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では、▼以下より、私の世界をお楽しみ下さい。
     

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【 悪魔ちゃんと天使くん、~ その十九、バベルの塔 】

*****

スカイツリー制圧作戦、その壱。

スカイツリーは最先端の技術と伝統的な技術から作られている。
地震対策として、五重の塔を準え、心柱というモノが組み込まれている。
五重の塔は遙か昔から地震に耐えている。

この伝統な技術を応用したのがスカイツリーなのである。

まるで柳が雪の重さで折れないよう、しなるような構造なのである。
逆に言えば心柱を揺らせば全体が揺らぐのだ。
だから心柱に爆弾を付ける。

軽い爆弾である。

決して心柱が傷つかないように。
するとスカイツリーは大きく揺らぎ、不安に駆られた人間を追い払う。
まるで蜂の巣を突き、蜂を追い払うように。

そして、人間がいなくなった所で一階を制圧する。

一階には入り口が二つ。

この二つの入り口を煙の出る薬品で威嚇する。
実際は無害なのだが、まるで化学兵器を配置したように思わせるのだ。
この薬品はドライアイスでもいい。

とにかく数分間、煙を焚く事によって容易に進入する事が難しいと思わせる。

四、五階はカメラを設置して、そのままにしておく。
そして進入者があればその都度、神経系のガスで威嚇できるようにしておく。
飽くまで痺れる程度のガスだが。

そして一階、四階、五階は必要ないので、足止め程度に制圧しておく。

少なくとも未知のガスが充満すれば、おいそれと進入できない。
問題は、五階の展望デッキ行きへのエレベータだ。
そこは確実に守れるようにしておく。

*****

スカイツリー制圧作戦、その弐。

多分に今回のスカイツリー制圧作戦はテロに指定されると思われる。
自衛隊の出動も思考の範疇に入れておかなければならない。
ガスマスクを装着し、進入を試みるかもしれない。

その場合、一階、四階、五階は捨てる。

この行為は相手に事態は終息に向かっていると思わせる行為。
相手が終息に向かっていると誤解すれば、展望デッキへの進入は長引く。
飽くまで一階、四階、五階は捨て駒なのだ。

どれだけ長く電波をジャックできるかが勝負の別れ目となる。

展望デッキに入ったら、即エレベーターを止める。
心柱裏側に非常階段がある為、こちらも神経系ガスによって防備する。
しかし四階、五階での神経系ガスで学習する事も考えられる。

ガスに殺傷能力がないと判断した場合だ。

最悪の場合、須木邦大の私設軍隊を動かし、暴動も辞さずと構える。
須木邦大の私設軍隊を誘い込む作戦は涅槃が担当する。
しかし、それまでに観客を掴んでおく。
私設軍隊投入は最悪の場合。
心するように。

そして観客とは今回の電波をジャックした後、放映する番組での視聴者だ。

時間との戦いになるが観客を掴んでおけば放映を続けざるを得ない。
そう。始まりは電波ジャックによってだが。
続きは観客の望みなのだ。

ゆえに今回の電波ジャックではジャックできる時間が長ければ長いほどいい。

番組が走り始めれば、後は観客が勝手に熱狂して続ける事ができるのだ。
観客が熱狂すれば、晴れてサドクの役目はなくなる。
もちろん番組製作は涅槃が担当する。

*****

……と言った所だが。
いきなり問題が発生したぜと、サドクは思った。
サドクは今、スカイツリーの心柱を前に上空を見上げて迷っていた。

「ふははは。あり得ねぇな。マジで」

なんと。
爆弾などとんでもない。
スカイツリーの心柱は今にも折れそうにゆらゆらと揺れていた。

もし仮に、ここで爆弾を爆破すればスカイツリーは心柱を失い倒れるだろう。

何が最先端技術と伝統的技術の融合なのだ。
人間たちは無理をしすぎて、そのとばっちりが、ここにきているのだ。
サドクはずっと上を見ている。

「マジか?」

最高の高さ634m。
ギネスワールドレコーズ社から認定された世界一高いタワー。
しかし、それは虚栄でしかない塔。

これでは、まるで現代に甦ったバベルの塔ではないか。

帝都東京で、このバベルの塔が倒れれば……。
電波ジャックで涅槃製作の番組を放映するどころの話ではなくなってくる。
すなわちテロ以前の問題の話で、とんでもない人災になるのだ。
その目撃者としてサドクがいた。

「ま、ここは天使として何とかするしかないんだがな。嫌だが使うか」

そう。
サドクはアカシックレコードにアクセスする事を決めた。
この後、このバベルの塔が、どうなるのかを。

彼は、ゆっくりと目をつむる。

普通の天使であれば、空気を吸うようにアクセスする事ができる。
しかしサドクはアクセスする事に慣れていなかった。
ゆえに集中を必要とするのだ。

そしてサドクに見えた未来は絶望だった。

このバベルの塔は、後、一ヶ月とちょいで心柱が折れて倒れると見えたのだ。
サドクが、ここでトドメをささなくとも、結局、倒れるのだ。
サドクは更に嫌そうな顔をする。

「これじゃもう運命を書き換えるしかねぇのな」

そしてサドクは、一番、書き換えやすい過去を検索した。
スカイツリーの建設現場で働いた労働者の夢を書き換えようと考えたのだ。
その程度なら努力の必要もない。

そして、スカイツリーが崩壊する夢を見せた。

労働者は慌てて夢の世界から目覚めた。
そして上層部と掛け合い、更に強固にスカイツリーを建てる事を決めたのだ。
そういう過去になった。

ゆえに未来は目の前で起こるであろう最悪の事態は避けられた。

そう。
結局のところ、この程度の過去の改ざんでも、大きな成果を得るのだ。
禁断とも言えるアカシックレコードの書き換えとは。

逆に言えばノルニルのさじ加減次第で、未来が、どう書き換わるか分らない。

今回の件で言えば。
スカイツリーが倒れないよう未来に書き換えたとして。
倒れるはずのスカイツリーが倒れなくても二ヶ月で倒れるという未来になる。

何の脈絡もなく未来を書き換えても、その場しのぎでしかないのだ。

それ以上に、スカイツリーが倒れなかったという事態が悪化する場合もある。
つまり人間たちが過信をし他にもタワーを建てるという事態である。
スカイツリーをお手本にして。

それは、すなわち最悪の未来であり、各地で火の手があがる。

ゆえにサドクは未来を書き換えたり、過去を改ざんするのを嫌うのである。
結局、思ったように未来や過去を導く事は難しいのだから。
最悪、悪化する場合もあるのだし。

とにかく今回は嫌々ではあったが書き換えで最悪の事態は避けられたようだ。

そして、サドクは強固に造り直されたスカイツリー制圧作戦を敢行した。
人間の所業には困ったモノだと半ば呆れ気味に。
やれやれだと。

~ その十九、バベルの塔、了。

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↑超能力少年が住んでいるのだw
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【 ありがちと言わないでw 】

はぁ~…、疲れたな。でも明日、やっと休みだ。その休みの日。ヒマすぎる。

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↑まさに言いたかった事w
     

【 悪魔ちゃんと天使くん、~ その十八、運命の女神ノルニル 】

涅槃は東京スカイツリーをジャックして、どうするつもりなんだろう。

サドクはそう思った。
そう思ったが、決して口にはしなかった。
サドクは、涅槃のサポートに回ると宣言したのだから。

そう。
サドクは普段、ちゃらんぽらんなのだが、他人を信じる心は人一倍だった。
さすがに悪魔の候補者として名が上がっただけはある。

かたや涅槃の方もサドクには劣ってはいない。
彼女も神や魔王の描く天使候補者として名が上がった人間なのだ。
それなりのモノは持っていた。

今、サドクにスカイツリー制圧作戦を授けていた。

そしてなにより。
彼女は、サドクの正体を掴みたいと考えていたのだ。
いや、正体というより、サドクがヘルメス・ディ・カイトではないのかと。
それをハッキリとさせたかったのだ。

その探求心により、涅槃の頭脳は通常の倍以上の速度で考えていた。
止る事を忘れ一心不乱にπを計算し続けるスーパーコンピューターのように。
この時、涅槃は絶好調だった。

サドクは涅槃が立てた作戦通りに東京スカイツリーを占拠しに向かった。

しかし、ここでフッと疑問に思う事がある。
それは天使はアカシックレコードにアクセスが許可されているという事だ。
つまり、天使であるサドクには涅槃の運命が見れるのだ。
それ以上に全ての未来が分るのだ。

だから涅槃がこれから何をやるのか、そんな事はお見通しのはずだ。

そして、スカイツリー制圧作戦も自分で考えた方が合理的だ。
それなのに作戦は涅槃に任せていた。
なぜだろう?

アカシックレコードの件には深い意味と浅い意味がある。
深い意味で言えば、サドクはアカシックレコードを毛嫌いしていたのだ。
せっかくの天使の特権であるのにだ。

サドクは先が分らない方が楽しいと考えていたのだ。

これは合理的に考える天使の思考ではなく、悪魔のそれであった。
サドクは、さすがに悪魔として転生を望まれた魂であった。
しかし人生からその楽しみを奪われたら。
考えるのも空恐ろしい。

そして浅い意味で言えば、アカシックレコードも完璧はないのだ。

そう。アカシックレコードは神の叡智であった。
叡智ではあるのだが、この記憶を書き綴って保存しているモノがいた。
それは運命の女神ノルニルだった。

ノルニルは三姉妹で、各々、過去、現在、未来を担当していた。

ここで、過去、現在、未来と記したように運命は書き換える事ができるのだ。
つまり過去を書き換えれば自ずと現在も未来も書き換わる。
逆に未来を書き換えれば、過去も現在も……。

そうなのだ。
実の所、アカシックレコードは今、現状を確認する事はできる。
が、書き換える事が容易にできるのだ。

しかし容易であれ、書き換えるには、相応の努力が必要になってくる。

運命の女神ノルニルに認められるほどの血の滲む努力がだ。
そしてやっと書き換えたと思ったら、自分が望まない未来であったりする。
その辺りもサドクは気にくわなかった。

彼は、努力によって未来が書き換わるのは別に何とも思っていない。
努力によって勝ち取るのは人生において当然の事だから。
ノルニルを否定しているわけでもない。

彼女たちは常に予測しない未来をアカシックレコードに綴ってくるからだ。

サドクが一番、気に入らないのは、書き換えようとする思考だ。
アカシックレコード自体には不満を感じていない。
それを使う天使に不満を覚えているのだ。

望まない未来とは何だ?
そして、望む未来とは一体、何だ?
サドクは、アカシックレコードを前にすると常にそう自問自答していた。

未来を書き換える事に何の意味があるのだ。

現在を修正して楽しいか?

過去を消して、自身が納得する形で恥はなくなるのか?

道なき道を行くから、思いがけない事があり人生は楽しいんだ。
仮に望む未来像があったとして、常に望む未来通りであれば、人は壊れる。
怠惰という化け物に喰われるのだ。

彼は、そう思っていた。

ゆえにアカシックレコードを毛嫌いしていた所もある。
しかし深い意味でのアカシックレコード嫌いは、もっと深淵にあるのだが。
と、サドクはスカイツリーに着いた。

「ふははは。あの涅槃(ボケコン)のヤツ……」

彼は人生を愉しむ達人だった。
天使である今も、そしてもちろん人間だった時もだ。
ゆえにアカシックレコードを嫌っていたのかもしれなかったが。

「まったく何を考えているか知らんが、面白そうな事が始まりそうだな」

と笑った。
スカイツリーを前に不敵に。
運命の歯車は軋みつつ、しかし確実に回り始めた。

~ その十八、運命の女神ノルニル、了。

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↑運命の女神w
     

【 コロシアイ、~ 十一の巻、石崎先生 】

「やっぱり、そうきたね! ありがとう霧崎さん!」

僕の作戦はギリのギリで間に合った。
霧崎さんが、僕と霧崎自身さんを入れ換えようとしたのだ。
ただし時間が足りなかったから霧崎さんの会った敵と僕が対峙するわけだが。

しかし、今は、そんな贅沢を言ってる場合じゃない!

「間に合え!」

と、真っ直ぐに霧崎さんの心へと叫ぶ。
ただし、もちろん僕と少年の勝負自体を霧崎さんは知らない。
ゆえに霧崎さんは僕の言葉にひるみ一瞬、戸惑った。

霧崎さんも、僕も、切羽詰まっている。

だから、いくら仲間という約束を交わしていても、信じられない時もある。
それゆえ僕の方の準備が整っていなかったわけなのだが。
それにこちらから入れ替えを要求しているのだ。
懐疑的になるのはよく分る。

しかし、その一瞬が、生死を分かつ。

「えへへ。この勝負、僕の勝ちだ。兄ちゃん。残念だったね!」

少年の言う通り、男キョンシーが、彼の前に立っている。
少年は鼻をこすり、得意げに言った。

この勝負、僕の負けなのか?

いや、まだだ!
なぜなら少年が次に出会ったのは……。

「涼くん。こんな幼い少年と戦っていたの?」

僕は、この時ほど僕自身の能力が透る声でよかったと思った時はない。
そう。男キョンシーは確かに少年の前にいる。
いるがキョンシーのままだった。

そして僕自身がわざと少年の前に躍り出て霧崎さんが少年の前に現れた。

そう。
つまり、男キョンシーは生者になれなかったのだ。
もしなったとしても、あのタイミングでは、フィールドに弾かれるだけだ。

ここでも透る声が役に立った。

つまり、僕は男キョンシーにも言葉を投げかけたのだ。
あの生殺与奪権を奪われた女キョンシーの行く末を見た男キョンシーに。
僕が、安らかに死なせてあげるよと。

だから男キョンシーは、生者になる事を拒んだ。

それが生死を分かつ一瞬を埋めた。
少年は霧崎さんを前に青くなり、唯々、立ち尽くしていた。
彼は、やはり無邪気であり、自分が負ける事など考えていなかったのだ。

しかし僕は息をつく間もなく次の障害に対峙していた。

霧崎さんが出会った敵と今度は僕自身が睨み合う事となったのだから。
僕は身構えた。……しかし、そこにいたのは。
中学校の男性教諭。

「えっと。君が涼くんかい?」

「えっ? はい……」

「身構える必要はない。私は霧崎さんと話をしたんだ。君の仲間だ」

確かに、少々、頭を使って考えてみれば、気づく事がある。
霧崎さんは敵に対峙していて僕とマフラーやコートと入れ換えなかったのだ。
もし危険があれば、マフラーやコートと入れ換えると話してあった。
そう。敵をフィールドから弾き飛ばし出す為に。
すなわち安全だと判断したのだろう。

この人は仲間?

「私の名前は、石崎裕一郎(いしざき ゆういちろう)という」

「……石崎さんですか?」

「そうだ。とある中学で教鞭を振るっていた。以後、石崎先生と呼ぶように」

石崎先生は、頭の固いところがあるようだけど悪い人ではなさそうだ。
しかし、あの短い時間の中で、よく話がまとまったものだ。
僕らは殺し合いをさせられているんだぞ。

「物事は順序立てて論理的に話せば、話は早いのだ」

「……」

「信用できないか? しかし、私は幸いな事に教師なのだ」

確かに中学で教鞭を振るっていた人だ。
それなりに学もあるだろうし、人の上に立つ事も慣れているのは当然だろう。
少なくとも霧崎さんが、安全だと判断した人だ。

今は、まだ霧崎さんほど完全には信じられないけど、信じるしかない。

と、僕は僕自身を納得させた。
そして、その石崎先生は、至極当然の事を言ってのけた。
力強い言葉で。

「私の方も、まだ完全に信じたわけではないから私の能力を明かさないよ」

当たり前の事だが、なかなか口にできない言葉だ。
それを言ってのけるなんて!
さすがに教師。

そして、霧崎さんが石崎先生と入れ換わる。

つまり、石崎先生がキョンシー使いの少年の前へと向かったわけだ。
どうやら、これは霧崎さんと密約していたようなのだ。
キョンシー使いの少年を諭すのだ。

石崎先生は、僕がどんな敵と対峙していうようと諭す自信があったのだろう。
霧崎さんは石崎先生に何と言われたか知らないが。
諭すと言われ、この行動にでたのだろう。

石崎先生はまず僕と対面し。
次に僕と対峙していた敵を諭す役目をかって出たのだ。

……石崎先生は教師。

僕らくらいの少年少女を諭すのは、お手の物だろう。
石崎先生の登場で、事態は好転しているかのような気がした。
しかし……。

そんな僕の考えが甘かったと思い知ったのは、ほどなくしてだった。

~ 十一の巻、石崎先生、了。

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↑ガッツ石崎w
     

【 悪魔ちゃんと天使くん、~ その十七、電波ジャック 】

涅槃の脳内コンピューターが答えを弾き出す為に要した時間は三秒。
その三秒間は後に世界が震撼する三秒間だった。
そして完了までには一ヶ月と数日だ。

「……うーん。ちょっと時間が足りない気がするけど、ま、大丈夫でしょ」

涅槃には珍しく、きっかりと時間を計算していない。
これまでの涅槃、つまり銀杏であれば全てを把握しないと気が済まなかった。
これは悪魔となった副作用なのだろうか。

情は知を鈍らせる。

サドクは今の涅槃の状態をいいモノとして捉えていた。
サドク自身、計算や権謀術数などを毛嫌いしている所があったのだが。
しかし今や立派な策士だ。

悪魔になる予定のサドクが天使になり、銀杏が悪魔になった。

だから、彼はそれなりのしわ寄せは覚悟していた。
それがサドクの権謀術数であり、涅槃のどんぶり勘定だったのだ。
二人とも慣れない事をしているのだ。

神と魔王は悪魔にサドクを天使に涅槃を推していたのだ。

それを無理矢理に変えたサドク。
神と魔王の不信をかうのは当たり前で当然の事だった。
その不信を返上する為には神の出した第一の試練をクリアするしかなかった。

「サドク?」

「おう。なんだ。何をすればいい?」

「まず、軍資金を作らないとダメだわ。そんなには大きくないけど」

「軍資金か、一体、いくらぐらい必要なんだ?」

「大体、一千万円位かな」

ここでも大体という言葉が出てきているように涅槃は変わりつつあった。
涅槃が、まだ銀杏だった頃、極力、情を廃していた。
それは知が鈍るから。

彼女は情により知が鈍る事を知っていたのだ。

しかし彼女は彼女の中の情を受け入れ、そして一体となった。
愛の塊である悪魔として転生したのだ。
その知を削る事によって。

「お金を道具だと気づかせる為にお金が必要だとはな。面白くもねぇ」

サドクが吐き捨てるように涅槃に告げる。
彼は基本的に情の極みである慈愛に満ちていて、計算や計略が苦手だった。
ゆえに利権争いが渦巻くお金を毛嫌いしている所があった。

「でも軍資金に関しては何もしなくていいわよ」

「えっ。でも軍資金が必要なんじゃないのかよ。一千万だろ?」

「私の貯金から出せばいいわ。私の貯金はゆうに国家予算を超えているのよ」

「確かに……」

「サドクにやって欲しい事は、そんな事じゃないわ」

涅槃は微笑み、そして続けた。
彼女は実にとんでもない事を考えていた。
それをたった三秒間で思いつき、そして実行に移そうとしていたのだ。

「サドクにはスカイツリーをジャックして欲しいの」

そう。彼女は事もあろうかスカイツリーをジャックして欲しいときたのだ。
確かに世界経済の一翼を担っている帝都東京の象徴であるが。
それにしてもジャックとは。

「涅槃、お前、一体、何を考えているんだ?」

「世界を騙すには、まず味方からでしょ。それくらいはしないと」

「いや、でもな、さすがにジャックとは穏やかじゃねぇぞ」

「確かにね。だったらこれだけは言っておくわ。東京の電波を掌握するのよ」

「株式市場を壊すのと発想が変わらないし」

「うだうだうるさい」

こうして彼女が考案した壮大な作戦を遂行する事となった。
彼女が、たったの三秒間で練り上げた作戦とは……。
サドクは涅槃を信じるしかなかった。

「ま、でも、お前は世界が羨む才覚の持ち主だったんだ。大丈夫だろう」と。

~ その十七、電波ジャック、了。

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↑奥に見えるのがスカイツリーでございますw
     

【 信じるマン、第二十二話、信じるモノは救われない 】

この世は反復練習が基本だと思う。
思うが……。

信じるマンの変身に反復練習なんかしたくない。

いや、信じるマンは素っ裸でアソコがフランスパンなのだ。
断言する。俺は露出狂ではない。
ゆえに変身したくない。

しかし全くの計算外だったのだが、ムン・ムンの笑い声が響くと……。

「いくアルよ! GO! GO! ムン・ムン!?」

「おッほほほ!」

だから、その笑い声が響くと変身しちゃうんだよ。
俺は、咄嗟にジョーを確認してみた。
だよね……。

そこには信じるマンイエローに変身したジョーいて、独楽になり回っていた。

とにかく、ムン・ムンの笑い声に反応して変身しないようにしなくては。
大体、信じる事が力になるのが信じるマンではなかったのか。
これじゃ、信じるも信じないもあったもんじゃない。

「いい駒を手に入れたアル」

そうだ!
そういえば、こんな事があった。
信じるマンになって、まだ日が浅い頃ボンジュール位しかしゃべれなかった。

しかし、信じる事によって普通に話せるようになった。

そうなんだ。
俺たちは信じるマンなんだ。
信じる事が俺たちを形成しているんだ。

つまり何が言いたいかというと、俺は変身しないと信じれば。

そうなんだ。信じ切れば……。

あの笑い声を聞いても変身しないかもしれない。
ただし、心の底から変身しないと信じ切らなければならないとは思うが。
よし! こい!

「ムン・ムン。ちょっとの間、あの笑い声は禁止アル? ヨロシ?」

あら。
ちょっとヤダ。奥さん聞いた?
キム・キムのヤツ、俺が対策を立てた途端、笑うの禁止だって。

「なんとなく嫌な予感がするアルからな」

「承りました。キム・キムさま」

あら。まぁ。
ムン・ムンの方もキム・キムの言う事を聞いちゃって。
いやだわ。本当に。あり得ないでしょ?

「レッド。お前、アレに気づいたのか。しかし一手、遅れだな」

ジョーが俺に話しかけてくる。
ジョーは、俺より先に気づいていたのだろうか。
しゃべれるようになった時も、いの一番でジョーが気づいたしな。

今回も俺より先に気づいていたんだ。

俺はジョーに聞く。
まず間違いなく変身の秘密について知っているんだと。
しかしジョーからは意外な答えが返ってきた。

「フッ。俺はアレからな、カレーを食べまくって好きになったんだ」

「えっ。なんの話?」

「いや、身も心もイエローに染まったのさ」

「って、本当になんの話ですか? もし、もし? 大丈夫?」

俺はジョーが狂ったのかと思った。
なぜなら今、変身の秘密について考えていたのにカレーの話をするから。
ムン・ムンを含め、このメンバーで一番冷静なジョーがだ。

「だからレッド、アレに気づいたんだろ?」

「アレってなんですか?」

「俺たちのお知らせ機能、発症原因について気づいたんだろう?」

「いや、アレは背中にスイッチがあってだな」

「フッ。俺も気づいたんだよ。だからカレーを食いまくったんだしな」

「いや、カレー、関係ないし」

「そういうわけだ。つまり、アレは信じ切れてなかったんだな」

「いや、違うし」

「フッ。だから俺は身も心もイエローになりきったんだぜ」

「いや、いや。まったく見当違いだし」

ジョーは、なんだか一人で明後日の方向に行ってしまったようだ。
しかし、キム・キムが禁止令を出したという事は……。
そう。

俺が出した答えは正解なんだ。

つまり変身しないと信じ切れば変身しない。
ちょっと待て。俺は、今、大事な事に気づきかけている。
そうなんだ。

そうか。

信じる事が力になるのであれば、信じるマンという変態体質も治る!

あっ。でもダメか。
信じるマン体質を治すと信じると自爆するんだった。
いや、更にちょっと待てよ。今日の俺は冴えてるかもしれないぞ。

その自爆すら信じる力で……。

そうだ。
俺のこの体質は治る!
信じるマンの大前提である信じる心によって。

しかし、ちょっと気になるのはタイトルの信じるモノは救われないだ。

ま、小さい事は気にしないでおこう。
とにかく今、周りにいる馬鹿たちは放っておいて俺は一人、治る。
そしてサラバだ。

俺は心の中でガッツポーズをして、皆に別れを言った。

「じゃぁな。あばよ」と力強く。

第二十二話、信じるモノは救われない、了。

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↑とポーズを決めてw
     

【 真性のアホ 】

俺たちはロッカー。
これから売れる予定のロックバンドだ。

「よし! 次のライブ、観客動員数、今までの千倍を目指すぞ!!」

「……先輩、アホッスね」

「なんだよ。照樹(てるき)。うるせぇぞ」

「いや、アホはアホッスわ。それ以上もなく、それ以下もなく」

「俺たちは、これから売れる予定のロックバンドなんだ。心意気だけでもな」

「でも、千倍はないッスわ。先輩、やっぱりアホッスね」

「照樹。うるせぇぞ。俺たちは千倍を目指すんだ」

「先輩。知ってます?」

「何をだ?」

「ゼロに、いくつをかけても、ゼロはゼロなんですわ。アホッスね」

「じゃ、一万倍を目指すか? それだったら文句ないだろ?」

「……先輩、やっぱり真性のアホッスね」

真性のアホ、了。

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↑実は、この人、ロッカーだったのですw
     

【 コロシアイ、~ 十の巻、勝てない勝負 】

この勝負、僕の勝ちは決まっていた。
少年が男に賭けた時点で。

どういう事か?

……至極簡単な事だった。
それは霧崎さんと僕を入れ替えるのだ。
するとごく自然に少年が次に会うのは、霧崎さん、つまり女の人だ。

そうして、僕は霧崎さんに透る声で合図を送る。

入れ替えてくれと。
しかし、ここで問題が起こった。
それは、霧崎さんが今、再び対峙してしまった相手がいたのだ。

無から霧崎さんには霧崎さん達のフィールドへと構成されつつあった……。

僕の声が霧崎さんに届かなくなってしまったのだ。
これで僕と少年の賭け、つまり勝負は、五分と五分になってしまった。
いや、むしろ僕の方が分が悪い。

なぜなら僕が少年の前から消えて、再び少年と出会えば。

そう。
僕は男だ。少年の勝ちという事になる。
この勝負、次に会う人物が僕だろうと誰だろうと、まったく構わないのだ。

ただ性別が、男なのか、女なのか、その一点に尽きる。

そして僕は少年と別れた。
いくら僕より年下で知恵が回らないとしても僕と出会う事位は思いつく。
僕は霧崎さんの事情により、後手に回る事となった。

僕は、できるだけ少年から離れようと走った。

「兄ちゃん、この僕から逃げられると思うの? 甘いね」

やっぱり、少年は気づいていた。
次に会うのは、僕でもいいという事実に。
そして僕は男だ。

「キョンシーども、行け!」

そうか。
キョンシーは死んでいるから……そうなんだ。性別が問題なんだ。
性別判定に死体は関係ない。が、それが生者だったら。
そうなんだ。僕に一縷の望みが見えた。
同時に怖い事実に気づいた。

とにかく襲ってきた女キョンシーを生者にしてしまえば僕の勝ちは確定する。

しかし、襲ってきた女キョンシーの生殺与奪権は少年が握っている。
ゆえ生殺与奪権を無視してキョンシーを生者とできるかだ。
僕に許されたのは……。

この透る声だけ。

もし仮にだ。
キョンシーへも僕の透る声が通用したならば。
意識を全て少年が握っていたとしても、一瞬ならば奪い返せるかもしれない。

キョンシーとなり、錯乱している意識を整えてやれば。

うん。これはやってみる価値がある。
僕は、そう判断してキョンシーに向けて、透る声を試してみた。
すると……。

一瞬、ほんの一瞬だが、キョンシーの動きが鈍った。

僕はキョンシーに向けて、こう言ったんだ。
もうあなたは死んでいるんです。
土に還るべきですと。

「うぅう…う゛ぉぉ…うぅ……お!」

一体のキョンシーが、かなり動揺して、頭を抱えはじめた。
完全に少年に生殺与奪権を奪われていたキョンシーが自我を取り戻したのだ!
しかも、頭を抱えているのは、女キョンシー。
少年は驚いて、告げる!

「アイツは、もうダメだ! キョンシーどもよ。アイツを滅せよ!」と。

「わ…わ……私は…こんなにしてまでも生きていたくない」

よし!
形勢逆転だ!
女キョンシーの一人が、僕の透る声で自我を取り戻したようだ。
いや、くそ、まだまだ僕の方が分が悪いぞ。

女キョンシーは、他のキョンシーたちが襲い、完全に自我を取り戻す前に。

まるでスップラッタだ。
女キョンシーは、完全に生者となる前に……。
これ以上、あの女キョンシーを真っ直ぐに凝視する事はできなかった。

くそ!
結局、こうなるわけだ。
少年は死なないんだよと言っていたが、少年の都合が悪くなると消される。
完全に生き死にの権利を少年が握るんだ。無邪気な分、始末が悪い。

そして女キョンシーは、その存在をこの世から消された。

そして、更に分が悪い事に少年は、一つのある事実に気づいたようだ。
僕にとっては最悪の事実に。
そうなんだ。

この勝負、次に会う人間の性別が問題なのだ。

それは駒として使っているキョンシーでも生者だったらなんの問題ないのだ。
つまり男のキョンシーを生者に戻せば、なんの問題もない。
このキョンシー使いの少年にとって。

「クス、クス。兄ちゃん、この勝負、どうやら僕の勝ちのようだね」

僕は負けを覚悟した。
そして、あの女キョンシーのように呵責に苛まれ生き続けるのかと思った。
いや、この勝負、先に心の折れた方が負けだ。

僕には、まだ勝負にいける手がある。

確率としては、かなり低いが少年に勝てる算段がある。
少年が、一体の男キョンシーを生者にしようとした瞬間を狙う手だ。
ただし準備が整っていない。

いや、僕は決して最後の最後まで、あきらめない!

僕は僕の持てる武器、透る声で、最後と思われる悪あがきをした。
そして無情にも男キョンシーは生者へと変わっていった。
くそっ! あと少しなのに。

僕は準備が整わないまま、最後の手を打った。

~ 十の巻、勝てない勝負、了。

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↑死に鯛w
     

【 はい 】

休みは温泉で、ゆっくりしたいな。はい、飛行機。はい、電車。はい、バス。

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↑温泉と言えばw
     

【 悪魔ちゃんと天使くん、~ その十六、お金 】

「よし! これから、お前は悪魔の涅槃(ねはん)だ」

「涅槃?」

「お前が悪魔になったら、そう呼ぼうと思っていたんだ。嫌か?」

「嫌じゃないけど、私が涅槃だったら……」

「?」

「サドクは人間の時、なんていう名前だったの?」

そうなのだ。
銀杏には……、いや涅槃には不思議に思っている事があった。
そう。人間時代のサドクは一体、誰だったのか。

誰だったというよりは、ヘルメス・ディ・カイトではないかという淡い期待。

いや。実際にサドクは涅槃に告げている。
しかし大事な所で睡魔に負けて、涅槃自身は聞いてはいなかった。
サドクは思った。

ここで涅槃に自分の素性を告げてもいいモノかどうか。

前に涅槃に告げた時は、銀杏が悪魔になるか、ならないか分らなかった。
しかも聞いていないと踏んで涅槃に告げたのだ。
サドクなりの計算だった。

そう。

なんとなくサドクがヘルメス・ディ・カイトであると刷り込みたかったのだ。

そして悪魔になってくれれば、儲けモノだと考えていたのだ。
ゆえに今、銀杏こと涅槃は淡い期待を抱いている。
これはサドクなりの計算通りだった。
だからサドクは隠した。

自分が初恋の相手、ヘルメス・ディ・カイトであるという事実は。

もし涅槃がその事実を知ってしまえば再び心を閉ざすだろう。
ヘルメス・ディ・カイトは、いまだ涅槃の中では裏切った人の一人なのだ。
しかも期待をしていた分、失望も大きい。

人とはそういう生き物だ。

とにかくサドクは、その事実を隠した。
あの時、もし涅槃が睡魔に負けず、聞き逃していなかったら。
その時の手も考えてあった。

そうなのだ。
隠し球は多ければ多いほど自分が有利に動ける。
一流の指し手とは、そういうモノだ。

そして、間違いなくサドクという天使は一流の指し手であった。

それは、ともかく。
サドクは次なる大きな仕事に取りかかりたかった。
自分が天使で、銀杏が悪魔になったら一番に取りかかりたかった仕事。
第一の神の試練をクリアしたかったのだ。

それはお金に対する人間の態度。

須木邦大が財閥の総裁で絶対的な権力を握っていたのが示している。
そう。今、この人間界にいる人間はお金に縛られていた。
そういう世界が形成されていたのだ。

ゆえに邦大は、お金という権力を使い、傍若無人に好き放題やっていたのだ。

邦大自身、自分は無敵だと勘違いしていた。
人間が通貨を発明した時、これで物の価値が正当評価されると喜んだ。
しかし今や通貨は、ほぼ絶対的な権力で人間を使っている。

神は、そんな悪循環を断たねばならぬと考えていた。

それが第一の神の試練になった。
今は六月。第一の試練の猶予は一ヶ月と数日だった。
神は七月が終わるまでには完了せよとサドクに伝えてあったのだ。

人間界で絶大的な力を有するお金。

しかし……。
これはサドクにも涅槃にも共通して言える事だが、二人は、こう考えていた。
お金とは道具の一種であり使う物であって、使われる物ではないと。

二人は違った立場から、そう考えていたのだ。

サドクは性善の立場から。
涅槃は達観から。
そう。

サドクはお金に振り回される人間たちを哀れに思い。

涅槃はお金など、いくらでも稼ぎ出せるというあきらめにも似た達観からだ。

と涅槃とサドク、立場は違えどお金に対して同じ価値観を持っていた。
都合のいい事に一番始めの仕事がお金の見直しなのだ。
サドクは思った。

この仕事、涅槃を矢面に立たせ自分は補佐に回ろうと。

サドクの思いには、計算があった。
その思惑通りに涅槃が乗ってくれれば、サドクにとっても都合がいいのだが。
しかし、生前、涅槃こと、銀杏は驚くべき頭脳の持ち主だったのだ。
そうそう簡単にサドクの思惑通りにいくものか?
と心配になった。

「うん。まっ。誰でも良いじゃねぇか。気にするな。そんな事より仕事だ」

「えぇー。私は聞きたいの。気になる。君が人間だった時の名前」

「お前、しつこいヤツだな。知ってたけど」

「だから教えなさい。君が人間だった時の名前を」

「……面倒くせぇヤツだな」

「そんな事言うと、私、君の言う仕事をやらないわよ。それでも、いいの?」

「!」

涅槃は飽くまでサドクの正体が知りたいらしい。
そこで、サドクは、この問題を解決する手段を思いついた。
涅槃お得意の合理化で。

「しゃーねぇな。だったらお前が今からいう仕事をこなしたら教えてやるよ」

「……本当に? 本当だったら、その仕事をやってもいいわよ」

涅槃は、サドクの垂らしたエサに飛びついた。
そう。サドクは今、釣りをしている。
サドクの正体というエサで。

「マジだ。マジ」

「OK! そうと決まったらやるわよ。仕事ってなに?」

ヒットした。
涅槃は異常なやる気を見せた。
それは、サドクにも予想外の副作用だった。

「なに、お前にとっちゃ簡単な事だ。お金をなんとかして欲しいんだ」

「お金?」

「そうだ。お金だ。お金。無意味なほどの力があるだろ?」

「そうね。お金があれば大抵の事はできるわ」

「それが問題なんだ。それを七月の終わりまでになんとかできるか?」

「一日でできるわ。株式市場を壊せばいいんでしょ?」

「いや。そうじゃなくて。つーか、お前、発想が乱暴すぎやしませんか?」

「冗談よ。冗談。お金も無敵じゃないって知らせればいいんでしょ」

「お前が言うと冗談に聞こえないし」

「私に任せておきなさい」

「できるのか?」

「私を誰だと思ってるの。ま、ちょっと時間はかかるけど」

「OK! 俺はサポートに回る。いいか?」

「だから任せなさいって」

ここまではサドクの思惑通りに事が運んでいた。
しかし、サドクは、妙にやる気がある涅槃に不安しか感じなかったのだが。
涅槃が、それだけサドクの正体に興味があるといった所だろうが。

「ま。でも。なんにしろやる気があるってのはいい事だ」

とサドクが言った。
涅槃には決して聞こえないような小さな声で。
弾むような軽快なリズムを刻みつつ。

~ その十六、お金、了。

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↑エサはお金アルw
     

【 四コマを発表してみるの心 】

四コマ、壱

|^・ω・)/ ハロー♪

今日は趣向を変えて、四コマを発表してみる四草めぐるですw
そそ。色んな所に応募した四コマですw

最終的は原稿が帰って来ないという憂き目にあいまして、今も行方不明ですw

と、一応、コピーはとってあったので、そこから起こしています。
それなりのモノが描けていると思うのですが。
自分の評価は当てになりませんw

気が向いたら残りのページもアップするかもですw

では、では。
草々。

四コマを発表してみるの心、了。

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↑今日はこれでお終いですw

     

【 信じるマン、第二十一話、花粉症モドキ 】

「あっと。そろそろミン・ミンたちを登場させないとまずくないか?」

俺が作者の声を代弁し、キム・キムに問う。
信じるマンも第二部になったが、ミン・ミンたちはいまだに登場していない。
読者さま方が、ミン・ミンを忘れてはいまいかと心配になったのだ。

「いや。いいアル」

「サン、スー、ウー、ロー、チー、パーでし!」

怪人27号が、またアホな事を言っている。
で流されそうになったのだが、キム・キムはいいと言っている。
いいのか。本当に。

「あの馬鹿は忘却の彼方に置いてきたアルよ。ヨロシ?」

「いいのか。それで。本当に?」

俺はキム・キムの不安を煽るように突っ込む。
ここでミン・ミンたちを登場させて、印象づけておかないとと思ったのだ。
これは、作者の意向である。

と、タイミングよくヒーロー製作研究所のインターホンが鳴る。

これは間違いなくミン・ミンたちが現われたのだろう。
と、ムン・ムンがインターホンで対応した。
妖しい笑顔を浮かべ。

ムン・ムン!
何を考えているんだ。お前は常識人なはずだろう。
俺はムン・ムンの妖しい笑顔に不安を覚え、彼女に聞こうとした。

「おッほほほ。新聞の勧誘ですわ」

いや、頼むから、その笑い声だけは止めてくれ。
俺たちは俺たちの考えに関係なく、信じるマンに変身してしまうのだから。
しかも全員揃って変身するのだから完全体に変身してしまうのだ。

って、新聞の勧誘?

「新聞は間に合っていますわ」

「おほほほ。って、わたくしたちは新聞の勧誘ですか?」

いや、今、ヒーロー製作研究所の外にはミン・ミンたちが来ているのだろう。
それを新聞の勧誘だなんて、ムン・ムン、いいのか? それで。
お前はジョーのように人格者なんだろ?

「だから新聞は間に合っていますわ。他を当たって下さいな」

「新聞じゃないですわ。ミン・ミンですわ」

「キム・キムさまが忘却の彼方に置いてきたとおっしゃっているのです」

そうか。
ムン・ムンは、キム・キムの言う事はなんでも聞く。
だからミン・ミンたちが来ても追い返すのは、至極当然だった。

ていうか、作者の意向!

「というか馬鹿ばっかアル。少しはムン・ムンを見習うアルよ。ヨロシ?」

いや、いや、いや、一番、馬鹿で人格破綻者はお前だ。キム・キム!
それを熟知しているのか? キム・キム!?
俺は、お前よりはマシだ。

と、そこで俺の背中にあった、あの赤いスイッチの意味が分った。

キム・キム!
お前は、やっぱり悪だ!
ジョー、27号、ムン・ムン、悪を倒すぞ!

変態!

って違う! 変身だ!

そうなのだ。
あのスイッチはミン・ミンが来ると知らせるお知らせスイッチだったのだ。
しかも目から光線が出て尻から屁がでるスイッチ。

ミン・ミンが帰らない限り俺の目からは光線が迸り、尻から屁が漏れる。

なんだ、この状況。
ドライアイなど目ではないほど目が染みり、尻は節操がない。
というか、この信じるマンお知らせモード必要か?
本当に、必要なのか? キム・キム?

「キム・キム、このお知らせ機能、本当に必要なのか?」

「ああ。それはギャグで付けた機能アル。面白いアルよな。ヨロシ?」

ヨロシじゃね!
あのよろしだ、この野郎!
俺の体で遊んで楽しいのか。おう? 楽しいのか!?

「あの~…。済まん。レッドが大変だから、お前らは帰ってくれ」

イエロー事、ジョーが助け船を出してくれた。
一応、花粉症のようなモノだから原因が取り除かれれば病状は回復する。
ていうか。

ミン・ミン、済まんが、頼むから帰ってくれ。

俺の尻は、どうにもしまりがなく、目から光線がでているのだ。
作者の意向は忘れてくれ。
頼む。

俺はフッとジョーの背中を見る。

そこには、やはり赤いスイッチがあって……。
もしやと思い、怪人27号も確認してみる。そこにも赤いスイッチはあって。
これはと思い、ムン・ムンを確認していみる。そこにも……。

って、アホかい!

みんなが、この花粉症モドキになったらどうなる!?
まるでミラーボールのようになって、踊りたくなるのではないか。
って、踊らんわい!

というかギャグでみんなに付けるか?

キム・キム?
お前の頭の中身は、どうなっているんだ!?
悪という名の良心しか残っていないんじゃないんだろうな?

「なんだか大変そうですわね。壁を壊して入ってきてしまいましたわ」

うわー!
花粉症モドキの元凶が目の前にいる。
とにかくこのモードをなんとかしないと何もできない。

悪であるキム・キムを討つ事すら叶わない。

俺の目から放たれる光線は、太陽の輝きすら超えるイキオイで迸った。
もちろん尻からは大音量で屁が漏れていた。

臭せぇ!

自分で、自分の屁が臭いと思うレベルの悪臭なのだ。
みんなは、もっと臭いと感じているはずだ。
済まん!

って、みんなガスマスクしているし。

いつの間に用意したの。
って、ミン・ミンたちも、みんな、ガスマスクしているし。
もういや。

「レッドの屁、ガスマスク越しにも臭いアル」

「そうですわ。悪即斬ですわ!」

ムン・ムン!
悪即斬って、俺、悪なの?
確かに、この悪臭は俺の屁が原因だけど。

それは、キム・キムがギャグでお知らせモードなんか拡張したからで。

すなわちキム・キムが悪なのではと俺は思うんですけど。
ねぇ。ねぇ。みんな、キム・キムを倒そうよ。
頑張ろうぜ!

「フッ。レッド……臭いな」

「臭いでしゅよ」

ジョーも怪人27号も裏切り者か!
なんだか、どんどん俺が悪者になっているんですけど。
気のせいかな?

「あいやー! 臭いアルな。ケツ筋を締めるアル。レッド。ヨロシ?」

ちくしょう! ちくしょう!?
なんで俺が悪者なんだよ。キム・キム。お前だけは殺す。
でも、その前に……。

このお知らせモードを止めて下さい。お願いします。

キャー!
キム・キムが、そっとジョーの背中のスイッチを押そうとしている!
その次は、怪人27号の番か!?

この後、ヒーロー製作研究所が阿鼻叫喚地獄になったのは言うまでもない。

しかし、このお知らせモードにも欠点(?)があったようで。
屁を精製するブツが切れた時点で屁が止るのだ。
ブツとは言うまでもなくあれだ。
あれ。

「というか、わたくしの出番がなくてよ。次こそは大活躍しますわ」

「というか帰って。お前が原因。頼むから帰って。本当に」

第二十一話、花粉症モドキ、了。

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【 幻のシックスマンモドキ 】

俺はヤンキースの幻である十番目の選手。すごいか? ファンだけどな。

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【 悪魔ちゃんと天使くん、~ その十五、ケンカ 】

「そういう事なのよ。銀杏ちゃん。分った?」

唐突に銀杏の中の情が発言をした。
今まで、銀杏の中の情は、彼女の出方を伺っていた。
彼女が悪魔になる素養はあるのか、きっかりと見定めたかったのだ。

そして銀杏の中の情は悪魔になる素質ありと判断したのだ。

しかし、それはいまだ難しい事だった。
なぜならば銀杏はサドクには心を開いたが、それ以外は決して認めなかった。
彼女は明晰夢を見ていると信じているし、天使をも信じていなかった。

つまり、今、銀杏は緩やかに死に向かいつつあるのだが……。

彼女にとって、その事実すら突飛のない事だった。
そこに銀杏の中の情が発言をした所で、結果は見えている。
しかし銀杏の中の情は続ける。

「銀杏ちゃん。でもね。貴女が信じようと信じまいと時は進むのよ」

銀杏の中の情は、銀杏に似て合理主義者らしい発言をする。
銀杏の中の銀杏でしかないのだから。
当然と言えば当然である。

「悪りけど。もう朝は近づいているぜ」

そこでサドクが、もう時間はないと彼女らに告げる。
そう。この朝が来れば、銀杏の人間としての人生は終わりを告げる。
それは神によって、定められた事だ。

そして、本来ならば銀杏は天使に転生する予定だったのだ。
つまり今、発言している銀杏の中の情が死滅して天使になる予定だったのだ。
それが神の書いたシナリオだった。

しかし銀杏の中では神のシナリオから外れ、想定外の事が起こっている。

もちろんサドクが天使に転生した時から道は外れていた。
だからサドクや銀杏の中の情にとっては、想定内の出来事であった。
ただ銀杏が信じるか、信じないか。
それに尽きた。

「ストレートに言うわ。銀杏ちゃん、私を受け入れなさい」

「……お前もズバッと酷な事を言うな」

サドクが銀杏を思いやり、銀杏の中の情をたしなめた。
しかし彼女にとって、それしか道はないのだ。
悪魔として転生するには。

しかし銀杏は自分自身が納得しない事は、決して受け入れなかった。

サドクにとっては、それが銀杏であり、それでこそ銀杏なのだ。
だから銀杏の中の情を制して、続けた。
まずは納得させる事だと。

少なくとも銀杏の中の情は銀杏に悪魔の素質ありと認めた。

それは明るい材料だった。
なぜならば銀杏の中の情は銀杏の一部であり、銀杏そのものと言ってもいい。
その銀杏の中の情が銀杏自身を認めたのだから。

後は彼女を、どう導くか。

それだけだった。
いや、それこそが一番、難しい事なのかもしれない。
サドクは己が天使に転生した時を思い出して、そしてゆっくりと言った。

「お前は天使に転生する人間だったんだ。それを俺がねじ曲げた」

「天使?」

「そうだ。そしてここにいる情は死滅する予定だった」

「……パッとは信じられないけど」

「だろうな。俺だって天使に転生できるとは思わなかったからな」

「そう」

「それが、ある事を信じたらできたんだよ」

「ある事? なに?」

「それはお前の為を想い、そして、そちらの方が大事だと信じたんだ」

そう。
サドクは銀杏の事を想い、そして天使に転生する事が大事だと信じたのだ。
悪魔になるよりも天使に転生して生きる事が銀杏の為になると。

それは悪魔の愛と言い換えてもいい。

とても馬鹿げた話だが、悪魔の持つ愛を天使になるべく捧げたのだ。
そう。サドクは天使に転生する為に情を滅しきったのだ。
銀杏を想い。

銀杏は、その逆をやればいい。

つまり、銀杏の中の頑なに作り上げられた知識の壁を突き崩せばいいのだ。
銀杏自身の己の無知さを知ればいいだけの話なのである。
そして銀杏の中で、それだけの準備は整っていた。

「そうよ。銀杏ちゃん。貴女は自分自身を見つめ直す必要があるのよ」

「貴女に、そう言われるのは、すごくしゃくだわ」

「でしょうね。私もしゃくよ」

それだけの事なのだが……。
銀杏は、銀杏の中の情とケンカを始めた。
サドクは、やっぱり、こうなるのかと少し肩を落とし微笑んだ。

サドクの中では、こうなる事は読めていたといった所か。

銀杏は、とにかくプライドが高い。
ゆえに自分自身が納得した事しかしない主義だったし、銀杏の中の情も……。
しかし時は、刻一刻と過ぎていきタイムリミットは近かった。

「ま、ケンカは後にしろ。それより朝が近いぜ?」

「そうね。確かに。サドク、この分らんちんをどうにかしてくれない?」

「分らんちん!? なによ。失礼なヤツ」

「失礼はどっちよ?」

「ふん!」

「ふははは。どっちもどっちだな」

「サドク。彼女を悪魔にしたいんじゃないの? 君は、どっちの味方なの?」

「俺は俺だ。で、銀杏は銀杏だし、銀杏の中の情は銀杏の中の情だ」

「そう。この分らんちんが悪魔になれなくてもいいわけね?」

「まあ。確かにお前は銀杏の中の情だな」

「意味が分らないわ」

「だから、お前も難しく考えるな。感じたままでいいんだよ」

三人が、そうこうしている内に夜が明けたようだ。
銀杏にとって、運命の朝がきたのだ。
人間としての銀杏は死んだ。

しかしサドクの中には一つの確信があった。

銀杏が悪魔になる事を受け入れるという確信があったのだ。
すなわち銀杏の中の情を受け入れるという確信が。
それは当てずっぽうな事ではなかった。

だからサドクは悠長に構えて、決して焦る事がなかったのだ。

そしてサドクの確信は現実のものとなっていく。
銀杏が、悪魔として転生したのだ。
銀杏の中の情を受け入れ。

「ふん! 決して納得したわけじゃないわよ。この方が得だと思っただけ」

と銀杏は悪態をついていたが。
そして、銀杏と銀杏の中の情は溶けて混じり合い一つとなった。
サドクはこうなる事を承知していたように笑った。

「ふははは」と。

~ その十五、ケンカ、了。

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↑ふはははw
     

【 悪魔ちゃんと天使くん、~ その十四、サドクという天使 】

銀杏は明晰夢を見ていると思っていた。
だから目が覚めれば、昨日と変わらぬ日常があると思っていた。
しかし、それは明晰夢ではなく、銀杏が緩やかに死につつある状態だった。

「銀杏、お前、真面目に考えないと死ぬぜ?」

サドクが銀杏に釘を刺す。
現実問題、銀杏は死につつあるのだから目が覚めても日常はないのである。
しかし彼女自身、それに気づいていないから始末が悪いのである。

「私は死なないし、明日、つまり今日の朝も普通に来るわ」

「お前、本当に頑固だな。知ってはいたけど……」

「だから君は私の何を知っているのよ?」

「全部知ってるぜ」

「!」

銀杏は絶句した。
銀杏は世界が望む才覚を持っていたからマスコミ対策は万全だった。
それでもサドクは全部を知っているという。

全部を知っている?

どうやって知ったのだろう?

銀杏はそう思った。
自分自身のプライベートを世から滅しきった彼女らしい疑問だった。
サドクは、そんな彼女にお構いなしに続ける。

「天使にはな。神より授けられた特権があるんだよ」

「特権?」

「そうだ。特権だ。それをアカシックレコードと言うんだ」

「アカシックレコード?」

アカシックレコードとは全ての人の生まれてから死ぬまでの人生の記録だ。
人とは、すなわち悪魔であり、天使であり、人間の事だ。
サドクは、それにアクセスできるのだ。

いや、天使が、すべからく、アカシックレコードにアクセスできるのだ。

つまり天使は、誰の人生であろうと生まれてから死ぬまでの全てが分るのだ。
神の叡智とはすなわちアカシックレコードの事であった。
天使は、それにアクセスできるのだ。

ゆえにサドクが全てを知っていてもおかしくないのだ。

銀杏のインターネットレベルの情報量を誇る脳がフル稼働した。
アカシックレコードについて検索したのだ。
結果……。

「アカシックレコードって、つまり人間の業(カルマ)の投影像ね?」

銀杏は得意満面でサドクに答えた。
しかしサドクの表情は、重々しく曇り、銀杏に告げる。
確かに厳密に言えば銀杏の言うアカシックレコードも正解ではあるのだが。

「だから、銀杏よ。そう難しく考えるなって」

「なによ。間違っていないわ」

「確かにな。でも難しい事を難しいまま言うのは誰にでもできるんだぜ?」

「!」

ここで銀杏のプライドが、また突き崩される。
どうも、このサドクという天使と話をしていると調子が狂うようだ。
希有な才覚を持つ銀杏が。

「難しい事を言うのは小説家や評論家にでも任せておけって」

「……なによ。だったら君的にはアカシックレコードをどう表現するの?」

「俺だったらか。そうだな」

「……」

銀杏はサドクの出方を待っていた。
ここでサドクが下手な事を言えば、銀杏は突っ込んでやろうと思っていた。
いや、むしろ何を発言しても突っ込んでやろうと考えていた。

「人間の営みの記録だな」

「営みの記録?」

余りに簡潔すぎて、彼女は突っ込めなかった。
いや、それ以上に好奇心をくすぐられるような発言だったので問いかけた。
ここでも彼女は、いつも彼女らしさを発揮できないでいた。

「そそ。人の生まれてから死ぬまでの記録だ。しかも全ての人の分ある」

「人って、人間じゃないの?」

これは突っ込みではない。
むしろ問いかけに類似した質問だった。
そう。銀杏は、いつの間にサドクの議論に乗ってしまっていたのだ。

「悪魔も天使も人なんだ。つまり悪魔と天使、人間の三種をまとめた人だ」

「人ね……」

ここでやっと銀杏のフィールド、討論になった。
サドクに乗せられて議論をしていたのだが、負けたくないと思ったのだ。
しかしサドクは温かく包み込み慎重に銀杏を議論の道へと誘った。

「だから難しく考えるな。世の中は思ったより簡単なんだ」

「そうして大局を見誤った人を何人も見たわ」

「だろうな。世の中は思ったより簡単だが、思ったより難しいもんだからな」

「意味分んないよ」

「だから難しく考えるなって。思ったまま。感じたままでいいんだよ」

「ていうか君の言う事は矛盾だらけだわ」

銀杏が討論を仕掛けようとしているのだが、サドクはそれを飄々とかわす。
まるで銀杏の次に出る言葉が分っているかのように。
だから彼女は最後にさじを投げた。
しかし、それでも。

「思ったより簡単だと大胆に行動し難しいと自戒する。それが大事なんだぜ」

とサドクは豪快に笑い、銀杏を諭すよう続けた。
結局、銀杏はサドクのペースにハメられ、議論をして会話が終わった。
そして、銀杏の中に一つの仮説がすくすくと芽生え始めていた。

それはヘルメス・ディ・カイトの件。

つまりサドクはヘルメス・ディ・カイトではないのかと思い始めていたのだ。
いまだ懐疑的ではあるが、彼女の中で少しずつ育っていた。
なぜなら。

稀代の才覚の持ち主である銀杏が諭されていたのだから。

そしてサドクによって癒されていたのだから。
サドクは、それだけの存在であった。
銀杏にとって。

銀杏はサドクのいう事であれば、素直に聞けるようにもなっていた。

~ その十四、サドクという天使、了。

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↑カルマw
     

【 アイスは勘弁 】

七月、某日。夏。寒い。とにかく寒い。
地球は温暖化してるんだろ?
なぜ寒い。

もちろん蝉たちも鳴けるはずがない。凍てついた夏なのだから。

あっと、この話は別に未来の地球の話ではない。
今年は2013年だ。
間違いなく。

吐く息が白い。

まるで一月、二月の季候である。
地球の季節はいく所まできていて、夏に雪を降らせるのか。
そうなのだ。

夏に深々と雪が降っているのだ。

マジ、あり得ないだろ?
今は夏だぜ?

って、俺が今、どこにいるのかって?

北極さ。

見ろ。
シロクマが、だべぇ~と、だらけているぞ。
よう。アイスでも食うか?

アイスは勘弁、了。

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↑食うか?w
     

【 夏祭り 】

○×商店街、夏祭り開催!

「先輩、夏祭りのお客さん、全然、来ないッスね」

「確かにな。ちゃんと宣伝したのか?」

「しましたよ。失礼な」

「いや、お前の事だからな。宣伝をし忘れたのかと思ったぜ」

「これ見て下さいよ。ちゃんと宣伝してるでしょ?」

*****

くる7月13日、夜。
○×商店街では夏祭りを開催します。
出し物には、ヌクヌク二本や、タイムお化け屋敷など多数、出店!

ヌクヌク二本では真夏の夜のドリーム、可愛い女の子がお相手してくれます。

タイムお化け屋敷は草木の眠る丑三つ時、タイムリーなお化け屋敷です。

他にもヨーヨーすくい、焼きそば露店など盛りだくさんです。
是非、お友達をお誘いの上、ご来場下さい。

*****

「おー! お前にしては上出来な宣伝じゃないか」

「でしょ? だから俺は悪くないッス」

「それにしても客、こねぇな」

「そうッスね。やっぱり時間帯が悪かったんスかね?」

「確かにな。今は深夜の二時。……草木も眠る丑三つ時だからな」

「そうッスね。深夜の二時はなかったかもッス」

「ヒマだ」

「そうッスね。ヒマッスよ」

夏祭り、了。

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↑すなわち族の集会だったりw
     

【 悪魔ちゃんと天使くん、~ その十三、神勅 】

ここは、天界の中にある神界。
神の住まう場所だ。

決して誰もが近寄る事を禁止された場所。

神は世界の叡智たる存在であるのだから誰とも交わってはならないのだ。
情によって知的な判断を狂わせる事は決してあってはならない。
ゆえに魔王とすら会おうとしなかった。

そんな禁忌の場所。神界。

そこは天候が変わる事もなかったし季節がめぐる事もなかった。
ゆえに神の住まう神殿は、とことんまで実利を追求した質素な神殿だった。
乱暴にたとえれば独房と言ってもいい。

いや、実際にはカギはかかっていなく、自由に外出できるのだが。

知らない人が見れば、そこは完全に隔離されていた。
ゆえに神界とは悲しい場所。
神とは悲しい存在。

そんな場所で神は一人、考えていた。

この世界での神と魔王の徳である魂の許容範囲を魂総量はすでに超えていた。
すなわちラグナロク、創世となるのだが、サドクと銀杏は……。
彼らの素養で創世が成せるのか考えていたのだ。

創世の最終判断は叡智たる存在、神が決定を下すのだ。

魔王は決定が下された後、サドクと銀杏の二人を愛で支えサポートする。
つまり、創世が開始されるかどうかの判断は神が決定するのだ。
そして神といえど全知全能ではなかった。

神は一人、孤独に迷っていた。

ゆえに、おもむろにペンと紙を取り出し書状をしたためた。
書状は六道の諸王たちに宛てたモノで、概ね下記のような事が書いてあった。
そして判断の前段階を六道の王たちにゆだねた。

*****

六道の各王たちへ。

今こそ、創世の時であり、余は二人の天使と悪魔に白羽の矢を立てた。
しかしながら、その素養はいまだ未知数であり決めかねておる。
ゆえに諸君らの目で見定めて欲しい。

すなわち余が選んだ二人で、間違いなく創世を成す事が出来るかどうかをだ。

もし諸君らが、この二人では成せないと判断した場合。
諸君らの心力を使い二人を魂のレベルから、その存在を抹殺して欲しい。
逆に諸君らが感心した場合……。

諸君らの持つ心力を二人の悪魔と天使に渡して欲しい。

もし諸君ら全てが彼らを認めた場合。
余の住まう、この世界の禁忌なる場所、天界に招き入れたいと思う。
そして、そこで、余が創世への最終判断を下したいと思う。

その前段階を諸君らに託したいと思っておるのだ。

近いうちに諸君らの下へ、二人が訪れるよう余が便宜をはかっておく。
とどこおりなく諸君らが任務を全うする事を願っておる。
これは神勅である。心するように。

以上。

*****

かくして、神によってしたためられた神勅は六道の各国に配られた。
それを受け取った六道の各王たちの反応は実に様々だった。
ある者は面白がり、ある者は眉間にしわをよせた。

*****

ここは六道が一つ、夜の国。
ここでは博打が全てであり、勝つ事が、すなわち正義であった。
そして、夜の国の王、ロキは書状を受け取り笑った。

「グット! あの堅物オヤジが面白そうな余興をお膳立てしてくれたもんだ」

夜の国の王、ロキはこの件を面白がった。
不敗のギャンブラーは、創世に関わるであろう二人に興味を覚えたのだ。
俺に勝てるかな? と、まるで、いたずらっ子のように。

*****

ここは六道が一つ、知の国。
この国は六道の科学研究を一手に担い、六道の最先端科学はこの国にあった。
その国の王、ルー爺さんは、書状を受け取り、ほくそ笑んだ。

「ほえほえ。人間界から転生した二人か……なかなか面白い検体だのう」

ルー爺さんは、その年齢とは裏腹にマッチョだった。
なので科学者というよりは武闘家だった。
しかしどこか小ずるい。

ゆえにルー爺さんは、関わる者、全てを煙に巻くような爺ちゃんだった。

「ほえほえ。ワシとの知恵比べは、相当、困難を極めるぞい」

となにかを企むようほくそ笑んだ。
闘う哲学者。それがルー爺さんの異名だった。

*****

ここは六道が一つ、創の国。
この国の王は一人ではなくアルダムとイシャーという二人が治める珍しい国。
しかし、この国は六道には、なくてはならない存在である。
創の国は六道の生産、つまり工場的存在だった。

「イシャーよ……」

「どうなさいました? アルダム」

「あのサドクのはな垂れ小僧が創世に関わるらしいぞ」

「……アルダム、それは聞き捨てなりませんね」

「ああ。聞き捨てならぬ」

「しかし、これはチャンスでもありますね。なぜなら我らの悲願……」

「イシャーよ。それ以上は語るな。ワシも分っておる」

「御意に」

この二人はサドクのなにかを知っているようだった。
そして、この創世には懸念を覚えていた。
彼らの思惑では……。

*****

と、これは、ほんの一例だが、各々、六道の王たちは思う所があったようだ。
彼らも、また創世に携わる人の代表だったのだ。
少なくとも神はそう捉えていた。

書状を行き渡らせた後、神は玉座に深く座ると静かに目を閉じた。

これで本当に良かったのかと多少の不安を覚えつつ。
神は孤独であるから、すべてを一人で決め、一人で執行するしかないのだ。
そして神は暴君ではあるが。

決して独裁者にはならないよう気をつけていたのである。

それが今回の六道の各王たちに判断の前段階を任せた由縁である。
神はきつく目を閉じ、そして思いをめぐらせた。
決して余の判断に間違いないと。

~ その十三、神勅、了。

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↑神勅w
     

【 ピア、~ その七、この世 】

今まで他人を省みなかった晴夜が真夏の空を見上げ、つぶやく。
その声は蝉たちの大合唱にかき消されそうだった。
口にした言葉……。

それは今までの冷酷な晴夜からは考えられない言葉だった。

彼は素直に訊ねたのだ。
ピアというものの答えを求めて恥や外聞など、一切、気にもせずに。
あの自尊心、つまりプライドの固まりだった晴夜がだ。

「舞さん。……舞さんにとって、ピアとは一体なんなんです?」

と、貴女ではなく、舞さんと呼び。

舞は晴夜に応える。
真夏の暑い陽射しをバックに元気一杯に。

「あはっ。私にとっては、宝よ。かけがいのないね」

晴夜の顔が、くぐもる。
舞の言葉を聞いて、更にピアの意味が分からなくなったのだ。

「たから……、ですか」

舞が、むず痒いと晴夜に告げる。
伝われ! と想いを込め。

「あー! もう! 言葉って、どうしてこんなに難しいんだろっ!」

「……?」

「簡単な事だよ。自分が塞ぎ込んでたら仲間は、力づけてくれるでしょ?」

「はい」

「だからソレのアレだよ。アレのソレ。アレ、ソレ?」

彼女は難しい事を考えるのが苦手だった。
だから言葉足らずになる。

「ムッキー! もう。自分で言ってて、自分でも分かんなくなっちゃった」

「あははは」

晴夜が思わず声をあげて笑う。
もちろん、この行為にも悪気は決してない。
晴夜にとって、今の舞は、とても愛らしく可愛く見えたのだ。

「聞き出すのは得意だけど、心の中を言葉に表すのは超ぅ苦手だよ!?」

舞は頭をかきむしり自分で自分の言葉に混乱した。
でも、それで良いのだと幽霊は舞の腕辺りに巻き付き親愛の情を示した。

晴夜を慈しむ目で見つつ。

そんな幽霊を見ながら晴夜は考えた。
もし友達が塞ぎ込んでいたら、もしお爺さまが塞ぎ込んでいたら。
身を挺して彼と友(ピア)を護ったお爺さまは、どんな気持ちだったのかを。

「ソレのアレ。アレのソレ。アレ、ソレ? ……ですか」

「ムッキー!」

「ふふふ。良いですよ。仲間とは宝の意味。何となく、分かりました」

どうやら彼の中でも答えが出たようだ。
今の等身大の彼なりの答えが。

そして晴夜にとって、蝉時雨が、とても心地よく聞こえた。

「ふー、なんだか力が抜けスッキリいたしました」

唐突、彼らの周囲で拍手喝采が起こる。
今まで、彼らを遠巻きで見ていた幽霊たちが一斉に彼らを祝福したのだ。
晴夜が今まで悪霊だと思い込んでいたたくさんの幽霊たちがだ。
そして、大勢の幽霊たちが大声で彼らに言った。
お供え物を各々、持ち寄り。

「さっ、宴会だ! 宴会! 飲むべ! 飲むべ! うめぇー酒をよ」

「うんだ! うんだ!」

「宴会だべ!」

「あ、でもお前らは未成年だから酒はダメね。残念」

すべては、丸く収まった。良かったねと。
沢山の幽霊が二人の周りで、くるくると楽しげに回りながら。

「き、聞こえる。聞こえますよ! 舞さん!」

先ほどまで視線しか感じれなかった彼に変化が起こった。

この世も思い次第。
この山に来た時、多くの幽霊たちの視線を感じたました。
それを、わたくしは冷たい視線だと考え、幽霊たちが悪霊に見えた。
自分を襲ってくる敵だと思い込んでいたのです。
しかし逆にピアだと思えば。

晴夜は、そう思った。
だから聞こえるようになったのだと。温かい声たちが……。
しかし! 彼の中で、答えが出た瞬間。

「全然! 良かない!」

舞が神父仲間の幽霊に詰め寄る。

「というか、あんた、どんだけこの世に未練があるわけよ」

「あれ?」

神父仲間の幽霊がずっこける。
なんでさ、せっかく全てが丸く収ったのにと。

「てか、十年前から幽霊でいるわけでしょ。あんたの悩みって一体、何よ?」

「いや、ちょっと待って……」

「いい加減、白状して、さっさと成仏せいやっ!」

そして、また幽霊を鷲掴みにしてブンブンと勢いよく振り回す。
まるで砲丸のボールを投げるよう。

「い、いや、いや、話しますぞ。大きな問題は無事に解決したのでって!」

「ムッキー!」

「いや、ちょっと、ちょっ。真剣に……」

幽霊は慌てて舞に答える。
しかし舞は、さも面白いといった感じで、更に振り回す。

「というか、あんたは私を利用したんでしょ。それがムカつく。ムッキー!」

と、無邪気に友達とじゃれ合う子供のように。
威厳を保っていた幽霊も形無しだった。
舞の前では。

「だから、ちょっ、ちょっと、話しますって。真面目に……」

そんな風景を見て晴夜は笑う。
心の底から。

「ふふふ。こんなに楽しく笑ったのは、生れて初めてです」

そして空を見上げる。
そこには、真っ白な入道雲と灼熱の太陽があった。
吹き抜ける爽やかな一陣の風と共に。

「舞さん。わたくしも、その遊び、まぜて頂いてもよろしいでしょうか?」

晴夜が舞に告げる。
すると顎で、おー! 来い! 来い! 大歓迎! と合図する彼女。
晴夜、お主もかとギョッとする幽霊。

「……ピア」

晴夜が、そうつぶやいて、彼女らに下に駆け寄った。
満面の笑みを浮かべて。

~ その七、この世、了。

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↑ワシも入れるだワンw
     

【 自慢したいだけだなw 】

いや~…、ランキング、落ちちゃったよ。何位かって。もちろん一位さ。

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↑億泰っぽいw
     

【 信じるマン、第二十話、別にいいんだから 】

俺たち信じるマンにピンクが加入した。
これは、俺の中で、決してあってはならない事だと思っていたが……。
意外や意外。

ピンクが加入する事で、俺たち信じるマンも華やいだ。

しかも魔法使いな少女なわけで。
思わず顔がほころんで、笑顔になってしまうわけで。
キム・キムを相手にしていると余計にピンクのムン・ムンが可愛く思える。

「というかアルな」

キム・キムが、不満そうに言葉を発する。
今、俺たち信じるマンはピンクであるムン・ムンを囲んでお茶をしている。
あの好戦的な怪人27号ですら、うっとりとお茶を飲んでいる。
ジョーは?

「実は、俺は人間のオスでな。ネコとは仮の姿なんだ」

とウソぶている。
ジョーこと、イエローですら、この状態なのだ。
ピンクであるムン・ムンは、俺たち信じるマンのアイドルになっていた。

「ま、別にいいアルけど……」

「なんだキム・キム?」

俺が何気なく、キム・キムに答える。
俺以外の二人は、お茶をすすりつつ、ムン・ムンに夢中になっていた。
キム・キムの視線が鋭くとがり、ムン・ムンを突き刺した。

「燃えないゴミは今日が収集日アル。ヨロシ?」

「うん?」

「すなわち、ムン・ムンは信じるマン破門アル。死ぬヨロシ!?」

≪ギュゥウゥイィィイィン!?≫

うぉー!
キム・キムが、キレてチェーンソーを取り出したぞ。
燃えないゴミとは、ムン・ムンの事か!?

ていうか、お前、ピンクを加入させたかったんじゃなかったのかよ!

矛盾してるぞ!
しかし当の本人、ムン・ムンは、瞳に涙を浮かべていた。
そう。キム・キムに破門と言われたから。

ムン・ムンは、すなわちキム・キムを崇拝していたのだから。

これは怪人27号にも言える事だが、なにが君らをそんなに駆り立てるのさ。
キム・キムなんて、マッドで人格破綻者に過ぎないじゃないかと。
そう思うのは、俺だけじゃないはず。

少なくともジョーは、俺と同じ気持ちだと思う。

なぜならジョーは信じるマンになった時から禿げて恨みを覚えているはずだ。
すなわち素っ裸になるという設定がネコであるジョーに当てはめると。
毛が全て抜け落ちて、禿げになるのだ。

一応、頭のテンコツには、一本だけ毛が残ってはいるが。

多分、あの毛はジョーのプライドだろうと思う。
最後に残った唯一のプライドだと。
そう思う。

とにかくだ。
今、ピンクがピンチに陥っている。
俺たち信じるマン三人衆は、この危機を打破する為に立ち上がるべきだ。

「みんな、ピンクがパンチだ。いやもとい。ピンクがピンチだ!」

「おおでしゅ。ピンクしゃんのパンチィーでしゅか」

「だぁー! 違う! 違う! 確かに言い間違えたのは俺だけどさ。違う」

「フッ。皆まで言うな。分ってる」

ジョーが、この場は制してくれたようだ。
俺に続き、ジョーが変身し、その後に怪人27号が続いた。
お。今回の俺たち信じるマンは、いいベクトルでのチームプレーだ。ナイス。

「おッほほほ! ですわ」

えっ!?
ピンク! ピンク! ピンク!
なんで、このタイミングで、俺たちの変身を解くんだ!
俺たちの連携は!?

「わたくしはキム・キムさまの信者です」

「だったら大人しく燃えるゴミになるヨロシ? いいアルか?」

「はい。御心のままに」

だぁー!
ダメだ。ムン・ムンはキム・キムのいう事だったら、なんでも聞くんだ。
だから俺たちの変身を解いて、自ら死を受け入れるのだな。

「……本当にいいアルのか? 燃えないゴミアルよ?」

およ?
なに。どうした。
キム・キム、なんだか真剣な顔をして。

「はい。燃えないゴミ……それがキム・キムさまのお心が望む事であれば」

「キム・キムしゃん。ピンクしゃんは心の底から敬服しているでしよ」

怪人27号が、ピンクの言葉を後押しする。
そして、ジョーも続く。

「フッ。そうだ。冷静に、この状況を解析するとだな」

「あー。うるさいアル。分ったアルよ」

多分、キム・キムさまのさまにやられたっぽいな。
そういうヤツだ。キム・キムは。

「確かに別にいい事だったからアルな」

「とか言いつつ、キム・キム、本当は嬉しいんじゃないの?」

俺がキム・キムに突っ込んだ。
キム・キムみたいな自己中、傲慢女にも尊敬をしてくれる人がいてと。
いや、俺だったら間違いなく嬉しいと思うぜ。

「うるさいアル!」

キム・キムは恥ずかし紛れなのか、俺の背中を叩いた。
そこには赤く丸いスイッチがあって……。
そう。

この後、俺は、この悪魔女を死ぬほど恨む事となるだのだが……。

その話は、また今度にでも。
作者のやる気が残っていれば、また会えるかもな。
じゃ、次に会える日を楽しみにしているよ。

「ていうか、本当に別にいい事だったアルよ! ヨロシ?」

第二十話、別にいいんだから、了。

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↑ネコでは虐待らしいw
     

【 ピア、~ その六、ピア 】

「だから? あんたも何か抱えてるんでしょ?」

「えっ……」

「私は聞く事に命を賭けてるからね。しゃべらせればそれで良し」

舞は、事も無げに応える。
まるで、今までの事は、すべて忘れてしまったかのように。
晴夜の視界が滲む。舞の優しさに触れ。

「今、あんたは、あんた自身と決着をつけなくちゃならないのよ」

そういう舞の言葉。
けたたましく鳴く蝉の声が、今はまるで祝福するオーケストラのようだった。
そして、真夏の灼熱の太陽も、雲に隠れ日差しを和らげた。
晴夜を取り巻く、すべての自然が慈しむよう。

「なぜ。なぜ、貴女はそんなに優しいんです。こんなわたくしに……」

強固に創り上げられた彼の価値観が、氷解していく。
弱きものは、認めないという彼の価値観が。
晴夜は、頭を抱え込み、突っ伏した。

彼の中で、矛盾が発生したのだ。
弱き自分が犯した過ちを許してくれる、強きものがいると。
それは、彼にとって在り得ない事であった。

「ピア」

幽霊が、前に出てきて一言、言った。
舞の口を使って、幽霊の言葉が聞けない晴夜に向け。

「晴夜、お主は忘れてしまっておるのじゃ」

「忘れている?」

「我らに霊能者とって、すべては仲間(ピア)なんじゃ」

「!」

声のトーンは、舞のもの。
しかしこの物言い、晴夜には心当たりがあった。
これは。

「もしや、貴方は、是威お爺さまですか!」

晴夜が、驚愕する。
そして驚きのあまり、それ以上、言葉にできなかった。

「ふふふ。晴夜、お主は、そう考えると思ったわ。じゃが、違う」

舞に乗り移った幽霊は、さも可笑しいと応える。
彼女もまた幽霊と共にクスクスと笑う。

乗っ取られた彼女には、幽霊が誰だか分かっていたのだ。

乗っ取られたがゆえ。
そして、舞の顔が天をゆっくりと見つめ、続ける。

「是威殿は、成仏しておるよ。ワシを解き放つ事によってな」

晴夜の表情が困惑に変わる。
今、舞に乗り移っている幽霊が誰だか分からなかったからだ。

「ワシは、是威殿の仲間(ピア)。これだけ言っても誰だか分からんか?」

晴夜には、いまだ誰だか分からなかった。
また舞の顔が晴夜に向けられる。
真剣な表情で。

「ワシは、是威殿が死んだ時、襲っていた悪霊じゃ」

「あ……く、りょう?」

「お主の才覚を取り込んだ悪霊じゃよ」

晴夜が、警戒し、表情が歪む。
祖父を殺した悪霊と聞いて、また心を閉ざし始めたのだ。

「馬鹿者! ワシは、是威殿に助けられたのじゃよ」

そんな晴夜を優しく諭す幽霊。
彼は是威に晴夜の事を託されていたのだ。

「是威殿とワシは、神父仲間だったのじゃ。ゆえに止めに来てくれた」

そう。
確かにその昔、晴夜たちを襲った悪霊は神父仲間の一人だった。
そして死んだ後、後悔の念で悪霊と化した彼を是威は身を挺して止めたのだ。

友(ピア)の尊厳を護らんとし。

「そして、ワシは託された。晴夜、お主の成長をじゃ」

「成長……ですか?」

「うむ」

「是威おじいさまは……」

「そうじゃ。成仏したところをみると、お主の成長を信じていたようじゃな」

悪霊は消し去る。
晴夜の悪霊祓いは、基本的にそうだった。
しかし是威の悪霊祓いは違った。

悪霊を導き諭していたのだ。

そして、是威が死んだ時もそうしたのだ。
しかも同じ神父仲間が暴走し悪霊化していたのだから尚更のこと。
是威。彼は、仲間を大事にする舞と通ずる神父だった。
ゆえに晴夜の尊敬を集めた。

「お主は、是威殿のような神父になりたいのであろう?」

「……」

「では、まず何をせねばならぬのか分かるな。決して力に溺れるな」

そこで、また舞が口を挿む。
悪意なく、無邪気に晴夜を揶揄して。

「今までのあんたはね。蟻をプチプチ潰してる陰気なヤツだったわけよ」

手を口にあて、クスクスとイタズラっぽく笑いながら。
そして、また舞が幽霊に変わる。

「霊の声が聞けぬ。これは、霊能者にとって致命的なんじゃ。分るな?」

「そんな事、考えた事もありませんでした」

「だから舞殿の下に誘った」

晴夜が、また分からないといった表情に変わる。
何故、幽霊が舞を選んだのか、そこが分からなかったからだ。

「分からぬか」

幽霊が言葉少なく、晴夜に問いかける。
晴夜の頭の中に様々な思いが、浮かんでは消え、浮かんでは消え、巡る。
それでも、分からない。

「では、仲間(ピア)とは、なんじゃ。考えてみろ」

幽霊は、そう言い残すと舞の体から出てきた。
また幽霊となったのだ。

「仲間(ピア)とは、一体……」

更に混迷する晴夜。
幽霊から出された課題は難題に思えた。

それはそうだろう。
今の今まで、強固に作り上げた自身の価値観が邪魔していたのだから。
そんな彼をみて、舞は神秘的な微笑を見せ、一人、呟く。

「そっか。だから喋らなかったんだ。あんなに頑なになって」

舞はやっと合点がいった。
対して、晴夜は自己矛盾を抱えて悩んだ。
ピアとはと。

「ピア、ですか……」

「うん。ピアだよ。見せたかったんだね。晴夜にピアとは、一体、何かを」

舞は、まるで、答えを知っていると言わぬがばかりだった。
舞うという行動で、幽霊も嬉しそうに舞に答えた。
ピアとは、一体……。

晴夜は、真夏の空を見上げ、考えた。

真夏の空の下、鳴き続ける蝉たちですら答えを持っているような気がした。
舞は、晴夜を包むような柔和な笑顔になり、言った。
とても優しく。

「ま、ゆっくりと考えればいいよ。そんなに難しい事じゃないし」と。

~ その六、ピア、了。

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↑仲間だねw
     

【 愛車精神 】

覆面を被り銃も手に入れた。さ、銀行強盗に行くぞ! 金色のフェラーリで。

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↑やりそうw
     

【 悪魔ちゃんと天使くん、~ その十二、死 】

不思議な少女の声を紐解くには悪魔と天使を知る必要がある。
この世界で天使とはなんであり、悪魔とはなんなのか。
それを知る必要があるのだ。

なぜなら、その不思議な声の少女は銀杏の中の悪魔の原型なのだから。

原型とは?
つまり銀杏が悪魔として転生する為に必要な人格であるとだけ言っておこう。
元々は、サドクが悪魔であり、銀杏が天使だったのだ。
そこにねじれが生じている。

とにかく悪魔と天使について語る必要がある。

前の節でも少し触れたが、悪魔とは情たる存在なのである。
悪魔とは魔王のアガペーと呼ばれる無限の愛を、この世に体現する人なのだ。
その体現をフィリアという。

フィリアとは、アガペーの縮小版であり、友愛とも訳す事ができる。

そして、そのフィリアを持って生きているのが悪魔なのである。
つまり悪魔とは愛そのものの存在なのである。
アガペーが降り注ぐ限り。

次に天使について、書いておこう。

この世に存在する天使は、ソピアーと呼ばれる叡智を神より授かる。
そして、こちらもソピアーの縮小版、智慧を体現する。
つまり叡智の体現者としての天使がいるのだ。

しかし、ここで間違えて欲しくないのが、人間と悪魔や天使の違いである。

実の所、この世界では悪魔も天使も人間と変わらず人にすぎない。
つまり、悪魔や天使にも寿命はあるし、死にもする。
もちろん怪我もするし、病気にもなる。

人間と悪魔、そして天使との違いは、役割の違いにすぎない。

そして、この世界での人間の役割は体験だ。
この話は、少々長くなると思われるので、ここでは割愛しておく。
とにかく銀杏は、これから悪魔として転生するのである。
そちらに注視しよう。

しかし、ここで問題が起こる。

元々、神と魔王の算段では、銀杏は天使になる予定だったのだ。
神と魔王は、銀杏の中に天使として転生するように準備し、仕組んでいた。
ゆえに悪魔として転生するには段階が必要なのだ。

歪みが生じていて、これを解消しなくてはならないというわけなのだ。

サドクが天使に転生した時のように。
サドクは、彼女が段階を踏むねばならぬ事を計算に入れていた。
自分が天使として転生した時に経験した段階を銀杏にも踏ませようとした。

「銀杏、ぶっちゃけ、そんなに難しい事じゃない」

「なんの話?」

銀杏は不思議になり、サドクに聞いた。
サドクは、そんなに難しい事ではないと言ったが、実際は難しい。
いや、銀杏に限って、それは困難を極めると言えよう。

そうなのだ。
彼女が悪魔として転生する為には情という存在を受け入れなくてはならない。
悪魔は情や愛の体現者なのだから。

情の欠片もない銀杏に情を目覚めさようというわけだ。

これは一筋縄ではいかない。
なぜなら銀杏は人間の人生の中で愛を感じた事もないし愛を与えた事もない。
つまり、目の見えない人に空の青さを教えるようなモノなのだ。

「そして、こいつは、お前の中の情だ」

「そういう事。よろしくね」

そうなのだ。
この不思議な声の少女は、実は銀杏の中の情という存在であった。
つまり、彼女の中に在った悪魔の原型なのだ。

確かに彼女は今まで人間であり情がないという事はなかった。

しかし情というモノを感じた事がない。
情は心の奥底に埋もれてしまって、銀杏自身では感じられない領域に在った。
いや、人間の人生の中でただ一回だけ、情を感じた事がある。

それはサドクが人間であった頃のヘルメス・ディ・カイトに対して。
師であり、そして唯一の理解者であったヘルメス・ディ・カイトに対してだ。
その頃、感じていた感情を呼び起こそうとしたのだ。

「銀杏ちゃん。まず、悪魔になるについて以下の事を理解して欲しいの」

不思議な声の少女は続ける。
しかし銀杏は悪魔に転生する事を承諾したわけではない。
いや、それどころか今においても悪魔や天使の存在を受け入れていなかった。

「なに。この夢」

銀杏の言葉はもっともだった。
これは銀杏の夢の中で起こっている事に過ぎず、そして現実感がない。
いや、たとえ現実感が在ったとしても銀杏は受け入れない。

「まず、あなたにも情がある事を理解して欲しいの」

不思議な声の少女はお構いなしに続ける。
そしてサドクも少女の声に続いて、銀杏に畳み掛ける。
否が応でも納得させる為に。

「いまだ天使が信じられないか。ま、しゃねぇな。それがお前だからな」

「だから、これは夢なのよ。まったく。夢なんか信じると思う?」

「起きてる時、空想の話をしただろ?」

「理想と空想の話ね」

「そうだ。昔、お前が考えた空想が今、実現しようとしているんだよ」

「なんの話?」

「大空を自由に舞う、悪魔と天使たちのワルツ」

「あんなの子供頃の妄想よ。現実にはあり得ないわ。これは夢だし」

「いや、お前が子供の頃、思い描いた夢は神と魔王に仕組まれていたんだよ」

「今度は神と魔王? なにが言いたいの」

「ま、こういうヤツだな。お前は」

「だからなんの話なのよ?」

いささか不思議な声の少女は躊躇しているようだ。
これ以上、銀杏を悪魔として転生させる事は無理だと判断したようだ。
それでもサドクはあきらめない。

意固地になっている銀杏を諫める気でいた。

なぜなら銀杏自身は気づいていないかもしれないが。
サドク、すなわちヘルメス・ディ・カイトはこの時の為に転生したのだから。
悪魔の予定を無理矢理、変更して。

「サドク、これ以上、銀杏ちゃんに話す事に意味はある?」

不思議な声の少女があきらめ口調でいう。
サドクは、一つ笑み答えた。
力強く。

「ちょっと時間をおこう。そして輪廻転生を受け入れてもらうしかねぇな」

「私には、これ以上、無理強いしても仕方ないと思うけど」

銀杏の中に在った悪魔の原型としての情は、さすがは彼女、薄情であった。
つまりヘルメス・ディ・カイトが消えた時から成長していなかった。
ヘルメス・ディ・カイトは、彼女の為に消えたのに。

それをいまだに理解していないのだ。

サドクにとって、この二人を仲介するのは困難を極めた。
しかし、それでもサドクは引かなかった。
引いたら銀杏は無駄死にをする。

そして、創世は銀杏が銀杏でなくなり、次の人間として生まれた後になる。

しかしサドクには、受け入れがたい結末だった。
なぜなら銀杏が銀杏でない次の人間に転生したとしても意味がない。
結局、今、成長するしか、何度、転生を繰り返しても逃げに過ぎないのだ。

今、この環境下で彼女自身が学ぶ以外、道はないと考えていた。

つまり、新たな人間としての新しい人生が始まったとしても学ぶ以外はない。
そして今現状の環境下で、学べない者は、やり直しても学べない。
いや、むしろ逃げ癖がついて、余計に学べなくなる。

これは自殺が究極の逃げだと思っているサドクの持論だった。

いくら自殺の先が輪廻転生だったととしても……。
だからサドクは、焦らず、銀杏が理解し、そして学ぶ事を優しく促した。
銀杏の中の情は呆れていたが。

しかし、銀杏が、こうなる事はサドクの中で計算の内だった。
なぜなら死の恐怖、不安を取り去ったのだから。
これは弊害だろうと思っていた。

人間は死へ恐怖や不安があるから、なかなか自殺ができないのだ。

その恐怖や不安を取り除いたのだ。
当然の結果といえば、当然の結果であろうと思う。
つまり今の銀杏は死に対して、真剣に思い悩み、考えていないのだと言える。

「とにかく俺の話を聞け」

サドクが銀杏を諭すように語りかけた。
まず、銀杏自身が、死ぬのだという純然たる事実を理解させる為に。
この死は運命であり、すなわち彼女の寿命であったのだ。

「なによ?」

銀杏は不機嫌そうに言った。
もちろん銀杏の中の情である不思議な少女も不満そうだった。
さて、どうしたものかねとサドクは思った。

~ その十二、死、了。

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【 悪魔ちゃんと天使くん、~ その十一、マジ殺し 】

星埜銀杏、彼女は今、寝ている。
ここは銀杏の夢の中。つまり彼女の意識の中でしかないのだが……。
しかし、とても大事な事が行われようとしていた。

そう。先に説明した星埜銀杏の輪廻転生が行われるのだ。

ラグナロクを成す為に。
天使側の人がヘルメス・ディ・カイト、つまりサドクが選ばれ。
そして、悪魔側の人が星埜銀杏が選ばれたのだ。

いや、そう準備されていたのだ。

少々、想定外だが。
本来、サドクは悪魔になる人物だった。
サドクが、まだヘルメス・ディ・カイトであった頃、銀杏と出会っていた。
そして、彼は天才的な知能を持つ冷酷な銀杏を癒していのだ。

つまりカイトは、それだけ情が深い人間であった。

ゆえ、サドクは悪魔としての素養があった。
つまり、この世界の悪魔は魔王のアガペーを体現する人であった。
悪魔とは魔王のアガペーより愛を受け取り、フィリアとして体現するのだ。

ここではアガペーとは無限の愛を示し、
フィリアとは友愛を示すとだけにとどめておこう。

そしてヘルメス・ディ・カイトを師とし、何段階にも成長した銀杏。

彼女には天使としての素養があった。
つまり、この世界での天使は神より叡智を受け取り智慧として体現する存在。
そして銀杏は、人間の段階で、それだけの智慧を持っていた。

しかし、目にあまるほど彼女は情がなかった。

無知の知を知った気で。
理論武装した銀杏は氷塊であった。
これはたとえではなく、実際に彼女の心は凍てついていた。
誰も彼女には敵わなかったし、彼女も調子に乗って他人を倒し続けた。

ゆえにヘルメス・ディ・カイトは天使なる事を望んだのだ。

銀杏の師であるカイトには天使の素養もあった。
が、ヘルメス・ディ・カイトは、氷塊である銀杏をも癒したのだ。
つまり情が人並み以上あった。

情は知を曇らす。

この言葉が示すようにカイトは理性より感情で動いた。
ゆえに天使としては失格であったが、なにより銀杏を悪魔にしたかった。
なぜならば……。

ヘルメス・ディ・カイトは、彼女にも情というモノを知って欲しかったのだ。

星埜銀杏として生きた人間時代に得る事のできなかった情を。
だからサドクは無理矢理、天使として転生した。
悪魔のポストを銀杏に残し。

つまり本来ならば悪魔としてのサドクがあり天使としての銀杏があったのだ。

そして、この世界ではサドクと銀杏しか創世を成せる人物はいなかった。
ゆえに銀杏は人間時代、あり得ないほどの才女であったのだし。
サドクは、とても情深き人間であったのだ。

神と魔王は、創世の準備をサドクと銀杏の二人の中に仕込んでいた。
しかし、サドクが天使に転生するという想定外の創世になってしまったが。
それでも時は進む。

「ふふふ。こんばんは。銀杏ちゃん? まだ寝てる?」

誰の声だろう。
まったく聞いた事のない少女の声だ。
しかしまったく見当がつかないというわけでもない。
本来、悪魔になるべき魂のサドクが天使として転生しているのだ。
そこに答えがあると思えた。

「ふははは。そういう事だ。銀杏。俺が水先案内人になると言っただろう?」

この声はサドクだ。
いや、今は、銀杏の夢の中にいるはずだが……。
なぜサドクがここにいるのだろうか。

その疑問には、聞いた事のない不思議な少女の声が答えてくれた。

「銀杏ちゃん。あなたは今、輪廻転生しようとしているの」

どこか落ち着く感じの声だ。
そして、その声に続くようにサドクが言う。
優しく、豪快に。

「面倒くさい事は全部、抜きだ。これから、お前は悪魔になる」

「もう。サドクは面倒くさい事が本当に嫌いね」

「いや、まどろっこしのが嫌なんだよ」

「なんで?」

「男は、やっぱり直球ストレートで勝負だろ?」

「ふふふ。サドクらしい発言だね。でも女の子はデリケートなのよ」

「面倒くせぇ。とっとと悪魔になっちゃえよ。簡単だべ?」

「女の子は、そんなに簡単じゃないのよ」

「結局、乙女ってわけか……」

「ふふふ。浜乙女とか言ったら殺すからね。覚悟して発言してね」

「うぜぇ! マジ、うぜぇし。必殺! 浜乙女!」

とスペシューム光線を発射するサドク。
これは不思議な事なのだが、銀杏は彼女の夢の中で確実に覚醒していた。
寝ているにも関わらず、意識はハッキリとしていたのだ。
そう。

体は寝ているのだが、意識は起きている時のそれであったのだ。

「あの~…」

銀杏が恐る恐る発言する。
しかし。

「あ。今、サドクを殺してる最中だから、ちょっと待てて」

銀杏は今、緩やかに死につつあった。
すなわち、この感覚は輪廻転生特有の感覚であった。
その不可思議な感覚は人間として先に死んだサドクは、よく知っていた。

だからサドクは、不思議な声の少女と即興でコントをやったのだ。

つまり、彼女の死に対する恐怖と不安を緩和させるように。
銀杏にはウケなかったが、少なくとも彼女は不安を感じていないようだ。
サドクには、それがなにより嬉しかった。

「というか、俺、今、マジ、殺されかけてるし!」

「うふふふ」

~ その十一、マジ殺し、了。

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【 スティーブン・セキルバーグ 】

「君は幽霊を信じるかい?」

今、目の前に見事なバーコードを持ったオッさんがいる。
そして、馬鹿げた事を言っている。
君って俺の事だよね?

「そうそう。君だ。君しかいないだろ。幽霊を信じるかい?」

そうなんだ。
オッさんの言う通り、俺は今、オッさんと二人っきりだ。
しかも何故だか、オッさんの前から動けなくて。

それだけ気になるオッさんという事か。

それは分らない。
分らないが、とにかくオッさんの前から動けず、まるで縛られたようだ。
それにしても馬鹿げている。幽霊を信じるかいって。

「ちょっと前になるけどセキルバーグってヤツいただろ? 知ってるかい?」

元ハローバイバイの関暁夫の事か?
信じるか、信じないかは、あなた次第ですってヤツだろ。
アレってウソだろ?

マリックさん級の芸人だったと記憶しているが……。

そこでオッさんの体が少し揺れ続けた。
霞んだのだ。
えっ?

「そそ。俺は幽霊なんだ。幽霊はいるんだよ」

……って、どう見ても普通のオッさんだけど妙に説得力がある。
もしかして幽霊は実在しているのか。
と思った矢先。

「そそ。で、君も幽霊なんだ。もう信じるしかないだろ?」

と、とんでもない事を言い出した。
でも、ちょっと待てよ。
あれ?

俺に残された、あやふやな記憶を辿ってみる。
確か俺は自殺する為に電車に飛び込んで、そして、ここにいる。
芸人としてやっていけないじゃないだろうかと悲観して。
そうか。やっぱり。

「……信じるか、信じないかは、あなた次第です」

とオッさんが言った。
そうなのだ。俺自身、自覚はないけど……。

「俺はセキルバーグの怨霊? 信じるか、信じないかは、あなた次第です」

スティーブン・セキルバーグ、了。

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【 悪魔ちゃんと天使くん、~ その十、最後の日 】

「それにしても、なんで君は、カイトの事を知っているの?」

銀杏が探りを入れるようにサドクに尋ねる。
ヘルメス・ディ・カイトと銀杏の関係は、親ですら知らない事実なのである。
それを突然、現われた天使と名乗る男の子が知っているとは。

なぜ?
……と、ごく自然な疑問が彼女の中で生まれたのだ。
しかし銀杏の懸念は、もっと大きかった。

それは、この天使と名乗る男の子が自分の事をどこまで知っているのか。

それを知りたかったのだ。
サドクは、邦大の事を知っていたし。
なによりヘルメス・ディ・カイトの事を知っている。

サドクは自分のプライベートのどこまでを知っているのか疑問に思っていた。

「それはだな。お前の死と関係があるから知っているんだよ」

「私の死と?」

「そうだ。お前はラグナロクを知っているか?」

「ラグナロク? 終末の日でしょ。神々の運命のという意味だと思うけど?」

「そうだ。そしてラグナロクは終末と同時に創世の時でもあるんだ」

「終末から創世へって事?」

「そうだ」

銀杏は、サドクがゲームの設定か、なにかに侵されいるのかと思った。
こんな幼稚な話、銀杏には、まったく信じられなかった。
大体、自分の事を天使だという男の子なんだ。
こういうのもありかと思った。

「ま、ラグナロクの話は今度にして、それよりカイトの事よ」

銀杏はラグナロクを信じなかった。
そして、天使という事実も、いまだ信じていなかった。
ただサドクという存在自体は信じ始めていた。

天使はさておき、サドクは信じても裏切らない人だと認識し始めていたのだ。

「お前、信じてないだろ?」

「当然でしょ。終末とか創世とか、そんなの間に合ってるわ」

「じゃ、俺が天使って事もいまだ信じていないのか?」

「当たり前でしょ。天使も間に合ってます」

サドクは銀杏に一喝され、テンションが下がり、しょげてしまった。
いやしかし、今の日本で普通に生活していれば分る事だ。
天使や悪魔、ましてやラグナロクなど……。
あり得ない話なのだ。

「だったら、ちょっとだけ説明させろ」

「なんの説明よ。君の妄想だったら、まっぴらゴメンだわ」

銀杏が饒舌になってきた。
つまり、これは相手を信用したというサインだった。
サドクも、それだけは分ったのか、馬鹿にされても嬉しそうだった。

「そんな事より、サドク。カイトの事をきちんと説明しなさい」

「そうそう。俺が説明しようと思ったのは、それだ」

「それ?」

「そうだ。なんで俺がヘルメス・ディ・カイトの事を知ってるかって事だ」

「それは失礼しました。てっきり天使について話すのかと思った」

「ま、それも話してぇんだけどな。ま、追々だ」

「聞くわ。話して」

「シビアだなお前。とにかく仮定でいいからラグナロクが在ると思ってくれ」

「もう。その話抜きにカイトの事を話せないの?」

「ああ。そうだ。ラグナロクは外せない」

「ふぅーん。そう。だったら仮定でいいんでしょ。それで話を進めて」

そして銀杏は、サドクの語るラグナロクとカイトの話を聞いた。
サドクの語った内容を以下に要約して書く事とする。
とても信じられない事なのだが。

*****

この世界の魂は創世より決められた宇宙の許容範囲を超え増え続けている。
つまり、この世界は、ある一定の魂が総数を超えた時。
終末がくると決められているのだ。

創世を成した神と魔王の徳によって、許容範囲が決まる。

ゆえ徳の高い神と魔王であれば。
ほぼ無限でにも魂を許容できるのだが……。
残念な事に、この世界を創世した神と魔王の徳には限界があったのだ。

そして許容を超えた時。

魂を収容する為に新たな創世を行うのだ。
天使と悪魔が神と魔王になり、無という場所に新しい世界を創るのだ。
つまり終末と創世。

それをラグナロクという。

そして人は死んでも魂となり、存在し続ける。
つまり魂は増え続け、一つの例外を除き、消滅する事はない。
それを輪廻転生という。

宇宙に魂の総数の許容量が決まっている以上、ラグナロクは避けられない。

むしろラグナロクが起こる事によって人は新たな世界へと旅立つのだ。
これは、宇宙にとって、人にとって良い事なのだと思う。
この世に不偏なモノはないのだから……。

ラグナロクが、ヘルメス・ディ・カイトとどう繋がるかなのだが。

ラグナロクを起こす神と魔王の神側。
つまり天使側にヘルメス・ディ・カイトの名が上がったのだ。
彼は、すでに人間としては死んでいて、天使として輪廻転生していたのだ。

そして、悪魔側は……。

*****

と、ここまでサドクが説明し終わると時間は深夜0時を越えていた。
中学二年生である銀杏には苦しい時間帯だった。
つまり眠くてしょうがなかったのだ。

「ふははは。済まんな。つまらん話で。あと少しだ」

「ふにゅ~。むにゃ。大体、分ったよ。うん」

「そうだ。後、一つ、重要な話があるんだが、それだけ聞いたら寝ろ」

サドクは銀杏を気づかい優しく言った。
辺りは深夜独特の凛とした空気で、昼の蒸し暑さなど忘れていた。
そして乳白色の月光は、更に銀杏を眠りへと誘った。

「ふみゃ~。ふぁ~」

銀杏が大きなあくびをして、眠そうだ。
そんなまどろみの中、サドクがとても大事な事を銀杏に告げた。
決して信じられない事実を。

「そうだ。俺がヘルメス・ディ・カイトなんだよ?」

「ふぬぅ~…、君がカイト?」

「そうだ。俺が人間だった頃ヘルメス・ディ・カイトと名乗っていたんだぜ」

「ふにゅ~」

銀杏は、サドクのとても信じられない事を聞いているのか聞いていないのか。
とにかく猛烈な眠気で、目も開けていられないといった感じだ。
そして銀杏は眠った。

明日の朝には死んでいるという言葉を忘れて……。

サドクは愛おしそうな目で銀杏を見て大丈夫だと小さくつぶやいた。
サドクは、この時の為に銀杏より先に人間として死んだのだ。
死後の世界を知りたくて。

「ラグナロクか、結局、俺たちはどれだけの世界を創れるんだろうな」

彼は、銀杏の人間としての最後の日である今日を見つめ、再び、つぶやいた。
それは、とても深い言葉で、とても悲しい言葉であった。
人は死んでも終わらない。サドクはそう思った。

今宵の月は、とても綺麗で。

……いや、もうなにも言うのはよそう。
今宵の月夜は、全てが蛇足で、全てが、悲しいのだから。

~ その十、最後の日、了。

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【 ピア、~ その五、強きモノと後悔 】

さりとて、同時に。

「舞殿。少々お体お貸し願いますぞ」

と今まで語らなかった幽霊が遂に口を開いた。
頑なに沈黙を護っていた幽霊がだ。

「そっか。口寄せか!」

舞が叫ぶ。
イタコのもう一つ能力、口寄せ。
口寄せとは、幽霊を自分に憑依させて、一体となる術。
そして、一体になった者は憑依した幽霊の能力を引き継ぐ事ができる。
すなわち幽霊が持ち得る特技を使う事ができるようになるのだ。

カクンっと頭を垂れる舞。

舞が幽霊と一体になった証拠だ。
そして、ゆっくりと彼女の目が開き始める。なにかを憂いているかのよう。
同時に足が地から離れ、ふわりと宙に浮き始める。

「……ば……馬…鹿者が」

またゆるりと舞の口から晴夜に向かって小さく発せられる言葉。
そして彼女は、両手を拡げ、足も開き大の字になる。
なにかの構えのようだ。

「大馬鹿者が!?」

そして再度。
今度は弾けんがばかりな大声で発せられた。
もちろん晴夜、彼に向かって。

途端。霧散する正の力。
まるで、彼の正義を否定するかのように。

「晴夜! お主は何も分かっておらぬ。馬鹿者が!」

舞の口調が、荘厳なものへと変わっていく。
眉を一つ、ピクンッと動かす晴夜。

「誰です? あなたは。何故、わたくしを知っているのですか?」

彼の力を掻き消した幽霊。
その力を認めざるを得なかったのだ。
彼の論理、弱きものは強きものに踏み躙られるという指標に従って。

すなわち、晴夜は、幽霊を強きものと認めたのだ。

「馬鹿者が。まだ分からぬか?」

舞の体が、ゆらりと揺れる。
宙をヒラヒラと舞う蝶のよう優美に。

「分かりませんね」

「……」

「わたくしは、わたくしに匹敵する者と相対した事がありませんので」

晴夜が、そう答えるのが早いかのタイミングで、舞が構える。

左手を突き出し、
右手を肘から折りたたみ後方で拳をにぎり、両足は開き、踏ん張り。
左手と右手の間に光がほとばしる。

そうだ!
晴夜が、正の力を放った構えと同じ構えを舞がしたのだ!

「エクソシズム!」

途端。
舞の左手に溜まったエネルギーが、溢れ出る。
目も眩むほどのまばゆい光。
噴き出す、正の力。

これも、まったく紛うことなく、晴夜のそれと同じだった。

「……ば、…馬鹿な。これは、神父特有の力」

「晴夜、まだ分らぬか?」

「分りませぬ。なぜ? なぜに悪霊(あなた)が行使できるのです」

晴夜も、また正の力に呑み込まれた。
さりとて憎悪ではなく、温かく、包み込むような正の力に。

……我々、霊能者にとって幽霊とは救うべき仲間(ピア)なのじゃ。
声を聞け、そして心せよ。晴夜。

そんな風に彼を諭し。

≪どさっ≫

舞の前に倒れ伏せる晴夜。
彼女の正の力は、彼のそれを遥に凌駕していたのだ。
どうやら舞の霊力と幽霊の霊力が合わされ足されたからだろう。
二倍どころか、何十倍にも増幅されていた。

これが、助け合うという事じゃ。

まだ、微かに残っていた正の力が語った。
しかし正の力は、晴夜の精神を侵す事無く、すぐさま解放した。
きっと彼に気づかせる為だけに放たれたのだろう。
そう思えた。

後、彼は放心した。

「……い、一体、貴女は今、誰なんです」

彼は、強きものである幽霊に聞くのが怖かった。

だから今度は舞に問いかけた。
口寄せという能力を有する、彼女すらも恐れおののき。
今、晴夜は、完全に弱きものになっていた。

あの時。
お爺さまを失ったあの時の再来だと、怯え、震え。
しかし舞は優しく応える。

「誰でもないよ。私は三珠舞。乗っ取られたって自分は、自分だもん」

「えっ……」

「友達が遊びに来たって感覚が、一番、近いかな。たはは」

と死者と生者の架け橋、イタコとして。
首を傾げ、微笑みならが。

「……そうですか。でも、わたくしは貴女を殺そうとしたんですよ。それを、」

冷淡な晴夜の言葉が、そこまでで止まる。
いや、止まらざるを得なかった。
後悔し始めていたからだ。

~ その五、強きモノと後悔、了。

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将来、月に移住したいと思う今日この頃。現実的には一歩、一歩、着実に。基本を大事に。

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