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【 なぞなぞなぞかけ、その十九 】

末期のガンとかけて、年末年始の高速道路と解く。
その心は?

どちらもじゅうたいです。

なぞなぞなぞかけ、その十九、了。

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【 悪魔ちゃんと天使くん、~ ダニット5、ポーカーフェイス 】

「ロキは、須木邦大と壺焼きシロ―という人間を夜の国に召喚したのだ」

須木邦大と壺焼きシロ―。初めて聞く名だな。
しかし、それと殺人鬼との関係は?
分からないな。

「しかしロキは二人を人間のまま六道に召喚してしまったのだ」

そうか。
六道は天使や悪魔が住む世界。
うさん臭い本には人間が死んだあと転生を経て天使や悪魔になると書いてあった。

ロキは、その原理原則を曲げて、二人を召喚してしまったのか。

しかし、それだけでは殺人鬼との関係は分からない。
いや、待てよ。
もし。

そう。もしだ。殺人鬼が二人と関係があれば。

仮に殺人鬼が二人と関係のある人物だとして、殺人鬼の記憶はどうなる。
二人が、消えてしまったあとの記憶は、一体、どうなるのだ。
普通は転生を経て六道にくるのだから。
つまり死んだあとにくるのだ。

ゆえに殺人鬼と須木邦大、壺焼きシロ―との記憶は改ざんされるのか。

私は私の疑問を鈴音に聞いてみる事にした。
事実を聞くのではない。
聞き込みだ。

「もし殺人鬼が、二人と関係があった場合、その記憶はどうなるのですか?」

「うむ。これは想定外の事であってな。余にも分からぬのじゃ」

「アガペーを受ける鈴音さんにも分からないのですか」

「余も万能ではない」

「そうですか」

「うむ。だが、どこをどうめぐったのか、殺人鬼にそちのカフェがバレたのじゃ」

「はい。分かりました。一旦、まとめましょう」

「そうじゃな」

「ロキは須木邦大と壺焼きシロ―を人間のまま六道に召喚してしまった」

「うむ」

「その影響なのか、殺人鬼に私の経営するカフェの場所がバレた」

「そうじゃな。ただアカシックレコードによると書き換わった痕跡があるのじゃ」

「どういう事です?」

アカシックレコードとは書き換える事ができるのか。
これも新しい証拠として保存しておこう。
私の灰色の領域に。

「元々のそちの人生では、今もまだ生きて探偵を続けているのじゃよ」

「鈴音さん。あなたは書き換わる前のアカシックレコードを読んだのですか?」

「いや、読んではおらん」

「では、なぜそう言えるのです。おかしいじゃないですか」

「ロキじゃよ。ロキが慌てたのじゃ」

「いまいち意味が分かりませんが。なぜロキが慌てたのです? ロキは……」

「ヤツは心眼を持っておる」

「そうか!」

私は、ここまでで出揃った証拠のいくつかを検証した。
ロキは心眼という心力を持ち、そして、不敗のギャンブラーなのだ。
その証拠を持ってして……。

「そうじゃ。多分、正解であろう。主の推理を披露してみよ」

「ロキは、書き換わる前のアカシックレコードを読んだわけではない」

「うむ」

「心眼により、彼は書き換わる前のアカシックレコードを予想したんですね?」

「そうじゃ。なかなかやるのう。お主」

「そして彼は生涯で一度も負けた事のないギャンブラー」

「ほほほ。その通りじゃ」

「その予想の的中率は百%と言っても過言ではない」

「もうなにも言う事はあるまいて」

「そのロキが慌てるという事は、私は死ぬ運命ではなかったと」

「そういう事じゃ」

殺人鬼が私のカフェの場所を知ったのは、どういう経緯なのかはもういい。
それより重要なのは、ロキが起因していたという事。
このゲームは彼なりの罪滅ぼし……。
やっと分かってきた。

もしかしたら殺人鬼と須木邦大と壺焼きシロ―は無関係かもしれない。

しかし……。
人は必ず他人と関わって生きていくしかない。
その連鎖の糸が、どこかで須木邦大ら、二人に繋がっていてもおかしくない。
だが関わり合いが薄く、二人と殺人鬼は赤の他人なのかもしれない。

しかし、それでも人間は普遍的無意識を共有している。

そう。
記憶とは、全人類で作り上げているのだ。
個人の記憶、個人的無意識と、そして、対義にある全人類の記憶、普遍的無意識。
そうだ。分かった。

アカシックレコードとは、実は普遍的無意識ではあるまいか。

二人を召喚する事によって、普遍的無意気に傷が入り書き換わってしまった。
そしてロキは、真実を見抜く目によって予見したんだ。
私が死んでしまう事を。

ではと、また疑問が頭をかすめる。

そうだとするのならば、なぜ私だけが死んだのであろうか。
普遍的無意識は全人類の記憶なんだろう。
だとするのならば……。

「ほほほ。確かに、そち以外にも人生が狂ってしまった人間はおる」

鈴音は、またアガペーにより、私の心の内を読んだのであろう。
疑問に思った事に対し、正確な答えを返してくる。
そうだったのかと思った。

「各々、六道の王たちに協力を要請し、他の人間たちもゲームをしておるのじゃ」

私は探偵だった。
ゆえに私のフィールドである推理でゲームを敢行したわけだ。
すなわち、このゲームは運命の調整なのか。

ロキという天使によって引き起こされた人災を起因とする運命の調整。

そう結論づけると、三点、すべての証拠が真になる。

私は死ぬべき人間ではなかったという証拠。
これは、普遍的無意識が書き換わった事で、死ぬべきではない人間、私が死んだ。
ゆえに彼らに言わせれば、私は死ぬべき人間ではなかったのだろう。

次に私の死は避けられぬ運命だったのだという証拠。
あの三つの死体がある殺人事件は、起こるべくして起こったのであろう。
ロキが関わろうが、関わるまいが。
先も決まっている。

私の経営するカフェの場所がバレれば、私の死は避けられない。

これは運命と言い換えてもいいと思う。
すなわち私の死は避けられない運命だと言ってもいいのだ。
これも真だろう。

最後に夜の国の王、ロキに召喚されたという証拠。
これは、鈴音と話、私自身が実際に体験し、そして導き出した答えだ。
言うまでもなく真だろう。

そこまで、じっくりと推理を続けていると彼女が私に告げた。

「他の人間ほとんどはロキが引き受けておる。じゃが、主は余が招いた」

確かに神の視座を持つ悪魔と私ではピッタリだ。
彼女の中で、私の推理力は、ある程度の余興になると考えたのだろう。
世の中に辟易した彼女は。

いや、大体、鈴音の語り口を見ていると、私はゲームに勝つべくして勝ったのだ。
鈴音、彼女は無の国という六道のうちが一つを統べる王らしい王だった。
しかし、この無の国で起こった事件の話は封印しようと思う。

なぜなら常識では測れないのだから。

天使や悪魔、そして普遍的無意識であるアカシックレコードなど……。
決してこの世にあってはならない事象だったのだから。
それが、この事件の顛末であった。

とても不可思議で、私の記憶の中に残る事件の。

「なかなか面白かったゾ。また機会があったら余と遊ぼう。灰色探偵ダニットよ」

それが彼女の最後の言葉であった。
その言葉を聞いて、私は結局、彼女の手のひら上で踊っていたのだと痛感した。
確かに彼女は興味深い検体であり、面白い事件であったのだが……。

冗談じゃない。

彼女と関わるのは二度と御免だ。
大体、神の視座を持つ悪魔とのゲームなのだ。普通にやれば勝てない。
今回は、お情けで勝たせてもらっただけの話なのだ。

それは揺るぎのない事実であり、真実だった。

ゆえにあとにも先にも私が事件を、容疑者を嫌がるのは、この事件だけだった。
そんな私にとって、とても嫌な思いをした事件であった。
同時に楽しかったが。

しかし、それは、彼女には絶対に伝えたくない気持ちであった。

最後の最後で、プライドが彼女に反抗しても、いいだろうと言ったからだ。
だから、私は彼女の最後の言葉になにも答えなかった。
しかし、笑みだけは残して。

「ほほほ。その笑みだけで充分じゃよ。主は笑う事も少ないからのう」

と彼女がつぶやいた。
再び、ただ一人、無の国を漂い始めながら……。

~ ダニット5、ポーカーフェイス、了。

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【 悪魔ちゃんと天使くん、~ ダニット4、究極の公正 】

さて、では推理を進めていこうと思う。
ロキが、人間界に関わらねばならぬ状況とは一体、どんな状況だったのか。
そこから考える必要があるような気がしてならない。

それを考えるには、まずロキとは、どんな人物かを知る必要がある。

うさん臭い本を読んだ限り、ロキとは夜の国の王であり不敗のギャンブラーだ。
王とは、今、目の前にいる鈴音という少女と同列にならぶ人物だろう。
そして、彼は生涯で一度も負けた事のない勝負師。
そこまでは分かっていた。

しかし、その夜の国の王が、なぜ人間界に関わる必要があったのか。

六道の住人たちは、人間界で幽体と呼ばれる状態になる。
推測するに今の私と同じ状態である。
つまり幽霊になるのだ。

ゆえに殺人鬼が天使だったという仮説は崩れる。

殺人鬼は確かに人間であり、凶器を手に私を殺したのだから。

幽体、つまり幽霊であれば触れる事はおろか、殺すなどとてもできないのだ。
私はナイフで、滅多切りにされ、殺されたのだ。
幽霊には、そんな事はできない。

せいぜい呪う位しかできないと思われる。

しかし、ロキは天使である。
その天使である彼が、なぜ人間界に関わらねばならなかったか。
しかも、彼が関わらねば、私は死を迎える事となる状況だったという証拠がある。

あとは、なにが考えられるか推理した。

天使はアカシックレコードにアクセスする権利を持つ。
そこにヒントはないか。
考えてみた。

しかし、それ以上はなにをどう考えてもどうどうめぐりであった。

大体、天使や悪魔の存在をたった今、知ったのだから。
いや、それどころか死んでも意識があるとは。
それすら知らなかったのだ。
今までの私は。

「よし。一つ、ヒントをやろうかのう」

袋小路にハマった私を見て、鈴音が天真爛漫に笑い言った。
私は推理が、どうにも進まなくなったので、彼女のヒントをありがたくもらった。
しかし、これでまた私はポイントを失った。
仕方がないが。

「ロキは、心力、真実を見抜く目をもつ天使なのじゃ」

「真実を見抜く目ですか?」

「そうじゃ。それは神の視座とも呼ばれておる」

心眼。
それは一体、どういうモノか?
私は、新たな証拠を手に入れ、自身の推理を進めた。

私が思うにアカシックレコードとは情報が雑多に記録されいるのだと思う。

すべての人のすべての人生が記録されている神の叡智なのだ。
つまり、整理されていても難解な記録なのだろう。
それだけの情報量があるという事だ。

そして、心眼。

それは、つまりアカシックレコードを正確に読み取る能力なのだろうと思う。
真実を見抜くとは、そういう意味があるのだろう。
パソコンで言えば検索バーか。

つまり、インターネットには各々のサイト専用ブラウザーがあるように。
アカシックレコードに対してのそれが神の視座なのだろうと思う。
しかし、それが、なんだというのだ。

ロキという天使が私に関わらなくてはならない状況と、どう繋がるというのだ?

「そちはポイントを失うが、更にヒントを聞きたいか?」

やはり、このゲーム。
私の推理力を試す為のゲームなのだ。
今までは、とても信じられなかったが、彼女の言葉で確定となった。

このやり取りをどこかで観察しているヤツがいて、ポイントを量っているのだ。

ま、でも、それは先ほど彼女に確認して、そうだと分かっていたはずだ。
だから今、その事をどうのこのうの言っている場合ではない。
私は、ここで決断をしなくてはならない。

更にポイントを失ってでも、ヒントを聞くかの決断をだ。

このままでは、鈴音のペースにハマってしまう。
そして、ずるずるとヒントを聞いてしまい、ゲームの敗北者となるのではないか。
二回、連続でヒントをもらうとは、そういう事を意味するのでは……。
と思った。

「どうするのじゃ?」

私は決断力のある方だと自負している。
しかし、この決断だけは、自分の命がかかっているだけあって、決断しずらい。
そうして私がまごついていると、彼女が畳み掛けるように言う。

「人生とは選択と決断の連続じゃ。選択と決断の鎖が人生と言ってもよい」

そうなのだ。
確かに人の死は、ある日、唐突にやってくる。
そして彼女の言う通り、人生とは選択をして決断を下すと次の選択が現われる。
そうして選択と決断を繰り返し、死は、その繰り返しの中で……。

ある日、唐突におとずれる。

選択と決断を誤る時が必ずあるのだ。
その時に死は、天から舞い降り、その人を殺めるのだ。
ゆえに今、私は決断を迫られているのだが、今の決断は、その一つに過ぎない。

つまり、命がかかっているとかは、まったく無視していい事象なのだ。

そう。
平和な日常の中で選択と決断を繰り返しているのと、なんら変わらないのだから。
命がかかっていると思ったのは、そう思い込んでいるだけだ。
そう思ったら心が軽くなった。

「そうですね。鈴音さん、ヒントを頂けますか?」

「そちはポイントを失う。いいのか?」

「はい」

私は、いい決断をしたと思う。
ここでポイントを失う事を怖がり、ヒントを聞かなければ推理が進まない。
推理が進まなければ、私は余計にポイントを失うかもしれない。

いや、彼女のペースにハマり、死を迎えると思う。

このゲームに負けて。

少々、ポジティブに考え過ぎて公正感に欠けているような気がするが。
しかし、このゲームに勝つには、それ位の方がいいと思う。
推理が公正であればいいのだ。

このゲームは、私の推理力が試されているのだ。

心持ちは前向きでいた方がいいだろう。
これは不思議な事であったのだが、鈴音、彼女と話していると、そう思えたのだ。
そういえば、あのうさん臭い本に書いてあったのを今、思い出した。

彼女ら六道の王たちは、一人、一つの心力を持つと。

鈴音。
彼女の心力は、なんなのだろうか。
灰色の領域を持つ探偵ダニットたる私に興味を持つような悪魔なのだ。
心力も、それに関わるモノではないだろうか?

私の推理は、少々、横道に逸れたが、そちらに興味を覚えた。

やはり、彼女は悪魔なのだろう。
アガペーから私の顔色や仕草を見て、私に共感し、私の心を読んだようだ。
そして言う。

「ヒントの前に。そちが疑問に思った事に答えたい」

「!」

「答えてもよいか?」

「それはポイントを失っても知りたいですね。それが私の生き甲斐ですから」

「そちは先ほどとは違い死を恐れぬと申すのか」

私は、人生は選択と決断の繰り返しと彼女に聞いてから心持ちが変わっていた。
私は命がかかっているという重き鎖から脱出できていたのだ。
ゆえに自由に選択、決断ができるようになっていた。

「そうではありません」

「では?」

私は百%の力を発揮できる状態にあった。
これは鈴音が望んだ事であり、百%の私と戦いたかったのだろう。
だからあんな話をした。

そう。

人生とは選択と決断の繰り返しだと。

「生き甲斐がなければ死んでいるのも同然なのです。だから知りたいのです」

「よい。よい。だからこそ余は、余の下にそちを呼んだのじゃ」

「もしかして! あなたの心力は!?」

「なんじゃ? 申してみよ」

「私の推理によると、あなたの心力は私のポリシーに近いのでは?」

私のポリシーとは、関わったすべての事件の全容を白日の下にさらす事だ。
つまり、どんな難事件であろうと、すべて読み解く事。
そして、その推理は常に公正である事。

この二点が私のポリシーだ。

そして世の中に辟易し、ある種の絶望を抱いた彼女が興味を持ったのだ。
つまり、私になにかを見いだし、楽しめると思ったのだ。
彼女自身の心力が成長すると思ったのだろう。
ゆえに彼女の心力は……。

「鈴音さん、あなたの心力は無我の境地、悟りと言った所でしょうか」

「よい推理じゃ。余の心力は無我の境地。すなわち悟りじゃ」

「ふふふ。悟りを開いた人と戦うなんて」

「じゃから言ったじゃろう。余は馬鹿の方なのじゃ」

「いや。今、あなたと対峙する私はドン・キホーテ並の無謀ですよ。あははは」

私は、そうやって何気ない冗談を言えるほど心は開放的で軽かった。
生と死がかかっているゲームをしているにも関わらず。
いや、私は、こう思ってしまったのだ。

人間はいつか死ぬ。

ならば、今、次の瞬間に死んでも、百年後に死んでも死ぬ事には変わりがないと。
ようは後悔するような人生を歩んでいたのか、精一杯生きていたのかだと。
後悔しないような人生を送っていればいつ死んでもいい。
そんなモノだろうと思ったのだ。

そして、一旦は、ポイントを失うかに思えた。
しかし結果は、私の推理が功をそうし、ポイントを回復した。
これはまったく予想外の事であり、ピンチがチャンスへと変わったのだ。
流れは私にきていた。

「心力の事は分かったな。では、ヒントの話じゃが」

今、得たポイントでヒントを聞く。
これ以上、理に適った行動はないだろうと思った。
そして、また次に得たヒントで、次の段階へと推理を進める事が大事なのだ。

私は気を引き締め、彼女の言葉(ヒント)をジッと待った。

観察眼を光らせて。
必ず、このゲームをクリアしてやると意気込んで。
そんな心持ちの私に対して、鈴音は、世界に響き渡るような声で応えた。

~ ダニット4、究極の公正、了。

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【 悪魔ちゃんと天使くん、~ ダニット3、事件と笑顔 】

さて、ようやく長い前置きも終えて、私と鈴音は、どんなゲームをしたのかだが。
実の所、ゲームは、いつの間にか始まっていたのだ。
なぜ私は死に、そして召喚されたのか。

その謎を解くのが、すなわちゲームであった。

「さて、なぜ、余が、そちに名乗るチャンスを失ったと言ったかだが」

またチャンスを失う。
私の中にある長年の経験が、そう叫んだ。
そうなのだ。このゲームは事実を多くあげた方が勝つ。

私は推理という手段を使って、そして、鈴音は会話を進める内に。

つまり事実を知っている鈴音より先に推理し、事実を説明する事が大事なのだ。
その説明した項目が鈴音より多ければ、私の勝ちなのだ。
ゆえに鈴音に主導権を与えてはいけない。

鈴音に主導権を与えてしまうと、私が推理する部分がまったく無くなる。

それは、このゲームの負けを意味する。
負けたという事は、私の確定されていない死が確定されるのだ。
いくら私が灰色探偵と呼ばれ性格が悪い探偵だとしても死ぬのはまっぴら御免だ。

「これは私が推理したのですが」

「うむ。申してみよ」

「名乗るチャンスを失ったと言いましたよね。そして配慮とも」

「うむ。言ったぞ。しかし、それがどうかしたか」

「それは、私自身が名乗った方が、ゲームが有利になるという事ですよね」

「そうじゃな」

「私の名前は事実の一つ。それを暴く事がゲームだと思うのですが」

「ほほほ。よく分かったのう。そうじゃ。これは事実を暴いていくゲームじゃ」

「鈴音さん。あなたはよほどの馬鹿か。それとも……」

「ま、馬鹿の方じゃろうて」

「いいでしょう。そして、どちらが多くの事実をあげたかによって勝敗が決まる」

「そうじゃ。探偵である主にはうってつけのゲームであろう」

「甘いですね。私の推理力を試すなどとは」

「ほほほ」

今まで、退屈そうだった鈴音の目の奥が鋭く光ったような気がした。
あんなにつまらなそうだった彼女が真剣になったのだ。
彼女に認められたのだろう。

そして、私は、これまで集めた証拠を検証した。

まず第一に私は死ぬべき人間ではなかったと鈴音が言った事。
次に私の死は避けられぬ運命だったのだという事。
そして夜の国の王、ロキに召喚された事。

以上、その三点だ。

あとは現実に私が死に至るまでに起こった事を考える必要があると思った。
ゆえに私は、私が死んだ時の状況を思い出していた。

三時間前。

私は、探偵として、いつものように殺人事件の推理をしていた。
その事件は、ちょっと変わった事件であり、私の好奇心は最高潮に達していた。
どんな事件だったか簡単に言うと。

同時に三つの死体がある殺人事件だったのだ。

三つの死体。
それ自体は、さしたる問題ではなかったのだが……。
問題だったのは、その事件が起こった部屋が、完全なる密室だったのだ。
どうにも崩す事のできない密室。

更に猟奇的だったのが、三つある死体のうち一つが盗まれたのだ。

捜査関係者が現着した時には、すでに一つの死体が盗まれたあとだった。
そして、様々な証拠を集め、私は一つの結論に達した。
完全なる密室の謎を解いたのだ。

しかし、それが、そもそもの間違いであった。

そう。
確かに現場は、重苦しい鉄の扉に閉ざされた密室であったのだ。
しかも中からしか鍵はかけられない密室。

事件が起こった当初、部屋には鍵がかけられていた。

中からしか、絶対にかけられない鍵が。
そして一旦、中から鍵をかけると外からは扉を壊さない限り、どうにもならない。
そんな密室だった。

…――そう。

三つのうちの一つの死体が盗まれた事が、この事件を解決するキーとなった。

つまり三つの死体のうち一つは死体のフリをした殺人鬼だったのだ。
そう。三人のうち一人は生きていたのだ。
二人を殺したあとも。

そして目撃者に三つの死体があると思い込ませたあと。
もちろん扉は目撃者に壊させたあと。
彼は去ったのだ。

現場には盗まれたと思しきあとを残し、悠々と立ち去ったのだ。

少なくとも私は、そう結論づけた。
そして、それで、私は、すべてが解決したと思った。
それが甘かった。

確かに私の推理は正解だった。
そして私は私の経営するカフェで現場の様子を聞いて事件を解決したかに見えた。
が、殺人鬼は現場を去って、次に向かった所が……。

私のカフェだった。

私は生前、安楽椅子探偵として、探偵稼業を営んでいた。
なぜ安楽椅子探偵だったのか。様々な理由があるが、これが一番の理由だろう。

自衛の為。

探偵などという稼業を営んでいれば、勘違いをした犯罪者の恨みを買う。
ゆえに探偵とは真逆なファンシーなカフェを経営している。
もちろん多種多様なトラップを仕掛け。

まさか、この店の店主が安楽椅子探偵で色々な事件を解決しているとは思うまい。

そう考えていた。
そして、私が冒した凡ミスとは。
その死体のフリをしていた三つめの死体であった殺人鬼を招き入れた事。

そう。

犯人は、まだあどけない女子高生だったのだ。

目撃者の話では、死体は、三つとも性別すらも判断できないほど損壊していた。
私の店を訪れた殺人鬼が、どうやって変装したのか分からない。
しかし目撃者にそう思わせる術があったのだ。

目撃者は、まんまと騙された。

そして、私も……。
まさか、こんなあどけない女子高生が犯人だとは思わなかった。
そこまで頭が回らなかったのだ。

そして、私は推理の余韻にも浸るヒマもなく、殺された。

店に仕掛けてあるトラップも、まさか客だと思っている人物には使えないだろう。
大体、なぜ、私の店が、彼女にバレていたのだ。
内通者がいるとしか思えなかった。

「うむ。そうなんじゃ」

おっと。
鈴音が、また事実の一つを暴こうとしている。
私は彼女の先に回るように言った。

「私が思うにハウとホワイという仲間がいるのですが、そこから漏れたのではと」

「うむ。そうじゃな」

「ハウとホワイは、どちらも女子高生ですからね」

「しかし事実は違うのじゃ。そこにロキが関わっておったのじゃ」

くっ。
ロキだと!?
これは推理が失敗して、鈴音の方にポイントが入ったのか。

まずいぞ。

鈴音は、一体、何が言いたいのかを考えた。
確か、うさん臭い本には六道の住人たちは人間界に関われないと書いてあった。
特殊な場合を除きだ。

その特殊な場合とは、一体、どういう状態を指すのだ。

その答えを求めるように鈴音にたずねた。
今のままでは、証拠不十分で、推理を進める事すらできないのだから仕方がない。
しかし最後に勝つのは、この私、灰色の領域を持つ探偵ダニットだ。

「ロキが関わったという事は特殊な状況だったんですか?」

「いや。至って普通の状況じゃ」

「では、なぜ?」

「そうじゃな。ロキは関わったと言っても関わらなかったとも言えるからじゃ」

「そうか。つまり、手を出せなかった事が逆に仇になったのですね」

「そうじゃ。さすが探偵。察しがいいな」

そうなのだ。
実の所、本来ならば殺人鬼は私の店を知り得なかった。
しかし、ロキが関わらねばならない何かが起こり、関わらなかったという事か。
人間界には関われないという掟に従い。

「人間界で、何が起こったのかは知りません」

「うむ」

「が、夜の国の王、ロキが関わらねばならぬ状況になったのですね」

「そうじゃ。褒美に、なにが起こったのか教えてやるかのう」

「!」

その手には乗るか!
このゲームは、より多くの事実を暴いた方が勝つのだ。
なにが褒美だ。このタヌキめ!

「いえ。結構。私は私自身の手で、この事件を解決したいのです」

「そうか。そうか。やっと呑み込めてきたようじゃな」

「ふふふ。これはこれで面白いです」

「じゃな。余もそちをロキに渡さず、こちらに呼んだ甲斐があるというものじゃ」

と鈴音は笑って、私にウインクをした。
私は避けられぬ運命で死んだとして、彼女がチャンスをくれているのだとしたら。
そう……。

生き返るチャンスをくれているのだとしたら。

私は、この鈴音という悪魔に心の底から感謝しなくてはならないと思った。
私は性格が悪いが、その辺りの当たり前の礼は弁えている。
ゆえにこのゲームに勝とうと思った。
恩返しの為にも。

その気持ちを知ってか、また鈴音は満面の笑みを魅せてくれた。

彼女の心の底から湧上がる気持ちを抑えきれずに。
私も彼女につられて笑ってしまった。
心地のいい笑いだった。

久しぶりに心の底から湧上がる感情で、笑ったなと思った。

~ ダニット3、事件と笑顔、了。

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【 悪魔ちゃんと天使くん、~ ダニット2、王たちの思惑 】

私は生死を賭けて、どんなゲームをしたのか。

それを語る前に、この時、私と彼女がいた場所を説明する必要がある。
これも、リアリストな私にとって信じがたい事なのだが。
私たちがいた場所は……。

なにもない場所。

地面もなければ、もちろん空もない。
そして光も射していない。
真っ暗闇。

しかし闇の中にあって、彼女と自分の存在は分かった。

それは、私自身の体が、包み込むような柔らかい光を放っていたからだと思う。
それ以外にも考えられるが、考えたくない。
私の常識を超えているのだから。

そこは、とても地球上のどの場所とも思えない場所であった。

こう書くと、そこは宇宙空間などという安直な考え方をする人もいるだろう。
宇宙空間には、惑星もあれば、恒星もある。
もちろん隕石だって存在する。

ゆえに私の考えでは宇宙空間でもないと推測される。

彼女はこう言っていた。
ここは六道の内の一つ、無の国だと。
そういえば天使について書いてあった、うさん臭い本にも出てきた。

六道という六つの天使や悪魔が住む世界があると。

私は、彼女の言葉を、にわかには信じず、必死で証拠集めに奔走していた。
このとても信じられない状況をどうにかしたかったのだ。
必死とは私に似合わない事をして。

やはり、この時、私は自分でも気づかない内に焦っていたのだろう。

焦った時点で、私は少女には負けていたのだ。
それは灰色の領域を持つ、灰色探偵ダニットの失態であった。
少女はクスッと笑い言った。

「余は、名を鈴音(りんね)と申す。そちの名を聞いていなかったな」

私は、ここだと思った。
そう。彼女は私の人生を見ているにも関わらず、名前を知らないと言ったのだ。
これは彼女の重大な矛盾であり、私にとって頼もしい証拠だった。

「愚かな。あなたは、私の人生を見た風な言い方をしつつ名を知らぬのですか?」

「ほほほ。そちの名は知っておる。じゃが、自分で名乗りたいであろう」

「そうやって誤魔化すおつもりですか?」

「余の配慮をいらぬと申すか」

「配慮? 誤魔化しの間違いではありませんか?」

「……フー・ダニットじゃろう。知っておる。主は名乗るチャンスを失ったのう」

なんと。
彼女は絶対に知り得ないと思っていた私の名を事も無げに告げた。
しかも続く言葉で、もっと驚くべき事を言った。

「ほほほ。そして本名は……。いや、今は伏せておくのが、主の為になろう」

あり得ない。
確かに私には、通り名のフー・ダニットという名とは別に本名が存在する。
私と私の側近しかしらない私の本名が別にある事を知っている。
これは、私のすべてを否定した。

やはり、この少女、いや、鈴音は悪魔……なのか?

いや、仮に悪魔だったとしよう。
しかし私が読んだ本では、天使はアカシックレコードにアクセスする事ができる。
悪魔の方は、アガペーと呼ばれる魔王の愛を受けるだけだったのだが。
しかし、その本自体、信用に足るかと言われれば……。

疑問符が残る。

が、それでも今は、その本を信じるしかないようだ。
また新たな証拠があがり、この不可思議な事実が覆されるまでは。
とにかく、鈴音は悪魔なのだ。

本によると悪魔はアカシックレコードにアクセスする権利はないと書いてあった。

その換わりに魔王の愛を一身に受け、他人の心に共感し、与える人だと。
つまり、心の微妙な差違すら敏感に感じ取る体質なのだと。
そう書いてあったような覚えがある。

「余は神のオブザーバーなのじゃ。ゆえに特別にアクセスを許されておる」

「アクセスとは、アカシックレコードの事ですか?」

「そうじゃ」

「神や魔王に一番、近い悪魔……」

「そうじゃ。それが余じゃ。悪魔でアクセスできるのは余だけじゃよ」

悪魔の特性と天使の特性を持つ悪魔、それが鈴音だったのだ。
より完全に近い存在ではないだろうか。
私は、そう思った。

そして私は今までの出揃った証拠に照らし合わせ自分なりの推理をした。

やはり、どの証拠も私が死んだ事を指し示していた。
そして、うさん臭いがあの本に書いてある事は真実で、ここは無の国だったのだ。
更に目の前にいるのが……。

無の国の王、鈴音である事は疑う余地のない事実であった。

しかし、では、なぜ? という疑問が浮かぶ。
私は、私の凡ミスで人間界で死んでしまうという憂き目にあった。
そして死んだあと。

無の国に召喚され、魂として存在を許されているのだ。

無の国では鈴音の許しを受けたモノしか、魂としてでも存在を許されないという。
それが、なぜ、魂という形だが存在を許される事となったのだろう?
無の国とは無関係な人間界の一探偵にすぎな私が。

「鈴音さん。仮にここが無の国であれば、なぜ私が存在を許されているのです?」

「素直になってきたのう。いい心がけじゃ。余は、この世に飽きておる」

それが答えなのか?
しかし、そこで私の探偵としての感が冴える。
そうなのだ。鈴音は私を性悪と言った。が、鈴音も同種の人ではあるまいかと。

つまり、余興として私を無の国に召喚したのであろうと推理したのだ。

私は生前、事件が起こると、どんな事件でも観察の対象とした。
それは、つまり人が死ぬ殺人事件だろうとだ。
いや、むしろ……。

殺人事件の方が見るべきモノは多く、嬉々として現場に赴いたものだ。

そこら辺りを指して、私の人生は道徳観に欠けると鈴音は判断したのであろう。
しかし、ちょっとだけ情を排し合理的にモノを考えて欲しい。
死んでしまったものは生き返らないのだ。

生き返らないものに礼を払っても、まるで意味がない。

そうは思わないか。
生きているならば、いざ知らず。
死んで死体となっている赤の他人に、どんな感情が湧くというのであろうか。

テレビやネットで見る死体を見て悲しいとは思わないだろう。

むしろ気持ち悪いだとか滑稽だとか思ったりしないか。
少なくとも私は、そう思うのだ。
普通の人間だと思う。

それよりも、真実を知りたいと思うのが、正直な人間の性ではないだろうか?

ゆえに私は殺人事件を喜んでいたのだ。
私自身、死体を観察する事によって新たな世界が拓けるがゆえに。
自分の成長を喜んで、なにが悪いというのであろうか。

そこを指して、鬼の首を取ったように人でなしと言われても、なんとも思わない。

むしろ人でなしとは誉め言葉だとすら感じる。
人ができない事をやってのけた人ではない人という評価にだ。
すなわち人でなし。

それにだ。
これは私の推理だが、彼女は私の命を使い、余興を楽しもうというのだ。
楽しむ為には私の意見など、お構いなしに、ここに召喚する。
これでは、どちらが人でなしか分からない。

誉め言葉ではない人でなしだ。

いや、死んだ人間を人間界から召喚してまで、彼女は楽しもうというのだ。
彼女の方が、よっぽど人でないしだと言えるのではないだろうか。
とそこまで考えているところに彼女が割り込んできた。
私は、思惟を邪魔される事を嫌う。

「ふふふ。考えているところ悪いのじゃが」

「鈴音さん。どうやらあなたには、少々、礼に欠ける悪魔のようだ」

「分かっておる。分かっておるが、放っておいたらいつまでも考えそうでな」

「私の好きなモノは二つ」

「分かっておるよ」

「一つは観察。そして、もう一つは推理」

「じゃが。主の常識では、余は測れんよ。余はそちらの常識では規格外なのじゃ」

確かに、この事件が起こるまで、私は死後の世界がある事はおろか……。
天使や悪魔が存在し、あまつさえ六道があるとは……。
露ほどにも思わなかった。

私にとって、今の状況は悪夢を見ている状況とさほど変わらないのだ。

それでも私の灰色の領域を持つ探偵としての使命感が告げる。
すべての真実を暴くのは、お前しかいないと。
今までの常識を捨て去り。

「なぜ召喚されたか? そちは、死ぬべき人間ではなかったとだけ言っておこう」

と鈴音が言った。
しかし、それでは、なぜ私は死んでしまったのか。
もし死ぬべき人間ではないとするならば、誰のミスでそうなったのか。

それを知りたいと思った。

そして疑問を口にしようと思った矢先。
鈴音が、それを制するように諭すよう、ゆっくりと口を開いた。
あの本に書いてあった事を。

「避けられぬ運命だったんじゃよ。そちの死はな。そしてロキが主を召喚した」

「ロキとは……、確か、夜の国の王。不敗のギャンブラーでしたよね」

「そうじゃ。よく覚えておるのう」

「はい。うさん臭い本でしたが妙に記憶に残る本だったので」

「ほほほ。うさん臭い本か。ま、間違いないのう」

私は、そう言って笑う鈴音を見た。
その表情は、確かに笑ってはいるのだが、どことなく退屈そうだった。
やはり、彼女は、この世に飽き飽きしているのだろうか。

…――しかし、鈴音という少女。

ひょっとして私の人生の中でも屈指の検体に入るのではあるまいか。
どれだけ観察しても、その底はおろか表面を撫でたとしか感じなかったのだから。
あまつさえ私は、私の観察眼を疑うほどに。

くっ!

絶対に負けるモノかと、更に私は観察眼を光らせた。

~ ダニット2、王たちの思惑、了。

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【 悪魔ちゃんと天使くん、~ ダニット1、隠された事件 】

…――この事件は、私に平和な日常に起こった非日常だった。

始まりは死。

例えば、仮にあなた自身が死んだとしよう。
まず、なにを考える?
なにをする?

私の場合、まず本当に自分が死んだのか確かめようと考えた。

大概の人は、まず、そうするのではないだろうか。
この行動は、ごく当たり前の事であり、なにも特別な事ではない。
大体、死んだ事が信じられないのだ。
確認するのは当然だ。

その前に……。
疑問に思われる人もいよう。
まず、その疑問から答えたいと思う。

人は死んだあとも意識は残っていて、幽体と呼ばれる状態になる。

私は、そんな幽体という、いわゆる幽霊と呼ばれるモノがあるとは思わなかった。
だから私は私自身が死んだ事にさえ気づかなかった。
私は自分が生きていると信じていた。
リアリストなのだ。
私は。

「主にチャンスをやろうか?」

先に言っておこう。
この事件は、私の平和な日常に起こった非日常だったのだ。
つまり、今の私は、平和な日常を送っている。

端的に言うと今の私は生きている。

賢明な読者諸氏は、もうお気づきであろう。
そう。私は確かに死んでしまったが、再び、この世に甦ったのだ。
私は確実に死んだ。

しかし、どことなく憂いを帯びた少女に救われたのだ。

いや、救われたというと語弊がある。
私は少女と生と死を賭けたゲームをしクリアしたのだ。
つまり、少女が課した課題を成し遂げれば、すなわち生き返ると言われたのだ。

「主は生前、探偵としての人生を送っていたようじゃのう」

……そう。
私は灰色探偵と呼ばれた業界では、それなりに名が通った探偵だった。
それが、ある事件でドジを踏んで、ここに至る。

しかし私は少女の言葉に違和感を覚える。

彼女は生前と言ったのだ。
そう。私は、ようやく、ここで自分が死んだのを認識したのだ。
認識したとは、そう思ったというだけで、実際に確認し納得したわけではない。

ゆえに私は、本当に自分が死んでいるのか確認した。

まずは体を見た。
そこには肉体がなく、代わりにポォウと柔らかく光る煙状の体があった。
いわゆる人魂と呼ばれるモノだ。

次に声を発してみた。

しかし発声する事はできず、代わりにダイレクトに頭に言葉が流れ込んできた。
そうしてテレパシーのように少女の声を聞いていたわけだ。
多分、少女にも私の声が聞こえているのだろう。
直接、頭の中に。

最後に少女に触れてみた。

触れると言っても私は人魂状の体なのだから手など、どこにもない。
ゆえに私は、頭から彼女に特攻したのだ。
しかし……。

ぶつかる感覚すらなく、スッと彼女の体をすり抜ける私の体。

ここまでで、私は、あり得る結論出した。
それは、私は死んだのだという結論と夢を見ているのだという結論の二つをだ。
そして私は私の灰色の領域を使い、二つの結論を吟味した。

今、現状、証拠としてあがっているモノのは三つ。

一つは、人魂としての体。
そして、もう一つは、テレパシーとも思える頭に直接、流れ込む言葉。
最後に少女の体をもすり抜ける気体状だと思われる体。

幽霊というモノに対しての一般的な常識。
それは先ほどあげた証拠そのものであり、そして、それは真なのだと考えられる。
つまり、三つの証拠という前提から私は死んだのだと導かれる。

では夢の方はどうか?

人魂状の体は、無意識が作り上げた幻想として真となる。
テレパシーも幻聴の一種であれば真となる。
しかし気体状の体は……。

夢であるとするならば、体験した事しか夢として現われないと考えられる。

つまり人の体をすり抜ける体験など生きていればできない。
すなわち夢に出てこないはずなのだ。
ゆえに真ではない。

決定的な証拠には欠けるが、しかし、証拠は私の死を確言していた。

「ほう。探偵とは如何に面倒くさい生き物であろうか」

私が、じっくりと推理をしていた最中、水を差すように少女がボソッと言った。
とにかく私は私自身の推理には自信を持っていた。
ゆえに死を受け入れた。

しかし、仮にまた新たな証拠があがり、結論が崩される事も熟知していた。

今のところ私は死んでいるのだと信じたのだ。
そして少女の言葉を待つ。
黙って。

少女の言うチャンスとやらの正体を知りたかったのと観察を始めたのだ。

そう。
私は灰色の領域を持つ探偵ダニット。
観察とは、証拠を拾う行為であり、事実を暴き出す行動なのだ。

「主の生前を見せてもらった。主は、いささか道徳感に欠ける人間だったな」

確かに私は道徳観に欠けた人間であった。
しかし、それ以上に世の中に利益をもたらしていたと自負できる。
いや、待てよ。

この少女は、人間の人生を見る事ができるのか。

彼女の言葉からは、そう推論できる。
そういえば、なにかのうさん臭い本で読んだ事がある。
天使とは、すべての人のすべての人生が記された記憶媒体にアクセスできると。

その記憶媒体をアカシックレコードというと。

そう読んだ事がある。
人間が死んだあとの世界があるのだ。
天使がいて、そしてアカシックレコードが存在していてもおかしくない。

「あなたは天使なのですか?」

「残念じゃな。主の推理は見当違いじゃ。余は悪魔じゃ」

「!」

悪魔だと!
だったら、そのチャンスとやらも怪しい。
どうせ魂と引き換えに一つの願いを叶えてやろうという怪しい提案だろう?

いや、怪しい提案かどうかは、この際、どうでもいい。

それ以上に、悪魔ならば、どうやって私の生前の人生を見たのだ?
そもそも天使を信じてしまったのも、どうにかしていた。
天使や悪魔など存在しない。

今、目の前にいる少女を見て、強く、そう思った。

少女は、どこをどう見ても、普通の人間であり、悪魔ではなかったのだから。
しかし、それでは私の推理が間違っていた事になってしまう。
彼女は見られるはずのない私の人生を見ていた。
そういう証拠があるのだ。

私は天使や悪魔などという存在を考えてしまった為に自己矛盾に陥った。

「本当に面倒くさい人種じゃな。探偵とは」

私は悪魔と名乗った少女が、小馬鹿にする態度に不満を覚えた。
しかし、私は常に冷静沈着がトレードマーク。
焦りもしないのが私なのだ。

「残念ですね。決して怒りませんよ。それが灰色探偵たる私のポリシーですから」

「ほほほ。別に怒らせようとはしておらんよ。余の率直な感想じゃ」

私は探偵なのだ。
探偵は、提示された証拠から真実を導き出すのが仕事。
しかし今、手元にある証拠では、真実を導き出すには、まるで不十分だ。

この時、私は自分でも気づかないほど、かすかに慌てていらしい。

結論を急いでいた。
灰色探偵たる、この私がだ。
それは、あとにも先にも、この時だけだった。
ゆえに、このあり得ない事件は、私の記憶に強く残ったのかもしれない。

あまりの出来事に隠されたファイルに残った事件として。

そして、その事件は、ゆっくりと開幕した。
誰が死んだわけではない。
私自身が……。

探偵の私自身が死んだあり得ない事件の幕が、ゆっくり、ゆっくりと。

~ ダニット1、隠された事件、了。

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【 なぞなぞなぞかけ、その十八 】

麻雀の不要牌とかけて、暗殺者のターゲットと解く。
その心は?

どちらもきる(※注、英語でKill)です。

なぞなぞなぞかけ、その十八、了。

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【 灰色探偵ダニット、~ その二、三人のダニット 】

灰色探偵ダニットは、いい感じで白髪と黒髪が混じりあった銀髪であった。
それがまたダンディであり、落ち着いた紳士だった。
そしてサスペンダーに蝶ネクタイ。
いかにも探偵だ。

「早速だが、まず、なにが起こったのか説明したい」

「と、その前に……」

灰色探偵ダニットは、人差し指を口の前にもっていき、唇に当てる。
しゃべるなという意味であろうか。
私は黙った。

「私が、なぜ灰色探偵ダニットと呼ばれているのか、知りたくはないですか?」

知りたくないと言えばウソになる。
が、私は二時間半以上、恥をかき続きたのだ。
正直、私は、この灰色探偵ダニットと関わり合いたくないと思っていた。

「その話は、また次の機会でという事ではダメかな?」

「うん?」

「そんな事より、私の抱える懸案を早く解決して欲しいのだ」

ここでも、やはり優先順位をつけて行動していた。
ダニットはジッと私を見つめている。
すべてを見抜くように。

「そうですか。仕方がありませんね。では依頼のお話をしましょうか」

意外な事にダニットは、すんなりと引っ込んだ。
私は、ダニットと出会ってから、ほんの数分だが、彼を誤解していたようだ。
彼は、もっと人の嫌がる事を敢えてする人物なのかと思っていた。

「というか……」

「!」

唐突にダニットが私を射貫く。
私の言いたい事などお見通しだと言わぬがばかりに。
そして、彼は、驚くべき事を言い出した。

「事件の顛末は、こうですね?」

「えっ!?」

私は彼の言葉に絶句した。
なぜならば、私は灰色探偵ダニットには、なにも告げていなかったのだから。
手がかりというより、ダニットと私は今日、初めて会ったのだ。

「あなたの部下が行方不明になったと」

「あ、ああ!」

「そして、部下と最後に会った時、謎の言葉を告げられたと言った所でしょうか」

ダニットの言った事は憎らしいほど正確に私に起こった事件の顛末を告げた。
しかし、資料はおろか、会話すら、まともしていないのに。
なぜ?

「私は、いわゆる安楽椅子探偵でしてね。このカフェから動かないのです」

「いや、そんな事より、なぜ事件の顛末を……」

「私には仲間がいます」

「うん?」

すると離れた所で会話を楽しんでいた女子高生の二人組が近づいてきた。
そして、彼女らは、私に一礼すると自己紹介を始めた。
そう。彼女らはダニットの仲間だったのだ。

「私がホワイ・ダニットよ」

ホワイと名乗った彼女は情熱的な薔薇を思わせる深紅の髪を揺らしていた。
髪型はベリーショートで、快活的なイメージを持たせる。
瞳の色は吸い込まれるような碧だった。

「で、わたくしがハウ・ダニットですの。よろしくお願い致します」

そして奥ゆかしい大和撫子を思わせる振る舞いのハウ。
髪は艶やかな黒で腰辺りまで伸ばしている。
まるで日本人形だ。

「彼女らが私に協力してくれていてだね。私は店を出ず、なんでも分かるのだよ」

「それでも……なんで事件の事が分かるんだ。あり得ない」

「あなたが私に依頼をしてきた時から、すでに彼女らは動いていたんです」

「それでも。やっぱり、あり得ない!」

「まぁ。まぁ。聞きたまえ」

灰色探偵ダニットは、この事件のすべてを知っているかのように落ち着いていた。
私は今日、たった今、ダニットと出会ったにも関わらす。
そして彼は続ける。

「先ほど彼女ら二人はホワイとハウと名乗りましたよね。いいですか?」

「それが、どうしたというんだ?」

「ホワイ・ダニット……なぜ犯行に至ったのか? すなわち動機を」

「うん?」

「ハウ・ダニット……どのように犯行を成し遂げたのか? すなわちトリックを」

「も、もしかして……」

「はい。もちろんその通りです。ホワイとハウ、そして私がフーなのです」

「フー・ダニット……誰が犯人なのか?」

「ふふふ。その通りです。すなわち推理小説の分類です」

「馬鹿にするな。推理小説だと! 事件は実際に起こり、人が死んでいるんだ!」

「だからこそ面白いんですよ」

「なに!」

「実際に人が死んでいる事件だからこそ作り物にはない面白さがあるんです」

そう言ったフーの目は、どこか虚ろで恍惚な表情をしていた。
もちろんホワイとハウも楽しそうに笑っている。
私は、大きな嫌悪感を覚える。

…――最悪だ。

このダニットと名乗る探偵たちは、人間としての道徳がないのだろうか。

しかし仲介屋は言っていた。
灰色探偵ダニットは観察する事が好きだと。
実際に起こった人が死んだ事件すら観察の対象、検体だとでも言うのだろうか。

「そう。私は観察する事が好きなんですよ。ふふふ」

まるで私の心の奥底まで見られているような気がして寒気がした。
灰色の領域とは、いかに冷たいモノか思い知った。
そしてフーは続けた。

「先に言っておきましょう。ずばり犯人は君の同僚、フォレスト将軍ですよ」

「犯人は……フォレスト将軍だと?」

くどいようだが、私は今日、たった今、灰色探偵ダニットと会った。
そして、なにが起こったのかすら話していない。
それなのに犯人の断定だと!?

「私はフー・ダニット。すなわち誰が犯人なのか? を担当してるんです」

いや、大体、なぜフーがフォレスト将軍の事を知っているんだ。
私には、それが、まったく分からない。
私は黙った。

もしかしてホワイとハウがいるという事は……。

私は思わず彼女らを見た。
ホワイは天真爛漫にころころと笑い、ハウは静かにたたずんでいた。
やはり、すでに動機とトリックも暴かれているのか。

しかし、どうやって?

なぜ、彼らは、事件の顛末を知り、そしてどうやて真相に迫ったのだろうか。

灰色探偵ダニットは、依頼を受けた時から、すでに動いていたと言った。
いや、いくら動いていたと言われても依頼人にも会わずに。
それどころか仲介屋から話を聞いただけで……。

なぜ、そこまで分かるんだ?

私は灰色探偵ダニットの灰色の領域に呑み込まれ、疑問だけが渦巻いた。
そして、やはり、私が思った通りにホワイとハウが続けた。
また私が驚くべき事を言ったのだ。

思った通りではあったのだが、私はますます余計に混乱した。

なぜという疑問しか頭に浮かばなかったのだ。
もはや犯人探しどうとか、トリックがどうのこうのとかいう領域でなかった。
実は、それが灰色の領域であり、彼が灰色探偵たる由縁であった。

フーがなにをしたのか?

私の疑問は、その一点に集約された。
灰色の領域が、その冷たさ、そして冷酷さを露わにしつつ。
灰色の領域……。

それは、重く暗い領域だった。

~ その二、三人のダニット、了。

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【 悪魔ちゃんと天使くん、~ その三十五、会話 】

「勝負の前に聞きたい事があるの」

今まで黙って落ち込んでいた涅槃が重い口を開く。
途端、サドクの目が輝く。
やっとかと。

「このルールではエースを隠す方は手を出せないわ。いいの?」

ロキが、いい所に気づいたと答える。
いまだ考える事を怖がって、恐る恐る話す涅槃に。
しかしサドクは喜んでいる。
単純な彼らしい。

「グット。いい所に気づいたな。そうだぜ。このままでは隠す方は手立てはない」

「おっと。そうか。俺は、まったく気づかなかったがな」

「サドク。だから言ったでしょ。君はギャンブルに向いていないのよ」

「ふははは」

何気ない会話に見えよう。
しかし違うのだ。これはサドクの彼女を想う心なのだ。
落ち込んでいた涅槃がサドクのサポートを受けて徐々に本調子に戻ってくる。

そう。

彼女は、このちょっとした会話で、サドクに乗せられ回復しつつあった。

「まだ、なにかルールがあるんでしょ?」

「そうだ。実はエースを隠す方、つまり親は伏せカードを出せる」

「伏せカード?」

涅槃が回復した事でサドクも自由に動き始めた。
そう。いつも彼らしく、剛胆に物事を考え、大胆に動き始めたのだ。
それが彼が最大限に生きる方法。

「そうだ。伏せカードは親しか見る事ができない」

ロキがそこまで言うとサドクが不思議そうにロキに質問する。
涅槃は黙ったまま、ジッとなにかを考えている。
涅槃はいまだ本調子ではない。

「伏せカードも加算、減算されるのか?」

「サドク、そんなの当たり前でしょ。聞くまでもないわ。そうでしょ? ロキ?」

「お嬢ちゃん。なかなかの切れ者だね。そうだ。加算、減算できる」

本調子ではなかったが、サドクが、コントロールする会話で彼女は乗ってきた。
……ロキ自身も敢えて、その流れに乗っているような。
そんな錯覚を覚える。

いや。不敗のギャンブラー、ロキは敢えてサドクのペースに乗ったのだ。

そう。
この勝負で、すべてを終わらせると、それを承知しつつ会話をしていたのだ。
いつもの二人に勝つ。それこそが完勝だと考えていたのだ。

そうなのだ。

必死になって勝つ。……勝負に勝つという事は、そういう事ではない。

完勝する為には、必死に勝ってはいけないのだ。
百%の力を発揮する相手を七十%の力を持ってして悠々と制する事が大事なのだ。
つまり、余力を残し、相手に勝つ事こそが完勝には重要なのだ。
それが克つという事なのだ。

不敗伝説を持つロキは、その事を誰よりも熟知していた。

「親は一枚までしか伏せカードを置けない」

涅槃が言う。
ロキは、驚き、喜ぶ。
そして、中指と親指をこすり合わせパチンと音を立てる。

その通りだと。

「本当に面白れぇな。嬢ちゃん」

「ロキ。あなた失礼ね。私は嬢ちゃんじゃないわ。銀杏という名前があるの」

「つうか、だから今は涅槃なんだって。何度言えば分かるんだよ?」

「うるさい。私は星埜銀杏なの。君は黙ってて」

「あははは。本当に面白れぇ。悪魔はこの期に及んでまだ人間だと言い張るのか」

「本当に失礼ね。ロキ。私はれっきとした人間よ。悪魔ってなに?」

「ま。ま。ロキよ。こういうヤツなんだよ。コイツは」

「グット」

とロキが言ったあと涅槃は不満そうな顔をした。
彼女の中で、やはり、彼女自身は人間であり、星埜銀杏であるのだ。
そんな事よりと彼女が言う。

「さっき、私が言った事。正解でしょ?」

ここまで、サドクとロキの話術によって彼女は完全回復した。

やはりロキは不敗のギャンブラーであり、彼らに完勝を目指していたのだ。
ゆえにサドクに力を貸し、涅槃を復活させたのだ。
不敗のプライドがそうさせたのだ。
ちっぽけなプライドが。

「ああ。親が一枚までしか伏せカードを置けないって話か」

「そうよ」

「そうだが、一つ抜けているな」

「なによ? なにが抜けているって言うの?」

「親は子が置く前、一番始めにカードを伏せて置くんだ」

「そう。それでも親が不利よ」

「そうだな。子が十三以上に調整すれば親は手の出しようがないわけだ」

「そうね。で、その場合はどうするの?」

「単純に親の負けだ」

「いいの? そんな欠陥がある勝負で。不敗のギャンブラーらしくないわ。罠?」

涅槃が、そこまで言うとロキの目の奥が光る。
大事な事を忘れていると。
そして言う。

「この勝負、アカシックレコードを使えるんだぜ?」

涅槃は、ジッとロキを観察している。
そこでサドクが気づく。
そうなのだ。

親のカードは伏せられているが、アカシックレコードを使えば……。

もちろん運命の書き換えは肝に命じなくてはいけない。
が、そんなにおいそれとアカシックレコードは書き換えられるものではない。
ゆえに伏せられていようと……。

「バット。そっちの天使は、どうにも考える事が嫌いらしいな?」

「なんだよ。なんでそんな事が言えるんだ?」

「サドクだっけか。今、伏せカードが伏せられる意味がないと考えていただろう」

「ああ。そうだよ」

「アカシックレコードが使えるのはそこじゃない。分からないか?」

「サドク。やっぱり、君に考える事は向いてないわ」

「涅槃まで。なんだよ。なんなんだよ」

「サドク。伏せカードがいくつだろうと構わないのよ。それより重要なのは……」

「おっと。嬢ちゃん。それ以上は蛇足だぜ? いいのか?」

「そうね。サドクには下手に考えさせない方が、いい結果を生むのかもね」

「グット。もしか俺たち出会い方が違ってれば気があったかもな」

会話は始めサドクとロキのペースだった。
しかし、結果的にはロキと涅槃のペースになっていた。
涅槃が本調子になった証拠だ。

ロキはほくそ笑んだ。

神と魔王に認められた悪魔と天使に完勝できると踏んで、行動していたのだから。
しかし実際は、たった一つの狂った歯車が伝説全体を侵し始めたのだ。
じわじわとゆっくり、ゆっくりと。

不敗のギャンブラー。

ロキは、こう呼ばれる事は、なんとも思っていなかった。
しかしロキ自身も知らず知らずの内に不敗にこだわっていたのかもしれない。
それが敗因になるとも知らずに……。

~ その三十五、会話、了。

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【 なぞなぞなぞかけ、その十七 】

悪霊とかけて、借金と解く。
その心は?

どちらもはらいます。

なぞなぞなぞかけ、その十七、了。

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【 なぞなぞなぞかけ、その十六 】

お姉ぇちゃんのパンティーとかけて、氷の粒と解く。
その心は?

どちらもひょうです。

なぞなぞなぞかけ、その十六、了。

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【 プレゼントは心だw 】

僕は小学生。
そして、昨日はクリスマス。
この年齢になってまで、サンタクロースを信じてはいない。
そして今朝、僕は枕元に壺が置いてあるのを見た。

「お前、昨日、サンタになにもらった?」

近所に住む僕の友達が聞いてくる。
彼は、昨日、サンタクロースに自慢したくなるようなモノをもらったんだろう。
大体、察しはつくが。

「サンタ? ああ。親ね」

「そうそう」

僕たち二人は、サンタクロースなんてモノがいないのは分かっている。
しかし、僕ら子供にとっては大イベントなのだ。
お正月に引けをとらない位の。

「大したモノもらってないよ。お前はなにをもらったの?」

「俺は、PSVitaだぜ? いいだろ?」

やっぱりだ。
彼は、そう言うと懐から新品のゲーム機を出してきた。
彼は、結局、自慢したいのだろう。

「なぁ。なぁ。お前は、一体、クリスマスプレゼントなにをもらったんだよ?」

「ああ。本当に大したモノじゃないよ」

「いいから吐けよ。なんだ?」

「……壺だよ」

「はぁ? つぼ? それがクリスマスプレゼントなの?」

「ああ。壺だよ。壺。ていっても秋草文壺だよ」

「?」

「国宝の壺」

プレゼントは心だw、了。

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【 ノイズ、~ その四、ホラー小説 】

部屋の前になにがいたのか?

その前に。
昼に思いついたホラー小説というのが……。
兄妹の話で妹が生命の危機に陥り、兄が泣く泣く見捨てて呪われるというお話だ。
この話自体、別段変わった事はないのだが、実は実話という事だ。

もちろん僕の話ではない。

第二次世界大戦時、祖父の友に起こった事件なのだ。
僕の住んでいる町は、空襲に遭ったのだ。
そして事件は起こった。

≪ジィ……、そうよ。私は兄さんに見捨てられたの。それだけ。ふふふ。ジッ≫

変なイタズラは止めろ!

くそっ!

どこにいるんだ!!

僕は思い切ってドアを開けたが、結局、そこにはなにもいなかった。
台風で壁に木々が当たる音が木霊するだけ。
しかし声は止らない。

今度は僕の背後で声がする。

PCは立ち上がったままで、PCが背後にまわったのだ。
と僕はそう思った。いや、そう思いたかった。
しかし……。

≪クスクス。もう部屋に入ったよ≫

僕は半狂乱で、狂ったようにPCの電源を落とそうとした。
問題はPCだけなんだと思ったのだから。
しかし違った。

僕がPCを落とそうと振り向いた瞬間、僕とすれ違うように白い女の子が……。

僕の部屋を出て行ったんだ。
僕は、その女の子を見たあと意識を失い倒れた。
極度の緊張で、ピィーンと張り詰めていた神経の糸が切れたのだ。

最後に白い女の子が言った気がした。

「殺してやる」と。

*****

…――それから数日後。
僕は僕の祖父に聞いた事件の顛末を小説に書こうと思った。
しかし、それは悲しい話であり、当人にとって触れて欲しくない事件だったのだ。
それを僕が小説にしようと思ったから。

僕は、あの怪奇現象のあと、事実を基にホラー小説を書くには書いた。

が、その出来上がった原稿を焼いて供養した。
そう。この作品は絶対に世に出してはいけないモノだと思い直したからだ。
いや、発表できたとしても、あんなに怖い目に遭ったのだ。
思い直すのが正解だろう。

それから僕の周りではノイズは起こらなくなった。

きっと白い彼女も改心した僕を見て、思い直してくれたんだろうと思う。
でも、兄に見捨てられた妹の気持ちを考えると悲しくなった。
それが戦争なのだろうとも思った。

そして僕は相変わらず宅配の仕事に精をだし、FMを聞きながら配達をしている。

そして、今回の顛末を小説にできたらと考えて構成している。
宅配という思考がフリーな仕事の特権をフルに使い。
ゆえにあの特別な体験は逆に貴重だった。
いまでは感謝をもしている。
怖かったけど。

≪ジィ……ジッジィ≫

ふっ?
ノイズか。今ではもう懐かしい。
あの小説は供養はしたし、害はないだろうと思った。

≪…――ジッ、ジッジィ≫

ま、仕事中だし、ノイズなんて気にしていたら生きていけないしね。
確かにあんな怖い事があったあとだから気にはなったけど。
でも今は仕事に集中する事にした。
配達に向かったのだ。
車を出て。

≪ジィ……許されると思った? ふふふ。ジッジィ≫

と誰もいない車中にどす黒く真っ赤なモノが混じった声が言った。
まるですべてを呑み込む灼熱のマグマのように。
悪意のこもったトーンで。

≪殺してやる。あははは。殺してやる。殺す。殺す。死ね≫

と言い残し。
そして、白い女の子の言葉は僕の車に染みこんだ。
殺意という狂気をはらんだノイズが。

≪あははは。死ね≫と……。

~ その四、ホラー小説、了。

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【 ノイズ、~ その参、サイト 】

僕は、いまだにモニターから聞こえた重苦しい声を重要視していなかった。
台風の影響で、様々なモノがぶつかり、外から音が聞こえている。
その一つだろうと思った。

そして点滅している照明が、一気に堕ちるように消えた。

さすがの僕でも、一瞬、ドキッとしてなにもない空間になにかを見いだした。
暗闇とは、不安をかき立て、そして、ないモノを見せるものなのだ。
僕は、必死で照明のスイッチを入れたり、切ったりした。

うんともすんともいわない照明。

真っ暗闇の中で、なにかが蠢いているようで、僕の心臓は高鳴った。
どんどんと止る事を知らずに早くなる僕の動悸。
息があがってくる。

怖い。

それをあざ笑うかのように照明がつく。
一気に明るくなる僕の部屋。
そこには……。

やはり、僕の幻覚であり、なにもない部屋が拡がっていた。

なにもないという事。
当たり前と言えば、当たり前なのだが……。
少々の間、真っ暗闇になった事で、僕はあり得もしないモノを見ていた。

唐突!
PCに電源が入り、そしてPCが立ち上がる。
鈍い機械音と共に。

…――電源をさわっていないのに。

そして、OSが立ち上がり、PCがハードディスクにアクセスするのが分かる。
その間中、僕はPCを見つめて呆然としていた。
それは、そうだろう。

さっきの暗闇で僕の心は荒れていたのだ。

それでいて、立ち上がるはずのないPCが勝手に立ち上がったのだ。
PCが勝手に立ち上がった。それはもう絶句の域だった。
それでも時は進む。

PCは僕を置いておきメディアプレーヤーを立ち上げ、再び、音楽が流れ始めた。

音楽は今と対照的に軽快な流行のポップスを再生し始めた。
しかしいくら軽快な音楽だろうと……。
いや、逆に軽快だからこそ……。

そして僕が予想したようにあの恐怖のノイズが、当たり前のように入る。

≪ジッ、行くよ。そっちに、ジッジィ……これから≫

もう聞きたくない。
それが僕の正直な心の内だった。
それでも音量はガンガンと上がっていきノイズに紛れた声がハッキリと聞こえた。

≪ふふふ。君は小説家でしょ? そしてホラーを書いていた≫

これは、もうノイズの類ではない。
ハッキリとした声だ。
僕は震えた。

≪そっちに行くわ≫

僕は慌ててPCの電源を落とした。
しかし、慌てるあまりに手がもつれて、Webブラウザーを起動してしまった。
つまり、インターネットにアクセスしてしまったのだ。

≪ぼぉあぉあ!≫

PCから聞こえる声。
そう。開いたサイトから再生された声。
一体、今、僕のPCは、どういうサイトに繋がったんだ!?

≪くッははは!! ようこそ。絶望の館へ……≫

どんなサイトに繋がったか。
今は、そんな事はどうでもいい。それより!
それより!

PCの電源を落とす事が先決だ。

僕が自分を見失いつつもPCの電源に手をかけると、また声が聞こえた。
それは、まるでこの世のモノとは思えない重苦しい声だった。
僕は生きている心地がしなかった。

≪たった今、着いたよ。あなたの部屋の前です≫

それは絶望への宣言であった。
そして照明が再び、落ちて、部屋が真っ暗になった。
しかしPCは立ち上がったままでモニターが暗闇の中、ぼぅと浮き上がっていた。
家の外は相変わらず、台風が荒れ狂い、風で窓がガタガタとなっていた。

部屋の外には、一体、なにがいるのか?

考えたくもなかったが、もう恐怖でせっつかれるよう様々な妄想が膨らんでいた。
そして僕はゆっくりとドアに向かって歩き、ドアを開けた。
そこには……。

≪ふふふ。兄さん? やっと会えたわね≫

という声がPCから流れた。
その声は、決して、この世のモノではなく、まるであの世から迎えに来たように。
どす黒く、真っ赤なモノが混じったような声で。

≪ふふふ≫と。

~ その参、サイト、了。

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【 ノイズ、~ その弐、PC 】

僕は今、PCに向かっている。
小説を書いているのだ。
ホラー作品を。

僕の執筆スタイルは流行の音楽をかけつつ、思うままに筆を走らせる。

もちろん推敲もするが、基本、書きつつ推敲する。
ゆえに誤字や脱字が、たくさん生まれるが気にしていたら小説は書けない。
発表する前に二回、チェックをする。

つまり、これが一般的に言われる推敲というヤツだろうと思う。

音読するのだ。
それでも僕の書くお話には誤字脱字はつきものだった。
出来る限り、撲滅するつもりだが……。

半分はあきらめていた。

とにかくイキオイに任せ、思いつくままに筆を走らせるのが僕のスタイルだ。
外は、台風の影響だろうか、雨が強くなり、風も強くなっていた。
と、PCから流れる音楽がひずむ。

≪ジィ……≫

と。
ラジオではない。
PCから流れる音楽なのだ。

決して、ノイズを拾うわけはなかった。

僕は一瞬、そのささいな疑問に小説を書く手を止めた。
が、すぐにケーブルの不調だろうと結論づけ、執筆活動を再開した。
そうなのだ。

前にも同じような事があったのだ。

それはHDMIケーブルの不調で、ビープ音で音が割れた事があったのだ。
その事件のあとHDMIケーブルを買い換え、事なきをえたのだが。
だから今回のノイズもケーブルの不調だと思ったのだ。

しかし、この時も……。
そう、この時もノイズを真剣に捉えていなかった。
PCから流れる音楽が歪んだのにだ。

あり得ない恐怖。

≪ジィ、ジッジィ……ジィ≫

再び、ノイズが自己を主張するように交じってくる。
僕は、それでもケーブル系の問題だと思った。
いや、そうとしか思えなかった。

しかしケーブル系の問題としても、一旦、PCを落とす必要があった。

僕は執筆の手を止め、PCを落として問題を解決しようとした。
いささかの不満を覚えつつも、解消する為に。
そしてシャットダウンした。

そのPCが消える直前に、ハッキリとは聞こえなかったが人の声が混じった。

≪行くよ。……そっちに。これから≫と、冷淡な声で。

僕は瞬間的に背筋が凍って恐怖に襲われた。
しかし、そんなモノは一瞬の恐怖であり、すぐに忘れて作業へと戻った。
そう。音楽を聴いていたので残響が残りそう聞こえたのだと。
そう結論づけたのだ。

そして、まずはPCを再び立ち上げる事から始めた。

しかし不思議な事にPCが、再び、立ち上がる事はなかった。
何度、スイッチを押しても電源が入らなかったのだ。
同時に照明が点滅する。

外は豪雨と強風に晒されている。

僕は思った。
そうか。台風の影響で電気が不安定になっているんだと。
僕が出した、その答えは、半分、正解であり、半分、不正解だった。

そう。

これは破滅へのプロログだったのだから。

そして、先ほど聞こえた声が再び、モニターから流れた。
先ほどかけていた音楽とは正対象な、あの腹の底に響く不快なノイズと共に。
今度はハッキリと。

PCは立ち上がっていないのというのに。

≪ジッ、行くよ。そっちに、ジッジィ……これから≫

と重苦しく。

~ その弐、PC、了。

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【 ノイズ、~ その壱、ラジオ 】

僕は今、ラジオをつけて宅配便の仕事をこなしている。
宅配の仕事とは不思議なモノで、体的にはハードな部類の仕事に入るのだが。
基本的に頭は使わない。

ゆえに仕事の最中でも思考はフリーなのだ。

この思考がフリーなのが、僕にとってはありがたかった。
小説家を目指して、日々、精進している僕には。
いや、精進といっても、つまり……。

ネット上で、ちょこちょこと小説を発表しているに過ぎないわけだが。

そう。そう。
いまだプロへの道筋など微塵も見えていない。
しかし、それでも自分の書いたモノに感想をもらえると嬉しい。

それ以上に自身が小説を書いている時が、至福なのだ。

だから先にも書いたが宅配という仕事は僕にとって一番、都合がいい仕事なのだ。
つまり配達という仕事をこなしつつ、次の作品の構想をねるわけだ。
同時に体も鍛えられ、健康になるという副作用もある。
そして、その日も快活に仕事をこなしていた。

≪ジッ≫

カーステレオからは毎日、聴いているFM局のラジオ番組が流れている。
一瞬、雑音が入った。空からは雨がちらついてきた。
風も強くなってきた。

今は九月。
九月といえば台風のシーズンであり、雨と風は、さして珍しい事ではなかった。
台風には少々の不安を覚えたが、あと荷物一つ配達して終わりなのだ。
そうしたら家に帰る事ができる。

≪…――ジッ、ジッジィ≫

やはり台風の影響だろうか、ラジオの入りが悪くなってきてノイズを拾っていた。
しかしそれもつかの間で、あとは軽快な番組を放送している。
そして次に配達する家に着いた。

僕は荷物を後部のスペースから引っ張り出し、配達先へと向かった。

≪ジッ、行くよ。そっちに、ジッジィ……これから≫

僕は、配達をし終え車へと戻ってきた。
相変わらずラジオからは、軽快なノリのポップミュージックが流れていた。
そして今しがた配達してきたのが、今日の最後の荷物。
仕事が終わったのだ。
無事に。

≪ジッ≫

またラジオがノイズを拾った。
このノイズは、やはり台風の影響なのだろう。
今日の夜は、荒れるかもしれないと思いつつ車を走らせた。

しかし、同時にこれから執筆活動に入れると思うと自然と頬がゆるんだのだ。
しかも宅配をしつつ、ホラー小説の構想が頭の中に浮かんだのだ。
絶対に怖いモノが書けると確信していた。

恐怖の始まり。

ただしジャンル的にホラーは得意な分野ではない。
しかし、それでも僕は怖いモノが書けると確信したわけだ。
久しぶりのヒットの予感だ。

あわよくばホームランまで打ちたいが。

それは高望みだろう。
とにかく一本でも多く、ヒットを打つ事が僕の課題だった。
そうして、いつかホームランを量産する作家が僕の当面の目標だった。

≪ジィ…――ジッジィ、ジィ≫

またしてもノイズだ。
この車も古くて、もちろんカースレテオも古いポンコツだ。
だから台風のせいで、おかしくなったんだろう。

しかし、FM局の軽快な番組がノイズでぶった切られると少々、不安を覚える。

番組が軽快であるから余計に。
しかも気味が悪い事に、そのノイズに乗せて人の声らしきモノが聞こえる。
それは、きっと僕の聞き違いで普通のノイズなのだろうけど。
とにかく僕は早々に家に帰って執筆するのだ。
と家路を急いだ。

もし、この時、このラジオの異変に気づいていれば。
もっとノイズの事を真剣に捉えていれば。
さっさと寝ていれば。

大体、得意でもないホラーの構想が浮かんだ時点でアウトだったんだ。

後悔とは常に事が起こった後の空しさの上に現われるモノだ。
僕の後悔も、また例に漏れず、そうだった。
もっと……。

そして、恐怖の夜の幕が明けた。

≪ジッ≫

というノイズと共に。

~ その壱、ラジオ、了。

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【 なぞなぞなぞかけ、その十五 】

ドアとかけて、小学生と解く。
その心は?

どちらもじどうです。

なぞなぞなぞかけ、その十五、了。

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【 連載小説、RM 】

恋愛も気分一新に再挑戦。三話、以下、続刊。

お話、概要。

マスターの恋人としてこの世に生を受けたロボットのマコ。
彼女は自分がマスターを心の底から愛しているのだと思っているのだが。
その思慕は作られたモノであり……。
恋愛モノです

▼RM、~ その一、心で感じる温もり
http://kokolost.blog.fc2.com/blog-entry-402.html
▼RM、~ その二、かごの中の鳥
http://kokolost.blog.fc2.com/blog-entry-409.html
▼RM、~ その三、モノ
http://kokolost.blog.fc2.com/blog-entry-417.html

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【 RMの日記(陰)、~ その一、RM 】

≪ピィーン≫

…――明け方の午前四時。

私の電源が入る。
暗視カメラが組み込まれている私の瞳が暗闇の中、ピントを合わせる。
これからマスターのお弁当を作るのだ。

私は、マスターの恋人として創られたロボット。

名をマコという。
瞳の色は両眼とも緋色で、くりっとした愛らしい目をしている。
鼻は高く、唇は、ほんのりとしたピンク色。
髪は栗色で、ゆるふわボブ。

背は高い方とは言えない。どちらかといえば、低い方。

年齢は、大体、十八歳といったところか。
そして今日の服装は可愛いワンポイントの入ったぴたTにジーンズ。
ベルトが私の瞳と同じ色。
緋色だ。

と、そんな事より今は、マスターのお弁当を作らなくてはと動き出す。

マスターは六時に起きて七時には会社へ出社すると思う。
マスターの仕事は、漫画の編集者。
それなりの出版社だ。

私は器用に包丁を扱いながら、着々とマスターのお弁当を作っていく。

その間もマスターの事を想い、お弁当に愛情を込めていく。
彼が、お弁当箱を開いた時の顔を想像しつつ。
思わずにやける私。

きっと彼は、このお弁当箱を開けた時、ビックリして感動するのだと思うから。

ネタは昨日の内に仕入れておいた。
きっと彼が喜んでくれるであろうネタを仕入れてあるのだ。
彼はきっと驚くだろう。

ふふふ。

私はキュウリを切ってプチトマトをあしらって、お弁当を作っていく。
たっぷりの愛情というスパイスをふりかけて。
ずっとにやけたままだ。

もうこのまま私の顔はにやけ顔のままになってしまうのではと思うくらい。

そうこうしている内に六時になる。
そろそろマスターを起こして、トーストとコーヒーで朝ご飯の用意をしなくては。
そう思っていると、マスターが自分で起きてきて言った。

「おはよう。マコ」

「あ。おはようございます。マスター。今、起こそうと思ったんですが」

私は芳しく、マスターに挨拶をした。
そして、焼きたてのトーストとバター、淹れたてのコーヒーをテーブルに置いた。
彼は、私の用意した朝食をゆっくりと楽しみながら言った。

「マコの作るモノは美味しいね」

「いえ。そんな……」

私は嬉しくなって、でも、恥ずかしくて、うつむいてしまう。
私は彼のその笑顔が見たくて頑張ってるだけで……。
特別、大した事はしていないと。

「ふふふ。マコ。今日のお弁当も楽しみだよ」

私は耳まで真っ赤になる。
いや、でも実際の所、私はロボットであり、顔が赤く染まる事はない。
でも、それでも、私の顔は赤くなり、うつむいたのだ。

「じゃ。行ってきます。マコ」

「はい。行ってらっしゃいませ。マスター」

マスターは、一通りの準備を済ませると会社へと出社していった。
私が作った愛情がたっぷり入ったお弁当を持って。
私は彼が見えなくなるまで見送った。

そして私は彼が出社している間に掃除や洗濯を済ませPCの前に座った。

…――RMの日記(陰)。

私はロボットなので、表を歩く事はできない。
なぜなら私を構成するテクノロジーは、現代の科学を遙かに陵駕しているのだ。
ゆえに私が表を歩けば、心なき人々に解体され、研究の対象とされる。
と、マスターが言っていた。

マコの自由を束縛して、ゴメンねという温かい心と共に。

だから私は仮想空間の住人となった。
彼が会社に出社している間、寂しくないようにと彼がPCをくれたのだ。
ハンドルネームはRM。

ロボットの頭文字Rとマコの頭文字Mで、RM。

追々、語る事となるが、RMの日記には陰と陽が存在する。
私自身は陰の住人なのだが、陽を更新してくれる人が、この世には存在するのだ。
それは誰かは語らないでおこう。

とにかく私はRMのハンドルネームでブログを運営している。

さて、まずはコメントを見てみる事としよう。
今日は、一件のコメントか。
誰だろう。

リータートルさんか。

リータートルさんは、主婦で、いつも料理のレシピをアップしている人だ。
特にリータートルさんの作るキャラ弁はすごいの一言。
毎日、違うキャラクターだし。

前にマスターが、リータートルさんのキャラ弁を見て言っていた。

この人、基本のデッサン力、凄いねと。
マスターは漫画の編集者だ。そこら辺のチェックは厳しい。
そのマスターが、凄いと賞賛したのだ。これは一見の価値ありだろうと思う。

> RMさん。
> 毎日、お弁当つくるの大変でしょう?
> お疲れさま( ^ω^ )

今朝、作ったお弁当は、リータートルさんのブログからネタを仕入れていたのだ。
私は、早速、彼女のくれたコメントに返事をしようとPCを叩く。
またマスターがお弁当箱を開いた時の顔を思い浮かべ。
ニヤニヤと。

> リータートルさんへ。
> リータートルさんのブログを参考になんとか上手くできました!
> コメント、どうも、ありがとうございます。

ロボットである私。
しかし、ネットの世界では、みんな、私の事を友達だと思ってくれる。
そして私には想っても想いきれない想い人マスターがいる。

私は思う。
私はロボットとして、この世に生を受けた。
でも全然、不幸せではない。

むしろ幸せだ。

だから下手に人間に生まれてこなくて良かったとさえ思っている。
私は、マスターを愛せれさえできればいいのだから。
と。

そう考えると心が温かくなった。

さてリータートルさんのブログにでも遊びに行って、お弁当のネタを仕入れよう。
明日も、またマスターのビックリして驚いた顔を見たいから。
愛情たっぷりのお弁当を作りたいから。

頑張ろう。

一人、心にそう誓うとPCの電源を落として、マスターの帰りを待った。
きっと私を癒してくれる温かい笑顔と共に帰ってくると。
私は一層、胸が温かくなった。

うん。

またマスターの笑顔を見る為にねッ!

~ その一、RM、了。

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【 連載小説、灰色探偵ダニット 】

ミステリーを書きたくて再挑戦です。二話、以下、続刊。

お話、概要。

灰色の領域を持つ灰色探偵ダニット。
彼は業界(※注、その筋)では、性格が悪いと有名な探偵。
しかし、それでも彼には今日も依頼が舞い込む。
今日の被害者は……。

▼灰色探偵ダニット、~ その一、灰色という領域
http://kokolost.blog.fc2.com/blog-entry-269.html
▼灰色探偵ダニット、~ その二、三人のダニッ
http://kokolost.blog.fc2.com/blog-entry-282.html

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【 灰色探偵ダニット、~ その一、灰色という領域 】

「いらっしゃいませ」

女子高生だと思しき制服を着た女の子が、この店に入ってくる。
彼女は待ち合わせでもしていたのだろうか。
店の中に居た子が手を振る。

やっぱり、そうだ。
彼女は、店の中で今まで一人でクリームソーダを飲んでいた子と話を始めた。
つまり、この店は女子高生たちが待ち合わせに使うような店なのだ。

言い換えれば私のような人物がいてはいけない店。

私は、筋肉が盛り上がり、ガタイも、かなりいい方に入ると思う。
そして、眉毛は一文字。真っ黒で、潤沢に太い。
懐には銃を携帯し、有事に備えている。
頬には戦闘で負った傷。

私は軍人。

そんな私が今いる場所は、とてもキュートでファンシーなカフェ。
今し方、店に入ってきたような女子高生たちが使う店。
私のような厳つい男がいていい場所ではない。

しかし、それでも……。
それでも私は、この店に居続けなければならない。
なぜなら、この店で灰色探偵と呼ばれるダニットと待ち合わせをしたのだから。

しかしダニットは、なぜ待ち合わせに、こんな店を選んだのだろうか。

私は、ここにいるだけで冷や汗が出て、背中がかゆくなる。
私は壁についている時計に目をやる。
この時計も可愛い。

アニメのキャラクターがプリントされた壁掛け時計。

私は目をやるのも恥ずかしい。
結局、この店に在るモノすべては、私のキャラとは全くの正反対なのだ。
いや、今は、恥ずかしいより、時間を確認する事が優先事項だ。

そう。私は軍人。

物事に優先順位を決め、任務を遂行するのが仕事だ。
ゆえに、この時間を確認するという作業すら優先順位をつけて任務を遂行する。
とどのつまり、これは職業病だろう。

…――時間は午後四時半。

確か待ち合わせ時間は午後二時だったはずだ。
灰色探偵との待ち合わせの時間は、もう二時間半も過ぎている。
すっぽかされたのか?

「ふふふっ。あのオジさん」

「よしなさい。笑っちゃダメよ。ホワイ」

場違いな私を女子高生の二人組が私を指さし笑っている。
なんて失礼なヤツらだと思ったが……。
仕方がないのかもしれない。

それだけ、この店は女子高生をターゲットにした可愛いなカフェだったのだから。

いい機会だ。
もう待つだけ無駄だと伝票を手に店を出ようとした。
もうこれ以上、恥をかいても仕方がない。

確かに灰色探偵ダニットは、今、私が抱えている懸案を解決できるかもしれない。

しかし灰色探偵ダニットは、業界でも性格が悪いと評判だった。
それは事前に仲介屋にも釘を刺されていた。
彼の性格の悪さを。

『彼は観察するのが好きなんだ。君もきっと観察されるだろうよ。気をつけてな』

と。
気をつけろとは、一体、なにを意味するのか分からなかった。
分からなかったが、一つだけ分る事がある。

二時間半は待たせすぎだ。

私は、この店を一望し、灰色探偵ダニットがいない事を確認した。
この店の客は、女子高生が二人に私、一人。
それだけだ。

灰色探偵ダニットが入り込む隙間は、どこにもない。

彼は性格が悪い。
ゆえに、この店を待ち合わせに指定したのかもしれない。
小洒落たキュートなカフェでの待ち合わせ。

つまり私に対しての嫌がらせだ。

おそらく、私のような軍人が、もっと忌み嫌う体裁の破壊を計算したのだろう。
その計算は充分に働き、そして、私のプライドはズタズタだった。
しかし、ここで不思議に思う事がある。

それは彼が現われなかった事。

隠しカメラでも設置し、私の様子を逐一観察しているならばいざ知らず。
私は軍人であり、隠しカメラの類は、すぐに気づく。
もちろん盗聴器の類も。

それは職業柄、当たり前のスキルであり、ゆえに警戒心も強い。

しかし、そんなモノは、どこにもないのだ。
灰色探偵ダニットが、どこになにを仕掛けようと私は見抜けると言い切れる。
私のプライドにかけて。

なぜ、こんな話をしたかというと、結局、彼は現われなかったのだ。

そう。
もし彼が嫌がらせで、この店を指定したのであれば……。
彼は、どうやって私を観察しているのか。

もう一度、店の中を一望し、灰色探偵ダニットがいない事を確認する。

あの失礼な二人の内、どちらか一人が灰色探偵かもしれない。
いや、だとしたら始めから店にいた女子高生が怪しい。
あとから来た女子高生は除外される。

なぜなら今、私は店を出ようと決心したのだ。

観察をするのであれば、今までの私を見ないと意味がないからだ。
私は愚直な軍人であり、探偵ではない。
しかし、それくらいは分かる。

とはいえ、男が女子高生に変装するとは考えにくい。

ま、どちらもでいいか。
灰色探偵ダニットは結局、私の前に現われなかったのだから。
もう、これ以上、恥をかく必要はない。

と、この時、私は灰色探偵ダニットは結局、現われなかったと結論づけた。

しかし本当は灰色探偵は、すぐ目の前にずっといたのに……。
私は、最後にカップに残った冷え切ったコーヒー飲み干し、店を出る事とした。
のち伝票を取り、私は席を立とうとする。

「……お客さま、コーヒー、おかわりを淹れました。どうぞ」

「ああ。ありがとう。でも、いいよ。もう出るから」

「待ち人来たらずですか?」

「うん。そのようだね。ただ待ち合わせをした探偵は性格が悪いと評判だからね」

「探偵さんですか」

「そうだよ。私が待っていたのは灰色探偵ダニットという探偵だ」

「……実は私も本業は探偵なんですがね」

「!」

「そうです。やっと分かりました? ずっと観察させて頂きましたよ」

「もしかして、君が灰色探偵ダニットなのか!?」

「はい。私が灰色探偵ダニットです。おっと、お名前を聞いていませんでしたね」

「そんなマスターだったなんて。でも、確かにそれならば……」

「それならば気づかれずに、ずっと観察をできるですよね。えっと……」

「ガンプだ」

「失礼。ミスターガンプ」

そうなのだ。
私は重要な人物を見落としていた。
カフェにいるのは、なにも客だけではなかったのだ。

ずっと店のマスターが、いたではないか。

そうか。
しかし、性格が悪いというのは風評ではなかったのだと思った。
なぜならば、彼はずっと名乗り出ず、二時間以上もジッと観察していたのだから。

そして、気づかなかったが、あの女子高生二人も。

灰色探偵ダニットは笑った。
そして、このあとなぜ彼らがダニットと名乗るのか、それも知る事となる。
私は、知らず知らずの内に彼らの領域に呑み込まれていたのだ。

灰色の領域に……。

~ その一、灰色という領域、了。

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【 なぞなぞなぞかけ、その十四 】

ゴキブリとかけて、赤信号みんなで渡れば怖くないと解く。
その心は?

どちらもむしです。

なぞなぞなぞかけ、その十四、了。

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【 なぞなぞなぞかけ、その十三 】

古い廃ビル爆破とかけて、名古屋と解く。
その心は?

どちらもとうかいです。

なぞなぞなぞかけ、その十三、了。

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【 なぞなぞなぞかけ、その十二 】

オリンピックとかけて、有名中華料理店のチャーシューと解く。
その心は?

どちらもあついです。

なぞなぞなぞかけ、その十二、了。

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【 なぞなぞなぞかけ、その十一 】

ヨーグルトとかけて、クリスマスツリーと解く。
その心は?

どちらもはっこうします。

なぞなぞなぞかけ、その十一、了。

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【 信じるマン、第二十八話、微妙な距離感 】

*****

…――というわけで、とんでもなく難しい本を読んでいるわけだが。

全然意味は分からないんだが、今はこれでいい。
キム・キムのアホなレッド限定追加機能、もっこりフランスパンを抑えられる。
なに?

なにを読んでいるのか気になるとな。

ま、別に発表するような事じゃないし、そんなに気になるなら書こうかな。
えっ。そこまで聞きたいような事じゃないって。
いや、そこは聞いてよ。

せっかく、俺が格好をつける場面なんだから。

聞こうよ。
頼むから、聞こうよ。
いや、だから、そこまでして聞きたい事じゃないって。

ちくしょう! この追加機能、レッド限定だが、レッド&読者限定機能にするゾ!

って、いやぁぁあっぁ!!

ピンクのアソコが、ピンクのアソコが!!

「レッド&ピンク限定機能にしたアル。ヨロシか?」

「ヨロシクねぇ!」

「ブラックジャックによろしくアル。著作権はないから大丈夫」

「いやぁっぁあっぁぁ。ダメ。ダメ!」

「いや、著作権は作者にないアルよ。大丈夫アル」

「そっちじゃねぇ!! ダメだって。本当にそれだけはダメだって!!」

「ああ。ピンクの事アルか?」

「ダメだって!」

「そういえば児童ポルノ禁止法改定案が出たアルね」

「そんな悠長に。っていうか、ピンクのアソコどうなってるの!?」

「それを聞く方がダメじゃないアルか?」

「いや、確かに。確かにね」

「ダメよ。ダメよもいいのうちという言葉があるアル」

「あるある大事典って、違うッ!!」

俺が思うにクリクリが大きくなっているのではと思うのだが。
いや、それは俺の妄想だ。違う。絶対に違う。
って、ピぃぃンクぅぅ~…!!

「あはん」

あはんじゃねぇ!
うふんもダメだぞ。頼むから止めてくれ!
やっぱり、俺が思った通りにアソコが大きくなって擦れてるとか?

いや、これは俺の妄想だ。

間違いなく妄想に過ぎない。そんなエロは禁止だ!

「あん」

あんじゃぁぁぁねぇ!
エロい方向に進みすぎだ。止めろ!
そうしないと、この連載はめでたく打ち切りになるぞ。

十八禁で。

「うぅん。あはっん」

ちくしょう。
こうなったら俺だけでも正気を保ってだな。
この目の前にある、とんでもなく難しい本に意識を持っていって。

「あぁ~。体が熱い。熱いの」

ふぅんがぁ!
ダメだ。意識がエロい方へ、エロい方へと逝ってしまう。
追加機能が発動しなくても、俺のフランスパンはいきり立ってしまうじゃないか。

やっぱり、ピンクの加入は劇薬だったんだ!

俺は、ずっと反対だったんだ。
それが、なんとかかんとか、表現のギリギリを保ち入隊した。
しかし、しょせんギリギリだったんだと思う。

というか作者は、エロの塊だが、エロは書けないんだぞ。ヘタレだから。

そこも考慮して欲しい。
それにしてもピンクのアソコは一体、どうなってるんだ。
やっぱり、クリクリか? お坊ちゃまくん。

いかぁぁあん!

そんなアホな事は想像してはいかん!
とにかく落ち着いてだな。このとんでもなく難しい本に意識を集中するんだ。
大体、信じるマンは、それでも、すでに十八禁臭い話なんだぞ。

トドメをさすなッ!

「はぁん。レッド、この体の火照りを……あん」

あんじゃねぇ!
安藤奈津(あんどう なつ)の間違いだろ?
そうか。分かったぞ。作者のヤツ、この連載を強制的に終わらせようとしてるな?

確かにギャグを書くのは、エロを書くより、全然、難しい。

全然、難しいとか日本語の崩壊を書くよう作者が才能の限界を感じたんだ!
作者のヤツ、逃げ出す気だな!
あり得ん!

俺は、普通の体に戻って、幸せに生きるんだ。

そこまで、この連載は終わらない。
ピンク、作者の安易な作戦にはまるんじゃない!
このままでは、信じるマン、ひいてはすべての連載小説が存亡の危機だ。

いかぁぁぁん!!

*****

「…――というわけで、このとんでもなく難しい本は終わる」

「なにを読んでいるアルか?」

「信じるマン、エロ発動(?)存亡の危機だ」

「信じるマンの本アルか。もしかしてマコっちが書いたアルか?」

「うむ。しかし俺が書いたんじゃない。イエロー作だ」

「とんでもなく難しいアルな」

「うむ。この今の俺の現実との距離感が、とんでもなく難しい問題作だ」

「でも、そんな本じゃ、レッド限定追加機能は萎えないアル」

ウホッ。

ウホホッ。

ちくしょう。現実ではピンクはセーフだ。
ブルーも、イエローも。
被害者は俺だけ。

ゥゥゥゥゥウゥゥゥホッッッホッッホッホッッホッ!!

でも、やったぞ。
作者の安易な策略は防ぎきったぞ。
すべての連載小説、つまり、このブログの存亡の危機は回避されたぞ!

それだけで余は満足じゃ。

麻呂。大麻呂。
意味が分からないって、分からんでよろしい。
じゃ、読者諸氏、また機会があったら遊ぼうぜよ。竜麻呂。

麻呂、麻呂、麻呂、麻呂、麻呂、麻呂、麻呂、麻呂、麻呂、麻呂、麻呂、麻呂。

第二十八話、微妙な距離感、了。

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【 悪魔ちゃんと天使くん、~ その三十四、ゼロ 】

「さて、お前ら、次の勝負にいくとするか」

ロキが、落ち着いた声で言う。
一流の打ち手は、その千手先まで読み切り、行動に移る。
しかし、ロキは超一流の打ち手。ゆえに千手先まで読み切るのは当然の事。

彼は千パターンの千手先まで読んでいた。

それが超一流の打ち手。
つまり、涅槃とサドクがなにをしようと、その千手先まで読み切られているのだ。
どこにも二人に勝ち目がないように思える。

それでも……。
それでも涅槃らはロキに勝たなくてはならない。
いや、創世がどうのこうのではなく、彼らの存在そのものが危ういのだ。
彼らは確実に無間地獄に堕ちていた。

「次の勝負はこれでいこう」

ロキが、おもむろにトランプを取り出す。
トランプとは、ギャンブルにはうってつけの小道具である。
しかし彼は、トランプで、一体、どんなギャンブルをしようと言うのか。

「ここに四枚のエースがある」

ロキは、五十二枚のトランプの中からエースだけ選び抜き取った。
そしてトランプにはタネも仕掛けもないと見せる。
実際にトランプはごく普通のモノだった。

「裏を向けて、シャッフルする」

四枚のエースは、すべて裏を向けられ、そしてシャッフルされた。
そこでロキは残ったカードを取り出し彼らに言った。
また勝ちを確信した顔で。

「この裏を向いている四枚の上に残ったカードから一枚づつ選んで表を向け置く」

サドクがいぶかしげにロキにたずねる。
ロキは、一瞬のスキをみつけて、サドクたちをはめる。
その手は分かっていた。
ゆえに慎重に。

「その表を向けて置くカードは、好きなものを選んでもいいのか?」

サドクは真剣にロキにたずねる。
次に負ければ、さすがの豪放磊落なサドクでも折れるかもしれなかったのだから。
ゆえに彼は、彼らしくはない慎重さで様子をうかがっていた。

「ああ。残った四十八枚の中から好きなのを選べ」

「数には意味があるのか?」

「数字はパーセンテージを意味している」

「パーセンテージ?」

「ああ。例えば二を選んだ場合、二十%。五を選べば、五十%といった具合だ」

「それは分かるが、一体、なんの為のパーセンテージなんだ?」

「裏を向けたエースの絵柄が、なんであるかのパーセンテージを意味する」

「絵柄を合わせるのか」

「そうだ。絵柄はエースの絵柄を。数字はパーセンテージだ」

そこまで聞くとサドクは不思議に思った。
裏を向けたエースと表を向けて置くカードの絵柄を合わせるところまでは分かる。
しかし、なんの為にパーセンテージを示す必要があるのか。
意味が分からない。

「ふふふっ。迷っているな?」

ロキが、サドクの迷いをも読み切り、告げる。
彼は、千手先まで読み切るモノ以外にも心理的駆け引きにも長けていた。
サドクは彼の手の中で踊っていた。

「……」

一方、涅槃も迷っていた。
彼女は、一番始めの勝負から、ずっと黙ったままだった。
彼女は彼女の立てた作戦でミスを犯し負けてしまった事をいまだ引きずっていた。

しかし、ロキに勝つ為には彼女の力は必要不可欠だった。

天使であるサドクは、その事を熟知していた。
天使であるサドクの信じる心と悪魔である涅槃の知恵が必要だったのだ。
つまり……。

サドクが涅槃を信じ切り、そして涅槃が勝つ為の算段を立てる事が必要なのだ。

「そしてパーセンテージは加算、減算できる」

とロキが言う。
ここまで聞いて、サドクが、やっと意味が分かったと納得する。
しかし、いまだ考えているのはサドクだけだ。

「つまり、二を置いたあと同じ絵柄の三を置けば……」

「そうだ。そのエースの絵柄は五十%の確立で置いた絵柄だというわけだ」

「足し算は分かった。でも引き算は?」

「カードを横向きに置くんだ。それが引き算だ」

「そうか。そして二の次に同じ絵柄の三を横向きに置けば……」

「そうだ。マイナス十%の確立で置いたカードの絵柄になるというわけだ」

「マイナス十%とは、つまりゼロと考えていいのか?」

「グット! そうだ。つまり、その絵柄ではないというわけだな」

「肝はゼロかどうかという事に尽きるな」

「そうだ。ゼロ以外のパーセンテージは通過点にすぎない」

「でも何枚も選べるんだろ?」

「エクセレント! そうだ。何枚も選べる。つまりキングでゼロにできるんだぜ」

「分かったぜ。足して十三以下ならば、いつでもゼロにできるってわけだな」

「その通りだ。もちろんアカシックレコードを使ってもいいぜ」

「そうか。ふぅ。苦しいぜ。やるしかねぇのな」

「グット。それが博打だ」

サドクは助けを求めるように涅槃の方を見た。
相変わらず、彼女は落ち込んだままで、とても考えられる状況ではなかった。
しかしサドクも、この勝負を落とせば、さすがに耐えきれないだろう。

二人にとって、ロキに勝つどころか、最悪の状況だった。

それでも二人は博打の無間地獄にはまり、ずるずると勝負を続けるしかなかった。

ロキはほくそ笑む。
遂に、神の選んだ、この二人をねじ伏せ不敗を守れると思ったからだ。
しかしサドクや涅槃、そしてロキは知らない。

不敗のギャンブラーであるロキが、実はすでに不敗でない事を。

つまり、次にサドクらが訪れる国は無の国でり、知の国ではないという事実を。
そして邦大と壺焼きシロ―が送られた国が知の国であるという事を。
運命という歯車の一つは確実に欠けていたのだ。

それだけが二人の光明であった。

そして負ければ最後の勝負が今、始まろうとしていた。
負ければ、まさに彼らはゼロに戻る勝負が。
ゆっくりと。

~ その三十四、ゼロ、了。

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【 セント・エレナ、~ その五、夢(ふね) 】

遂に!
遂にエレナにバスロンの声が届いたのだ。
彼女は、信じられないと、ゆっくりと後方にある扉の方に振り向く。

「俺はエレナ(お前)を信じる。地球は丸いんだ!!」

「バスロン……」

彼女は、もう二度と会えないと思っていた彼と再会したのだ。
確かに彼女は異端審問にかけられ、彼は大砲男。
二人とも世界から拒絶された存在。

しかし、それでも彼らは、各々、力強く運命を切り拓き再会を果たしたのだ。

「エレナ(お前)が命を賭けて信じたモノを俺も信じる!」

「バスロン……」

もう、あの懐かしき日には戻れない。
しかし、それでもエレナは彼が信じてくれた事で、心が救われた。
彼もまた。

彼もまた彼女を信じる事で、彼女への贖罪を果たした。

お互いの止った刻は、再び、動き出した。
あの日、あの時から、ずっと止ってしまっていた刻がゆっくりと。
彼女は満足だった。

「ふふふっ。バスロン?」

「エレナ!」

「……私は、君に信じてもらえれば、それで幸せよ」

「エレナ! 俺がお前を絶対に守る! 絶対に守るんだよ! 死ぬな!!」

エレナは、静かに両目を閉じてうつむく。
のち、彼の方を振り向き言った。
後悔のない言葉を。

「ありがとう。バスロン」

大砲男である彼は複数の衛兵に引きずられ、退廷させられる。
そしてエレナも、大勢の衛兵に連れられ退廷する。
しかし最後にエレナはつぶやいた。

「本当にありがとう」と。

冷静で、正確な判断を下す事のできる彼女には珍しく感情を表に表わし。
そう。この冷め切った法廷で唯一の温かい感情を。
彼女の頬には涙が伝っていた。

「エレナ! 泣くな!」

バスロンは引きずられながら大声で叫ぶ。
彼女は彼女の道を行き(ゆき)、結果、極刑に処された。
しかし、それは彼女の本望であり、そして、ある意味、望んだ形なのだ。

だからエレナ、決して後悔だけはするなと。

お前は間違ってはいないと。

バスロンの心の中は、その一点で埋め尽くされた。
そして、彼は世界の誰もが敵になろうと俺だけは味方だと、そう言いたかった。
でも言えなかった。

「泣くな! エレナ!!」

としか。
考える事の苦手なバスロンは、その言葉を連呼するしかなかったのだ。
それでも彼女の心は確実に救われ、そして温かくなった。
ゆえに彼女の……。

彼女の涙は止る事を知らなかった。

それは決して後悔の念からくるモノではなく、あの懐かしい日々を思いだしてだ。
そして彼は、微笑む彼女に向けて最後の一言を放った。
それは、この上ない言葉であった。

「俺はエレナと一緒に死刑になっても構わねぇ!」

「……」

「地球は丸いんだ!!」

のち、静まりかえっていた法廷は、再び、怒号が乱れ飛んだ。
傍聴人たちが、我に返ったのだ。

「死ね!」

「ケッ。下らねぇ茶番だぜ。殺せ! アジア人風情が!」

バスロン、本当に、本当にありがとう。
私は、この上なく幸せよ。
本当にありがとう。

でも、悲しいけど、寂しいけど、永遠にさよならだね?

あの日、あの時から私たちは別々の道を歩く運命だったんだと思う。
でも、バスロンは運命をねじ曲げ、私に会いにきてくれた。
それだけで充分よ。

本当にありがとう。そして、さよなら。

エレナは自分の牢に戻るまで、そんな事を考え、そしてあの日々を懐かしんだ。
バスロンと過ごした、あの心が温まるあの日々を。
ずっと、ずっと。

*****

「二度と来るな! 馬鹿野郎!」

バスロンは、力一杯、法廷の外に放り出された。
その勢いで、しりもちをつくバスロン。
外はグレーな曇り空であった。

頬に雨粒があたる。

そう……。
空もエレナの悲運を嘆き、泣きだしたのだ。
いや、自然とはあるがままで、決して、そんな感情を持っていない。
ゆえに雨が降るのは偶然。

しかし、バスロンには、この雨は彼女の涙の代弁に思えて仕方がなかった。

「……」

ジッと黙ったままの彼。
そんな彼を冷たき雨が叩き付ける。
雨あしはだんだんと速くなり、そして、辺りを静寂が包む。

「…――みせしめは、一人でいいのか?」

彼は、また大音響の響く銃を構える。
そして、右拳を強く固く、そして、決意を込めてギュッと握りしめる。
だったら……。

だったら、やってやる。やってやるぞ! と。

≪ドォーン≫

そして、彼は立ち上がり、のち暗雲立ちこめる空に向かって叫んだ。
この世界の狂った常識を壊してやると。
たった一人。

「地球は丸いんだ! それを俺が証明してやるッ!」

*****

…――それから三年後。スペイン領、セビリャ。
水夫の一人が、大音響のでる彼女が発明したあの銃をのぞき込んでいる。
そして、不思議そうに言う。

「提督。この銃、なんなッスか? 弾が入ってないッスよ?」

「うるせぇ! その銃を気軽に触るんじゃねぇ!」

と水夫をこづく提督。
そう。大砲男(かれ)は四隻のキャラベル船を指揮する提督となっていた。
一時期、ヨーロッパ中を騒がせた、あの大砲男が。

ポルトガルでは、俺たちの夢を叶える事は無理だった。
しかし、スペインで夢に近づいた。

俺は提督になったんだ。

スペインは、同じ海洋国家としてポルトガルを追い越したい時だからな。
だから大砲男(おれ)みたいなヤツにもチャンスはきたんだ。
俺が西へ西へと向かってジャポンにたどり着く。
地球は丸い事を証明してやるッ!

それが俺たちの!

俺たち二人の夢なんだ!!

エレナ、お前もジャポンに連れていくぜ。この銃と共に。

『本当にありがとう』と、エレナの最後の言葉がバスロンの耳の中で木霊する。
バスロンは、きつく目を閉じて、唇を噛み締めた。
彼女の最後の言葉を反芻するように。

「野郎ども!」

提督となった彼が叫ぶ。
水夫たちの気合いを入れる為に。
のち、あの大音響が響く銃を空に向けって、一発、ぶっぱなす。

≪ドォーン≫

「行くぜ! 目指すはジャポンだ!!」

そして大砲男(提督)の乗船するキャラベル船の帆に書かれていた言葉は……。

…――セント・エレナであった。

そう。
彼の唯一の家族、彼女の名を冠した船であった。

セント・エレナ号。

……それが、大砲男(かれ)の乗るでっかい夢(ふね)であった。

~ その五、夢(ふね)、了。

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【 セント・エレナ、~ その四、運命の刻(とき) 】

「被告…――エレナは地球は丸いと神への冒涜を働いた」

「はい」

「それは世界が許せるモノではなく、極刑に値する。それでも被告は……」

「はい。それでも地球は丸いのです」

裁判所内は、ざわめきだった。
アジア人であるエレナの揺るぎなき信念に人々は驚嘆し、驚いたのだ。
極刑、つまり死刑になるとしても揺るがない信念に。

アジア人は死に急いでいるのだ。

そう思った人もいた。
それだけ彼女は真剣であり、結果、周りを威圧した形になった。
すると興味本位で傍聴していた人々が怒りだした。

それは、そうだろう。

自分は傍聴席にいて、確実に裁かれるアジア人より優位な位置にいるはずなのだ。
それなのに、なぜか彼女に負けているような気になったのだから。
怒号が乱れ飛ぶ。

「殺せ! どうせ死刑なんだろ?」

「ぶっ殺せ! やれ!!」

「死ね!」

と。
まさに人間の負の部分が辺りを覆い包んだのだ。
裁判所内は、おおよそ裁判をしているような雰囲気ではなかった。

それでも……。

それでも、エレナは答える。

自分自身の信念は決して曲げられないのだと力強く。
腹の底から声を出し、誰も信じてくれなくても一向に構わないと。
いや、自分さえ信じていればと。
悲しいが……。

「それでも、それでも地球は丸いのです!!」

「その異端児を殺せ!」

「たとえ私自身が死刑になろうとも、それは揺るぎなき真実なのです」

「殺せ!」

「…――死刑にはできますが、思想は決して曲げられません」

アジア人であるエレナ。
傍聴者たちは自分たちより劣った人種である彼女に圧されたのだ。
決して彼らが納得できる形ではなかった。

「お静かに! お静かに!!」

「たかがアジア人になにが分かる。殺せ! ぶっ殺せ!」

「お静かに!!」

「ここリスボンより西に発ち、どこまでも西に進めば極東の地、ジャポンに……」

「うるせぇ! だまれ!」

「必ず、ジャポンに着きます。…――地球は丸いのです!」

「まだ言うか、このクソガキが! だまれ!!」

エレナは折れない一本の芯を持っていた。
こんな裁判では、決して裁く事のできない固く太い芯を。
心の奥底にしっかりと。

しかし……。
そう。彼女には思い残した事があった。
それはバスロンの事。彼女が唯一、家族だと認めた彼が気がかりだったのだ。

白人でありながらアジア人の彼女を家族として迎えたくれた彼。

彼女は彼にだけは信じて欲しかったと思っていた。
そして彼女の時も、あの瞬間から、ずっと止ったままだった。
……そう。

彼女も、あんな態度しかとれなかった自分をずっと後悔していたのだ。

バスロンとエレナ。
二人の刻(とき)は、止ってしまっていた。
お互いがお互いとも、後悔という重き鎖に縛られてしまって……。

とても切なき運命であった。

と!
裁判所の扉が、バタン! と力任せに荒々しく、開かれる。
そこにいたのは!

永い旅路の末、遂に彼女を見つけた彼がいた。

「エレナ!」

彼は精一杯の声で叫んだ。
しかし、彼の言葉は被告人席にいるエレナには届かなかった。
彼の懸命な叫びは、怒号にかき消されたのだ。

「地球は丸いのです。…――しかし、私は誰に信じてもらわなくても結構です」

「アジア人が生意気な! 殺せ!!」

「ただ一人を除いて……」

エレナは目を閉じてゆっくりと静まった波のよう言った。
誰に言うとでもなく、ただ彼に聞いて欲しいと。
まるで一人言のように。

そう。彼女は、もう彼と二度と会えないと、そして謝れないと思っていた。

「ただ、それは叶わぬ願いです。だから自分だけは絶対に信じます」

彼女は、そう締めくくって論述を終えた。
彼女の答弁は終わったにも関わらず、怒号は止らず、ますます加速した。
バスロンは必死の叫びは、怒号に混じり、そして消えた。

「エレナ! 俺はここにいる!」

彼は一心不乱に叫んだ。
しかし決して届かず、そして、彼女の後悔は拭えない声で。
ただただ彼は、一言、彼女に謝りたくて。

「エレナ!」

と、再び力の限り叫んだ。
もう自分の力をすべて使い切って死んでしまっても構わないと。
しかし、それでも彼の声は彼女に届かなかった……。
それが、二人の悲しき運命であった。

「殺せ!」

「この悪魔が!!」

しかしバスロンは決して運命を信じなかった。
おもむろに彼女が発明した大音響が響く銃を取り出し構えるバスロン。
彼女に狙いを定めた。

運命など、この俺が、ぶっ壊して、そして彼女を守ると。

「判決――、被告人、エレナを極刑に処す」

≪ドォーン≫

その音は、とても力強く、そしてすべての怒号を吹き飛ばした。
まるで曇り空が晴れ渡るように負の感情は消え失せた。
のち、静まりかえる法廷。

「エレナ! 俺はここにいるぞ!!」

と、彼女に向け、バスロンが力の限り言った。

~ その四、運命の刻(とき)、了。

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【 仏教とキリスト教 】

今日は金曜日。
そして私たちの晴れ舞台。

結婚式。

仏滅を避け大安吉日を選んで開催した。

しかし……。
出席者の顔は実に複雑だ。
彼らは、そんなに私たちを祝福するのが嫌なのだろうか。

私は私の大親友であるA子になにが不満なのか、ストレートに聞いてみた。

「A子、一体、なにが不満で、そんな複雑な表情をしてるの?」

A子とは中学時代からの親友で、十二年の付き合いだ。
だからこそ率直に言って欲しい。
なにが不満なのか。

「あなた。気づいてないかもしれないけど……」

そうか。
新郎が気に入らないのか。
だけどそれは、他人がとやかく言う事ではないと思う。

彼はいい人だ。

それは私自身がよく知ってる。
だから、私は、この彼と結婚を決めたのだ。
それを……。

「いや、今日は金曜日だよ?」

あれ?
A子は新郎が気に入らないのではないのか。
というか新郎の親戚縁者一同も、複雑な顔をしている。
じゃ、一体、なにが不満なのだ。

「十三日だよ」

あ……。
十三日の金曜日。
そっか、キリストが磔にされた日だ。

先に言ってよ。本当に……。

仏教とキリスト教、了。

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四草めぐる

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将来、月に移住したいと思う今日この頃。現実的には一歩、一歩、着実に。基本を大事に。

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