアルかね。ヨロシ?」

キム・キムよ。
今は、お前のその卑劣さが、とても頼もしい。
どうせ、そのスイッチは、自爆ボタンとかいった類のモノだろ?

「ポチッとな」

キム・キムが、スイッチを押しつつ、グリーンに言った。
って、グリーンの頭、凄い事になってるし!
どうなっているのか?

頭が風船の様に膨張して、まるで宇宙人のグレーよろしくな感じになっていた。

このままでは、グリーンの頭が破裂してしまうぞ。
グリーンは苦しそうに彼女に告げる。
うめき声で。

「……余は王なり。余を苦しめるのは、すなわち天下国家に背く事なのだぞ」

「知らないアルよ。お前みたいな変なヤツは死ぬアル。ヨロシ?」

本当に俺は、キム・キムの精神構造が知りたかった。
王に対しても、普段と変わらない彼女。
本当に頼もしいと思った。
今は。

「こんな粗悪品、燃えないゴミで充分アル」

「グゥグゥグッ……」

そこでイエローが、パッと飛び出て、キム・キムの腕を蹴った。
イエロー、お前は、一体、なにを考えているんだ?
王の支配から解放されたくないのか?

「王よ。俺が、さすらいのジョーこと、イエローだ! 以後、お見知りおきを」

蹴られた衝撃で、キム・キムは手からぽろっとスイッチを落とす。
どうやらイエローは、王に恭順する事を選んだらしい。
今の助け船は手土産といったところか。

というか、さすらいのジョーって、フレーズ、かなり久しぶりに聞いたな。

作者のヤツ、とうの昔に忘れていたと思ってたぜ。

スイッチが押せなくなった事で、王の頭はしおしおとしぼんでいった。
そんな王を見たイエローは、念を押すように言った。
またあの話を。

「次はプラチナ便器をよろしく」

と。
そして、キム・キムを見下す、グリーンこと王。
ちょっと待て。確かに王の存在は、俺たちにとって面倒くさいモノだ。

しかし、自己中、鬼畜女の諸悪の根源、キム・キムと比べれば。

そうなのだ。
このまま信じるマン全員で襲いかかって、ヤツの息の根を止めれば。
もちろん王の下、静粛という名目でだ。

大義名分を得た思いがした。

だからイエローも王に恭順する事を選んだのかもしれない。
いかにも、現実主義なイエローらしいかった。
よし。やるぞ!

「そこの女よ。そちの能力を所望する」

王は、ピンクを見て、荘厳な声で彼女に命令する。
そうなのだ。王は万全を期した。
ピンクの能力……。

俺たちの殺意を煽る能力で、キム・キムを完全に追い詰めようとしたのだ。

さすが王!
俺は、いつしか王に心酔し、彼に忠誠を誓った。
なんだか、事大主義者のような俺だが、俺は一般人なのだ。

強いモノは強いのだ。

そして今の世は君主制だとか、民主主義だとか、この際、どうでもいい。
諸悪の根源であるキム・キムを倒せるならば……。
倒せるならば、そちらに付く。

頑張れ! 王よ!

「というか本当に面倒くさいヤツをグリーンに選んちまったアルよ。死ぬヨロシ!」

それでも、まったく引かないキム・キム。
キム・キム信奉者であるブルーやピンクの二人も今や王の下に集っている。
いわずもがな今やイエローだって、王の命令に忠順な存在だ。
俺も、混乱に乗じて……。

キム・キムの首をとってやろうと考えていた。

彼女にとってプラス材料は、一切、ない。

それでも、キム・キムはまったく動じない。その自信の根拠はなんなんだ?
俺の時のようにスイッチをたくさん用意しているのか?
いや、彼女の凶悪さは、それ以上だった。

「はぁ~い。グリーン、これはなにアルかな?」

次は青いボタンを取り出した。
しかし、押そうとはせず、床に放り投げた。
そして、マジックを披露しているマジシャンのように次々とボタンを取り出す。

虹色のボタンから、赤、そして、琥珀色のボタンなど様々なボタンを。

それら全部を床にぶちまけた。
彼女は、一体、なにをやりたいんだ? 分からない。
そして、キム・キムは手始めに近くにある瑠璃色のボタンを踏む。

途端、王の体がノミのように小さくなる。

ミニサイズの王。

キム・キムが瑠璃色のボタンから足をのけて、ふんぞり返る。
彼女がなにを言いたいのか、大体、分かる。
そうなのだ。

床にぶちまけたボタンは、すべて王を追い詰める為の地雷なのだ。

もちろん俺たちも動けば、地雷に足をかけてしまい、王を苦しめる事となる。
彼女は、俺たちが、うかつに動けない状況を作ったのだ。
彼女の計算は、王の計算を上回っていた。

「グリーン、潔く降伏するアル?」

というか、どんだけ非人道的な改造を施したのだ。
セーフティー機能が、俺たちとは違って、一つではなく、たくさんとは。
お前、本当に悪魔だな。

しかも可愛いだけに始末が悪い。

「余は王なり」

「だったら私は、帝王アルよ。ヨロシ?」

確かに帝王だな。
キム・キム、お前はな。独裁者という名の帝王だな。
でも、この場合、どちらが上なのか。

王と帝王。

「マコっち、難しい事を考えるなアル。脳がショートするアルよ?」

くそッ。
帝王よ。俺が低脳だとでもいうつもりか!
王と帝王と低脳。

くそッ。

悔しいが語呂がいい。

これでも難しい本を読んで、それなりに賢くなったつもりなんだよ。
少なくともシリアルキラーの怪人27号よりは……。

止めよう。

空しくて、悲しいから。

「なんと、そちは帝王であったか。諸王を統べる帝王」

ちょっと!
ちょっと、ちょっと、王よ。王よぉぉ!
待っちくり、王より、帝王の方が位が上とでもいうの? 王よ!

「そうアル。ついでに皇帝も兼ねているアル。ヨロシ?」

口からでまかせ!
間違いなく、口からでまかせだから。
グリーンよ。生まれついての王なんだから、それ位、分かろうよ。

「なんと皇帝陛下でもあったのか。それは失礼つかまつった」

失礼じゃないから。
全然、失礼じゃないから。むしろ、ヤツを殺して。もしくは俺を殺して!
王よ。頼むから。俺たち協力するから。

「で、お前は王で、グリーンアル」

「うぬぬ。帝王であり、皇帝陛下の言う事であれば、従うしかないな」

だから、でまかせだって。
口から生まれてきたのが、キム・キムだから。
従わなくていいから。頼むから、みんなで諸悪の根源、キム・キムを倒そうよ。

「分かればいいアル」

いやぁぁぁ。
なんで、そうなるの?
コント55号の萩本欽一こと欽ちゃん。

「よかったアル。グリーンが話の分かる王であって。粛正せずにすんだアル」

いや、俺の予定では、俺たちがキム・キムを粛正する予定で。
もう、嫌。本当になんでそうなるの?
とにかく、もう嫌。

そんなわけで俺たち信じるマンは、すべての狂戦士(ファイター)が揃った。

マコっちこと、一般人代表のレッド!

シリアルキラーで元怪人の怪人27号こと、ブルー!

最近、カレーが好きになった二重人格のネコこと、イエロー!

影で陰謀を張り巡らせ殺意を操る桃軍師こと、ピンク!

最後は、生まれついての王であり、実際には資産家の息子のグリーン!

この五人で、信じるマンは固まった。
そして、この先、この五人で、巨悪を倒すつもりだ。
もちろん巨悪とは……。

マッドサイエンティストのキム・キムの事だ。

少なくとも俺は、そう思っている。
間違っても、ミン・ミン一派の信じるマンたちではないと言っておこう。
大声で。

キム・キムは、ミン・ミンと戦いたいらしいが……。

それは、ナオっちと敵対する事で。
俺としては、王の命令であろうと、帝王の命令であろうと、受け入れがたい。
もちろん皇帝の命令であっても、絶対に譲れないのだ。

「ケッ。低脳がよくいうアルよ。黙って従っていればいいアル」

と、キム・キムが言った。
もしもし? 低脳って、もしかして俺の事ッスか?

「決して誰とは言わないアル。低脳さん?」

くそッ!
それが、答えだった。

第三十五話、帝王と低脳、了。

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【 信じるマン、第三十四話、王 】

「イエローしゃん。あとは頼んだでしゅ。野望のために」

怪人27号が消え入りそうな声で言う。
というか、お前、さっきイエローをバラバラに分解したばかりだろうが。
どの口がいうんだ。

イエローにモノを頼むなんて。

「よし。ブルー。あとは任せておけ。我らが野望の為に!」

そこ。
シリアルキラーの怪人27号の口車に乗らない。
もう、さっきから頭痛が激しい。

「お前らのプラチナ風呂計画は、余の目が黒い内は許さん!」

いや、プラチナ風呂の話は、終わったって。
というか、お前が、あの資産家の息子、二人を使って出来たグリーンか!
俺はキム・キムを見る。

キム・キムは、意気揚々とチェーンソーを振りかぶっていた。

「そんなに簡単に私を殺れると思ったアルか?」

そうだ。
イエローを復活させた時も超一瞬だった。
だから、グリーンを造る事も、彼女にとってはさほど問題ではなかったのだろう。

というか。
グリーンは、王様気取りの坊ちゃんか?
確かに生まれは、資産家の息子だから、それもありっちゃありだけど。
しかし、坊ちゃんだと思ったのは、大きな間違いであった。

「スター・プラチナ!」

イエローが、カレーを周囲にまき散らしながら叫ぶ。
だから食うか、しゃべるかどっちかにしろ。
あまつさえ叫ぶな!
汚いから。

しかし、いまだピンクの殺意を煽る笑い声は、有効なのだ。

俺たち四人は、たった今、完成したグリーンを前に、まったく引く事がなかった。
キム・キムを確実に追い詰め、そしてグリーンを倒さんとしていた。
しかし!

「恐れおろ! ひれ伏せ、平民どもよ」

グリーンが、そう一喝すると不思議と頭を垂れてしまった。
なんなんだ、この圧倒的な威圧感は。
これがグリーン。

王。

そういう表現が、ピッタリで、俺たちは不覚にも平伏してしまった。
キム・キムは、王の裏に隠れ、ニンマリとほくそ笑んでいた。
しかし、生まれが違うと、ここまで違うものなのか。

グリーンは、生まれながらの王であった。

それが、キム・キムの改造手術でパワーアップしたのだ。
見た目は、間違いなくボンボンのそれであり、いまだ幼い感じがするのだが。
中身は、完全に王そのもの。しかも二人分のオラ―をまとっている。
キム・キムの計算は、俺たちを上回った。

すなわちグリーンを盾に俺たちを懐柔するつもりだ。

ちくしょう。
王なんて、俺は許さないぞ。
今は、君主制の世の中ではなく、民主主義の世の中なんだから。

「無駄だ。平民ども。余には決して逆らえん」

グリーンが横柄に告げる。
それは、まさに王のそれであり、俺たちへの警告であった。
それでも俺は、王の言う事など、はね除けるようになんとか、頭を上げる。

そうなんだ。

グリーンの見た目は、優男の坊ちゃん。

その事実を目に入れれば、この威圧から逃れられるかもしれない。
しかし俺が王に反抗するように行動すると。
さらにプレッシャーが加えられる。

「頭(ず)が高い」

その圧倒的な威圧感は、それこそ今まで生きてきて体験した事のないモノだった。
本当にグリーンは、優男の坊ちゃんなのだろうか。
その事実すら、疑いを持ってしまう。

「というかだな。俺はプラチナ風呂の為に革命を起こす!」

イエローが、一気に頭を上げた。
ていうか、まだその話を引っ張るのか、イエローよ。
革命。

レボリューション。

……ノートに書き留めた言葉。

また危険な香りがする言葉を選んだな。
一般社団法人日本音楽著作権協会から苦情がきそうなワードだ。
JASRACね。

「スター・プラチナ!」

いや、漫画の著作権協会からも苦情がきてもおかしくないんだけど。
というか、マジ、マジですか? イエロー?
そう。なんと……。

イエローが、背後霊を出した。

もう、本当に大丈夫?
背後霊だからって、そのままんまだし、やばくないの?
一応、賞にも応募しているんでしょ?

さっきからずっと作者の都合ばかり考えて、円形脱毛症で頭が禿げそうだ。

「テメェは、俺を怒らせた」

トドメ!
それは、トドメだって。
イエロー、暴走するのは今度にして、今は柔らかく穏和に事を済ませようよ。

「……余は、誰にも屈しぬ。余の得意技も見せてやろうか?」

イエローの背後霊に対して、グリーンが言う。
それは、イエローにとって絶望的な宣言であり、作者にとっても絶望的だった。
王は、ゆったりと構えた。

「ザ・ワールド」

もう嫌。
それだけは、本当に作者、首つるから。
それ位しないと、謝罪の意を伝える事ができないから。

あと二次創作だと間違われそうだけど、この話は信じるマンというオリジナルです。

というか。
背後霊なんか出して、一体、どうするつもりなの? 二人とも。
とりあえず、面白そうな事を書いて、あとは野となれ、山となれの作者らしい。

あ、あと最近、タバコの数が増えたらしい。

って、なんの話だ。
怪人27号とピンクは、ひれ伏している。
そして、さっきから作者の心配ばかりしている俺はというと。

情けない事にグリーンには勝てないと心が折れていた。

だから今はイエローしかいないんだ。
そんな背後霊なんか出して、俺たちのピンチを救う事が出来るのか。
しかも、何気にマジ、苦情がきたら、どうするつもりだ?

作者よ……。

と。
イエローの背後霊とグリーンの背後霊が対峙した。
そして、周りの空気を重くして、イエローが革命を起こそうとしていた。

「はい。はい。そこまでアル」

キム・キムが、両手を顔の前で叩きつつ言った。
しかしグリーンは、彼女をチラッと一瞥し、そして言い放った。
余は誰にも従わぬと。

「そちは誰じゃ。余は王なり。ひれ伏せ」

そう。
グリーンはキム・キムの意に反し、グリーンである事を拒否したのだ。
つまり、自分は信じるマンではないと言ったのだ。

俺は力を込めて、顔を上げた。

そこには……。
変身はおろか、中学生位の少年がいた。
しかも、育ちが良さそうで、腕っ節は弱そうな少年が。
それでも彼は、言い放った。

「余に何度も同じ事を言わせるな。余は誰にも従わぬ。娘よ。ひれ伏せ」

「どうやら失敗アルな。変なヤツを選んじまったアルよ」

キム・キムが悪態をつく。
というか、キム・キムよ。まず、お前の精神構造を知りたい。
見た目はアレだが、間違いなく支配者たる王が、目の前にいるんだぞ。

「で、王よ」

おろ?
イエロー、まだやってたの。革命。
俺はイエローの言う革命が失敗に終わったと思ってた。

「背後霊の出し方、分かったか。プラチナ風呂の方はヨロシクだ」

「うむ。充分に分かったぞよ。よきにはからえ」

「イェーイ! プラチナ!」

って。
革命って、その気にさせる為の詭弁か!
で、背後霊の出し方を教えて、王にプラチナ風呂を買ってもらう算段だったのか。

怪人27号たちが言っていた野望とは、そういう事だったのか。

とか感心している場合じゃない。
とにかく、キム・キムは変なヤツを選んでしまったと言っていたし。
グリーン自体、信じるマンになる事を拒否したが……。

一応、これで、信じるマン、すべてが揃ってしまったわけだ。

遂に俺が恐れていた事態になってしまったのだ。

このあとグリーンが、どうでるか。
そして、信じるマンがすべて揃って、一体、なにを目的に活動するのか。
それはキム・キムだけが知る未来なのだろうと思った。

あ。
俺たち信じるマンが、すべて出揃った数日後……。
プラチナ風呂がヒーロー製作研究所に運ばれてきたのは言うまでもなかったが。

「イェーイ! プラチナ!!」

第三十四話、王、了。

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【 日本 】

中国人のヤン。
彼は今、生まれ故郷の中国から飛行機で、日本に買い物に来ていた。
そう。中国では、日本の電化製品が大人気なのだ。

壊れない。安全と。

確かに中国で買うよりは、少々、高くつく。
しかし、それでも中国では日本製の堅牢性や安全性能は、高く評価されている。
ヤンは、日本の秋葉原でデジタル家電を買いあさった。

切りのいいところで、疲れを癒す為に自販機で、お茶を買って一服。

「ぷはぁ~。このお茶、美味いアルな」

まるでビールを飲むようなヤンの右手には……、ウーロン茶。

「なんていうお茶アル?」

福建省産のウーロン茶があった。
そして、この時のヤンは知るよしもないが……。
彼が日本で買ったデジタル家電はすべて、メイドイン、チャイナ。

お後がよろしいようで。

くわっ。

日本、了。

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【 焼き肉屋という名の店 】

俺は街で信じられない看板を見た。

食い放題、お一人様、五百円という看板の焼き肉屋を見つけたのだ。

なんと、この焼き肉屋、一人、五百円で食い放題なのだ。
確かにこの食い放題に制限時間はある。
しかし二時間だ。

二時間もあれば、少なくとも焼き肉を、お腹いっぱいに食う事はできるだろう。

しかも、看板をよく読むと、飲み放題もついてくるらしいのだ。
その一人、五百円という代金を払うとだ。
まさか安い肉じゃあるまいな。

いや、安い肉でも、五百円は破格だとは思うが……。

それでも、安い肉は美味しくないから、五百円でも高いのかもしれない。
しかし、その問題も看板をよく読むと解決され、俺は驚いた。
そう。

厳選した国産のモノを使っていますと。

そう書いてあったのだ。
これは、もう、五百円位だったら損をしてもいいからチャレンジする価値がある。
俺は、そう思い、思い切って、のれんをくぐり、店に入った。

「いらっしゃいませ。お一人様ですか?」

「ああ。食い放題のコースで、すぐに食べられるかな?」

「大丈夫ですよ」

俺と店員は、そういう会話をして、席に案内され、俺は席につく。
店の中を見渡すと、客は満杯に賑わっていた。
だって、食い放題で五百円だからな。

メニューが配られる。



「ていうか、ここ、食べ物、ご飯のみ。飲み物、水のみですか?」

「はい。厳選した国産の米と水のみを使っています」

「いや、そういう問題じゃなくて……」

*****

……他の客「アイツも騙されたな。一応、俺は五百円以上、ご飯をおかわりたがな」

焼き肉屋という名の店、了。

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【 サトウ 】

俺は砂島(すなじま)。
俺は今、運悪く、薄気味の悪いヤツと同室の二人部屋で入院している。
まるで死んでいるような錯覚さえ起こさせるヤツと。

ヤツの名をサトウという。

だが、サトウというヤツは根暗だ。
いつも無表情で、時折、こちらを見て、にたぁ~と不気味な笑みを浮かべている。
サトウは、血の気がなくて、どことなく死人のように見えて気味が悪い。

しゃべらないし、まったく動こうとしない。

サトウは、かなり昔から、この病院に入院しているらしい。

隣の病室のミツウラというオッちゃんから聞いた。
しかも医者や看護士が来ると、また無表情になって、ジッと黙っている。
まるで植物人間。

大体、俺の方を見て笑う時は、俺と二人っきりの時だけだ。

サトウのヤツは、俺以外の人間に自分は植物人間だとアピールしたいのだろうか。

はからずも、そう思ってしまう。
サトウの体と無数に繋げられた点滴が、また植物人間感を煽っている。
もちろん、サトウにお見舞いの類の人間は見た事がない。

いや。

もう、サトウの事を考えるのは止めよう。

俺は、もうすぐ退院なのだ。
そうしたら忙しい日常に追われ、サトウの事も忘れるだろう。
サトウと俺の関係は入院している今だけだからだ。

「ウフフッ。君は、僕の事を忘れたくても、決して忘れられませんよ」

……!
しゃべった事のないサトウがしゃべった。
もちろん、今、この病室にいるのは、サトウと俺の二人だけ。

「君は、隣の病室に入院しているミツウラというオジさんを知っていますよね?」

今の今まで、サトウはしゃべれないと思っていた。
そのサトウがしゃべったのだ。
絶句した。

いや、俺は絶句せざるを得なかった。

サトウの発した声は、この世のモノだとは、到底、思えないモノだったからだ。
まるで奈落の底から湧上がる悪意、そのモノだと感じた。
俺は、思わず、身震いがした。

「ミツウラさん、あの人は、幽霊を見る事ができる人なんですよ」

幽霊?

「で、君の名前は砂島(すなじま)くんですよね?」

そう。
俺の名前は砂島。
それは間違いがない。だから、どうした?

「砂島。つまり、サ・ト・ウ」

……!
砂島とサトウ。
そう。俺の名前は砂島。つまり、サトウとも読める。

「そして、僕は植物人間なんです」

そうか。
やっぱり、サトウは植物人間だったのか。
いや、でも、じゃ、なぜ俺にだけ、笑いかけたり、しゃべったりできるんだ?

「君は、僕なんです。……そう。君は幽霊なんですよ。僕のね」

またサトウが、あの気味の悪いうすら笑みを浮かべた。
にたぁ~とべたつくような笑みを。

サトウ。

……そして、砂島。

幽霊。すべてを知ってしまった俺は、唯々、絶望するしかなかった。
夕暮れの斜光が、辺りの影を退けるよう病室に差込む。
まるで影の俺を消し去るように。

サトウの幽霊という影の俺を消し去るように……。

サトウ、了。

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【 まーくんよ、世界を酔わせ! 】

「みんな。いいか? 俺のウソに騙されるなよ?」

…――俺は詐欺師。

いや、自分で自分の事を詐欺師というのは、いささか詐欺師として間抜けだが。
それでも、俺自身は俺は、それなりの詐欺師だと思っている。

つい最近も結婚詐欺を働いた。

しかも、騙された相手は、いまだに騙された事実に気づいていないのだ。

詐欺師とは、如何にウソを信じ込ませるか、それに尽きる。
つまり、相手に最後まで騙された事に気づかせない事が大事なんだと思っている。
詐欺師の極みは、ウソを本当にする事である。
そう思っている。

そして、今、俺は、大きなヤマを踏もうと思っている。

でっかい相手に詐欺を働こうと思っているのだ。

フフフッ。
なにをする気かって?
壮大な計画だ。ビックリするなよ。

「まーくん。ほら。一人言、言っていないで。ほら。ほら。小学校に行く時間よ」

「ママ。お腹が痛い。学校休む。マジ、痛いし」

「ウソつかないで。ほら。お迎えが来たし。さっさと行ってきなさい」

「お腹が痛いし! 死にそうだし!」

「ほら。ほら」

……そう。
結婚詐欺とは、オママゴトでだ。
もう、十五人以上は、俺の手のひらで踊ったぜ?

だっつうの。四露死苦!

Da2No!

まーくんよ、世界を酔わせ! 、了。

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【 信じるマン、第三十三話、ギャグですよね? 】

「つまり、こういう事ででしゅ」

怪人27号が、得意げに説明を始めた。
彼が、グリーン候補生にわざと負けた理由を雄弁に語り出したのだ。
彼の目は、血走り、狂気を宿した真っ赤な目をしていた。

怖いよ~…。

「キム・キムしゃんがグリーン候補生を絞る為の手伝いをしたのでしゅよ」

さすがキム・キム信奉者だけはある。
グリーンを一人に絞る組み手で、わざと負けて、グリーン候補生を絞ったのだな。
そして、グリーン候補生が絞られたら、迷わず、殺す。

それはキム・キムの手を煩わす事なく、グリーン候補生の二人を解体すると。

そういうわけだな。

マグロの解体ショーさながらに。

でも、怪人27号は本当にそれだけの理由で、わざと負けたのか。
まだなにか重要な事象を見落としているような気がするのは俺だけではないはず。
いや、それだけだったら安直すぎじゃないか。

作者の適当が露呈するぞ。

ただ実際的にはグリーン候補生どころか、イエローまで解体されてしまっている。
怪人27号の凶悪性が、充分に発揮されてはいるが。
本当にそれだけの理由なのか。

「クククッ。それは表向きの理由でしゅ」

ほら。
やっぱり、ブルーには、それ以上の理由があるんだろ。
じゃないとつまらないお話になる。

いや、つまらないの前に信じるマンが面白いお話なのかといういうと……。

疑問符が付くが、それでも作者は必死なんだぞ。
作者は作者なりに一生懸命、考えて、そして書いているんだと思う。
って、作者の都合はいい。

それより、シリアルキラーの怪人27号の話の方が重要だ。

「キム・キムしゃん暗殺計画の一部でしゅ」

って!
怪人27号、お前はキム・キム信奉者じゃなかったのか。
キム・キム暗殺計画の一部?

それは俺にとって、最大の朗報になるが。

しかし怪人27号こと信じるマンブルーは、今までキム・キムの忠君だったんだぞ。
それが、なんでキム・キムを暗殺する事になるんだ。
信じられない。

「それは実のところプラチナ風呂が関係しているのでござるな」

ピンクが、荘厳な声で言う。
いや、むしろ無駄に荘厳で、それがまた怖い。
頼むよ。

信じるマンはギャグなの。

分かってよ。

「復活! 信じるマンイエロー見参!」

バラバラにされた二匹のネコ、イエローがなぜか復活した。
いや、確かにギャグ小説だから、その流れもありだけど、なぜ復活したのだ。
そこは説明しないと。

「ぐほほほ。今の一瞬でイエローを改造したアル。ヨロシ?」

いや、ていうか、超一瞬だね。
その間にイエローをまた改造し復活させたわけ?
キム・キムよ?

ていうか、イエローが言っていた二匹のネコの結合って話、本当だったの?

そこら辺はイエロー自身の口から言いたい事があるらしい。
カレーを片手にまた荘厳に語り出した。
だから無駄に荘厳なの。

「二匹のネコという話は本当なんだ。だから俺は二重人格なのだよ。分るかね?」

分かるもなにも、そうかなとは思っていたけど。
まさか二匹のネコが、信じるマンイエローを形成していたなんて。
驚きの真実だ。

「信じるも、信じないも、あなた次第です」

イエローがアホな事を言う。
いや、信じるマンという題名で、信じるマンというヒーローなんだから信じるよ。
でも、確かに今までのイエローは二重人格だったかもな。

真面目な事を言い、そして煙に巻くイエロー。

そしてアホみたいな事をいうイエロー。

この二つが、信じるマンイエローを形作っていたのかもしれない。
そしてアホみたいなイエローは信じられなかった。
そういう事か。

やっと納得がいく答えがでた。

「というか、レッドよ。ブルーの話を忘れてないか。暗殺計画の話だ」

イエローが、カレーを食いながら重要な事を口にする。
いや、食べるか、話すかどっちかにして。
カレーの汁が飛ぶから。

汚ッ。

「アイヤー。怪人27号、私を裏切るのか?」

ていうか。
暗殺計画とか本人の前で言って、暗殺をする人はいません。
俺が思うに、また適当な作者が……ゲフッ。

と、そこまで俺が考えたら、神の強烈な一撃が俺の鳩尾を深々と捉えた。

「キム・キムしゃんには死んでもらいまちゅ。いいでちゅね?」

「うむ。拙者も手伝うでござる」

「おう。俺も手伝うぜ。このイエロー様に任せろ」

なに? なに?
なにやら物騒な話になってきたけどいいの?
しかも、キム・キムを暗殺するのにみんなが結託して、でも、なんだか嬉しい。

やっと、この自己中、鬼畜女から解放される時がきたのか。

でも、怪人27号とピンクよ。
どういう風の吹き回しだ。お前ら生粋のキム・キム信奉者だろうが。
でも、キム・キムを倒せるならば、俺も入れろ。

ただ……。

キム・キムも、怪人27号も怪しすぎる。

そう。
怪人27号は暗殺といいつつキム・キムに、バレバレの暗殺じゃない暗殺計画だし。
キム・キムはキム・キムで、どこかわざとらしい感じがする。

「アイヤー。マコっち、私を護るアル。ヨロシ?」

いや、お断りします。
もし暗殺計画が本当なら、俺はみんなと一緒に巨悪なお前を倒します。
少なくともイエローは本気だろうから。

変態ッ!

「あははは。騙されたアル。もういいアルよ。みんな」

俺が信じるマンレッドに変身した瞬間、キム・キムが大笑いし、みんなに告げる。
くそッ。これは、いつもキム・キム、お得意の煽りか。
確かに怪しかったんだ。

キム・キム信奉者の怪人27号が、キム・キムを暗殺するなんて。

キム・キムの態度もわざとらしかったしな。
くそッ。またか。また俺は騙されて変身してしまったのか。
しかし……。

みんなの目は、真っ赤で。

そう。
ピンクの戦意を煽る、あの能力で殺意バリバリで。
もしかして、みんな、キム・キムを裏切り、そして巨悪を倒す時がきたのか。

時は今。

天が下知る、五月哉。

俺の頭の中になぜか、あの有名な句が浮かんだ。
そう。遂に第六天魔王である悪の権化、キム・キムを倒す時が……。
倒す時がきたのだ。

信じるマン一同は、みんな、キム・キムを殺る気になっていた。

ナイス。ピンク。グッジョブ。

そしてみんなで取り囲み、ジリジリと巨悪、キム・キムを追い詰め始めた。
キム・キムもみんなの本気が分かったのか。
今度はマジに怖がりだした。

小刻みに震える彼女は、小動物に見えて可愛かった。

でも、可愛いからって騙されないぞ。
お前には、散々、騙されて、俺は、ここまできたんだからな。
ぶっ殺す!

「ふぅおほほほ。ひれ伏せ。平民ども。余を忘れたのが運の尽きだったな!」

そう。
この後に及んで、忘れてしまっていた事があったのだ。
せっかくの千載一遇のチャンスだったのに。

そう。あの事実を忘れていたのだ。

ちくしょう。
キム・キムを倒す最大のチャンスが、最悪の事態へと向かっていったのだ。
もうこの上ないほどの最悪の事態へと。

ちっくしょうォォォ!

俺の空しい叫びがヒーロー製作研究所内に響き渡った。

三十三話、ギャグですよね? 、了。

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【 永遠の大親友 】

…――発射寸前。
本番前。俺は、こんな事を言われた。

「ねぇ? 聞いてもいい?」

「なに?」

「私たちって、大親友だよね。これまでも、これからも」

大親友。
彼女の目は潤ん、きらめいている。

「大親友?」

「そう。大親友よ。私たちは永遠に友達だよね」

ていうか。
今更、それを言うのか。
確かに、普通は、そう言われたら嬉しいのだろうが。

だけどね。

俺たち、初Hの最中なの。

友達なの?
ていうか、付き合ってるって思っているのは俺だけだったのか。
彼女は、とても眩しい笑顔を俺に贈った。

永遠の大親友、了。

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【 通院 】

俺は毎日、病院に通っている。
俺が、この病院に通い始めて、今年の六月で、もう七年になるか。
時が経つのは、本当に早いと実感している。

七年前が懐かしい。

…――俺は盲腸で、この病院をおとずれた。
この病院とは、それからの縁だ。

なに?
盲腸の治療に七年もかからないだろうって。
七年も同じ病院に通うなんて、盲腸をキッカケにどんな持病が発見されたのかって。

いや、どこも悪くない。

持病などない。いたって健康だ。

分かったって?
家族の誰かが重い病気かかって、入院しているんだろうって?

……俺の家族、全員、健康で誰も入院などしていない。

加えて言えば、親戚縁者、みんな健康体だ。
それでも俺は、この病院に通う。
なぜなら。

「先生。無駄話してないで、次の患者さんが待ってます」

そう。

俺は、医者なのだ。

俺の盲腸の手術があまりに手際が良かった。
そして、職場の雰囲気も良いと感じたから、この病院に就職したのだ。
この病院は俺自身を生かしてくれそうな気がしたからだ。

さ。
次の患者さんが待っている。
思いふけるのは、ここまでにして仕事に戻るか。

ふぅ。

忙しい毎日の始まりだ。

通院、了。

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【 ヴィヴァ近代化 】

なに!
先進国である我が国に橋すら架かっていない川があるだと?
いまだに船で渡っているだと!

大問題だ。
すぐに橋を架けさせろ。
そして、電車を走らせ、国道を開通させるのだ。

すなわち近代化だ!

*****

……作者「これで死んでも安心だね。すぐに逝けるよw 対岸に」

ヴィヴァ近代化、了。

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【 キュートな幽霊、第二話、宝 】

…――五年前。

僕は小学生で、クラスのみんなにいじめられていた。
だけど、トーコがいじめっ子を撃退してくれていたから、ひどくはならなかった。
そして、いつものようにいじめられて、一人、公園で落ち込んでいた。

ブランコに揺られつつ。

「どうして、みんなは僕をいじめるんだろう」

鉄の錆び付いた音が、キィー、キィーときしみつつ、木霊する。
まるで僕の落ち込んだ心を現すように。
わびしい音だ。

「みんなは、僕の事が嫌いなのかな。はぁ~…、嫌だな」

ブランコのきしむ音は止まらない。
僕の落ち込む心も、どこまでも暗黒の闇へと吸い込まれていくようだ。
心が重くなった。

「はぁ~…。もう疲れたよ」

この時、どうしようもない虚無感に襲われ、疲れ果てていた。
どこか遠くに行って、消えたい気分だった。
それは……。

「よッ! 宗春ってば、なに暗い顔してんの?」

誰かが、僕の肩を叩く。
僕が考えてはいけない事を考えてしまった時、トーコが現われたのだ。
まるで太陽のように温かい笑顔をして。

「トーコ!?」

僕はトーコの顔を見て、安心する。
何度目だろう。それは分からない。僕は、何度もトーコのこの笑顔に救われていた。
そして今も。

「またいじめられたの? そんな顔をしてるけど?」

「……」

「本当に懲りないヤツらね。私が何度、制裁すれば気が済むわけよ」

トーコは、手を腰にあて、困った感情を表わす。
そして、ゆびをポキポキ鳴らす。
視線を右上に移し。

彼女は、やる気満々だ。

でも、今は、そんな事よりも聞きたい事がある。
そう。僕は、なんでいじめられるのか。
やっぱり嫌われているのか。

「トーコ。僕は、みんなに嫌われているのかな。なんでいじめられるの?」

「宗春。なに、情けない事、言ってんのよ。からかい半分よ」

「からかい半分?」

「そッ。人って自分より弱いモノをからかいたくなるもんなのよ。悪ふざけね」

「僕は弱いのかな。でも、どうすれば強くなれるの?」

僕は真剣な顔をしてトーコの目をのぞき込んだ。
トーコの頬が赤く染まって、そして、僕の視線をふりほどくように続ける。
まるで、自身の心を悟られるのが恥ずかしいといった感じで。

「強くなるには……か」

「うん」

「宗春。心に一つ、宝を持つのよ。これだけは絶対に譲れないという宝をさ」

「宝? それは、なんでもいいの?」

「うん。宝よ。なんでもいいのよ。ただし、絶対に譲れないモノをね」

「そっか。分かったよ。でも、トーコの宝ってなに?」

ぶほっと、トーコが吹き出す。
この時、僕は幼くて、トーコの態度の意味が分からなかったけど。
今だったら分かる。

トーコの宝は、きっと、この僕だったんだ。

だからこそ、余計に僕は幽霊になったトーコを成仏させるのが使命だと思っている。
だって、トーコの宝は僕で、きっと僕の事が好きだったんだ。
僕は、その心に応えなくてはならない。

だから彼女を成仏させる。

とにかく、そんなやり取りがあった日から僕は、心の中に一つの宝を持った。
それはトーコに言われた通り、決して譲れない宝を。
それからいじめはなくなった。

不思議だったんだけど、心に決して譲れない宝を持った日から僕は強くなったんだ。

だからトーコには、感謝しても、しきれないほどの恩がある。
もちろんトーコは可愛かったし、僕と気が合った。
だから、僕もどんどんトーコに惹かれた。

でも、皮肉な事に僕の心の中に持った宝は、トーコ自身じゃなかった。

確かにトーコが、僕の事を宝に思って、持ってくれた事は、すごく嬉しかった。
でも、僕は僕なりに考えて、心の中にしっかりとした宝を持った。
それは、僕にとって、とても大事なモノだった。

でも、じゃ……。

なぜ、トーコは、僕を宝としたのだろう。

それは更に数年さかのぼる。
僕とトーコが、初めて出会った日から数日後。
僕らは、二人で、かけっこをして、無邪気に遊んでいたのだ。

「よし。二丁目のコンビニまで競争ね。負けた方がジュースをおごるのよ」

「うん」

「うっし。ひ弱な宗春なんかには負けないわ!」

トーコは、やる気満々で、空を見上げ、僕に勝ち誇ったように言った。
またゆびをポキポキならしつつ、スタートを待った。
二人、同時に言う。

「うっし。よーい。どーん!」

案の定、トーコは僕の遙か先を駆けていく。
そして、ゴールである二丁目のコンビニまで、あっという間についた。
彼女は振り返り言う。

「私の勝ち! ジュース、おごりっ」

しかし、ここで僕は、まったくあきらめていなかった。
トーコが、二丁目のコンビニまで着いても、まったく足を止めず、走り続けた。
そして僕はコンビニを過ぎた。

それでも、僕は意地になって走り続けた。

彼女を置き去りにして、どんどんと先に走り続けた。

あ然とする彼女。
しかし、ニヤリと彼女の口の端があがり、面白いとほくそ笑む。
そう。僕が仕掛けた延長戦に彼女も乗ったのだ。

「うっし。宗春なんかには負けないわ」

僕らは、どこまでというのでもなく、ずっと走り続けたのだ。
そして、一時間以上、走り続けただろうか。
二人とも息があがっていた。

「ハァ。ハァ。宗春……む、ね、はる、宗春、なんかには負けない」

「ハァ。ハァ。絶対に負けないから」

僕の方も、すでに限界の限界を超えていて、死にそうだった。
流れ落ちる汗も半端なかった。
それでも走った。

遂に……。

遂にトーコが、根負けして、アスファルトの上に崩れ落ちた。

「負けたわ。疲れた~…」

なんと延長戦を経て、僕はトーコに勝ったのだ。
別にジュースの件は良かったのだが。
負けたくなかった。

ただ、それだけで、信じられない距離を走り抜き、彼女に勝ったのだ。

それから彼女は僕に一目を置くようになった。
そんな何気ない事だったのだが、彼女にとって、とても大きな事だったようなのだ。
だから彼女は僕を宝とした。

彼女の宝になれて、僕は誇りに思うよ。

でも、この話と除霊の話は、まったくの別の話だ。

僕は、彼女を成仏させる。

明朝の除霊に備え、僕は、また荒行にいそしみ、自分を高めた。
まるで他人事のように構える彼女を思い出しつつ。
明日こそは、成仏させると。

だって、僕の心の芯にある宝は……。

そうなんだ。
僕は、一人、静かにうなずき、修業へと身を費やした。

第二話、宝、了。

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【 ホワイトな硬派 】

今日はホワイトディーだ。

しかし俺は硬派だからホワイトディーなど関係ない。
なにか、お礼をするつもりは、一切ない。
俺にとって今日は普通の日だ。
いたって普通の日。

おっと。

でも、決して失礼なヤツじゃないぞ。

間違えるなよ。俺は硬派だ。

*****

……俺「ていうか、バレンタインディーにチョコ、一個ももらってないし」

ホワイトな硬派、了。

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【 逆行人間 】

科学が進んで、遂に天候なども人間が管理する世界がおとずれた。
雨や雪、そして風までもが、人間が管理する世界。
確かに寒くもないし、暑くもない。

人間が一番、快適だと思える春が一年中、ずっと続く世界。

春と言っても、もちろん花粉など、どこにも飛散していない世界がだ。
しかし、それでも俺は残念で仕方がない。
四季のあった昔に戻りたい。

…――寒いが、あの強い風が吹いていた、あの頃に。

すなわちパンチラ入れ食いだった、あの頃に。

逆行人間、了。

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【 戦争とは如何に愚かか 】

…――今、僕たちの国は戦争状態にある。

しかし音楽は国を超えるとは、実に上手く言ったモノで、人々は音楽に癒される。
しかも、その音楽は、敵国である隣国の歌手が歌ったモノ。
それでも人々は癒される。

やっぱり、音楽って凄いと思う。

敵の国の言葉だから歌詞は分からないけど。
それでも、音楽は国を超え、戦争を超え、僕らに感動を与えてくれる。
そんな音楽に習って、戦争も終わればいいのにと思うんだけど。

ヘイ! ヘイ! ユー!

*****

問題の音楽の歌詞。

君よ。
ぶっ殺せ、ぶっ倒せ! 敵国の兵を。

兵!、兵! の君!

君の力で我が国に勝利を。敵国に正義の鉄槌を。
むにゅ。むにゅ。
以上。

戦争とは如何に愚かか、了。

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【 フィクションですw 】

春闘、満額回答!!

ベア相当、二千七百円! 一時金は満額回答。

*****

……さて、リストラの算段を。

フィクションですw、了。

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【 アイアンマン 】

…――私は美容の鉄人。
お肌のケアから、髪の手入れ、そして、ダイエットまで。
美容の為だったら、お金だって出し惜しまない。

その甲斐あって、大体、初対面の人には、十歳ちかく、若く見られる。

私は美容の鉄人。

*****

……作者「ハッキリ言おう。ブスだがな。くわっ」

アイアンマン、了。

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【 パーフェクト超人 】

俺の英会話は完璧。
自慢じゃないが、英語圏の外人にも劣らないほどのスキルを持っている。
ま、君も俺を褒め称える事を許そうではないか。

そんな俺が外人と英語で話した。

すると、ヤツらは俺の英語の発音がおかしかったのか、怒り出した。

いや、俺の英会話力は、そこらの外人には劣らない。
劣るはずがない。俺は完璧なのだから。
君もそう思う事を許す。

英語など……。

俺は完全無欠の王なのだからな。

*****

……作者「自分の事を王とかいうなw、英語の前に国語を勉強しなさい」

パーフェクト超人、了。

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【 おてまみ 】

「ねぇ。手紙が来てたわよ」

「……誰から?」

俺に手紙がくるなんて、珍しい。
自慢じゃないが、友達は少ないし、遠方に住む友達はいない。
誰だ?

「志村さんって人からよ。知ってる?」

志村?
志村って誰だ?
俺の数少ない友達リストを検索してみた。

志村などという友達はいない。

俺は、母さんから手紙を受け取り、そして、開封する。
志村などという謎の人物からの手紙を。
そしたらなんと!

> アィーン。変なおじさん。ファンレターありがとうね。志村けんです。

おてまみ、了。

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【 信じるマン、第三十二話、バラバラ 】

グリーンとして選ばれたのは、二人。
これは、俺の印象だが。

二人とも、いわゆる坊ちゃん風のなよなよ男子たちだ。

グリーン候補生として集められたヤツら。
彼らは、みんな資産家の息子たちだから、当たり前と言えば当たり前か。
それにしても、あのシリアルキラーである怪人27号をボッコたんだから強い方か?

しかし、二人とも、まだまだお子様だ。
信じるマンに、なにかしらの夢と希望を持っているんだろう。
目がキラキラ輝いている。

信じるな。

決して、信じるな。

君らの未来は、信じるマンという変態なんだぞ。
信じたら負けだ。信じるな。
決して。

キム・キムが、チェーンソーを振り回し、やる気満々になっている。

でも、どうするんだ。
グリーンは、一人だけなんだろう。
二人いるぞ。

「二人をバラバラに分解して、組み直し、一人にするアル」

なっ。
なにを怖い事を言っているんだ。
それは、スップラッタというヤツではないのか?

イエローが笑う。

「実はな。俺は二匹のネコだったんだ」

えっ。
今更、それを言う。
というか、それは後付けの思いつきだろう。誰かさんの。
怪人27号の目の奥に光がともる。

「僕は、人間をバラバラにするのは得意でしゅ。キム・キムしゃん。任せるでしゅ」

「アイヤー。お前は、こいつらに負けたアル。違うか?」

怪人27号は嫌な笑いを浮かべ答える。
それには理由があったのだと。
確固たる理由が。

「わざと負けたのでしゅ」

「わざと負けた? それは負け惜しみではないのか?」

イエローが、怪人27号にゆっくりと問いかける。
彼の疑問は、もっともだった。
俺もそう思った。

「本気になれば、あの二人は死んでいたでしゅ。なにせ殺し屋でしゅからね。僕は」

ま、怪人27号の言い分も分からなくもない。
が、それでも、ボコられたあとでは、なんの説得力もない。
ピンクが、口をはさむ。

「うむ。拙者、少々、考えたのでござるが」

なに?
なにを考えたんだ。ピンク?
このスプラッタ展開を打開できる案でもあるなら、是非、教えて欲しい。

「候補として残った二人を死ぬまで戦わせるのは、どうでござる?」

「つまりアレアルか?」

「そうでござる。生き残った一人をグリーンにするでござる」

ピンクは、こう言いたいわけか。
二人を、どちらか一人になるまで戦わせ、バラバラにする手間を省くというわけか。
ていうか。

グリーン候補の二人は、どっちもお子様なの。

児童虐待で訴えるぞ。
そんな俺の心の内を知ってか、イエローが、ゆっくりと告げる。
このパターン。イエローのヤツ……。

「死とは絶対的に人生のなれ果てにある事象。決して避けられぬ真実だろう」

また意味不明な事を。
そんなに哲学にして、なにか面白いか?
そして、どうせ答えを出さずに一人で納得するんだろ?

「というか」

ん?
イエローよ。まだ言いたい事があるのか?
聞きたくもなけど、聞かないと先に進まないんだろう。

「マジ気に、俺は二匹のネコだったんだぜ。バラバラにされ、再構築されたのだ」

その話、本当?
怪人27号が、わざと負けたという話より信じられないぞ。
でも、もし、その話が本当だとするならば……。

クローンを作るくらい非人道的だ。

いや、ネコなんだけど。

「なにげに、俺が二匹だったという話は真実なんだ。レッドよ」

俺があり得ないと思っていると……。

「キャー!」

この声。
この頭をつんざくような悲鳴。
これは、怪人27号から発せられる断末の叫びだ。

「面白い事を思いついたアル。グリーンは三人をバラバラにして再構築するアル」

三人って。
すなわち怪人27号も入れて三人ですか?
そうしたらブルーは、一体、誰がやるというんですか。

「うむ。拙者のバトルロワイヤル案は却下されたという事ですな。残念。無念」

ピンクが肩を落としている。
そんなにも、彼らの殺し合いを見たかったのか? ピンクよ。
いや、ピンクの場合、自分の案が却下された事を憂いているんだと思う。

「いや、桃軍師、お前の案は採用アル」

「おお。そうでござるか」

「むほほ。そうアル。怪人27号を入れて、三人で死ぬまで戦ってもらうアル」

キム・キム、そのむほほって笑い止めて下さい。
なんか嫌らしいし、ムカツク。

「キャー。やめてくだしゃい。死ぬでしゅ。痛い。痛い。痛いでしゅ」

それにしても、怪人27号のヤツ。
さっきのわざと負けた発言。やっぱり負け惜しみだったんだな。
グリーン候補生の二人にボコられているのだろう。
声で分かる。

そして……。怪人27号が静かになった。

マジ?
マジで、そんな展開でいいのか。作者よ。
ギャグである信じるマンで、そんな展開、許されるのか。

敢えて大声で言おう。

信じるマンは、ギャグ小説なのだ。

いまだ直接的な表現はしていないが、怪人27号は静かになったのだ。
それは、つまり怪人27号は安らかに眠ったという事だろう。
大丈夫か?

うん。ギリギリセーフラインだ。

一応、ギャグという枠組みの中で、ストーリーは進行していると思われる。

でも……。
よく考えれば、怪人27号には迷惑しかかけられなかった。
ヤツはシリアルキラーであり、この面子の中で、一番、好戦的なヤツだった。

そんなヤツが退場したのだ。

これは俺にとって、最良の展開ではないだろうか。
俺は、あまり見たいものではないが、怪人27号のなれの果てを見つめた。
そこには……。

「クククッ。さっきの悲鳴はウソでしゅ。この二人は殺したでしゅ」

ウソっ!
そこにはグリーン候補の二人の亡骸があった。
しかも、マグロ解体ショーさながらに見事にバラバラになった二人の亡骸が。

怪人27号は、口に包丁をくわえ、ふしゅるるると言っていた。

こんな展開、ホラーすぎて笑えないよ。勘弁して。
俺はイエローに助けを求める。
って!?

イエローも、一緒にバラバラにされていた。

「ついでにあの哲学チック馬鹿も、バラバラにしたでしゅ。ふしゅるるる」

シリアルキラーの本性発揮か。
やっぱり、この信じるマンの中で、怪人27号は一番、好戦的だった。
桃軍師は、木魚を叩き、三人の成仏を祈っていた。

「グロイアル。とっとと改造手術して話を戻すアル。アチョー!」

そういうとキム・キムはチェーンソーを構えた。
でも、だったら怪人27号は、なぜ、わざと負けたのだろうか。
その理由を考えてみた。

しかし、その答えは怪人27号の中にしかなかった。

第三十二話、バラバラ、了。

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【 十八禁 】

エロ、グロ表現など十八禁作品を手がける作者。その作者の年齢、実に十四歳なり。

十八禁、了。

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【 かんそう注意報 】

…――かんそう注意報が発令されている。

かんそうしている時は、あらゆるモノが燃えやすい。
火事が起こったら、あっという間に燃え広がり、大惨事になるだろう。
だから、火の元に注意する。

もし火事を起こし、燃え広がったら目も当てられないからな。

しかしかんそう注意報か。
冬は、かんそうするので、さして珍しい事ではないのだが。
しかし、これでかれこれ三ヶ月連続で、かんそう注意報が発令されているのだ。
馬鹿な僕じゃなくても疑問に思うだろう。

だって、三ヶ月連続なんだから。

疑問に思った僕は湿度計を買って、本当にかんそうしているのかを調べた。
すると湿度計は、六十%をさしていた。
かんそうしてねぇじゃん。

しかし、今日も変わらず、かんそう注意報が発令された。

*****

いや、気づいていないだろうけど燃えてるから。
君が、三ヶ月前から更新せず、ずっと放置しているブログがさ。
ある人のコメントからね。

コメント、すなわちかんそうから、清々しいほど燃え上がっているからさ。

つまり感想注意報。
よろしく。

くわっ。

かんそう注意報、了。

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【 ヒスイ 】

私は、常々、名作を書きたいと思っている。
その為の努力は惜しまないし、自分に出来る事はすべてやっているつもりだ。
日々精進している。

それでも駄文しか生まれない。

その一つが、すなわち今、書いているこのお話なのだが。
それでも、いつか名作を書きたいと頑張っている。
ところで駄文の定義だが。

駄文とは、結局、他人が読んで、つまらない文章なのであろうと思う。

ゆえに、このお話にも最後にかちっとオチを付ければ駄文ではなくなると思われる。
しかし世の中は、そんなに甘いモノではなく、オチなど思い浮かばない。
だから、このお話は、駄文たるままで終わるのだろう。

しかし私はあきらめない。

今は駄文しか書けないかもしれない。
けれども、いつかきっと。
そう。いつか。

私は名作と評されるお話を書きたいと思う。

というわけで、読者諸氏、今しばらく、この拙い物書きにお付き合い頂きたい。
その来るのか分からない、いつかという未来まで。
では。

*****

……作者「名作、ヒスイより、抜粋」

ヒスイ、了。

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【 始めの一歩 】

「あなた。子供が欲しくないの?」

妻が、上目遣いで私に物欲しそうな顔をして、不満を口にする。
確かに私たちは結婚をしてから、子作りをしていない。
いや。

結婚する前から、そっちの方面は淡泊だった。

妻に興味がないわけではない。
簡単に言うと、とにかく面倒くさくて、どうしても、そんな気になれないのだ。
もちろん妻に興味がないわけでもないし、子供も欲しい。

それ以上に面倒くさいと思ってしまうのだ。

「子供?」

「そうよ。私たちの子供よ。あなたは私たちの子供が欲しくないの?」

「疲れてるんだ。その話は、また今度にしてくれないか」

「あなたは、いつも、そうやって逃げる」

その台詞は、もう耳にタコだ。
逆に、そう言われると、余計に子作りから足が遠のくぞ。
妻は、その事実に気づいているのだろうか。

やれやれだ。

*****

「どうなさいました? 神さま」

「いやな。困った事に……アダムとイブが、まったく子作りをせんのだよ」

始めの一歩、了。

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【 ゴースト 】

私は平成の大文豪、若中野登(わかなかや のぼる)。

敢えて言おう。
この世に幽霊などというモノは存在しない。
幽霊の正体みたり枯れ尾花。という言葉があるように幽霊などまやかしだ。

怖い、怖いと思っていれば、なんでも幽霊に見えるモノだ。

それがたとえススキだったとしても。

もう一度、言おう。
この世に幽霊などというモノは存在しない。
これは純然たる事実であり、揺るぎがたい真実なのである。

みなよ。

幽霊など怖がるに値せずだ。

*****

「先生、原稿、あがりましたよ」

「うむ。ご苦労。この調子で、また今度も頼むよ」

「はい。分かりました」

私は、若中野登のゴーストライター。

くわっ。

ゴースト、了。

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【 意外と普通なのかもw 】

「俺、どこからどう見ても普通の一般人だよな」

俺は、友達に同意を求める。
友達は、微笑みつつ、問いに答える。
当たり前だと。

「お前は、確かに、どこにでもいる普通の一般人だな。間違いない」

俺は病気でもないし、逆に誇れる技術も持っていない。
つまり、どこにでもいる普通の一般人。
友の答えに安心する。

友の答えに安心するあたり、やっぱり、俺はどこにでもいる一般人だなと思う。

「ところで、今の世の中、どうなってるの? 大丈夫?」

「ま、お前が心配する事じゃないぜ」

「確かにな」

今は、西暦二千十四年。
俺たちが死んでから、二千有余年、世の中は混乱しきっていた。
俺たちは、天国から下界を見て憂いていたのだ。

俺の名は、イエズ・ギリズト。

友の名は、ユタ。

意外と普通なのかもw、了。

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【 愛車精神 】

車なんて、道具にすぎない。
だから壁にこすって、傷がついたところで、なにも感じない。
この前、ぶつけたところもへこんだままだ。

走ればいい。

そんな俺の愛車は、最強のトラフィックガラスコーティングされたフェラーリだ。
もちろん、走ればいいだけの車は、社用車だがな。

くわっ。

*****

……社長「あの~…、会社の備品は、もう少し丁寧に扱ってくれないかな」

愛車精神、了。

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【 宇宙人 】

「なぁ。宇宙人って信じる?」

夜、俺は遠距離恋愛している彼女と電話で話している。
彼女は、どこに行くとも告げず、ただ遠いところに引っ越すとだけ言っていた。
もちろんあの世ではない。
冗談だが。

それにても今日は空が澄んでいて、星が綺麗だ。

「宇宙人? 一体、なんの話よ。宇宙人なんて、いるわけないじゃんか」

うん? 彼女は電話をしつつ、なにかをしているのだろうか。
心なしか声が上ずっているような気がする。
どことなく焦っているような。
そんな気がする。

「聞いてくれよ。アメリカの大統領が気になる事を言ったんだぜ」

「なによ? なにを言ったの?」

「これからは地上からの脅威ではなく、宇宙からの脅威に備えるべきだってね」

「……」

「怖ぇだろ? 宇宙人が侵略してくるのかな?」

「下らなッ。それは人工衛星からの攻撃に気をつけろって事よ」

「あっ。…――確かに。そっか!」

「なんで君は、そんなに幼稚かな。宇宙人なんているわけないじゃん」

「そっか」

そんなやり取りをして、彼女とのやり取りが終わった。
やっぱり、俺は幼稚なのかなと思いつつ。
そして電話を切った。

「ふぅー。危なかった。まさか、ピタゴラ星から電話してるって言えないし」

と、電話を切ったあとピタゴラ星人である彼女がつぶやいた事を俺は知らない。
一人、星を見上げ、宇宙人かと思った。
どこかにはいるのかなと。

宇宙人、了。

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【 うらないし 】

僕は占いの館の前にいる。
ここが特別、当たるとか、そういうのじゃなくて、気まぐれで寄った。
占いの類は嫌いではないが、そう好きでもない。

本当になんとなく寄っただけなのだ。

気まぐれ。

僕は、館のドアを開ける。
そして、ゆっくりと周りを見渡し館の奥へと入っていく。
館の中は、占い師の商魂がたくましいのか、そこらかしこにグッズが置いてある。

…――印鑑に、壺、そして、宝飾されたタロットカードなど、色々。

おっ。

あそこには、これぞ占い師という水晶球が。

館の中が、こんな調子なのだ。
多分、主人の占い師はインチキなんだろうと勘ぐってしまう。
そうして僕は、色んなグッズに目移りをしつつ、肝心の占い師の前まできた。

「いらっしゃいませ」

いらっしゃいませだと? 商魂たくましいにもほどがあるぜ。
そこは、ようこそとかじゃないのかよ。
大丈夫か、この占い師。

「じゃ。僕の人生を占ってもらおうかな。今年は、どんな年になるんだ?」

「いや。あの……」

「なんだよ。占い師だろ。さっさと占ってくれよ?」

「いや。あの。当館では、占いの類は、一切、やっておりませんので」

なんだよ。そういう事か。
だから、いらっしゃいませで良かったんだな。
つまり、この館は、占いをするのではなく、占いグッズの専門店だったわけだ。
ま、入ってなにも買わないのは、なんだから適当に買って帰るか。

僕は、そう思って、水晶のブレスレットを手に取った。

値段も手頃で、お洒落にもなる。
そして、館の主人に、これをくれと告げる。
すると館の主人は、これだから素人はという顔をして答える。

「それは売らないです」

と。
なに? これは売り物ではなかったのか。
しょうがないので、僕は、また近くにあった財布を手に取り、これをくれと告げる。

「それも売らないです」

なんなんだよ。
ここは占いグッズ専門店ではなかったのか。
僕は、売らない、売らないと言われて、少々、イライラし始めていた。

「じゃ。ここでは、どれを売っているんだよ。それを買うよ」

「なにも売らないです」

は?
なに。なにを仰ったんですか?
もし、もし? 僕には、なにも売らないと聞こえたのですが……。

「なにせ私は売らない師(うらないし)ですからね」

くわっ。

うらないし、了。

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【 ハナコ 】

生きているって思える瞬間って、どんな時?

私は、いつもトイレで考えているよ。
たった一人でいつまでも。
生きるってと。

人は息を吸って、吐いて、心臓が動いていれば生きているって言えるの?

私は違う気がするんだよ。
人が生きているって思える瞬間って、一体、どんな時なのかな?
難しく考えるなって。もっと楽に考えろって。

でも……。

私は、もう死んでるんだ。

だから余計にみんなに聞きたいんだよ。
生きるって、そんなに適当でいいのかなって思うから。
実は生きるって、とても素晴らしい事なんじゃないのかなって思うからさ。

君は生きてる?

今を。

その答えを知りたかったら、いつでも会いに来て。
トイレに。

私はトイレの花子。

ハナコ、了。

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【 告白 】

ダメ人間暦……、率直に年齢の僕。

そんな僕が決意した。
誰にも相談できず、隠し続けていた僕の想いを伝えると決めたのだ。
胸の鼓動が激しくドキドキしている。

告白って……。まず、なにから伝えればいいのだろう?

頭の中は、真っ白だ。
もし告白して、不思議な顔をされたらどうしようとそればかりが頭の中に浮かぶ。
時間は思ったより、ゆっくりと流れている。

僕みたいなダメ人間が告白しても無駄だともう一人の僕がいう。

ああ。
もっと強い勇気を持った人間になりたい。
告白くらいで、おたおたしないような人間になりたい。
僕は、なんてダメ人間なんだ。

くそ。
告白してやる。
うじうじしていてもダメだ。もう今日、告白すると決めたんだ。
やってやる。今までの僕を精算するんだ。

やってやる。告白だ!

そう決意すると、僕は、強い足取りで歩を進めた。
固い決意の下、告白に向けて。
告白してやるぞ。

うん!

「あの~…、すみません。僕、パンツを盗みました。済みません」

と交番でお巡りさんに告白した。
パンティードロだと。

もちろん、そのあと僕は警察に逮捕された。

*****

……作者「脱ダメ人間! 頑張れ!」

告白、了。

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将来、月に移住したいと思う今日この頃。現実的には一歩、一歩、着実に。基本を大事に。

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