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【 大物か? 】

このままでは、いけないと雄弁に世界の経済状況や政治情勢を語る小学一年生。

大物か? 、了。

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【 負け組? 】

三十四歳、引きこもり、童貞、彼女いない歴、年齢。勝ち組だな。欠食児童より。

負け組? 、了。

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【 ああああああああ 】

今、女の子からラブレターをもらった。
その子は、妙に恥ずかしがっていて、それがまた可愛かった。
新年早々、ツイてる?

僕は、はやる心を抑え、一人になる為、トイレへと。

そしてトイレで、ラブレターを読む。
途端、顔が凍り付く。
なにこれ?

*****

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、
あああああああああああああああああああああああああああああああいしてます。

*****

確かに一番最後にあいしてますとは書いてあるけど……。
どんだけ、恥ずかしがり屋?
いや、嫌がらせか。

くわっ!

ああああああああ、了。

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【 なぞなぞなぞかけ、その二十二 】

ビッチとかけて、羽毛布団と解く。
その心は?

どちらもかるいです。

なぞなぞなぞかけ、その二十二、了。

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【 悪魔ちゃんと天使くん、~ その三十七、不敗 】

涅槃がサドクに耳打ちをする。
決して、ロキに聞こえないような小さな声で。

「一番、右のカード、確かにクローバーのエースなのね?」

サドクはうなずく。
今、彼がアカシックレコードで、調べ、間違いなくクローバーだった。
しかし用心深そうにサドクが、彼女に言う。

「もう一度、調べようか?」

涅槃が、うなずく。
この勝負、絶対に負けられないのだ。
細心の上に細心を重ね、注意しなければならない。

「もう少し先の未来まで見てみて。カードをすり替えるかもしれないから」

涅槃の注意は確かだった。
もう少し先の未来で、ロキがカードをすり替えるかもしれないのだ。
そして、最終的に表を向けられたカードの絵柄を変える。

その場合、カードをすり替えた時を押さえ、イカサマだと申告するしかない。

イカサマはバレるからイカサマなのだ。
結局、バレなければ、それはイカサマとは言わない。
そして、ロキほどの打ち手であれば、イカサマを見破る事は難しい。

サドクが集中する。

この集中する行為も、あと何回できるのだろうか。
彼自身も危惧していて、普段からアカシックレコードを使っていない事を呪った。
しかし、普段から使ってない事を今、とやかく言っても仕方がない。
集中力の果て、未来を見る。

「うん。やっぱりクローバーで間違いないぞ。涅槃」

ロキが、ニヤリと笑った。
いや、そんな気がしたように感じたのだ。
実際には、ロキはポーカーフェイスで、ゆったりと微笑んでいた。

しかし涅槃は、ロキの微妙な表情の差違に気づいたのだ。

これは計算か。
涅槃は、まず彼が不敗だという事を思い出し心理的駆け引きは不利と考えていた。
ゆえに今、感じた差違はロキが敢えてやったのかもと思った。

「じゃ。伏せカードを置くぜ」

ロキはカードを横に向け、伏せカードを置いた。
つまり、カードはマイナス効果を発し、子が置いたカードからマイナスされる。
そこで涅槃が言う。

「ここは調べなくてもいいわ」

「やっぱり調べないのか。なんでだよ?」

サドクが、普通に疑問に思う。
親が置く、この伏せカードに意味はない。
アカシックレコードを使わせる為のフェイクに過ぎない。
今、調べたように一番右側の伏せたエースをクローバーだと断定する。

そしてクローバーでなない絵柄のカードを十三を上回る数でプラスの数値にする。

すると親は手を出せないのだ。
例えばハートで、それをやれば、ハートではないと確定する。
ではないという方を確定してやれば、間違いなく子が勝てるようになっている。

「クククッ。グット」

それでもロキは揺るがず、不敵に彼らを見つめる。
なにかあるように思えて仕方がない。
涅槃は気を落ち着ける。

この勝負、負けたらあとがないと分かっているからこそ落ち着く。

ゆっくりと鼻から空気を吸い込み、口から吐く。
ロキはなにを狙っているのか。
それを考える。

ロキも天使、アカシックレコードにアクセスできるのだ。

それを忘れたら、この勝負を落とす。
過去、現在、未来が見える。そしてアカシックレコードは書き換える事が可能。
この勝負で、もし私がロキだとしたら、一体、どこを書き換える?

ロキはアカシックレコードを使う事には長けている。

どこを書き換えるだろうか。
この勝負に勝つ為には、どこを書き換える?
涅槃は、自分の思考、全部を使って、どこを、どう変えると考える。

そんなに大した部分ではなく、大した力も使わずに。

そう。
アカシックレコードを書き換えるには、膨大なエネルギーが必要なのだ。
それを効率よく、相手を騙すように書き換える。
どこだろう。涅槃の思考が回る。

考えれば考えるほど混乱して、全てを書き換えられているような気すらしてくる。

ロキが勝利を確信した。
そう。二人は、博打という地獄に慣れていなかった。
いや、普通に生活する人には、博打など始めの始めから非日常だったのだ。
ゆえに大事なところを見落としていた。

博打というフィールドに入った時点で二人の負けは決まっていたのかもしれない。

ロキは、二人を追い詰めるように強い口調で言う。
これで、終わりだと宣言するように。
ロキは確かに書き換えた。

しかし、どこを書き換えたのか、涅槃には、まったく分からなかった。

「じゃ、お二人さん。子のターンだ。カードを置いてくれ」

サドクが見た未来は間違いはなかった。
ゆえに一番右側のエースの絵柄は、クローバーである。
でも本当に、それで間違いがないのか、涅槃は置く前にもう一度、考える。

そしてサドクに耳打ちする。

この勝負の結果はどうなるのか、それを調べて欲しいと願ったのだ。
結果が分かれば書き換えているか、否かが、分かる。
そして、未来を変える事もできる。

「勝負の結果を調べて欲しいの。できる?」

「結果か。確かにそれを調べれば、手の打ちようもあるな。分かったぜ」

サドクが再び集中する。
そして、彼が見た未来は絶望だった。
二人は、ロキの前で、肩を落とし、その存在を消されるという未来だった。

「俺たちは負けるぜ。どこをどう書き換えたのか知らないねぇが」

やっぱりという顔をする涅槃。
涅槃には、サドクが見るであろう絶望が予想されていた。
やはり、子、すなわち自分たちがカードを置く前に突き止めねば負けると思った。

しかし、サドクは一番、右側の伏せられたエースはクローバーだと見た。

アカシックレコードを使って。

その事実は、何度、調べても変わりがたい真実であろうと思う。
クローバー以外の絵柄ではないと確定しても負ける。
一体、どこを書き換えれば……。

「あのよ」

そこでサドクが、なにか気づいたように涅槃に語りかける。
彼女は、今、どんな些細な事でも知りたかった。
ゆえに彼の言葉を待った。

「こんな事できるかどうか分からねぇけど。もしだぜ? もし……」

「なに? 今は、なんでも欲しいの」

「俺が見た未来という時点を書き換えたら、どうなるんだ?」

そうか!
確かに、二回見た時点を書き換えれば。
いや、書き換えるまでしなくても、その二点だけ、エースをクローバーにすれば。

そう。

すり替えで、クローバーにしておけば、私たちの判断が狂う。

いかにも狡猾なロキが、やりそうな事だ。
しかも、どこの未来を見るという未来は確かにアカシックレコードで確認できる。
涅槃は、サドクの思いつきに感謝して、再び、視線をロキの方にやる。
そして子のターンがきた。

「さ。お二人さん。お前らのターンだ。カードを置いてくれ」

とロキは言い、心を落ち着け、静かにたたずんでいた。
俺は、決して負けないという決意の下。
彼はやはり不敗であった。

~ その三十七、不敗、了。

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【 オッさん 】

2014年1月11日。

俺は、愛知の片田舎へ旅行にきている。
名古屋飯は堪能したし、リニモにも乗ったし、愛地球博記念公園にも行った。
あとはと思った時。

「な。な。あのオッさん。お前に似てねぇか?」

「俺、オッさんじゃねぇし」

高校生と思しき二人の男が、俺を指さしながら言う。
失敬な二人だなと思いつつ睨む。
えっ! あれは……。

そこには、三十年前の高校生だった俺がいた。

そう。
俺はタイムトラベラー。
今、三十年前の愛知に時間旅行をしにきていたのだ。

「やっぱり、あのオッさん。お前に似てるよ」

「だから俺、若いし。オッさんじゃねぇって言ってるだろうが」

いやはや。

オッさん、了。

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【 愛羅武、魔王、~ 其の四、才能ねぇ 】

私は、買い物を済ませ、ルンルンと別れ、そしてゲーセンに来ていた。
いや、ゲーセンにきたといっても、遊びにきたのではない。
魔王の願いだったのだ。

彼に後生だからゲーセンに連れていってくれと頼まれたのだ。

魔王には迷惑しかかけられていない。
それでも魔王の願いを聞いたのには、深いわけがある。
それは想い出の彼。

魔王は、彼が病気だったのを知っていた。

そして魔王自身、自分が私の想い出の彼だと言い張っているのだ。
その真相と引き換えにゲーセンに連れていく事となった。
魔王は、果たしてウソをついているのか。
その真偽を確かめたい。

ゲーセンの中では、音ゲーのリズムを刻む音が、重低音で渦巻いている。
いや、そのズンズンと腹に響く音は、音ゲーだけではない。
様々なゲームから発せられる音。
まるで音の洪水だ。

ああ。もう。

私が、なんで、こんな騒がしいところに。

私はゲームなんて、やった事がない。
しかも、私は、そよ風が吹くような自然の中で一人で読書をしたいタイプなのだ。
そんな私に、この音の洪水は拷問以外のなんでもない。

吐き気すらもよおす。

そして聞きたい。…――魔王が人間の作ったゲームなんてやりたいの?
一応、魔界の支配者だよね?
なにゆえ?

そんなにゲームをやりたいなら、王道の勇者が魔王を倒すゲームをやろうよ。

ロールプレイングゲームっていうヤツ。
そうして、魔王は、魔王の立場ってヤツを学びませう。
君はラスボスなの。

分かってよ。

と、そんな私の疑問などよそに魔王はゲーセンの中を見渡していた。
なにを探しているんだろう。
人? ゲーム?

「魔王、なにを探しているの?」

私は溢れかえる音の海の中、かき消されるような声で言った。
案の定、魔王に私の声は届かなかった。
魔王からの返事はなかった。

「おぉ。あった。アレだよ。アレをやりたくてな」

そういった魔王の目は、ゲームなど目もくれず、プリクラに集中していた。
そして私の手を引いて、プリクラ、プリクラとはしゃいだ。
魔王がはしゃいでいるとムカツク。

「プリクラ?」

「そそ。お前との想い出を形にしておきたくてな。撮ろうぜ」

それは、つまり、最凶の心霊写真というわけですな。
だって魔王なんて幽霊と一緒じゃない?
うー。やだ。やだ。
こわこわ。

「お、こっちのヤツは全身が撮れるのか。なぁ。鮎菜。これにすんべ」

魔王とプリクラを撮るとは、一言も言っていないのに魔王は撮る気満々だ。
しかもプリクラをあれこれ操作して、ハートで一杯にしている。
フレームってヤツですか。

アレにハートマークを一生懸命、デコってる。

ルンルン気分で。

上機嫌の魔王が、心底ムカツク。
私は、もやもやした気持ちで、思わず、近くにあった格ゲーの筐体を軽く蹴った。
すると!

「フッ。それは宣戦布告という意味ですか?」

格ゲーの筐体は、対戦ゲームらしく向かい合って座るようになっている。
その私側からは見えない向こう側から声が聞こえてきた。
向こう側に誰かいる。

魔王がプリクラの前で、私を誘う。

このままでは、可愛いがゆえの最凶の心霊写真を撮るハメになる。
そして魔王とのツーショットは、私の人生の汚点となる事、間違いないだろう。
私は無言で格ゲーのコイン投入口にお金を入れる。
勘違いされたのを利用したのだ。
つまり……。

格ゲーをネタに、プリクラを撮らずに想い出の彼の事を聞きだそうと思ったのだ。

「フッ。挑戦するのかい?」

私たちの向こう側で、男が不敵に笑った。
そんな台詞を吐くなんて、よっぽど、この格ゲーに自信あるのだろう。
でも、それでいい。

「魔王。一回勝負で、向こうの人に君が勝てば、プリクラを撮っていいわよ」

「別にそんな事をしなくても、プリクラくらいいいじゃん」

「私は撮りたくないの。あんたと二人なんて」

「……鮎菜。悲しい事をいうなよ」

「うるさい。もし負けたら、とっとと帰る。そして想い出の彼の事を話しなさい」

「うう。ま、この格ゲーは、四億時間くらいやったヤツだからいいけど」

よ、四億時間。
ちょっと待ってよ。聞いてないよ。
大体、ゲーセンのゲームって、その都度、入れ換わるんじゃないの?

もしかして本体を買って、家(城?)でやり込んだの?

私は青ざめた。
よもや人間界のゲームを彼が、やり込んでいるとは、まったく知らなかったから。
しかも四億時間という、とんでもない時間を費やし。

お前は、ニートか?

思わず、って、思ってないのに思った。

いや、魔王が魔界で仕事をしているとは思えない。
魔王は魔界の支配者なのだから。

だから暇つぶしに人間界のゲームを買って(奪って?)、やり込んでいたのか。

「というかお二人さん。勝負するのか、しないのか?」

向こう側で、少々、苛ついた男が言った。
私には、もう向こう側にいる彼が、猛者である事を、祈るしかなかった。
四億時間も、つぎ込んだ馬鹿をしのぐ、もののふである事を。
武士と書いてもののふ。

「よし。いっちょ、やるか!」

魔王は、プリクラがかかっているだけあって、やる気満々だった。
一方、向こう側の彼は、静かに対戦開始を待っていた。
頼むよ。もののふ。

魔王はゲームの中で、死神を選んだ。

「フッ。このゲームで死神を選ぶのは愚の骨頂」

もののふが、言う。
いや、私はゲームの事をあまり知らないけど、死神はダメなの?
そんな事を知っている、もののふが頼もしく思えた。
そして、もののふは天使を選ぶ。

「ふははは。この魔王さま相手に、天使を選ぶとはな。お前こそ、愚か者だ!」

まったくゲームに疎い私。
キャラクターを選ぶだけで、すでに勝負は始まっているの?
二人の言葉を聞くと、そんな気がする。

頼むよ。もののふ。

そして準備は整い、緩やかに勝負の幕があがった。

「えい。とう。やぁ!」

魔王が、言葉を出し、コントローラーをぎこちなく扱い、ボタンを連打している。
私はゲームに疎いけど、それでも一目で分かる。
コイツ、弱いと。

魔王。四億時間もやって、その程度なの。

才能ねぇ。

「せい。ハッ。よっと。おら!」

いや、もののふの方も魔王とタメを張るくらい弱い。
コントローラー捌きは、こちらから見えないけど、キャラの動きを見る限り弱い。
そう思っていると魔王が唐突に言う。

「死神を選び、そして、この動き。この感覚。もしかしてお前は……」

「そういう君こそ……」

「ルンルンだな! ペチャパイ同盟の同志よ!」

おほっ。
ゲーセンの音の洪水のせいで気づかなかったが、魔王の対戦相手は、ルンルン?
私は、慌てて、向こう側に向かう。
真相を確かめる為に。

「おお。君は愛しのペチャパイレディーじゃないか」

私は無言で、ルンルンの後頭部を殴る。
彼の頭は筐体に突っ込み、電気がバチバチとショートしている。
魔王がこちらを覗いている。

「なに?」

私は怒り心頭で、語気を荒げ、魔王に告げる。
魔王は、慌てて首を引っ込める。
くわばらと答えつつ。

「いえ。なんでもありません。どうも済みません。鮎菜さん」

「よかろう」

とにかく、対戦相手がルンルンであったがゆえにプリクラはなくなった。
心霊写真なんか撮りたくないし、よかった、よかった。
対戦相手がルンルンで。
ラッキー。

ただ残念な事に引き分けでは、想い出の彼の真相は探れないだろう。

そこまで魔王はアホじゃないと思うしね。
ま、私たちの化かし合いも、今回は引き分けとしておこう。
確かに私は、今すぐにでも想い出の彼と会いたいけど、同時に怖いから。

そ。

万が一、魔王が、想い出の彼だったらと思うとね。

私は魔王を置いておき、さっさとゲーセンから出て、家路を急いだ。
彼は置いていかれてはと、あとに続いた。
ゲーセンでは……。

「フッ。僕を忘れるな。救急車、プリーズ! プリーズ!!」

というルンルンの悲壮な呻きが木霊していた。
あの音の洪水の中で。
確かに。

~ 其の四、才能ねぇ、了。

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【 なぞなぞなぞかけ、その二十一 】

ロリコンとかけて、プロレスのテンカウントと解く。
その心は?

どちらもじゅうびょうです。

なぞなぞなぞかけ、その二十一、了。

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【 虎右衛門でござる 】

僕、虎右衛門(とらえもん)。

二十七世紀の江戸から来た虎型ロボット。
僕の飼い主の祖先であるノリタくんを助ける為に未来からやって来た。
今日も秘密道具で助ける。

「虎右衛門~!」

早速、ノリタくんが、困っているようだ。

「明日、テストなんだけど、なんにも勉強してない。ヤバイよ。ヤバイ」

「ふむ。そんな時は、これだ!」

「なに? なに?」

「暗記バン」

僕の七次元ポケットから、でっかい黒塗りのバンを出す。
そそ。四駆で雪道もへっちゃらなバンを。
ただし、チェーンを巻けよ。
四駆でも。

というか、このバンに乗って教科書を開くと一字一句逃す事なく、暗記できる。

「わーい。これで明日のテストもバッチリだね」

「うむ。感謝したまえ。ノリタくん」

「でも、思ったんだけど」

「なに?」

「未来の東大って、僕みたいなアホばっかりいるのかな?」

「なんでそう思うんだい。ノリタくん?」

「だって、このバンがあれば勉強する必要ないし。そこんとこよろしく」

「す、するどい。無駄に……」

虎右衛門でござる、了。

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【 電気も使いませんw 】

…――超美麗な画質。

そんな売り文句の4Kテレビなるものが売れているそうだ。
でも悪いけど、僕はそれ以上のモノを持っている。

それは……。

例えば、ごくたまにだが、超リアルな衝撃映像を映し出してくれる。
交通事故などモザイクなしで、映し出すのだ。
グロいところも鮮明に。

また例えば、ごくたまにだが、すごく感動的な映像を克明に映し出してくれる。
主人公たちの生活をノーカットで、映し出してくれるのだ。
見てて退屈な繰り返しの日常でさえも。
ノーカットで。

日常的な事で言えば……。

3Dテレビなどかすむような立体映像を映し出す。

あたかも、そこにあるような映像を。
そう。そう。気づいてないかもしれないけど君もその映写機を持っているんだよ。
その映写機の名を……。

眼球!

くわっ!!

電気も使いませんw、了。

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【 ファンタジー的なアレ 】

最強、最後の禁呪。その威力は世界をも滅ぼす。ただし詠唱に千年かかるがな。

ファンタジー的なアレ、了。

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【 愛羅武、魔王、~ 其の参、織り姫と彦星 】

「ハイ! そこをゆく、花も恥じらう可憐なレディー」

私は今、近所の商店街へ買い物にきている。
母に今日の夕食の材料を買ってきて欲しいと頼まれたのだ。
魔王がよく食べるのだ。

魔王の食欲は、それはもう、牛か、馬か、それ並。

そそ。
魔王は、両親に変な魔法(※注、恐喝ともいう)をかけて、私の家に住んでいる。
そこはかとなく、そんな香りがする。

だって年頃の女の子に男ができるだけでも、難しい顔をしそうなモノなのに。

両親は魔王を笑って、許している。
それは、端から見ても分かるくらいの冷ややかな笑ってない目つきで。
多分、やりきれない思いをしているんだろうと思う。

だって魔王だから。

とにかく、そんな負い目もあり、私は母に言われた通り、お使いにきていた。
よし。買い物は、すべて、ここでで済みそうだ。
買い物を済ませ、とっと家に帰ろう
と、そこで出会ったアホ。

「ヘイ! ユー。今、ちょといいかい?」

唐突に声をかけられた。
しかも変なイントネーションで、改めてアホだなと認識させられる。
やっぱりアホだろう、アホしかいないと、そちらを見る。

いや。

……普通に格好いい。

確かに、言動はアホ、そのもの。
でも思わず見とれてしまうほど、私の理想そのもの。彼はイケメンだった。
いや、ダメだ。容姿に騙されてはいけない。

「いや、間に合っています」

「まだ、なにも言っていないぞ。ユーはエスパーか?」

エスパーって。
やっぱり、魔王級のアホが現われたのだ。
もしかして、コイツも付き合ってくれとか言わないわよね?

自意識過剰?

アホだが、イケメンだから妄想が走ったの?

いや、でも三ヶ月間、毎日、毎日、魔王からの求愛に耐え忍ぶ日々だったから。
でも、そうだよね。それは、つまり自意識過剰だよね。
私は普通の女の子。

「ストレートにドーン! そのペチャパイに惚れた! 僕と付き合ってくれ」

えっ?
今、なんと?
なんと申されましたか、そこの御仁。ねぇ。ねぇ。

「今、なんて言った?」

私が、ゆらゆらとした陽炎のような炎のオーラをまとい答える。
コイツは言ってはならない事を言ってしまったのだ。
私の瑠璃色の髪が空をただよう。

「ああ。可憐なレディーよ。ペチャパイに惚れた。僕と付き合ってくれないか?」

「また言ったわね。どうやら死にたいのね」

私は、構えをとる。
両肘を曲げて、拳を握り、握った拳を突き出したのだ。
そして、慎重にゆっくりと呼吸を整える。

コォォオ!

「テメェは、今、ペチャパイって言ったのか!!」

「あっ。おっ。うん」

男はあっけにとられ、絶句した。
男にとって、魔王と一緒で、ペチャパイとは、すなわち神なのだろう。
しかし、女の子にとって、ペチャパイは致命的なのだ。

殺す。

男は、長くつやのある黒髪をかき上げ答える。
その魅惑的で、とても男らしい切れ長の目を微笑みに変えつつ。
黙っていれば格好いい男だ。
改めて思う。

「いや、だから僕と付き合って欲しいと思ってだな。あの。聞いてます?」

「だから! ペチャパイと言ったのか。この口が。おう!?」

「いや、そうじゃなくて……」

「殺す」

私は準備が整ったと正拳突きを男のアゴにヒットさせる。
男は天高く舞う。その姿が見えなくなるまで。
男は星になった。

「フゥー! なんで私の周りには、こんなアホばっかり現われるかな」

そこに、遅れてきた魔王が合流する。
星となってから天から堕ちて、流れ星という名に変わった男が落ちてくる。
男は、落下の衝撃でアスファルトに埋まり、砂塵を舞わせる。
魔王は言った。

「お。ルンルンじゃねぇか」

ルンルン?
このアホは、ルンルンという名前なのか。
にしても、初対面の女の子にペチャパイ、言うか、普通。

「フッ。レディー。その凶暴さ。まさしく僕が求めていたもの。改めて言おう!」

そう言えば。
ペチャパイのあとになにか言ってたな。
確か、付き合って欲しいとか、なんとか言っていたような。

って……?

えっ?
付き合って欲しい?
待ってよ。私の自意識過剰じゃなかったの?

魔王だけでも手一杯なのに、更に重なるようにアホが現われたの?

だけど……。
ちょっとだけ待ってよ。コイツは魔王と違い人間なのだ。
そして黙っていれば格好いい部類に入る。

背は高くて、つやのある長髪。

そして切れ長の目。
日に焼けた健康的な、がっしりとした体躯。
その口からは、レモンの香りがただよってきそうな魅惑的な唇。

完璧に私の理想の男子だ!

惚れてしまいそう。
魔王には悪いと思うけど、魔王は、お呼びじゃない。
私だって思春期の女の子なんだもん。

「そう。落ち着いた今だからこそ、改めて言おうじゃないか!」

彼の声のトーンも私好み。とても男らしい。
私の頬が高揚し、赤く染まった。
キュンとしたのだ。

「レディ! そのペチャパイは、すなわち神なり!」

当然、また男がきらめく星となった。
魔王は、右手を影をつくるように目の上に持っていき、それを眺め言った。
信じられない事を。

「実は、ルンルンと俺は、ペチャパイ同盟の同志なんだわ」

そのあと魔王も星になった。
彼らは、ペチャパイ同盟の同志らしく、仲良く、織り姫と彦星になったのだ。
お前らは、一生、空で星でもやってろよと心の底から願った。

とっとと買い物を済ませて、帰ろ。

一瞬でも、あんなアホにときめいた自分が、とても馬鹿らしく思えた。
やっぱり、男は馬鹿ばっかり。想い出の彼以外。
そう思った。

~ 其の参、織り姫と彦星、了。

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【 悪魔ちゃんと天使くん、~ その三十六、渇望 】

親が一番始めに置く伏せカードに意味はない。

確かに子が十三以上にすれば、その絵柄ではないという事に確定となる。
親は、結局、一枚しか、伏せカードを出せないのだから。
つまり親の行動で、十三以上は上下しない。

しかし、それこそが、親の思惑であったならば、どうなのか。
そこでサドクが閃いた。

そう。

子は十三以上にしたとしても、何枚でも選べるのだ。

つまり、またゼロ以下にできる。

確かに、この勝負、決定的に親が不利だ。
子が十三以上の数に調整していれば、親の如何に関わらず、どちらでも選べる。
しかしロキは言った。

この勝負、アカシックレコードを使えるのだと。

アカシックレコードにアクセスできるという事は、過去、今、未来を見る事。

それは一体、なにを意味するのだろう。
先ほどサドクは、親の伏せカードの正体を探る事だと思った。
しかし……。

その考えは涅槃とロキの一笑にふされた。

アカシックレコードが使えるのは、そこではないと。
では、どこにアカシックレコードが介入する糸口があるのだというのだ。
夜の国のネオンが怪しく光る。

ここは常夜の国。

夜の国。

つまり、いまも夜であり、月光の下、三人は博打を打っていた。
月光は柔らかく、サドクを包み、慈しんだ。
サドクは空を見上げる。

まとまらない思考をまとめる為に、あるがままの自然に助けを求めたのだ。

月は、いつでもそこにいると微笑んでくれているようだった。
サドクに対して、とても慎ましく。
雲はなく晴天だった。

「グット。じゃ、お二人さん。ハッキリと口にしてもらおうか」

結局、優しげな夜空を見上げても答えは出なかった。
しかし、サドクの心は落ち着き、決意した。
考えても仕方ねぇと。

「オッケーだぜ。涅槃はどうだ?」

「もちろんオッケーよ。勝負を始めましょうか。ロキ?」

「グット!」

ロキは例によって、親指と中指をこすり、音を立てた。
夜の国に夜空に響き渡る大きな音だった。
それは、勝負開始の合図。

星が瞬いた。

星は、この勝負の勝敗を知っているかのように。
ロキは、グットと言ったあと四枚のエースを伏せて、シャッフルし始めた。
決定的に不利な親は、ロキが務める。
それがプライドだった。

夜の国のネオンが、より一層、強くなり、三人を照らし出す。

「いい具合にシャッフルされたな。さて、サドクよ。どのカードを選ぶ?」

サドクが選ぼうとした時。
涅槃が、一つのタネを明かすように彼に耳打ちした。
すなわちアカシックレコードは、まず、ここで使うのだと告げたのだ。

「いっぺんに言うと、きっと混乱するから一つずつ言っていくわ」

「おっ。お前らしい発言だな。いい事だ」

「今は余計な事はいいの。それより、伏せられているエースの絵柄を調べるのよ」

「調べる? どうやって?」

「だからアカシックレコードで、未来を見るのよ」

「……そうか!」

「そうよ。今は伏せられていても、いずれ表を向ける時が来るわ」

「それで未来を見るわけだな。なるほど」

「というか、感心してないで。早くアクセスして!」

サドクは額辺りに意識を集中させていく。
彼は天使だが、アカシックレコードにアクセスする事は慣れていない。
ゆえに集中を必要とする。

そして、彼の頭の中にアカシックレコードから情報が、なだれ込んでくる。

一番、右のカードはクローバー、次のカードは……。

と、ここで彼の集中力が途切れる。
アカシックレコードにアクセスする事に慣れていない彼には、これが限界だった。
しかし、一番右のカードの絵柄は、クローバーだと分かったのだ。

クローバー。

それが分かっただけでも、とても大きな収穫であった。
しかし、そこでも涅槃は喜ばなかった。
慎重に考えていた。

前に己の考えで、サドクに博打を打たせ、負けた苦い経験が、そうさせていた。

彼女はロキとの勝負で成長していた。
星埜銀杏だった頃とは、天と地、雲泥の差である。
彼女が学んだのだ。

もう、この世になにも見るべきものはないと考えていた彼女がだ。

「涅槃。一番、右のカードはクローバーだ。……それ以外は分からねぇが」

サドクが、ひそひそと小さな声で彼女に告げる。
彼女は、かすかにうなずき答える。
負けたくないと。

「そう。でも、安心しないで。とりあえず一番、右を選んで」

「了解だぜ。この勝負、勝とうぜ。涅槃」

サドクは、そう答えると、視線をロキの方に移した。
ロキは、より強くなったネオンに照らし出され、その顔に深い影を刻んでいた。
それは、とても大きく感じられた。
彼の何倍以上も大きく。

「ロキ。俺は一番、右のカードを選ぶぜ!」

サドクは、少々、ロキに気圧され気味だったが残った気力で答えた。
気力。…――人が人に負けたと思う時。
それは……。

気力を使い果たし、再び、立ち上がれなくなった時だ。

気力を使い果たすまでは人は何回でも立ち上がり、勝負をする事ができるのだ。

もちろん、ロキは、この事を知っていた。
そして、今まさに気力を使い果たしそうなサドクも理解していた。
次の勝負はないだろう。

ロキとサドク、そして涅槃は、そう思っていた。

すなわち、この勝負、サドクと涅槃が気持ち的には不利だった。
そう。ロキの心にはゆとりがある。
負けても次あるのだ。

しかし二人には、もう、この次はないだろう。

もちろんロキは不敗は守りたい。
が、彼自身は不敗には、こだわっていなかった。たまたま不敗だと考えていた。
ゆえに彼は、二人より気持ち的には、余裕があったのだ。

心の奥底は別にして。

そしてサドクも涅槃も気力が尽きる。
ゆえにサドクは残った気力を全部、使い切る覚悟で、この勝負に挑んだ。
そして、涅槃も、なにも出し惜しみをする気もなく挑んでいた。
絶対、勝つと。

気持ち的には不利でも、気力だけは負けないと。

「グット! お前らが選ぶのは一番、右のカードだな?」

「ああ。一番、右のカードだ」

完勝について述べた。
それは、百%の力を出すモノに対し七十%の力でねじ伏せる事が肝要だと書いた。
しかし、今の二人には、完勝などという余裕はない。
この勝負に負けない事が重要なのだ。

そして、博打とは最後は勝つという気力が、より強い方が生き残る。

つまり相手より、勝つという渇望が、より強い方が、結局、生き残るのだ。
それは相反する事のようだが、実は違う。
いくら七十%の力でも……。

相手よりも、強く、勝ちたいと思えば、博打はそれをすくう。

博打とは、すなわち気力と気力の勝負なのである。

涅槃は不敗のギャンブラー、ロキの言動から、その事をうすうす感じ取っていた。
それだけ、心の底から彼女はロキに勝ちたいと思っていたのだ。
もちろんサドクも。

サドクの場合は、言動から感じるというより、直感で。

直感とは、とても彼らしい学び方だった。
そんな二人は勝てるのだろうか。
この怪物に。

夜の国のきらびやかなネオンのきらめきが対照的な柔らかな月光をさえぎる。
ちょうど、ロキというネオンが、彼ら二人を駆逐するように。
しかし、月光は……。

ネオンに負けず、確かにハッキリと一筋の光明を照らし出していた。

すなわち二人の強く固い、勝ちたいという渇望を。
ロキは、二人に分からぬよう微笑んだ。
彼もまた勝ちを確信し。

~ その三十六、渇望、了。

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【 信じるマン、第二十九話、給料払えッ! 】

「ホワチョー!」

キム・キムのアホが、カンフーの練習をしている。
俺は相変わらず、激難な本を真面目な顔をして、読み耽る毎日だ。
信じるマンに変身するのもなんだが。

日々、この忌まわしのレッド限定機能を発動させないよう努力しているわけだ。

なんだかキム・キムの思惑で、どんどん機能が追加されている。
昨今のスマホにも負けないイキオイでな。
もう止めて欲しい。
真剣に。

「ワチャー!」

そんな俺を他所にキム・キムは、カンフーの練習だ。
ま、研究室に籠もられるよりはマシだが。
籠もれば、また機能が……。

だろうな。

それにしても、この研究所を運営するカネは、どこから出ているのだろう。
いや、最近、難しい本を読んでいる影響で経済に明るくなったのだ。
何事にもカネは必要になる。

ゆえにキム・キムが、このヒーロー製作研究所を、どうやって運営しているのか。

それが気になったのだ。
それに、ずっと忘れていたが、俺はアルバイトをしている形なのだ。
この忌まわしの信じるマンになるという事はな。

「キム・キムよ。ちょっと話があるんだが。いいか?」

「マコっち、うるさいアル。忙しいアル。ヨロシ。ホワチャー。とう!」

とう!
とか言って、ジャンプするんじゃねぇ!
俺は、ずっと給料をもらっていないが、一体、いつ払うつもりだ!

相変わらず、キム・キムはカンフーに勤しんでいる。

そうだ。
イエローだ。イエローもアルバイトなんだろ?
ブルーとピンクは、給料にあまり興味を持ってなさそうな気がする。

だってブルーとピンクは、キム・キム信者だからな。

しかしイエローは信じるマンを、嫌々、やっている節がある。
という事は、つまり、給料が欲しいのだろうと思う。
給料でももらわないとやってられない。

この信じるマンは。

俺は辺りを見渡しイエローを探す。
その視線の先に……。
あり得ん!

「セイ! セイ! セイ! ホワチャー。とう!」

なんと、十人近くの門下生が。
そう。キム・キムのカンフーの門下生と思しき人物たちが視界に入ってきた。
というか。

このヒーロー製作研究所は、どうなんっているんだ。

そんな十人近くの門下生と思しき人物たちを、どう収容しているんだ。
というか、もしかして……、俺の杞憂であってくれ。頼む。
なにを考えたのか。

こいつら、もしかしてグリーン候補生ではないかと。

そう思ったのだ。
もし、この門下生たちがグリーン候補生であれば、信じるマンが五人揃う。
キム・キムが流れ落ちる汗を拭きつつ、門下生たちに手を振る。

「よし。今日はこれ位にするアル」

その前に……。

「ていうか、キム・キム。俺は給料を要求する」

「?」

キム・キムは、俺の給料請求にきょとんとした顔で答える。
まるで給料ってなにという顔をして。
殺意を覚えた。

いくらキム・キムが、俺の話を聞かない自己中女だとしてもむごすぎる。

俺は変態に変身などしたくない。
イエロー。イエローよ。
お前も……。

って、イエローよ。お前は今、どこにいるんだ?

「フッ。いい温泉だった。体が温まった」

「温泉かいッ!」

「うん? なんだ? レッド」

温泉に入っていたのか。
いや、マジで、このヒーロー製作研究所は、どうなっているんだ。
温泉まであるなんて、一大レジャー施設なのか。ここは。

ま、いい。

とにかく今は、給料の話を進めようと思う。
イエロー、お前も信じるマンなんて変態、給料でももらってないとな。
だろ?

「今、キム・キムに交渉していたんだ。イエロー、お前も給料が欲しいだろ?」

「フッ。俺はネコだ。キャットフードをもらっている」

「えっ。それでいいの」

「なぜかカレー味なのが、不満だがな」

そこまで俺とイエローが話していると、キム・キムが割って入ってきた。
さも当然といった感じの態度で。
また殺意が湧いた。

「マコっち。マコっちの給料は生活費としてもらってるアル」

「!」

そうきたか。
やっぱり、殺意を覚えたのは間違いではない。
俺は、信じるマンなんて変態体質になったから家に帰れないのだ。

それをいい事に給料は生活費として、もらっているだと。

やっぱり、一回、殺すしかないか。

いや。
止めておこう。
ここで怒れば、いつものパターンだ。

「おほほい。れっどしゃん! こっち。こっちでしゅ!!」

「おほほほ。ブルーちゃん。楽しいでござるな」

俺は声のした方を見る。
そこには、筋トレマシーンで、はしゃいで遊んでいるブルーとピンクがいた。
ていうか、本当にどうなの。このヒーロー製作研究所は?

やっぱり、一大レジャー施設なのか。

どこからカネが出てるんだ。
今、考えられる事は、グリーン候補生たちから巻き上げているとしか。
それ位しか俺の頭の中には浮かんでこなかった。

「ま、マコっち難しく考えるのは、今度にしてカンフーでもやるアル。ヨロシ?」

「……俺からもカネを巻き上げるつもりだな? キム・キム?」

「あちゃ。バレたアルか」

やっぱり、そうなんだ。
キム・キムは、アイツらにカンフーを教えつつ、カネを巻き上げているのだ。
そして、有望な人物をみつけたらグリーンにするつもりで。

「アチョー! ホワッター! アル」

キム・キムが蹴りを出した。
これぞ中華四千年の味だと言わぬがばかりに。
ていうか、これでフランス人じゃないと言い張るコイツは、アホだな。

間違いなく。

「というか、カレー味のキャットフード以外ないのか。ここには」

とイエローが言った。
キム・キムにとってイエローと言えばカレーなのだろう。
俺は、そう思い、イエローが哀れに思えた。

第二十九話、給料払えッ! 、了。

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【 なぞなぞなぞかけ、その二十 】

蠅がたかる異物とかけて、俺の全存在をかけてお前を守り抜く。久遠にと解く。
その心は?

どちらもくさいですな。

なぞなぞなぞかけ、その二十、了。

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【 愛羅武、魔王、~ 其の弐、彼は勇者 】

そういえば、今、思い出した事がある。
私の遠い過去、私の想い人、想い出の彼と出会ったあの日。
彼は言っていた。

自分は病に冒されていると。

そして私たちが住む世界から遠い世界に旅立つと。

つまり、彼は自分が死ぬという事を自身でも感じていたのではないだろうか。
そう言った彼は、とても悲しそうな顔をしていたのを覚えている。
まるで道に迷い、心細くて泣いていた私のように。

「ふははは。お前の想い出の彼はだな」

私が想い出の彼を思い出し感傷ふけていると魔王が横やりを入れてきた。
本当に無粋なヤツなんだから。
コイツは。

「うっさい。死ね」

「ちょっと待てよ。俺は真実を教えてやろうと思ってだな」

「本当にうっさいっての。この馬鹿」

「いや、馬鹿というヤツが馬鹿なんだぞ。分かってるのか。やーい。やーい」

やーい。やーいってなによ。
魔王、お前の精神年齢は、一体、何歳なんのよ!
でかいなりして。

コイツは本当にでかいなりをしている。

身長は、ゆうに二メートルを超えている。
筋肉は盛り上がり、体の線がでる真っ黒で光沢のある変な服をきている。
魔界の正装だと言っていた。

髪型は、怒髪天。

そう。
魔王の髪はすべて重力に反抗して逆立っている。
そして髪の色は、トリアドール。つまり、燃えさかる炎の色。

黒い服に真っ赤なトリアドールだから余計に目立つ。

目は、まん丸で黒目がない。
鼻とか口は、顔のどこを見渡しても見あたらない。
どうやって食事をして、空気を吸うのだろうか。見ているこっちが心配になる。

「おい。鮎菜。なにを考えている? もしかして俺の事か?」

「うっさい。うっさい!」

気の迷いで、少しでもコイツの心配をした私がアホだった。
魔王は調子に乗って、うきうきしだしたのだ。
コイツが喜ぶとムカツク。

「……でもよ」

と言った魔王の顔は、すでに調子に乗っている様子はなく、真面目だった。
魔王が、こういう顔の時は要注意だ。
と、三ヶ月の経験が言う。

「なによ。突然、殊勝な面持ちになっちゃって」

「お前には想い出の彼がいるんだろ。だから俺と付き合えない。だろ?」

ピーンときましたよ。私の天才的な頭脳が。
魔王は、私の想い出の彼を本物の過去にする気でしょ!
私の目の前で。

やだよ。

実に魔王らしい発想だよ。

でも、実際にそんな事をしたら私はコイツを絶対に許さない。
口を聞かないのはもちろん、絶交だ。
分かってる? 魔王。

……。

でも、彼は不治の病に冒されていたんだった。

もしかしたら彼は、もうこの世にいないかもしれない。
だとしたらコイツが言いたい事はなに?
ヤツは得意げな顔をしている。

「その想い出の彼はよ。実は俺なんだわ。今まで黙ってたけど」

グハッ!
一体、なにを言い出すのかと思えば。
そんなちんけなウソ、事も無げに形にするのは、どのアホな口だ? コラ?

って、口なかったし。

というか彼は不治の病に冒されていたのよ。
考えたくはないけど、もしかしたら彼は死んでいるのよ。
なんなのよ。
たく。

「俺は、あの時、お前を助けた」

「そんなウソ、信じると思う? あり得ないわ」

「ウソじゃない」

「アンタは魔王じゃない。人間じゃないでしょ。それはどう説明するつもり?」

「ああ。俺は病気だった。悪魔になる病気だったんだ」

信じられない。いや、信じたくない。
私の遠い想い出の彼が、こんな凶悪非道な魔王になっていたなんて。
だって彼は、とっても優しくて、頼もしかったんだから。

それが、なんの間違いか魔界の支配者になっていたなんて、絶対に信じたくない。

「とにかく、これで俺は、お前と付き合えるわけだ」

「はい? なんでそうなるの?」

「お前は、ずっと俺を想っていたわけだろ。だったらいいじゃないか」

「私が、アンタのつまらないウソを信じると思っているの?」

「だから、ウソじゃないって。本当の事なんだ」

「神さまに誓って?」

「おい。おい。魔王だぜ、俺は。魔王が神になんかに誓えるわけないぜ」

「じゃ、ウソ、決定。出直してきなさい」

やっぱり、コイツは笑えないウソをついていたんだ。
私の想い出の彼は、もっと大人で格好良くて、そして温かいんだ。
まかり間違っても魔王なんかじゃない。

「どうすれば信じてくれるんだよ。昔、お前を助けたのは間違いなく俺なんだよ」

「うっさい。笑えないから、ウソでも、そんな事を言うな」

「もう。日本を灰にするぞ」

こんなお子様が、私の想い人のわけがない。
でも、思ったんだけど、彼は一体、どんな病気にかかっていたんだろう。
あれ?

思ったんだけど、なんでコイツが彼の病気の事を知っているの?

悪魔になる病気なんて信じられない事を言ってたけど。
でも病気だった事を知ってるなんて。
なんで?

「よし。日本灰燼化計画を発動しよう。俺のフラストレーションを解消する為に」

「待って。待ってよ。アホな事言ってないで、答えて欲しい事があるの」

「なんだ? 俺は忙しいんだが」

「なんで、アンタが、彼の病気の事を知っていたのか知りたいの」

「ああ。だからお前を助けたのは俺だって言ってんだろ」

ウソか、本当か。それは分からない。
分からないが、少なくとも魔王は彼が病気だった事を知っていたのだ。
つまり、彼と関わりのある人物で間違いはなさそうだ。

「とりあえず東京からだな」

「待てちゅうの」

「うん? 鮎菜。俺と付き合う気になったのか?」

「それはお断りします。そうじゃなくて、アンタは彼の事を知っているの?」

「知ってるもなにも俺だって言ってんだろ。まだ分からんか?」

魔王は飽くまで自分が彼だと言いたいらしい。
そんな戯言は、絶対に信じない。
だけど……。

コイツと一緒にいたら、いつか彼に会えるような気がして、嬉しくなった。

彼は、今でもきっと生きている。
そして魔王を倒してくれて、私を救ってくれるんだ。
そうか。

彼は勇者だったんだ。

「乙女のあり得ない妄想が暴走しているな」

「あぁん? なにか言った?」

「ごめんなさい」

コイツ、日本を灰燼化するとか言いつつ、私には弱いんだよね。
だからこそ、私が手綱を握ってなきゃなんだけど。
やれやれだと思った。

~ 其の弐、彼は勇者、了。

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【 連載小説、愛羅武、魔王 】

恋愛のお話だと思われます。書いてる作者も分かりませんw。三十六話、以下、続刊。

お話、概要。

いたって普通の女子高生、邑上鮎菜(むらかみ あゆな)。
彼女はいたって普通の魔王に交際を迫られる。
凶悪、凶暴な魔王にだ。
誰か、助けて!

▼愛羅武、魔王、~ 其の壱、超どSな彼(ヤツ)
http://kokolost.blog.fc2.com/blog-entry-292.html
▼愛羅武、魔王、~ 其の弐、彼は勇者
http://kokolost.blog.fc2.com/blog-entry-294.html
▼愛羅武、魔王、~ 其の参、織り姫と彦星
http://kokolost.blog.fc2.com/blog-entry-298.html
▼愛羅武、魔王、~ 其の四、才能ねぇ
http://kokolost.blog.fc2.com/blog-entry-303.html
▼愛羅武、魔王、~ 其の五、ちょこっとラブ
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▼愛羅武、魔王、~ 其の六、ニート野郎
http://kokolost.blog.fc2.com/blog-entry-318.html
▼愛羅武、魔王、~ 其の七、フリチン
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▼愛羅武、魔王、~ 其の八、一弓さん
http://kokolost.blog.fc2.com/blog-entry-323.html
▼愛羅武、魔王、~ 其の九、もののふ
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▼愛羅武、魔王、~ 其の十、フリチン、馬鹿ちん
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▼愛羅武、魔王、~ 其の十一、勇者登場
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▼愛羅武、魔王、~ 其の十二、世界が違う勇者
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▼愛羅武、魔王、~ 其の十三、魔界の入り口
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▼愛羅武、魔王、~ 其の十四、凶悪な死角
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▼愛羅武、魔王、~ 其の十五、ハートを狙い撃ちよぉ!
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▼愛羅武、魔王、~ 其の十六、タンク・ソウル2
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▼愛羅武、魔王、~ 其の十七、ドロメアス
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▼愛羅武、魔王、~ 其の十八、特上寿司か焼き肉
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▼愛羅武、魔王、~ 其の十九、通信を終わる
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▼愛羅武、魔王、~ 其の二十、お金持ち
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▼愛羅武、魔王、~ 其の二十一、商売人
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▼愛羅武、魔王、~ 其の二十二、モブ
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▼愛羅武、魔王、~ 其の二十三、簡単には死なない
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▼愛羅武、魔王、~ 其の二十四、先っちょ
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▼愛羅武、魔王、~ 其の二十五、どMと露出狂
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▼愛羅武、魔王、~ 其の二十六、裏技的なアレ
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▼愛羅武、魔王、~ 其の二十七、メタル
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▼愛羅武、魔王、~ 其の二十九、飯間勇次郎
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▼愛羅武、魔王、~ 其の三十、魔法
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▼愛羅武、魔王、~ 其の三十一、裏切り
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▼愛羅武、魔王、~ 其の三十二、スパイ
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▼愛羅武、魔王、~ 其の三十三、ヒーロー
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▼愛羅武、魔王、~ 其の三十四、データ改ざん
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▼愛羅武、魔王、~ 其の三十五、すっきり
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▼愛羅武、魔王、~ 其の三十六、騒がしい日常へ
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【 愛羅武、魔王、~ 其の壱、超どSな彼(ヤツ) 】

私の名は、邑上鮎菜(むらかみ あゆな)。

現在、十七歳の普通の女子高生。
性格も容姿もこれといって特筆すべき事は何もない。
もちろん、勉強も普通だし、スポーツだってできる方ではない。
しかし、そんな平均的な女子である私に猛烈に迫ってくる男(ヤツ)がいった。

…――ソイツは魔王。

魔界の支配者であり、人間界すらも支配下に置こうと画策している魔王。

「ふははは。お前の望みを一つだけ叶えてやろう。俺と付き合う事と引き換えに」

付き合う事と引き換えに?
そこは、普通に考えて、魂とか、人生とかじゃないの!?
冗談じゃない。

「ふははは。魔王の彼女だとなにかと便利だぞ」

なにが便利なのさ。
私は人を脅して、生きていく事なんて、まっぴら御免なのよ。
魔王の彼女になんて、死んでもなりたくい。

「鮎菜?」

「な、なによ?」

「そんなに俺の女になる事が嫌か? 魔王である、この俺の彼女に」

「いやよ。私は普通に生きたいの」

「でもよ……お前は」

「はい。はい。そんなに悲しい顔しないの。無理なものは無理」

魔王が、どうのこういう前に私には想い人がいるのだ。
それは、まだ小学生の頃、彼と出会った。
想い出の中の彼。

遠い昔の記憶だから彼の名すらも忘れてしまったが、今でも私は彼が好きだ。

小学生の頃、私は遊んでいる間に、いつの間にか隣町に来てしまった。
そして道に迷い、どうにも心細くなり、泣いていた。
その時、彼と出会った。

彼は無言で私と手を繋いでくれ、そして敢然と歩き出した。

その態度が、頼もしく、そして繋いだ手が温かくて、私は安心したのだ。
彼は、隣町である私の住む町まで、私を連れていってくれた。
私の住む町に着くまで彼と色んな話をした。

私の心の中で、とても温かいセピア色の想い出だった。

「鮎菜……」

「なによ。もう、うるさいわね。魔王のクセにめそめそしないの」

魔王と出会ってから三ヶ月が過ぎていた。
三ヶ月もコイツと話をしていると、大方、コイツとの付き合い方も理解してくる。
コイツは、普段、魔界の支配者であり、諸悪の根源的存在だ。

しかし、惚れた弱みなのか、私にはめっぽう弱い。

だから私は、コイツに強気で、こんな態度がとれるのだ。
確かに出会った当初は、魔王など信じていなかったし、正直、怖かった。
だって、魔界の支配者だからね。

でも、いざ実際、付き合ってみると魔王の威厳などなく、私の尻に敷かれている。

やっぱり惚れた方の弱みなのだろうと思う。
魔王とはいえ、そんなに自分に惚れてくれる人がいるのは贅沢ですと?
いや、でも魔王だよ?

魔王。

私への愛を示す為に町を一つ焼き払うとか言うんだよ?

コイツは、私以外の人間など支配する対象だとしか考えてないんだよ。
これは、すなわち人類の存亡の危機なんだと思う。
存亡は私の双肩にかかっているんだ。

普通の女子高生なのに……。

それにもし私が魔王と付き合ったら、コイツは地球を滅ぼし、魔界に帰ると思う。
地球を滅ぼす意味は、私を救い出す勇者が生まれないように。
きっと。

コイツは、そんなとんでもないヤツなのだ。

「魔王。ちょっと聞きたいけど」

「なんだ? 鮎菜」

「仮によ。仮に私が、あなたと付き合ったら、どうするつもり」

「ふははは。そんな事は知れた事よ。案ずるな」

「なにを案ずるのよ。案ずる事なんて、なにもないわ。どうするの。答えなさい」

「ふははは。勇者が生まれぬよう地球を滅ぼし、さっさと魔界に帰るわ」

やっぱり。
コイツは私に弱いけど、確かに魔王なんだ。
私に対するそれとは違って、地球になど、微塵も興味を持っていない。

「そんな事を言うとは、さては俺と付き合う気になったのか」

「そんなわけないじゃん。絶対に無理。無理」

「では、地球を滅ぼす前に人間を選別し、千人の奴隷を魔界に連れて帰ろうか」

「奴隷って……」

「お前が、寂しいだろうと思ってな。人間の奴隷がいれば寂しくなかろう」

こういうヤツなんだよ。コイツは。
結局、魔王は私にしか興味がなく、私以外の人間には興味がないのだ。
もし仮に私に魔王を滅ぼす力があれば、コイツを叩き斬るね。
間違いなく。

でも、残念な事に普通の女子高生なのだ。

いくら地球の存亡の危機だろうと、なにも手を打てないのだ。
だから今の私には、なんとか魔王をいなして、危機を先延ばし誤魔化すしかない。
私って無力だなと思う。
心の底から。

そんな魔王に迫られている私だが。

本当に普通の女子高生。
瑠璃色のナチュラルボブの髪型は、ちょっと気が強いの表わしているのかも。
そして、これは悲しむべき事なのだが、胸の発育が遅れている。
自分で言っててなんだがペチャパイなのだ。

瞳は髪の色と同じ。

瑠璃色。

天然ウルトラマリンとも呼ばれる、やや紫みを帯びた鮮やかな青。

そして瞳は大きく、鼻筋も通っている。
唇は、小さく、可愛いピンク色のリップクリーム、ピンクグロウを使っている。
背は低い方だと思う。

どう?

いたって普通のどこにでもいる女子高生っしょ?

ペチャパイなのは除いては。
たははは。自分で自分の事をペチャパイとか言うと悲しいね。
とにかく今は、地球の危機であり、人類の存亡が私の双肩にかかっているのだ。

「胸を見て残念そうな顔をしているな。鮎菜。俺は、お前の胸も好きだぞ」

ゲッ!
魔王って貧乳好きなの?
私のイメージでは、魔王はムチムチボディーのガールが好きだと思っていた。
敢えて、アメリカンっぽくガールと言っておく。

「やはり乳は、先っちょがピーンと上を向いている乳ではなくてはな」

先っちょとか言うな。レディーを前にして。
コイツ、最悪。なんて下品なヤツ。
殴っておく。

かたく握られた私の鉄拳が魔王のアゴにヒットする。

魔王は幸せそうな顔をして、口から血を吐きつつ、中空を舞う。
コイツ、みんなにはSっぽい顔をしているけど……。
どM!?

どMなヤツは普段、周りに対してどSな振る舞いをすると聞いた事があるけど。

コイツがそうか!?
いや、実際的に魔界の最高権力者なわけだし、普段はどSなんだろう。
どMとか、マジ、キモイんですけど。

「ふははは。鮎菜。お前のパンチは効くな。さすが我が嫁」

嫁とかいうな!
魔王と付き合う気なんてないから。
大体、どMなんて、マジで、心の底からキモイから。

「ふははは。とにかくだ。なんにしろ俺は、心の底からお前を愛している」

どうしよう。
本当にどうしよう……、地球の危機とは分かっているけど。
でも、でも、無理なモノは無理なんですけど。

「鮎菜。よいか。余と付き合えば、一つだけ願いを叶えてやるのだぞ」

そうか。
私が生け贄になり、地球を、人類を、救う事はできるんだ。
でも大義の為に自分を差し出す事なんて。
どこかの英雄か?

私は、いたって平均的な、どこにでもいる女子高生。

「ふははは。そうだ。鮎菜。お前が俺と付き合えば、地球は見逃してやろう」

でも……、コイツは魔王なんだ。
魔王が約束を破るなんて、日常茶飯事だろう。
信じてもいいの?

いや、私との約束だけは、絶対に守ってくれそうな気がする。

なぜなら約束を守らなければ嫌われるから。
コイツの頭の中には、その程度の考えしかないと思うし。
でも嫌だ!!

どSで、どMな魔王の彼女なんて。

SとかMとか以前に私には想い出の彼がいるんだから絶対に無理。
無理よ、無理なの。
ダメ!

「たく。面倒くせぇな。とりあえずお前以外の人間たちを滅ぼしておくか?」

私は無言で、魔王のアゴにいいのを入れた。
そして、また魔王は幸せそうな顔をして、吹っ飛んだ。
キラキラと涙を流しつつ。

なんでよ。

なんで私なのよ。

私は、そんな事を思いつつ、拳をギュッと更にかたく握り込んだ。
自分の不幸を呪い、そして、悲しみつつ。
生け贄なんて、嫌と。

~ 超どSな彼(ヤツ)、了。

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【 行ってきましたよw 】

春彼岸、盆、秋彼岸、正月の四回、まめに先祖の墓にお参りする幽霊(ぼく)。

行ってきましたよw、了。

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【 地雷を踏んでしまった男 】

> 明けましておめでとうございます。
> 今年もよろしくね!

新年早々、俺の携帯に嬉しくないあけおめのメールが着信する。
これは去年知り合った子からのメールだ。
しかし、どうにも嬉しくない。

今は昼の十二時。

昨日、紅白を観たあと近くの神社に初詣にいったので、寝るのが遅かった。
しっかしと時間を確認していないが、寝たのは四時くらいか。
これを寝正月というのであろう。

そして、女の子からあけおめのメールの件だが。

俺は寝ていて、メールの返事を返さず、八時間近くも放ってあった。
でもね。だからってさ……。
めでたくない。

同じ内容のメールを千通以上、送らなくてもいいじゃないか。

今もまだ続々と着信を続けている。
同じ内容のメールが。
あけおめと。

もしかして、これって新手の嫌がらせかな?

地雷を踏んでしまった男、了。

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将来、月に移住したいと思う今日この頃。現実的には一歩、一歩、着実に。基本を大事に。

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